JIS K 0155:2018 表面化学分析―二次イオン質量分析法―単一イオン計数飛行時間形質量分析器における強度軸の線形性

JIS K 0155:2018 規格概要

この規格 K0155は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に対するスペクトルから求めた同位体比を用いた試験によって,単一イオン計数飛行時間形質量分析器における強度軸の線形性からのずれを許容限界内に抑えるために最大計数率を決定する方法について規定。

JISK0155 規格全文情報

規格番号
JIS K0155 
規格名称
表面化学分析―二次イオン質量分析法―単一イオン計数飛行時間形質量分析器における強度軸の線形性
規格名称英語訳
Surface chemical analysis -- Secondary ion mass spectrometry -- Linearity of intensity scale in single ion counting time-flight mass analysers
制定年月日
2018年9月20日
最新改正日
2018年9月20日
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対応国際規格

ISO

ISO 17862:2013(MOD)
国際規格分類

ICS

71.040.40
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
化学分析 2021
改訂:履歴
2018-09-20 制定
ページ
JIS K 0155:2018 PDF [30]
                                                                                   K 0155 : 2018

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1 適用範囲・・・・[2]
  •  2 記号及び略語・・・・[2]
  •  2.1 略語・・・・[3]
  •  2.2 記号・・・・[3]
  •  3 方法の概要・・・・[4]
  •  4 強度の線形性を評価するための手順・・・・[6]
  •  4.1 標準試料の入手・・・・[6]
  •  4.2 試料の取付け準備・・・・[6]
  •  4.3 試料の取付け・・・・[6]
  •  4.4 装置操作・・・・[6]
  •  4.5 データの取得・・・・[9]
  •  4.6 線形性の確認・・・・[12]
  •  5 測定を繰り返す間隔・・・・[18]
  •  附属書A(規定)ラスターサイズ,イオンビーム電流値,分析するフレーム数及びカウント数の計算・・・・[19]
  •  附属書B(参考)帯電中和の設定・・・・[21]
  •  附属書C(参考)イオン検出器の設定・・・・[23]
  •  附属書D(参考)直線性に影響を及ぼす装置因子・・・・[25]
  •  参考文献・・・・[27]
  •  附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表・・・・[28]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS K 0155 pdf 1] ―――――

K 0155 : 2018

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,表面化学分析技術国際標準化委員会(JSCA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS K 0155 pdf 2] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 0155 : 2018

表面化学分析−二次イオン質量分析法−単一イオン計数飛行時間形質量分析器における強度軸の線形性

Surface chemical analysis-Secondary ion mass spectrometry- Linearity of intensity scale in single ion counting time-flight mass analysers

序文

  この規格は,2013年に第1版として発行されたISO 17862を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
二次イオン質量分析法(SIMS)を用いた材料の定量分析では,スペクトル強度を測定する。装置の強度
軸には非線形性が存在するため,この非線形性を補正しない限り,表面分析及び深さ方向分析によって求
められた物質の相対量は,強度軸の非線形に由来する誤差を伴う。一般的には,極低計数率,又はより正
確には,パルス当たりのカウントが低い場合には,強度軸は線形であるが,計数率が高くなるのに伴って
非線形性が増加する。強度の測定は,測定対象である強度に比例するように強度信号を出力する測定シス
テムに依存する。計数システムでは,この比例係数は1であることが求められる。この比例係数が信号強
度又は計数率によって変化する場合,計測システムは非線形であるという。1 %未満の非線形性が重要で
あると考えられることはあまりない。低計数率が最大許容計数率の5 %を超える程度においてさえ,強度
軸の非線形性が1 %を超えることもある[1]。多くの装置において検出システムが正しく設定されていれば,
非線形性の振る舞いが月ごとに大きく変わることはない。このような装置では適切な関係式を用いて計数
率を補正でき,補正された強度が線形性を示す最大の計数率を大幅に拡張することができる。この強度軸
に対する補正は,装置のデータ取得又はデータ処理に用いるコンピュータに既に導入されている場合もあ
れば,そうでない場合もある。この規格では,時間デジタル変換器へ接続されたマイクロチャンネルプレ
ート(MCP),又はシンチレータと光電子増倍管とで構成される検出器で二次イオンを検出するシステム
において起きる強度の数え落としに対する簡易な線形性の試験方法について規定している。この試験方法
が適切な装置に対して妥当である場合は,補正することで線形性をもつ強度軸の範囲を最大で50倍以上に
まで拡張できる。装置の中には,非線形性を予測できない,又は単純な関係で記載できないものがある。
このような装置に関しては,この規格を適用することで,測定時の非線形性の程度,及び線形性から外れ
る設定許容限界に達する最大計数率を求めることができる。場合によっては,装置の設定を調整すること
で状態が改善され,必要な補正を適用できることがある。ユーザーは,線形性からのかい(乖)離量の管
理基準を,補正を適用する分析に対して適切となるよう設定する。

――――― [JIS K 0155 pdf 3] ―――――

2
K 0155 : 2018
TOF-SIMS装置における非線形性の原因は多いが,最も顕著なものは検出システムの有効不感時間によ
る強度の飽和である。これは,実際に検出器に到達する二次イオン数に関わらず,不感時間τの間に検出
できる二次イオン数が一次イオンパルス当たり一つであることに由来する。非線形性は,スペクトルに含
まれる不要なバックグラウンドによっても大きくなる。
この規格では,比較的理想系に近い場合に対する不感時間由来の非線形性の補正法について規定してお
り,全ての場合に適用できるわけではない。しかしながら,ダイナミックレンジ又は稼働率を著しく向上
できることは非常に重要である。最適な装置の状態を実現するように装置を最適化するとともに,例えば,
検出効率の低下,又は単一イオン検出ができないような検出器の不良である単純な装置の故障診断方法も
提案している。また,分析者が設定した制限内で,カウント数の測定値を補正するための不感時間に対す
るポアソン分布を仮定した補正法についても規定する。この手法では,補正を行う前後いずれかのパルス
当たりの計測カウントcMの上限値を決める。この上限値は,強度が時間変化せず空間分布も一定であり,
TOFスペクトルにおいて不感時間内にピークが一つしか存在せず,バックグラウンド強度が無視できるピ
ークに対して,一般に適用できる。この点に関する検証及び説明については参考文献[1]において詳細に示
されている。この規格では,ピーク強度を求めるためにピーク中央から±不感時間という広い範囲で積分
を行い,理想的な系を仮定して式(1)を基本とする補正を行い線形性が保証されるcMの上限値を求める。
現実の系ではこのような広い範囲の積分が実用的でない場合もあり,そのよう場合のcMは理想的な系に比
べて低くなる。このような場合には,不感時間に対するより高度な補正手順を考えることが望ましく,そ
の場合,新たに考えられた手順の有効性をこの規格で採用した方法論を用いて検証できる。
この規格は,新しい質量分析器の特性を把握して適切な強度範囲で使用するために用いることが望まし
い。また,この規格に規定された手順は,検出系の回路に大きな改良が加えられたとき,MCPの交換後又
はおよそ6か月ごとに繰り返すことが望ましい。

1 適用範囲

  この規格は,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に対するスペクトルから求めた同位体比を用いた試
験によって,単一イオン計数飛行時間形質量分析器における強度軸の線形性からのずれを許容限界内に抑
えるために最大計数率を決定する方法について規定する。また,時間デジタル変換器(TDC)に接続され
たマイクロチャンネルプレート(MCP),又はシンチレータ若しくは光電子増倍管で構成される検出系に
おいて,二次イオンが不感時間内に検出器へ到達することで起きる強度の数え落としに起因する強度軸の
非線形性の補正方法について規定する。この補正によって95 %の線形性が保たれる強度範囲が50倍以上
に拡張できる可能性がある。補正によって線形性の拡張を確認した質量分析器は,更に高い最大計数率ま
で用いることができる。また,この規格は,不感時間に対する補正が既に行われている装置に対して,計
数率を更に高く設定できるかどうか検証する場合にも用いることができる。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 17862:2013,Surface chemical analysis−Secondary ion mass spectrometry−Linearity of intensity
scale in single ion counting time-of-flight mass analysers(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。

2 記号及び略語

  この規格で用いる主な記号及び略号は,次による。

――――― [JIS K 0155 pdf 4] ―――――

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K 0155 : 2018

2.1 略語

  MCP     マイクロチャンネルプレート
PTFE ポリテトラフルオロエチレン
SIMS 二次イオン質量分析法
TDC 時間デジタル変換器
TOF 飛行時間

2.2 記号

  cM      パルス当たりの計測カウント値
cP パルス当たりの補正されたカウント値
FM FM(i,j)の略語
FM(i,j) 表1に示すi番目の12CxFy+と13C12Cx−1Fy+二次イオンとの測定強度比
FP FP(i,j)の略語
FP(i,j) 表1に示す補正されたi番目の12CxFy+と13C12Cx−1Fy+二次イオンとの測定強度の比
i 表1に示す同位体イオン対のインデックス番号
imax 飽和した測定での最も高い一次イオン電流値
IM 指定したSIMSピークの二次イオンの積算測定強度
IM(x) SIMSフラグメントxの二次イオンの積算測定強度
IP 指定したSIMSピークの補正された二次イオンの積算測定強度
IP(x) SIMSフラグメントxの補正された二次イオン積算強度
j 測定したスペクトルのインデックス番号
k 異なる一次イオン電流設定のためのインデックス番号
LP LP(i,j)の略語
LP(i,j) α(i)とβ(i)との積に対するFP(i,j)の比
LM LM(i,j)の略語
LM(i,j) α(i)とβ(i)との積に対するFM(i,j)の比
T
LM 1パルス当たりの測定強度と補正強度との理論的比
n 各SIMSの二次イオン強度を測定するために使用するラスターフレーム数
N 各SIMSスペクトルを測定するために用いる一次パルスの総数
R 各SIMSの二次イオン強度を測定するために用いるラスターの一辺の長さ(正方形を想定)
VE リフレクトロン形質量分析器に取り込むエネルギー(eV)
VR 試料電位を基準とするリフレクトロン形質量分析器の反射電圧
VT 試料電位を基準としたリフレクトロン形質量分析器の反射電圧で二次イオン強度が最大強度の
半分になるときの値
α(i) 表1に示すi番目の12CxFy+と13C12Cx−1Fy+二次イオンピークとで想定される同位体比
β(i) LMをに対して最小自乗フィッティングするときに測定ピークのα(i)を補正するための係数
τ 検出システムの不感時間
x PTFE二次イオンに含まれる13C又は12C原子の数
y PTFE二次イオンに含まれるF原子の数

――――― [JIS K 0155 pdf 5] ―――――

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