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確認する。検出器の電子増倍管の設定が正しく調整されていることを点検する。多重検出器をもつ分光器
については,分光器製造業者が記述している必要な最適化又は点検を,この校正に先立って確実に行う。
注記 多くの分光器製造業者が,正確な運動エネルギーの参照が重要である仕事を行う場合は,制御
装置及び高圧電気系統のスイッチを少なくとも4時間前には入れておくことが望ましい。
6.6 最初及びその次からの校正手順の選択
校正において分光器のエネルギー軸の精度を維持するためには,運動エネルギーの再現性,目盛の直線
性の誤差及び校正の間隔の全てを決めておく必要がある。これらの中で決まっていないものがある場合に
は,6.7による。この規格の使用の前に分光器の適切な設定が全て決まっていて,分光器の改造・重要な修
理・移動を行っていない場合には,図1によって直接6.11に進む。
注記 運動エネルギーの再現性の,“再現性”に対応する対応国際規格での表記は繰返し性
(repeatability)であるが,内容から判断して再現性(reproducibility)と修正した。
6.7 ピークの運動エネルギーに関する繰返し性の標準偏差及び直線性の測定
6.7.1 ピークの運動エネルギーの繰返し性の標準偏差σRは,6.7.46.7.6によって,Cu M2, 3VV,Cu L3VV
及びAu M5N6, 7N6, 7又はAl KL2, 3L2, 3のピークを使って求める。通常この作業は,ある分光器条件で最初に
エネルギーの校正を行う場合に実施する。σRの値は,その既定の分光器条件が選択されたときにだけ有効
な値であり,分析の際の試料の位置決め作業にも強く依存する。常に同じ実験条件を再現するためには,
分光器製造業者が推奨する手順を参考にして決められた手順書によって,試料の位置決め作業を行わなけ
ればならない。6.4に規定するエネルギー軸の校正を必要とするような分光器の設定条件ごとに,この手順
は決められていなければならない。分光器を改造した場合には,上記の作業をやり直す。
試料の位置決め作業は,分光器のデザイン,試料の種類又は形状,及び分析の内容に依存する。多くの
場合,スペクトルの最大強度が得られる位置を試料の最適位置とみなしている。その最適化作業は複数個
の相互に関連するパラメータを含んでいるため,一貫した最適化の方針が必要となる。分光器をΔE/E一
定モードで使用する場合,ピークのエネルギー値は試料の位置に依存する。特に,低運動エネルギーのピ
ークよりも,高運動エネルギーのピークに対して,その傾向が顕著である。試料の位置決め作業を洗練し
たものにし,繰返し性の標準偏差を小さくするには,6.7の作業を数回行うことが望ましい。
注記 多くの分光器で,試料の法線方向が入射電子線の方向と一致するように試料を傾斜させること
によって,ピークのエネルギー値が試料の位置に依存する傾向を低減することができる。
6.7.2 Cu L3VVオージェ電子のピークを使って,エネルギー軸の直線性を調べる(6.7.4参照)。そのとき,
繰返し性の確認も同時に行えば,手間を省ける上に測定の不確かさも減らすことができる。
6.7.3 データの取得は,Cu M2, 3VV,Cu L3VV,Au M5N6, 7N6, 7又はAl KL2, 3L2, 3の順番(6.7.46.7.6を参
照)で7回以上繰り返して行う。
これらの三種類のピークの詳細については,図3を参照する。
6.7.4 銅の試料で,試料法線方向に対して0°56°の範囲の角度に放出された電子を検出するように試
料の傾斜角を設定する。手順書によって試料の位置決めを行い,ピークの1チャンネル当たりの信号強度
が106カウントを超えるように,入射電子線の強度と1チャンネル当たりの計測時間とを適切に設定し,
6.4に規定した設定条件でCuのM2, 3VV及びL3VVピークを測定する。エネルギー掃引のステップは,ピ
ークの運動エネルギーを決める方法に依存するが,一般に0.1 eV以下に設定する。エネルギー掃引幅は,
M2, 3VVピークについては,低エネルギー側のピークよりも少なくとも2 eV低いエネルギー値から,高エ
ネルギー側のピークよりも2 eV高いエネルギー値までとする。L3VVでのエネルギー掃引幅については,
ピークよりも2 eV低いエネルギー値から2 eV高いエネルギー値までとする。図2及び図3によって,ピ
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ーク位置が正しいことを確認する。
多くの分光器では,エネルギー掃引の速度を幅広く調整できるが,高速のエネルギー掃引を行うとピー
クの運動エネルギーがシフトすることがある。したがって,実際に使っている掃引速度では,ピークシフ
トを起こしていないことを確認しておく必要がある。
注記 エネルギーの校正に使うピークの運動エネルギーの参照値が,検出角度によって変わる場合が
ある。この規格では,試料法線方向に対して0°56°の範囲の角度で測定されたピークの運
動エネルギーの参照値だけが有効としている。エネルギーの校正の手順としては,この角度制
限を最初から設けている。この範囲を超える角度で測定した場合には,ピークシフトがエネル
ギーの校正に大きな誤差をもたらすことになる。
6.7.5 銅の試料を分析する位置から移動し,金又はアルミニウムの試料に交換し,既定の試料の位置決め
手順によって同じ放出角度になるようにセットする。金の試料に交換した場合には,銅の試料の場合と同
じ分光器の設定条件を保ちながら,1チャンネル当たり107カウント以上の信号強度を得るだけの十分な測
定時間をかけてAu M5N6, 7N6, 7のピークを記録する。
なお,アルミニウムの試料に交換した場合には,1チャンネル当たり106カウント以上の信号強度を得る
だけの十分な測定時間をかけてAl KL2, 3L2, 3ピークを記録する。ピーク位置から低エネルギー側に少なく
とも2 eV,高エネルギー側に2 eVの範囲でエネルギー掃引する。図2及び図3に従って,ピーク位置が
正しいことを確認する。
6.7.4の分光器の設定条件,すなわち,パスエネルギー,減速比,絞りサイズ,レンズ条件,電子増倍管
の設定,エネルギーステップ及びエネルギー掃引速度をそろえる。通常,エネルギー掃引の開始エネルギ
ー及び終了エネルギー並びにデータ取得時間は,変える必要がある。
6.7.6 三つのピークのそれぞれについて七つの独立したデータを得るために,決められた手順に従って
6.7.4及び6.7.5の作業を7回以上繰り返す。このとき,6.8.1 a)によってピークの運動エネルギーを決める
ために広いエネルギー範囲を指定する必要がある場合を除いては,時間を節約するためにエネルギー掃引
幅を減らすことがある。
)
)
S
S
CP
CP
6
6
0
0
強度(1
強度(1
運動エネルギー(eV) 運動エネルギー(eV)
a) u M2,3VV b) u L3VV
図3−オージェ電子ピークの参照スペクトル
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) K 0166 : 2011
)
S
S
CP
CP
7
6
0
0
強度(1
強度(1
運動エネルギー(eV)
運動エネルギー(eV)
c) u M5N6,7 N6,7 d) l KL2,3L2,3
a 参照スペクトル
b 最大ピークに近い領域をエネルギー軸方向に拡大表示したもの。それぞれのピークの横に書かれた数値は
拡大率を示している。
図3−オージェ電子ピークの参照スペクトル(続き)
6.8 ピークの運動エネルギーの繰返し性の標準偏差の計算
6.8.1 Cu M2, 3VVのピークは次のa)に規定する方法で,その他のピークはa)又はb)に規定する方法でピ
ークエネルギーの測定値を決定する。
a) u M2, 3VV及びAu M5N6, 7N6, 7又はAl KL2, 3L2, 3のピークなどに対応する第一の方法では,バックグラ
ウンドから最大ピーク高さの80 %かそれを少し超える程度の強度の位置に,ピークを横断するように
水平な弦を引き,その中点を決める。そして,3本以上の数の弦を80 %100 %強度の中間にほぼ等
間隔で線を引く。図4のd)及びf)に示すように,それぞれの弦の中点をピーク付近の測定データをな
るべく通るように引かれた直線との交点がピークエネルギーとなる。これをグラフから読み取るか,
又は4点以上の中点による最適化手法で計算して求める。
図4のc)及びe)に示すCu M2, 3VVのピークでは,ピークとピークとに接線を引く。次にピークと谷
とのほぼ50 %の強度の位置でピークトップの接線と平行に線を引く。そして,その間を3本以上の数
の平行な翼弦をほぼ等間隔で引く。次に,図4のc)及びe)に示すようにスペクトルAとスペクトルB
との翼弦が交差してできるそれぞれの弦の中点を探す。i番目のスペクトルのこれらの中点Ai及び中
点Biは,それぞれが,ほぼ,61.3 eV及び63.4 eVにある。次に,それぞれの接線のAiとBiとの中点
をMiとする。全てのMiのエネルギーをグラフから読み取り,一番上の接線に投影するか,コンピュ
ーターを用いて,四つ以上のMiを最適化フィッティングする。この値が,Cu M2, 3VVピークの参照値
に対応する測定されたエネルギーとなる。
三次又は二次のサビツキー・ゴーレイ法(Savitzky and Golay smoothing)[5] で平滑化したデータを用
いれば,この方法の精度はよくなる。このときのデータ間隔は,バックグランドからのピーク最大強
度の半分の位置での半値幅(FWHM)の1/2に等しいか又はそれより狭い範囲において処理を行う。
図4のe)及びf)では,それぞれ9点及び7点の平滑化処理を行っている。Cu M2, 3VVの二重項のピー
クの幅は,それぞれ2.0 eVとしている。サビツキー・ゴーレイ法による平滑化処理を行う場合に扱う
データ点数の最大値は,分光器のそれぞれの相対分解能ごとに附属書Aに規定している。
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b) u M2, 3VV及びAu M5N6, 7N6, 7又はAl KL2, 3L2, 3のピークなどに対応する第二の方法では,ピークトッ
プ周辺のデータを放物線の最小二乗法でカーブフィットして求める。選択したデータポイントは最大
強度の両側におよそ同じ点数を取り,バックグラウンドから測ったピーク強度の80 %85 %の領域で
カーブフィットを行う。用いているシステムに最小二乗法によるカーブフィットのソフトウェアがな
ければ,附属書Bに規定する簡易的な最小二乗法の計算手法を用いるとよい。
注記 附属書Bに規定する手順のエネルギー間隔は,0.1 eVである。
6.8.2 三つのピークそれぞれについて,7回繰り返して測定した運動エネルギーを表にする。
6.8.3 それぞれのピークnについて7回繰り返して測定した運動エネルギーEmeas, niの組から,平均の運動
エネルギーEmeas, niを計算する。n番目のピークについて七つの測定値Emeas, niの繰返し性の標準偏差σRnは,
6.7を考慮して,式(1)によって求める。
2
7
Emeas,n ) 2
(Emeas,ni
Rn (1)
i1 6
金を使う場合には,nが1,2及び4,アルミニウムを使う場合には,nが1,2及び3のピークで上記と
同様の方法で標準偏差を計算する。
全体の標準偏差σRは,σR1,σR2及びσR4,又はσR1,σR2及びσR3のいずれか最も大きいものが採用される。
注記 利用者仕様の表1にσRを記録しておくのがよい。
6.8.4 ピークエネルギーの系統的な時間変化を,測定順に結果を並べ比較してよく調べる。このような系
統的な変化は,予熱が不十分か,実験室の温度が変化したか又は他のドリフトの原因を示してくれること
もある。このようなことが起こった場合は,適切な処置(例えば,予熱時間を増やす。)をし,6.7を繰り
返す。
6.8.5 十分なカウントをもったピークの繰返し性の標準偏差は,分光器が良好な動作状態であれば,0.05
eV以下である。σR1,σR2及びσR4,又はσR1,σR2及びσR3のうち一つでもこの値を超えるときは,分光器の
電圧の安定性又は接地の適切さ,試料の分析位置の調整方法などを点検する。もし,σR>δ/4であれば,分
析者が設定した許容限界値δを大きな値にするか,σRを減少させるような方法を見つける必要がある。
注記1 図3に示されているように銅及びアルミニウムの強度が106カウント,金の強度が107カウン
トの場合,計数の統計学上のσRは,附属書Bに基づいてデータを最小二乗法でフィッティン
グする方法を用いると0.025 eV以下の標準不確かさになる。
注記2 実験室間を比較した報告[6] では,異なる試料を測定した後,毎回銅試料を付け替えたときの
平均の値は,高分解能の分光器によってグラフに記録されたデータを読み取ってσR2=0.06 eV
であった。
――――― [JIS K 0166 pdf 14] ―――――
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)
)
S
S
CP
CP
6
6
0
0
強度(1
強度(1
運動エネルギー(eV) 運動エネルギー(eV)
a) u M2,3VV b) u L3VV
)
)
S
S
CP
CP
6
6
0
0
強度(1
強度(1
運動エネルギー(eV) 運動エネルギー(eV)
c) 平滑化処理なし d) 平滑化処理なし
)
)
S
S
CP
CP
6
6
0
0
1
強度(1
強度(
運動エネルギー(eV) 運動エネルギー(eV)
e) 平滑化処理 f) 平滑化処理
a)はCu M2, 3VVスペクトル,b)はCu L3VVスペクトル,c)及びd)は平滑化処理をしていない拡大図,e)及びf)はサ
ビツキー・ゴーレイ法[5] で,それぞれ9点平滑化処理,7点平滑化処理を行ったものの拡大図を示す。下段の四つの
グラフは,翼弦を2分する方法でピークの運動エネルギーを求める手順を示している。
図4−Cu M2, 3VVスペクトル及びCu L3VVスペクトル
(5 keVの電子線,相対分解能0.1 %,エネルギーステップ0.1 eV)
――――― [JIS K 0166 pdf 15] ―――――
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JIS K 0166:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 17974:2002(MOD)
JIS K 0166:2011の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 0166:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0147:2004
- 表面化学分析―用語