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K 0400-80-10 : 2000
− 抽出物の上澄み液をろ紙(5.4)でろ過し,清浄な抽出容器(5.6)に入れる。ただし,新しい溶媒ですすい
ではならない(備考2.参照)。
− 又は抽出容器を,清澄な上澄み液が得られるのに十分な時間,遠心分離してもよい。
− 吸光度の測定には清澄な抽出物又は上澄み液を用いる。
備考2. この手順を用いた場合,抽出剤の初めの体積Veは正確に分かっており,栓はしっかりと閉ま
っていて,抽出時の蒸発によって減少することはないので,単に抽出物の体積のごく一部を
とれば十分である。さらに,ろ紙(7.1参照)の残留水分は,抽出物の体積の5%よりはるか
に少ないもので無視できる。
7.4 吸光度測定
7.4.1
− 清浄な抽出液の一部をピペットを用いて吸収セルにとる。酸性化用に十分な量を残しておく(7.4.2参
照)。
− エタノール(4.2)を満たしたセルを対照として,665nm及び750nmの吸光度(それぞれA665及びA750)
を測定する。
備考 665nmの吸光度は0.010.8にあることが望ましい。このためには,ろ過した水の体積,抽出液
の体積,希釈,光路長などを適切に選ぶとよい。まず,最初に試料500ml,ろ紙直径50mm,
エタノール20ml及び吸収セル5cmを用いる。
7.4.2 抽出物の一部(通常,510ml)を,その体積10ml当たり塩酸(4.1)0.01mlで,酸性にする。振り混
ぜて530分間後,665nm及び750nmの吸光度を再び測定する。
8. 計算及び試験結果の表現
8.1 クロロフィルaの濃度 最一 次の式によって算出する。
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A Aa R 10 Ve
c (1)
Kc R 1 Vs d
ここに,
A=A665−A750 酸性化前の抽出物の吸光度(7.4.1参照)
Aa=A665−A750 酸性化後の抽出物の吸光度
Ve 抽出物の体積,ml
Vs ろ過した試料の体積,L
Kc=82L/ 柿攀
クロロフィルaに対する比吸収係数(the specific
operational spectral absorption coefficient) (数値は
[2] による)
R=1.7 酸性化でフェオフィチンになった純クロロフィルa
溶液に対するA/Aa比(7.4.2参照)(数値は [2] によ
る)
d 吸収セルの光路長,cm
103 Veに合わせるための係数
8.2 フェオ色素の濃度 最一 次の式によって算出する。
3
R 10 Ve
p Aa c (2)
Kc Vs d
8.3 エタノール90vol%中のクロロフィルaの比吸収係数を82,純クロロフィルaの最大酸比 (R) を1.7
とすると,水試料中のクロロフィルaの濃度 次のように簡単になる。
――――― [JIS K 0400-80-10 pdf 6] ―――――
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K 0400-80-10 : 2000
Ve
c A Aa 296. (3)
Vs d
− フェオ色素の濃度については,式(2)が式(4)のように簡単になる。
Ve
p Aa 208. (4)
Vs d
備考1. フェオ色素の計算値は,クロロフィルaの濃度に比べて信頼性に欠ける。室間試験の結果,ク
ロロフィルaの定量の室間変動は511%,フェオ色素のそれは646%であった。
2. A/Aa比は,試料中に分解産物でない (undegraded) クロロフィルaだけが存在するときは1.7,
試料中にクロロフィルaの分解産物だけが存在するときは1である。
エタノール(4.2)中のクロロフィルaに対する比吸収係数 (82) は, [5] に推薦する665nm
における比吸収係数による。そこに示されている数値 (84) は,クロロフィルb及びクロロ
フィルcの存在を見込んだものである。クロロフィルaのアセトン溶液の吸光度は,665nm
で同じ濃度のエタノール溶液のそれより23%高い [2] [4]。
8.4 試験結果を 最一 又はmg/m3)で記録し,有効数字は最大2けた又は小数点以下1位とする。例え
ば
クロロフィルaの濃度 5.5 最一
フェオ色素の濃度 <0.1 最一
9. 精度
1983年に実施された室間試験では表1の結果 [6] が得られた。
表1 精度データ(1)
試料 l n na x VCr 刀 VCR
% 最一 最一 % 最一 %
A 18 71 0 126.5 5.46 4.3 6.36 5.0
B 18 70 2.8 20.3 3.67 18.1 2.90 11.3
C 17 67 5.6 24.6 2.21 9.0 2.8 11.4
l : 試験室数 : 繰返し性の標準偏差
n : 数値の数 VCr : 繰返し性の変動係数
na : 外れ値の百分率 刀 : 再現性の標準偏差
x
: 全平均 VCR : 再現性の変動係数
注(1) 一般的には,繰返し性の変動係数の方が再現性の変動係数より
も小さいが,ISOの原文のまま掲載した。
10. 試験報告
報告書には,次の事項を含めなければならない。
a) この規格の引用
b) 水試料の確認
c) 8.に従った試験結果の表現
d) もしあれば,試料の前処理
e) この規格に規定されていないこと及び結果に影響を及ぼす可能性があるすべての状況
――――― [JIS K 0400-80-10 pdf 7] ―――――
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K 0400-80-10 : 2000
附属書A(参考) 底生植物濃度の定量
序文
この附属書は,この規格の参考として記述したものであり,規定の一部ではない。
A1. 底生植物の定量 植物プランクトンのサンプリングは,JIS K 0410-3-1及びJIS K 0410-3-2に従って
行う。
底生植物(付着藻類)のサンプリングは,集落を作っている基盤によって異なる。石その他水面下の物
体の一定の表面積をナイフ又はかみそりの刃で削るとよい。砂利及び小石は,直接溶媒中に採取する。ガ
ラススライドなどの水にさらされた人工の基盤を使用すると,容易に定量的サンプリングができる。集落
を生じたガラススライド又は取り外した藻類はサンプリング現場から水と一緒に輸送する。懸濁している
底生藻類又は既知質量の沈積物は,以降,この規格の方法に従って,植物プランクトンと同様に取り扱う。
A2. 抽出試薬 1966年に藻類の抽出に対してUNESCO-SCORに推薦されて以来,アセトンが広く用いら
れてきた。しかし,アセトンの抽出効率が,ある場合には劣ることが明らかになったので,アルコールを
用いた。熱エタノールとメタノールは同程度に効果的であり,冷アセトンよりはかなり効果的である [4]。
しかし,フェオ色素の妨害を補正するためにクロロフィル抽出物を酸性化する場合には,メタノールの使
用には問題がある。吸収極大が短波長側に移るので,例えば,酸濃度,溶媒及びろ紙の水含有量,酸性化
と測定間の時間などによって,最大酸比がかなり変動することになる。
これらの問題は手順上の追加措置,例えば,有機塩基(ジメチルアニリン又はジフェニルアニリン)に
よる中和を行うことによって解決される。加えて,メタノールは有毒である。これらの理由によって,淡
水又は海水試料中のクロロフィルaの定量には,基準の抽出剤としてエタノールの使用を勧める。
――――― [JIS K 0400-80-10 pdf 8] ―――――
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K 0400-80-10 : 2000
附属書B(参考) 文献
序文
この附属書は,この規格で参考とした文献を記述したものであり,規定の一部ではない。
[1] TOLSTOY, A and TOTH, I., Bacteriochlorophyll-d and its interference on determination of chlorophyll a, Arch.
Hydrobiol. 89 (1980), pp.160-170.
[2] NUSCH, E. A. , Comparison on different methods for chlorophyll and phaeopigment determination, Arch.
Hydrobiol. Beih. Ergebn. Limnol. 14 (1980) p.14-36
[3] LORENZEN, C. J., Determination of chlorophyll and phaeopigments; spectrophotometric equations, Limnol.
Oceanogr. 12 (1967) p.343-346.
[4] MARMER, A. F. H., NUSCH, E. A. , RAI, H and RIEMANN, B., The measurement of photosynthetic pigments
in freshwaters and standardization of methods : Conclusions and recommendations.
Arch. Hydrobiol. Beih. Ergebn. Limnol. 14 (1980) p.91-106.
[5] VOLLENWEIDER. R. A. , A mannual on methods of measuring primary production in aquatic environments,
IBP Handbook No.12, 2nd. ed.(1971) lackwell Science Publ. Oxford, Edinburgh.
[6] NUSCH, E. A. , Results from an interlaboratory ring test concerning the determination of chlorophyll a, Z.
Wasser Abw. Forsch. 17 (1984) p.189-194.
――――― [JIS K 0400-80-10 pdf 9] ―――――
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K 0400-80-10 : 2000
附属書1(参考)
序文
この附属書は,この規格の参考として記述したものであり,規定の一部ではない。
抽出溶媒 この規格では,抽出溶媒として従来広く用いられていたアセトンに代わってエタノールを用い
ており,その理由については,附属書AのA2に記述されている。しかし,我が国では,一級水系の河川,
湖沼などについての調査方法などでは,アセトンが用いられている。このほか,メタノールも用いられて
いる。
建設省河川局監修[河川水質試験方法(案)試験方法編(1997年版)]
――――― [JIS K 0400-80-10 pdf 10] ―――――
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JIS K 0400-80-10:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10260:1992(MOD)
JIS K 0400-80-10:2000の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.060 : 水質 > 13.060.50 : 水に含まれる化学物質の検査
JIS K 0400-80-10:2000の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0410-3-1:2000
- 水質―サンプリング―第1部:サンプリング計画策定の指針
- JISK0410-3-2:2000
- 水質―サンプリング―第2部:サンプリング技術の指針
- JISK8101:2006
- エタノール(99.5)(試薬)
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)