JIS K 0420-71-30:2000 水質―淡水魚[ゼブラフィッシュ(Brachydanio rerio Hamilton-Buchanan)(真骨類,コイ科)]に対する化学物質の急性毒性の測定―第3部:流水法 | ページ 2

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d) 塩化カリウム溶液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム (KCl) 0.23gを水に溶かして1Lとする。
− 上記四つの溶液を,それぞれ25mlずつ混ぜ合わせ,水を加えて1Lとする。
− 溶存酸素の濃度が酸素飽和値 (ASV) の少なくとも90%に達し,pH値が7.8±0.2で一定になるまで希
釈水に通気する。もし,必要があれば,水酸化ナトリウム溶液又は塩酸を加えて,溶液のpHを調節
する。こうして調製した希釈水は試験の使用前にさらに通気する必要はない。
備考 希釈には飲料水(必要なら脱塩素したもの)を使用してもよいが,良質の天然水又は標準希釈
水(3.2)(人工調製水)が望ましい。全硬度は,10250mgCaCO3/Lで,pH 6.08.5の水が望ま

しい。標準希釈水(3.2)の調製に用いるイオン交換水及び蒸留水は電気伝導率が1mS/m (10
以下とする。
3.3 試験物質の貯蔵液
− 試験物質の貯蔵液は,一定量の希釈水,イオン交換水又はガラス容器で蒸留した水に既知量の試験物
質を溶かして調製する。
− 貯蔵液は,試験物質の安全性に合わせて適切な頻度で調製する。
− 貯蔵液を調製したり,試験容器へ移しやすくするために,水に溶けにくい物質は適切な手段,超音波
装置及び魚に対する毒性の低い有機溶媒を使って溶かしたり,分散させたりしてもよい。もし,その
ような有機溶媒を使用するときには,その試験溶液での濃度は0.1ml/L又は0.1g/Lのいずれか大きい
ほうを超えてはならない。
− 有機溶媒を用いる場合,2種の対照区,すなわち,一つは試験容器で使用した最高濃度の溶媒を含む
もの,他方は溶媒及び試験物質のいずれも含まないものを用意しなければならない。
3.4 試験溶液 必要な濃度の試験溶液を調製するため,試験物質の貯蔵液の適量を希釈水に加える。貯
蔵液を蒸留水又はイオン交換水で調製する際には,貯蔵液は希釈水10Lに対して100ml以下の量を加える
のが望ましい。

4. 装置

 魚のいる液体に接触したり,魚が接触したりするすべての器具は不活性で試験物質を著しく吸
着したりしないものでなければならない。
通常の試験室用の装置及び
4.1 試験容器
− 試験容器は試験物質の性質への対応及び試験の妥当性の基準[特に7.1b)]を達成するための必要性に
応じて異なった形状となる。揮発性物質に対しては,密封系が要求される。不揮発性物質が試験され
る場合には,容器は開放形でよい。試験容器の容量は,試験期間中,水1L当たりの試験魚の比率が
1.5gを超えないものとする。
− 使用前に,試験容器を非イオン性の洗剤などでよく洗浄する(試験容器に化学物質が強く吸着してい
ることが予想される場合には,事前に酸及び溶媒で洗浄しておく。)。
4.2 温度制御装置 試験溶液及び貯蔵用水槽の水の温度を,適切な方法を用いて,23±1℃に調節する。
4.3 溶液置換装置 試験容器中の試験物質を20%以内で設定濃度に維持し,容器中の溶存酸素の濃度が
60%ASV以下にならないようにするのに十分な速度で試験容器中の試験溶液を交換するための投与及び混
合装置。
4.4 たも網 対照容器及びすべての試験容器(4.1)専用に,ナイロン(ポリアミド系樹脂)又は他の化学
的に不活性な材料で作られたたも網を準備する。

5. 試験環境

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− 溶液の準備と貯蔵,魚の飼育などすべての操作及び試験は,空気中に空中由来の汚染物質が有害濃度
にはないような施設内で行う。
− 魚の習性を変化させるような,好ましくない妨害がないように気をつける。すべての試験は,一日の
明期1216時間をもつ通常の試験室照明のもとで行う。

6. 手順

6.1 魚の状態

− 保存群に何らかの変化があった場合にはいつでも,この規格で示した方法を用いた毒性試験を,適切
な基準物質[例えば,二クロム酸カリウム (K2Cr2O7)]を用いて行う。得られた試験結果は,同じ試
験室であらかじめ得た結果とある程度一致しなければならない。
− 試験魚を事前のいかなる試験にも用いてはならない。
− 貯蔵用水槽の水の温度を23±1℃に維持する。

6.2 限度試験

− この規格に示す手順を用いて,限度試験を行ってもよい。限度試験では,試験条件下における溶解度
又は100mg/Lのいずれか低いほうの濃度で実施し,96時間LC50がこの濃度以上であることを示す。
限度試験において魚の死亡がない場合,追加試験は必要としない。
− 限度試験は,10尾の魚及びこれと同数の魚を用いた対照区で実施する。
備考1. 二項定理は,10尾の魚を用いて死亡例がない場合,96時間LC50が限度試験濃度以上である信
頼度は99.9%であることを示している。死亡例が見られた場合,完全な試験(6.3,6.4参照)
の実施を考慮したほうがよい。準致死影響が見られた場合,これを記録しておくとよい。

6.3 予備試験

6.3.1  可能なら,6.3.2で述べているような予備止水試験に代わって,同じ濃度幅,試験溶液中の魚の数,
観察を流水法で行うのが望ましい。
6.3.2
− 標準希釈水(3.2参照)少なくとも2.5L,なるべく5L,を6個の試験容器にそれぞれ加え,必要な場
合には,溶存酸素の濃度が少なくとも飽和値の90%になるまで通気する。
− 試験物質の貯蔵液(3.3参照)の適量を適切な等比濃度,例えば,1 000mg/L, 100mg/L, 10mg/L, 1mg/L
及び0.1mg/Lとなるように5個の容器に加え試験溶液を調製する。6番目の容器には何も加えず,対
照区とする。溶液は23±1℃になるように調節し,保たなければならない。試験中に強制的に通気す
る必要はない。
− 各容器に魚3尾を入れる。
− 少なくとも1日に2回,各容器の死亡個体数と溶存酸素の濃度を記録する。死亡した魚は除去する。
− 最終試験に必要な濃度範囲を設定するのにデータが不十分な場合には,濃度範囲を変更してこの予備
試験を繰り返す。

6.4 最終試験

− ほぼ等比級数,例えば,8mg/L, 4mg/L, 2mg/L, 1mg/L及び0.5mg/Lになるように,少なくとも5個の濃
度区を選択し,予備試験で魚がすべて死亡した最小濃度区及び96時間で死亡例が見られなかった最高
濃度区を含むようにする。
− プロビット法でLC50値を算定するには,設定した濃度区において少なくとも二つの連続濃度区で,0
100%の死亡率が得られるようなものでなければならない。

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− 必要なデータを得るのに,さらに狭い範囲の濃度設定がなくてはならない場合もあるし,逆に,広い
範囲の濃度設定が必要とされる場合もある。
− 少なくとも6個の試験容器(4.1)と付帯装置を用意する。1個(又は2個)の試料容器を除いて,試験
に必要な一連の濃度になっている試験物質を試験容器に注入する。残りの試験容器のうちの1個(備
考2.)に対照区として,標準希釈液だけを入れる。
− 試験物質を溶かすため又は分散させるために有機溶媒を使用した場合には,第2の対照区として,試
験溶液の中でその溶媒が最大濃度となる有機溶媒を含んだ標準希釈水の入った容器を準備する。
− 試験溶液を23±1℃に調節した後,次の手順で各容器に少なくとも魚7尾を入れる。
備考2. 試験容器1Lを用いる場合には,希釈水だけの2個の対照区と,2個の溶媒対照区を設けるとよ
い。
− 化学的に不活性な軟らかく細かい目のたも網(4.4)を用いて,保存群体から無作為に魚を選び,手早く
試験容器に移す。移す際に落としたり,取扱いを誤ったりした魚はすべて処分する。
− 試験に際しては,すべての魚を30分間以内に容器に入れるようにする。
− 少なくとも25L/dの速度で試験溶液を交換するように装置を調節する(4.3)。液の交換は連続的,間欠
的のどちらでもよい。流出液の溶存酸素の濃度が60%ASV以上であれば,交換速度は12L/dまで下げ
ることができる。
− 交換に使用する試験溶液は,試験容器に加える前まで23℃に近い温度で調製され,維持されるのが望
ましい。
− 試験期間中,少なくとも1日に1回は各容器で死亡した魚の数を記録する。
− 死亡した魚はできるだけ早く容器から取り出す。頻繁に観察すれば,例えば,各濃度における半数生
存時間を計算することができる。
− 魚のいかなる異常行動でも記録しておく。
− 可能であるなら,少なくとも試験の最初と最後に貯蔵液と試験容器から流出する溶液の試験物質濃度
を測定する。
− 少なくとも1日に1回及び試験期間の最初と最後に,貯蔵液と各試験容器から流出する溶液の溶存酸
素の濃度,pH,温度を測定する。
− データを記録するのに適当な形式を,附属書Bに示す。

7. 試験結果の表現

7.1 妥当性

 次の必要条件が満たされているならば,その結果は妥当なものと判断する。
a) 試験中試験溶液の溶存酸素の濃度は,少なくともASV(飽和酸素濃度附属書B参照)の60%であった。
b) 試験期間中,試験物質の濃度の大きな低下が認められ(又は,疑われ)ない(ただし,3.を参照)。
c) 対照区の魚の死亡率が10%又は1容器当たり1尾を超えていなかった。
d) 対照区で異常な行動をする魚の割合が10%又は1容器当たり1尾を超えていなかった。
e) 魚の保存群に対する基準化学物質[例えば,二クロム酸カリウム (K2Cr2O7) ]の24時間のLC50値が
得られる場合,同じ試験室であらかじめ得られた結果におおよそ一致していた。

7.2 LC50の算定

− LC50の評価を簡単なグラフで算定することが適切と考えられる場合は,試験物質の濃度に対する死
亡率(各試験容器の試験魚の割合として表す。)をプロットしてグラフを作成して算定する。軸に線形
目盛を使用すると,S字形の関係が図示され,このグラフから死亡率が50%となる濃度を補間するこ

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とによってLC50を求める(図1参照)。
− より的確なのは,確率及び対数目盛の軸をもつグラフ紙(対数確率紙)にデータをプロットすること
である。このようにプロットしたデータは直線関係を示し,上記と同様にLC50を補間することがで
きる(図2参照)。
− この線とLC50の95%信頼限界を求めることが必要な場合,及びこのような統計がしばしば試験結果
の表現に有効である場合は,データをグラフ的に解析することができる〈附属書C[2]〉。
− 計算機器が利用できる場合には,プロビット解析を利用することができる〈附属書C[1]〉。
− 24時間,48時間及び可能な場合,72時間,96時間のLC50を算定するのに十分なデータが利用でき
るならば,24時間,48時間,72時間及び96時間で,死亡率が100%となった最低濃度と死亡率が0%
となった最高濃度を記録する。これらの濃度はおそらくLC50が存在する範囲を示すであろう。
図1 LC50のグラフからの補間(線形目盛)
図2 LC50のグラフからの補間(対数確率目盛)

8. 試験報告

 報告書は,次の事項を含んでいなければならない。
a) この規格の引用

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b) 試験物質についての化学的同一性とその他利用できるすべての情報[例えば,溶解度,揮発性,オク
タノール/水分配係数,分解速度]
c) 希釈水,貯蔵液,試験溶液の調製方法
d) 試験魚の詳細なじゅん化条件及び1L当たりの魚の質量などを含む,この規格のどこにも示されなか
った試験に関するすべての化学的,生物学的,物理学的データ
e) 試験の妥当性を評価したときに考慮したデータ
1) 溶存酸素濃度
2) 対照区の魚でみられた死亡率
3) 異常行動がみられた対照区の魚の割合
4) 基準物質のLC50値
f) 試験した設定濃度(可能ならば,分析値),試験開始後24時間,48時間,72時間及び96時間経過後
の各時点での死亡率に関する表にする
g) 可能ならば24時間,48時間,72時間及び96時間での試験物質のLC50値と信頼限界;計算方法及び
実施した化学分析方法に関する引用文献も記するのがよい
h) 濃度−応答曲線のこう配(可能ならば,95%信頼限界)
i) 濃度−応答関係を図示したもの
j) 試験条件下での魚のすべての異常な行動と試験物質によるすべての外観的影響
k) この規格で示された手順と違ったすべての内容,その理由
付表1 試験に推奨される魚種
推奨される魚種 推奨試験温度 (℃)試験魚の推奨全長 (cm)
ヒメダカ 2025 3.0+2.0
(Oryzias latipes)
ブルーギル 2025 5.0+2.0
(Lepomis macrochirus)
ファットヘッドミノー 2025 5.0+2.0
(Pimephales promelas)
グッピー 2025 3.0±1.0
(Poecilia reticulata)
ニジマス 1317 8.0±4.0
(Oncorhvnchus mykiss)

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  • ISO 7346-3:1996(MOD)

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