JIS K 2265-2:2007 引火点の求め方―第2部:迅速平衡密閉法 | ページ 2

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予期引火点に対して,適切な引火点試験器(又は温度計)を選択する。製造業者の取扱説明書に従って
引火点試験器を調整する。試料に粘着性があり,試料カップ保護はく(箔)を用いる場合は,附属書Dを
参照する。
7.2 試験器の設置場所
試験器は,風の影響のない場所の水平で振動のない台上に設置する。
風の影響が避けられないときは,風よけで囲む。
有毒な蒸気を発生する試料を試験するときは,個別に空気の流れを調節できるドラフトチャンバの中に
試験器を置き,試験中空気が試料カップの周辺を流れることなく,蒸気を吸引できるように調節する。
7.3 試料カップ及び附属品の洗浄
適切な溶剤を用いて試料カップ,カップふた及びその附属品から,前の試験で残っているガム質のこん
(痕)跡,残さ(渣)物などを除去する。用いた溶剤を完全に除去するため,清浄な空気を吹き付けて乾
燥する。試料注入口は,ブラシなど適切な器具を用いて洗浄する。試験器の手入れ及び維持については,
製造業者の取扱説明書に従う。
7.4 試験器の検証
試験器の検証は,次による。
a) 少なくとも年1回はCRMを用いて試験を行い,試験器が正常に機能することを検証する。得られた
結果とCRMの認証値との差の絶対値は,RをこのCRM認証時の室間再現許容差とした場合に,R/2
以下でなくてはならない。
試験器の検証は,SWSを用いて定期的に行うことが望ましい。
CRM又はSWSを用いて行う試験器の検証手順及びSWSの調製手順は,附属書Cによる。
b) 検証によって得られた数値は,偏りを表すために用いてはならない。また,この後引き続きこの試験
器を用いて測定した引火点を,補正するために用いてはならない。
試験器が検証試験に合格しなかった場合は,次の項目を確認するとよい。
1) 蒸気漏れを起こさないように,ふたと試料カップが完全に密着している。
2) 可動板が光を完全に遮断している(可動板の蒸気漏れの有無を確認する。)。
3) 加熱ブロックと接触している温度計の球部及び幹部に,熱伝導性ペーストが十分充てん(填)され
ている。

8 試料の採取方法及び調製方法

8.1   試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法によるか,JIS K 5600-1-2
又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。自動サンプリングの場合は,ISO 3171によってもよい。
8.2 試料は,採取する試料に合った材料の容器に,試験を行うために必要な量をはかり,密閉する。
なお,安全確保と蒸気の損失を防ぐため,容器の容量の8595 %になるように試料を入れる。ただし,
プラスチック容器(ポリエチレン製,ポリプロピレン製など)は,試料中の揮発性物質が容器の壁面を透
過して揮散する可能性があるので避ける。
2回以上の試験を行う場合は,小分け試料の量が9.1.1の条件を適用できるように選ぶとよい。
8.3 試料は,蒸発損失及び圧力増加を極力少なくするような条件下で保存する。30 ℃を超える温度で試
料を保存することは避けなければならない。

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9 試料の取扱い

9.1   石油製品及びFAME
9.1.1 試料の小分け
試料の小分けをする場合,試料容器及び試料は,冷却槽又は冷凍庫を用いて予期引火点より少なくとも
10 ℃低い温度に冷却する。元の試料を小分けした後,長く保存してから試験を行う場合,小分け試料容器
は,その容積の少なくとも85 %以上の試料を入れる。試料のかき混ぜは,揮発成分及び軽質分の損失を最
小限にするため,試料が均一になる程度にとどめる。
注記 試料量が試料容器の容量の85 %未満になると,試験結果に影響を及ぼす可能性がある。
9.1.2 液体試料
試料を試験器に移す前に,揮発成分を極力逃がさないように注意して,ゆっくり手で振ってかき混ぜる。
高粘度試料の場合は,加熱浴又は乾燥器を用いて試験温度より10 ℃以下の温度に加熱し,ゆっくり振と
うする。
9.1.3 固体又は半固体試料
試料を9.1.2に従って加熱しても,試料注入口から試料カップに注入できない場合は,固体ディスペンサ
又はスパチュラを用いて,試料を採り,引火点試験器のふたを開け,試料カップに入れる。
9.2 塗料,ワニス及び関連物質
試料は,JIS K 5600-1-3に従って調製する。

10 試験の手順

  試験の手順は,次による。
a) 製造業者の取扱説明書に従って,試験器を測定温度に設定する。
b) AMEを測定する場合は,引火検知器を用いる。
c) 試験炎を一度試料カップにのぞかせたらその測定は終了し,繰り返して試験炎をのぞかせてはならな
い。必ず測定ごとに新しい試料を用いる。測定が終了したら案内炎及び試験炎は,ガス調節弁を用い
て消す。試料カップの温度が安全なレベルに下がってから,試料を取り除き,試験器を清浄にする。
d) 引火点近くの温度になって試験炎の周りに青白い輪が現れることがあるが,これを引火と見誤っては
ならない。
注記 引火検知器は,この青白い輪には影響されない。
e) 気圧計を用いて,試験時における試験器周辺の気圧を記録する。
f) 試料の予期引火点によって,次の1)又は2)の操作を行う。
1) 予期引火点が100 ℃以下及びFAMEの場合
1.1) 清浄で乾燥したシリンジに,予期引火点より少なくとも10 ℃低い試料を2 mL採る。揮発成分の
損失をできるだけ防ぐため,試料採取後,直ちに試料容器のふたを閉める。
1.2) 注意深くシリンジを試料注入口に差し込み,試料を試料カップに注入した後,シリンジを取り外
す。
1.3) 固体又は半固体試料の場合は,約2 mLとなるように質量で試料をはかり採り,試験器のふたを開
けて直接試料カップに移し入れる。試料は,試料カップの底部にできるだけ均等に広げる。
1.4) タイマーを1分間に設定する。ガス調節弁を開き,案内炎ノズル及び試験炎ノズルに点火する。
試験炎を4 mmの標準球の大きさに調整する。引火検知器を使用する場合は,検知器を作動させる。
1.5) 試料カップに試料を注入してから規定時間経過後,可動板を23秒間開けて試験炎を試料カップ

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にのぞかせ,引火の有無を観察する。
試験炎をのぞかせたとき,開口部で明るい炎が連続的に燃えることがある。これは試料の引火
点が設定温度よりかなり低いために起きるものである。この場合,設定温度を10 ℃下げて測定を
やり直す。
1.6) 引火した場合は,温度を5 ℃ずつ低くし,新しい試料に取り替えて1.1)1.5)の操作を引火が観察
されなくなるまで繰り返す。
1.7) 未引火の場合は,温度を5 ℃ずつ高くし,新しい試料に取り替えて1.1)1.5)の操作を引火が観察
されるまで繰り返す。
1.8) 1.6)1.7) によって5 ℃離れた引火及び未引火の温度が確認されたら,低い方から温度を1 ℃ず
つ高くし,新しい試料に取り替えて1.1)1.5)の操作を引火が観察されるまで繰り返す。引火が認
められたら,その温度を測定引火点として記録する。さらに,0.5 ℃単位で読み取る必要がある場
合は,新しい試料に取り替えて1 ℃単位で引火した温度より0.5 ℃低い温度で測定する。未引火
の場合は,1 ℃単位で引火した温度を記録する。引火した場合は,新たにその温度を測定引火点
として記録する。
2) 予期引火点が100 ℃を超える場合
2.1) 清浄で乾燥したシリンジに,試料を4 mL採る。揮発成分の損失をできるだけ防ぐため,試料採取
後直ちに試料容器のふたを閉める。
2.2) 注意深くシリンジを試料注入口に差し込み,試料を試料カップに注入した後,シリンジを取り外
す。
2.3) 固体又は半固体試料の場合は,約4 mLとなるように質量で試料をはかり採り,試験器のふたを開
けて直接試料カップに移し入れる。試料は,試料カップの底部にできるだけ均等に広げる。
2.4) タイマーを2分間に設定する。ガス調節弁を開き,案内炎ノズル及び試験炎ノズルに点火する。
試験炎を4 mmの標準球の大きさに調整する。引火検知器を使用する場合は,検知器を作動させる。
2.5) 1.5)1.8)の手順に従って試験を行い,測定引火点を記録する。

11 計算方法

11.1 気圧読取値の変換
気圧の読取値がキロパスカル(kPa)以外の場合,次の式のいずれかを用いてキロパスカルに変換する。
a) ヘクトパスカル(hPa)単位の読取値×0.1=kPa
b) ミリバール(mbar)単位の読取値×0.1=kPa
c) 水銀柱ミリメートル(mmHg)単位の読取値×0.133 3=kPa
11.2 測定引火点の標準気圧への補正
引火点は,次の式を用いて,101.3 kPaの標準気圧に補正して求める。
TC TO .025 (1013.P)
ここに, TC : 引火点(℃)
TO : 測定引火点(℃)
P : 測定引火点試験時の室内の気圧(kPa)
注記 この式が厳密に成立するのは,気圧が98.0104.7 kPaの範囲である。

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12 結果の表し方

  標準気圧に補正した引火点(℃)を,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.5又は1に丸める。
測定の温度単位を報告する(0.5 ℃又は1 ℃)。
室内の気圧を報告する。

13 精度

  この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。試験結果が許容差を外れ
た場合は,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験し
たとき,試験結果の差の許容差は,表1による。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求
めた2個の試験結果の差の許容差は,表1による。
表1−精度
単位 ℃
試料 範囲 室内併行許容差 室間再現許容差
引火点が2070 ℃の試料 0.5 0.03(X+29)
石油及び石油製品
引火点が70 ℃を超える試料 0.022 X0.9 0.083 X0.9
37.8 ℃の動粘度が5.8 mm2/s以下の試料
塗料,エナメル,ラ 1.7 3.3
37.8 ℃の動粘度が5.8 mm2/sを超える試料
ッカー,及びワニス 3.3 5.0
FAME FAME 100 %の試料 1.9 15.0
注記 Xは試験結果の平均値である。
注記 表1から求めた石油及び石油製品の精度例を,表2に示す。
表2−精度例
単位 ℃
引火点 20 70 93 150 200 260
室内併行許容差 0.5 0.5 1.3 2.0 2.6 3.3
室間再現許容差 1.5 3.0 4.9 7.5 9.8 12.4

14 試験結果の報告

  試験結果の報告には,次の事項を記述する。
a) 試料名,採取場所及び採取年月日
b) 日本工業規格(日本産業規格)番号 : JIS K 2265-2
c) 箇条12によって得られた結果
d) 特記事項

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附属書A
(規定)
迅速平衡密閉法引火点試験器

序文

  この附属書は,迅速平衡密閉法引火点試験器について規定する。
A.1 一般事項
迅速平衡密閉法引火点試験器は,次に規定するA.2A.5からなる。
A.2 試料カップ一式
試料カップ一式は,図A.1A.5に示す形状・寸法のもので,次による。
a) 加熱ブロック アルミニウム合金などの熱伝導性のよい耐腐食性の金属製ブロックで,試料を保持す
るための深さ約10 mm,直径約50 mmの円筒状のくぼみ(試料カップ),ふたと密着して気密を保つ
ための耐熱性Oリング及び温度計挿入孔を設けたもの。
試験器を組み立てたとき,温度計のまわりに,適切な熱伝導性の熱可塑剤を充てん(填)する。
注記 熱可塑剤は,放熱用シリコン化合物が適している。
b) ふた ふたは,図A.3に示す形状・寸法で,黄銅などの金属製とする。
試料カップの上面に取り付けて,丁番及びふたどめによって開閉する機構とし,閉の状態でOリン
グに密着して試料上の空間を密閉する。ふたには,3個の孔及び試料注入管を設け,次の可動板及び
試験炎のぞかせ機構を取り付ける。
注記 試験器によっては,試験炎のぞかせ機構が自動化されているものがある。
1) 可動板 可動板は,図A.4に示す形状・寸法で,黄銅などの金属製とする。
可動板ガイドに沿ってふたに密着してしゅう(摺)動し,ふたに設けた3個の孔を開閉して試験
炎をのぞかせる機構とする。開の状態としたとき,可動板の2個の孔は,対応するふたの2個の孔
と正確に合致しなければならない。また,ふたの上面と可動板との間の滑り面は,すり合わせて試
料蒸気が漏れないようにしなければならない。
2) 試験炎のぞかせ機構 試験炎のぞかせ機構は,黄銅及びステンレス鋼製とする。
試験炎の大きさを4 mm±0.5 mmに調節することができ,可動板を開としたときに,ふたの中央
の孔へ試験炎をのぞかせる構造とする。
なお,試験炎をのぞかせたとき,試験炎ノズルの先端の中心がふたの下面と±0.1 mmの範囲内で
一致しなければならない。
c) 加熱器 試料カップの底部に設けられていて,熱の伝達を効率的に行えるもの。
温度調節器は,風の影響のないところで測定した場合,試験中,次の温度範囲で試料カップの温度
を調節できるものとする。
1) 100 ℃以下の試験温度の場合 : ±0.5 ℃
2) 100 ℃を超える試験温度の場合 : ±2.0 ℃

――――― [JIS K 2265-2 pdf 10] ―――――

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