JIS K 2265-3:2007 引火点の求め方―第3部:ペンスキーマルテンス密閉法 | ページ 2

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6.4 加熱浴又は乾燥器
試料を9.1.4で規定する温度±5 ℃に調節できるもの。
必要なとき,試料を暖めるために使用する。乾燥器は,安全に配慮したものを用いる。

7 試験器の準備

7.1   試験器の設置場所
試験器は,風の影響のない場所の水平で振動のない台上に設置する。
風の影響が避けられないときは,試験器の背面と両側面とを適切な寸法の風よけで囲む。
有毒な蒸気を発生する試料を試験するときは,個別に空気の流れを調節できるドラフトチャンバの中に
試験器を置き,試験中空気が試料カップの周辺を流れることなく蒸気を吸引できるように調節する。
7.2 試料カップ及び附属品の洗浄
適切な溶剤を用いて試料カップ,カップふた及びその附属品から,前の試験で残っているガム質のこん
(痕)跡,残さ(渣)物などを除去する。用いた溶剤を完全に除去するため,清浄な空気を吹き付けて乾
燥する。試験器の手入れ及び維持については,製造業者の取扱説明書に従う。
7.3 試験器の組立
試料カップ,カップふた及び他の部品に損傷及び付着物がないことを確かめる。試験器を附属書Bの規
定に従って組み立てる。
7.4 試験器の検証
試験器の検証は,次による。
a) 少なくとも年1回はCRMを用いてA法又はB法で試験を行い,試験器が正常に機能することを検証
する。得られた結果とCRMの認証値との差の絶対値は,RをこのCRM認証時の室間再現許容差とし
た場合に,R/2以下でなくてはならない。
試験器の検証は,SWSを用いて定期的に行うことが望ましい。
CRM又はSWSを用いて行う試験器の検証手順及びSWSの調製手順は,附属書Aによる。
b) 検証によって得られた数値は,偏りを表すために用いてはならない。また,この後引き続きこの試験
器を用いて測定した引火点を,補正するために用いてはならない。

8 試料の採取方法及び調製方法

8.1   試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法によるか,JIS K
5600-1-2又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。自動サンプリングの場合は,ISO 3171によっ
てもよい。
8.2 試料は,採取する試料に合った材料の容器に,試験を行うために必要な量をはかり,密閉する。
なお,安全確保と蒸気の損失を防ぐため,容器の容量の8595 %になるように試料を入れる。ただし,
プラスチック容器(ポリエチレン製,ポリプロピレン製など)は,試料中の揮発性物質が容器の壁面を透
過して揮散する可能性があるので避ける。
2回以上の試験を行う場合は,小分け試料の量が9.1.1の条件を適用できるように選ぶとよい。
8.3 試料は,蒸発損失及び圧力増加を極力少なくするような条件下で保存する。30 ℃を超える温度で試
料を保存することは,避けなければならない。

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9 試料の取扱い

9.1   石油製品
9.1.1 試料の小分け
試料の小分けは,予期引火点より少なくとも28 ℃以上低い温度で行う。元の試料を小分けしたあと,
長く保存してから試験を行う場合,小分け試料容器は,その容量の少なくとも50 %以上を試料で満たす。
注記 試料量が試料容器の容量の50 %未満になると,試験結果に影響を及ぼす可能性がある。
9.1.2 不溶解水分を含んだ試料
不溶解水分を含んだ試料は,かき混ぜる前に小分け試料から傾しゃ(瀉)法で不溶解水分を取り除く。
引火点の試験結果は,水分の影響を受けることがある。ある種の燃料油及び潤滑油は,必ずしも傾しゃ
(瀉)法で不溶解水分を除去できるとは限らない。このような場合は,かき混ぜる前に塩化カルシウムな
どの適切な脱水剤を使用するか,定性ろ(濾)紙又は乾燥脱脂綿を通すろ(濾)過などによって物理的に
脱水する。それができない試料は,JIS K 2265-2で試験してもよい。
注記1 多量の水分を含んだ残さ(渣)燃料油を試験する場合は,加熱中に試料が泡立ったり,試料
カップから試料が吹きこぼれたりする恐れがある。
注記2 試料中にアルコールなどの水溶性可燃物質が含まれている場合に,水分の除去操作を行うと,
水分と共に水溶性可燃物質も除去されるので信頼性のある結果が得られない。
9.1.3 常温で液体の試料
常温で液体の試料は,試料を試験器に移す前に,揮発成分を極力逃がさないように注意して,ゆっくり
手で振ってかき混ぜる。
9.1.4 常温で半固体又は固体の試料
常温で半固体又は固体の試料は,試料容器に入った試料を加熱浴又は乾燥器に入れて,30 ℃±5 ℃,又
は予期引火点より28 ℃以上低い温度のいずれか高い温度で30分間予熱する。30分経過しても完全に液化
しない場合は,必要に応じて更に30分間予熱時間を延ばす。ただし,揮発成分を損失する恐れがあるため,
加熱のし過ぎは避ける。その後,ゆっくりかき混ぜる。
9.2 塗料及びワニス
試料は,JIS K 5600-1-3に従って調製する。

10 試験の手順

10.1 A法の手順
A法の手順は,次による。
a) 試料を,試料カップの標線まで満たす。この試料カップにカップふたを取り付け,それらを加熱浴に
入れる。試料カップの位置決め及びロックが適切かどうか確認した後,温度計をカップふたに挿入す
る。ガス試験炎の場合は,試験炎ノズルに点火し,炎の直径をカップふたの標準球に合わせて34 mm
に調節する。電熱式引火源の場合は,引火源のスイッチを入れる。ガス加熱器に点火するか,又は電
気ヒータのスイッチを入れて,温度計の読みが毎分56 ℃の割合で上がるように加熱を調節し,以
後試験期間中,この上昇割合を保つ。試料は,毎分90120回転で下向きにかき混ぜる。
b) 予期引火点が110 ℃以下の試料の場合は,試料温度が予期引火点の23 ℃±5 ℃低い温度に達したと
き,初めて引火源を試料カップにのぞかせ,以後1 ℃ごとにこれを繰り返す。のぞかせ動作は,かき
混ぜを中断し,カップふたについているシャッターの開閉と連動して引火源をのぞかせる機構を操作
して,引火源をカップの中の蒸気相に0.5秒以内でのぞかせ,1秒間その位置に保ってから素早く元に

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戻す。
c) 予期引火点が110 ℃を超える試料の場合は,試料温度が予期引火点の23 ℃±5 ℃低い温度に達した
とき,初めて引火源を試料カップにのぞかせ,以後2 ℃ごとにこれを繰り返す。のぞかせ動作は,か
き混ぜを中断し,カップふたについているシャッターの開閉と連動して引火源をのぞかせる機構を操
作して,引火源をカップの中の蒸気相に0.5秒以内でのぞかせ,1秒間その位置に保ってから素早く元
に戻す。
d) 予期引火点が未知の試料の場合は,適切と思われる開始温度から予備試験を開始する。開始温度から
5 ℃上昇したら最初の引火源のぞかせを行い,以後は10.1 b)又は10.1 c)のいずれかの手順に従う。
e) 引火源をのぞかせて,試料カップの内部に明らかな引火を引き起こしたときの試料温度を,測定引火
点として記録する。引火点近くの温度になって引火源の周りに青白い輪が現れることがあるが,これ
を引火と見誤ってはならない。
f) 引火点が測定された温度と,最初に引火源をのぞかせたときの温度の差が,18 ℃未満又は28 ℃を超
える場合は,その結果は無効とする。新しい試料を用い,引火源のぞかせ開始温度を変更して,のぞ
かせ開始温度から1828 ℃の温度範囲で正しい引火点が得られるまで試験をやり直す。
g) 気圧計を用いて,試験時における試験器周辺の気圧を記録する。
10.2 B法の手順
B法の手順は,次による。
a) 試料を,試料カップの標線まで満たす。この試料カップにカップふたを取り付け,それらを加熱浴に
入れる。試料カップの位置決め及びロックが適切かどうか確認した後,温度計をカップふたに挿入す
る。ガス試験炎の場合は,試験炎ノズルに点火し,炎の直径をカップふたの標準球に合わせて34 mm
に調節する。電熱式引火源の場合は,引火源のスイッチを入れる。ガス加熱器に点火するか,又は電
気ヒータのスイッチを入れて,温度計の読みが毎分1.01.5 ℃の割合で上がるように加熱を調節し,
以後試験期間中,この上昇割合を保つ。試料は,毎分250回転±10回転で下向きにかき混ぜる。
b) 以後,10.1 b) g)に従って試験を進める。

11 計算方法

11.1 気圧読取値の変換
気圧の読取値がキロパスカル(kPa)以外の場合,次の式のいずれかを用いてキロパスカルに変換する。
a) ヘクトパスカル(hPa)単位の読取値×0.1=kPa
b) ミリバール(mbar)単位の読取値×0.1=kPa
c) 水銀柱ミリメートル(mmHg)単位の読取値×0.133 3=kPa
11.2 測定引火点の標準気圧への補正
引火点は,次の数式を用いて,101.3 kPaの標準気圧に補正して求める。
TC TO .025 (1013.P)
ここに, TC : 引火点(℃)
TO : 測定引火点(℃)
P : 測定引火点試験時の室内の気圧(kPa)
注記 この式が厳密に成立するのは,気圧が98.0104.7 kPaの範囲である。

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12 結果の表し方

  標準気圧に補正した引火点(℃)を,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.5に丸める。

13 精度

  この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。試験結果が許容差を外れ
た場合は,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験し
たとき,試験結果の差の許容差は,表1及び表2による。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求
めた2個の試験結果の差の許容差は,表3及び表4による。
表1−A法の室内併行精度
単位 ℃
試料 引火点の範囲 室内併行許容差
塗料及びワニス − 1.5
留出油,未使用潤滑油,A重油及び残さ(渣)燃
40250 0.029X
料油
注記 Xは試験結果の平均値である。
表2−B法の室内併行精度
単位 ℃
試料 引火点の範囲 室内併行許容差
残さ(渣)燃料油及びカットバックアスファルト 40110 2.0
使用潤滑油 170210 5
表面に薄膜ができやすい液体,固体懸濁物質を含
− 5.0
む液体及び高粘度物質
表3−A法の室間再現精度
単位 ℃
試料 引火点の範囲 室内併行許容差
塗料及びワニス − −
留出油,未使用潤滑油,A重油及び残さ(渣)燃
40250 0.071X
料油
注記 Xは試験結果の平均値である。
表4−B法の室間再現精度
単位 ℃
試料 引火点の範囲 室内併行許容差
残さ(渣)燃料油及びカットバックアスファルト 40110 6.0
使用潤滑油 170210 16
表面に薄膜ができやすい液体,固体懸濁物質を含
− 10.0
む液体及び高粘度物質

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14 試験結果の報告

  試験結果の報告には,次の事項を記述する。
a) 試料名,採取場所及び採取年月日
b) 日本工業規格(日本産業規格)番号 : JIS K 2265-3
c) 法とB法の別
d) 箇条12によって得られた結果
e) 特記事項

――――― [JIS K 2265-3 pdf 10] ―――――

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