この規格ページの目次
JIS K 2269:1987 規格概要
この規格 K2269は、原油及び石油製品の流動点並びに石油製品の雲り点を速定する方法について規定。ただし,雲り点試験は,液層の厚さが48mmのとき不透明なもの及び雲り点が49℃以上の石油製品には適用しない。
JISK2269 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K2269
- 規格名称
- 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
- 規格名称英語訳
- Testing methods for pour point and cloud point of crude oil and petroleum products
- 制定年月日
- 1953年5月25日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 3015:1974(MOD), ISO 3016:1974(MOD)
- 国際規格分類
ICS
- 75.040, 75.080
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 石油 2020
- 改訂:履歴
- 1953-05-25 制定日, 1956-04-18 確認日, 1959-04-09 確認日, 1959-09-01 改正日, 1962-09-01 確認日, 1965-02-01 改正日, 1968-03-01 確認日, 1971-05-01 確認日, 1974-10-01 改正日, 1978-04-01 確認日, 1980-03-01 改正日, 1985-10-01 確認日, 1987-10-01 改正日, 1993-02-01 確認日, 2002-05-20 確認日, 2006-10-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS K 2269:1987 PDF [12]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 2269-1987
原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
Testing Methods for Pour Point and Cloud Point of Crude Oil and Petroleum Products
1. 適用範囲 この規格は,原油及び石油製品の流動点並びに石油製品の曇り点を測定する方法について
規定する。ただし,曇り点試験は,液層の厚さが40mmのとき不透明なもの,及び曇り点が49℃以上の石
油製品には適用しない。
備考 曇り点試験において,液層の厚さが40mmのとき半透明でパラフィンワックスの析出が見えに
くい試料は,脱色処理をするとよい。
参考 重油などれき(瀝)青物を含む試料の最低流動点試験方法を参考法として本体末尾に示す。
引用規格 :
JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計
JIS K 2205 重 油
JIS K 2839 石油類試験用ガラス器具
JIS Z 8402 分析・試験の許容差通則
対応国際規格 :
ISO 3015 Petroleum oils−Determination of cloud point
ISO 3016 Petroleum oils−Determination of pour point
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 流動点 試料を45℃に加熱した後,試料をかき混ぜないで規定の方法で冷却したとき,試料が流動す
る最低温度をいい,0℃を基点とし2.5℃の整数倍で表す。
(2) 曇り点 試料をかき混ぜないで規定の方法で冷却したとき,パラフィンワックスの析出によって試験
管底部の試料がかすみ状になるか曇り始める温度をいい,整数値で表す。
3. 流動点試験方法
3.1 試験方法の概要 試験管にとった45mlの試料を45℃に加温し,次いで規定の方法で冷却する。試
料の温度が2.5℃下がるごとに試験管を冷却浴から取り出し,試料が5秒間,全く動かなくなったときの温
度を読み取り,この値に2.5℃を加え流動点とする。
備考 自動流動点試験器を用いてもよい。ただし,本試験方法によって得られた結果との間に有意差
のないことをJIS Z 8402(分析・試験の許容差通則)によって確認してから用いる。
なお,自動試験器によって得られた試験結果に疑義が生じた場合には,本試験方法によって
――――― [JIS K 2269 pdf 1] ―――――
2
K 2269-1987
得られた結果によって判定する。
3.2 流動点試験器 流動点試験器は,次の(1)(8)からなり,その一例を図1に示す。
図1 流動点試験器(一例)
参考 流動点試験器は,曇り点試験器と兼用できる。
(1) 試験管 JIS K 2839(石油類試験用ガラス器具)に規定する図13のもの。
(2) コルク栓 図2に示す寸法のコルク栓で,中央に温度計を支える穴をあける。
図2 コルク栓
(3) 外 管 図3に示す形状・寸法の金属製(黄銅製がよい。)平底円筒形のもので水漏れのないもの。
――――― [JIS K 2269 pdf 2] ―――――
3
K 2269-1987
図3
(4) 円 板 図4に示す寸法のコルク又はフェルト製のもの。
図4 円 板
(5) ガスケット コルク,フェルト等試験管に密着して外れないだけの弾力があり,その形状を保つだけ
の硬さの材質で,内周は試験管の外側に密着し,外周は外管の内側に緩めに接する環状ガスケット。
その一例を図5に示す。
図5 ガスケット(一例)
(6) 温 度 計 JIS B 7410(石油類試験用ガラス製温度計)に規定する次のもの。
(a) 高流動点用温度計 温度計番号 9 (PP)
(b) 低流動点用温度計 温度計番号10 (PP)
(7) 冷 却 浴 外管を浴液に90mm以上浸すことができ,かつ,垂直に支持できる構造のもので,浴温を
表1の規定温度に保持できるもの。
また,予期流動点によって表1の冷却浴の種類が必要である。
――――― [JIS K 2269 pdf 3] ―――――
4
K 2269-1987
表1 予期流動点と冷却浴の温度
予期流動点 ℃ 冷却浴の規定温度及び種類
10以上 第1冷却浴 (2−1℃)
10 − 7.5 第1冷却浴,第2冷却浴 (−15−18℃)
−7.5 −25 第1冷却浴,第2冷却浴,第3冷却浴 (−31.5−34.5)
−25 −42.5 第1冷却浴,第2冷却浴,第3冷却浴,第4冷却浴 (−50−52.5℃)
−42.5 −60 第1冷却浴,第2冷却浴,第3冷却浴,第4冷却浴,第5冷却浴 (−67.5−70℃)
備考 冷却浴を規定温度に冷却するには,冷凍機・寒剤などを用いる。
参考 寒剤を用いた冷却浴の一例を次に示す。
冷却浴温度 ℃ 浴液
2 −1 氷+水
−15 −18 砕いた氷+塩化ナトリウム(砕いた氷の質量の51以上)
−31.5 −34.5 砕いた氷+塩化カルシウム(砕いた氷の質量の109以上)
−50 −70 ドライアイス+エタノール又はドライアイス+アセトン(又は石油ナフサ)
(8) 加熱浴 試験管を浴液に90mm以上浸すことができ,かつ,垂直に支持できる構造をもち,浴温を48℃
以上に昇温調節できるもの。
3.3 試験器の準備 流動点試験器の準備は,次による。
(1) 加熱浴を48℃(1)に調節する。
注(1) 予期流動点が32.5℃より高い試料の場合には,予期流動点より13℃高い温度とする。
(2) 試料の予期流動点に応じて,冷却浴を表1の温度に調節する。
(3) 温度計は,0℃の恒温槽を用いて水銀柱やトルエン柱が切れていないかどうか使用直前に確認する。
なお,このとき0℃における示度が±1℃を超える温度計は,使用してはならない。
3.4 試料の準備 流動点試験の試料の準備は,次による。
(1) 水分が懸濁している場合には,試料を共栓付三角フラスコにとり,無水硫酸ナトリウムなどの脱水剤
を加え振とう後,乾いたろ紙によるろ過,遠心分離などの適当な方法で脱水剤と試料を分離する。
(2) 試験開始前24時間以内に45℃を超えて加熱された試料又は熱経歴不明の試料は,試験開始前に24時
間以上室温で放置しなければならない。ただし,熱経歴の影響を受けないことが,あらかじめ分かっ
ている試料は,これを省略してもよい。
3.5 試験の手順 流動点試験の手順は,次による。
(1) 試料を試験管の標線(中央)の高さまで注ぐ。必要があれば,試料を試験管に流し込むのに必要な最
低限の流動性を得るまで温水浴で加温する。
(2) 高流動点用温度計を付けたコルク栓で試験管を密栓する。このとき,温度計は試験管の中央で直立し,
その毛管の下端が試料の表面から3mm下まで入るようにする。
参考 温度計の位置図
――――― [JIS K 2269 pdf 4] ―――――
5
K 2269-1987
(3) 次に,試料の予期流動点によって,次に示すいずれかの方法で予備処理を行う。
(a) 予期流動点が32.5℃より高い試料の場合 試験管を予期流動点より13℃高い温度に保持した加熱浴
に入れ,予期流動点より10℃高い温度まで加熱後,(4)に従って試験を続ける。
(b) 予期流動点が32.5−32.5℃の試料の場合 試験管を48℃に保持した加熱浴に入れ45℃とした後,
約25℃の水浴又は室温で放置し,36℃まで冷却してから(4)に従って試験を続ける。
(c) 予期流動点が−32.5℃より低い試料の場合 試験管を48℃に保持した加熱浴に入れ45℃とした後,
約25℃の水浴又は室温で放置し,36℃まで冷却する。次に,約7℃の水浴で15℃まで冷却し,低流
動点用温度計に取り換えた後,(4)に従って試験を続ける。
備考1. いずれの場合も試験管に試料を入れてからは,試料をかき混ぜてはならない。
2. 試験管を水浴で冷却した場合,試験管に付着した水をよくふき取ってから(4)の操作に移る。
(4) 円板を外管の底に入れる。試験管の底から約25mm上方に環状ガスケットを付けて,これを直ちに外
管に入れる。
備考 円板,ガスケット及び外管の内側は洗浄し,乾かしておく。
また(4)以降の操作において外管を用いずに,試験管を直接冷却浴に入れて冷却してはならな
い。
(5) 試験管を入れた外管を第1冷却浴に入れ,外管が浴液から25mm以上外へ出ないように垂直にしっか
りと保持する。
(6) 試料が指定温度(2)まで下がったら2.5℃ごとに試験管を速やかに,しかも試料を動揺させないように外
管から取り出し,静かに傾けてみて試料の表面が流動するかどうかを調べ外管に戻す。この際,試験
管を取り出してから外管に戻すまでの操作は速やかに(3秒以内を目安とする。)行う。
注(2) 予期流動点が32.5℃より高い試料は,予期流動点より10℃以上高い温度,予期流動点が32.5℃以
下の試料は,予期流動点より12.5℃以上高い温度をいう。
備考 試料が冷却されて,パラフィンワックスの結晶が析出し始めたなら試料を動揺させないよう,
また温度計を試料の中で動かさないよう細心の注意を払わなければならない。パラフィンワッ
クスの海綿状の網目が乱れると,流動点は低い値を示す。
(7) 試験管を傾けても試料が動かなくなったなら,ストップウオッチを用いて正確に5秒間,試験管を水
平に倒してよく観察する。もし,この条件で試料がわずかでも動けば,すぐ試験管を外管内に戻して
更に冷却し,2.5℃ごとにこの操作を繰り返す。
(8) 試料温度が表2に示す温度に達しても流動する場合には,試験管を表2に示す冷却俗の外管へ順次移
動する。
なお,この場合外管は,試験管と共に移動してもよい。
表2 試料温度による使用冷却浴
試料温度℃ 冷却浴の種類
10 第2冷却浴
−7.5 第3冷却浴
−25 第4冷却浴
−42.5 第5冷却裕
試料温度が冷却浴温度より10℃高い温度に達しても,試料が流動す
る場合には,試験管をその冷却浴より17℃低い冷却浴に移す。
参考 試験管を取り出したとき,表面が曇って試料の流動が見えにくい場合は,エタノールをしみ込
ませたガーゼなどで速やかにぬぐうとよい。
――――― [JIS K 2269 pdf 5] ―――――
次のページ PDF 6
JIS K 2269:1987の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3015:1974(MOD)
- ISO 3016:1974(MOD)
JIS K 2269:1987の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 2269:1987の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7410:1997
- 石油類試験用ガラス製温度計
- JISK2205:1991
- 重油
- JISK2839:1990
- 石油類試験用ガラス器具
- JISZ8402:1991
- 分析・試験の許容差通則