JIS K 5600-5-7:2014 塗料一般試験方法―第5部:塗膜の機械的性質―第7節:付着性(プルオフ法) | ページ 2

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もつ。試験円筒は,ほかで規定のない場合は,直径20 mmで,接着面は,試験中に変形することのない十
分な厚さをもつ。その長さは,その直径の半分以上であることを推奨する。接着面は,試験に用いる前に
試験円筒の長軸に垂直に加工しなければならない。
付着強度試験を片側からだけ行う場合には,直径7 mmの試験円筒を使用する[箇条9 d) 2) 参照]。直
径7 mmの試験円筒を使用する場合には,測定精度を出すために繰り返し10回の試験を実施し,試験報告
書には使用した試験円筒の直径を記録する。

5.3 芯出ジグ

  芯出ジグは,箇条9 d) 1) 及び箇条9 d) 3) の規定に従って使用する付着操作時に,試験体の正しい軸方
向の位置合わせを確保するためのもので,ジグの例を図3に示す。

5.4 切込用具

  切込用具は,試験円筒の周囲に沿って丸く,硬化した接着剤及び塗膜を通して素地まで切り込むための,
鋭いナイフなどを用いる。
塗装系の機械的性質の違いによって,硬化した接着剤と塗膜とに対し,素地まで切れ目を入れる際に塗
膜の付着強度が大きく影響を受ける場合がある。塗装膜厚が150 下の塗装系について,受渡当事者
間で協定がある場合,切込みを入れないことも認める。試験円筒周囲に切込みを入れた場合には,切込み
を入れた内容と,使用した切込具の種類を試験報告書に記録しなければならない。
単位 mm
1 : 接着工程のための試験体の例
2 : 芯出ピン
図3−直径20 mmの試験円筒に適する芯出ジグ

6 接着剤

  試験に使用する適切な接着剤の選択には,特に注意を要する。塗膜の破壊を起こすためには,接着剤の
凝集及び接着力が被試験塗膜の凝集力及び付着力よりも大きいことが必要である。使用する接着剤がこの
試験に適しているか事前に選別しなければならない。可能であれば,接着剤の混合前の構成成分を別々に
試験塗膜に塗布し,接着剤の硬化時間に相当する時間,塗膜と接触させて試験塗膜に外観変化がないこと
を確認する。
試験円筒と塗膜との間の付着力が最も高い結果となる接着剤が望ましい。

――――― [JIS K 5600-5-7 pdf 6] ―――――

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一般的にはシアノアクリレート接着剤,無溶剤二液形エポキシ接着剤,及びパーオキサイド触媒形ポリ
エステル接着剤が適している。高湿度下の引張試験は,硬化速度ができるだけ短い接着剤を選択する必要
があり,速乾の二液形エポキシ接着剤が適している。
注記 破壊が主として接着剤の凝集破壊の場合は,別の種類の接着剤を使用することでより有用な結
果が得られる。

7 サンプリング並びに検分及び調整

  試料の採取は,JIS K 5600-1-2の規定に従って,試験する製品(多層塗膜系の場合は各製品)の代表的
試料を採取する。次いで,JIS K 5600-1-3の規定に従って,試験用に試料を検分及び調整する。

8 試験板

8.1 試験板の材料(素地)

  受渡当事者間の協定がない場合は,JIS K 5600-1-4に規定する前処理をする。試験板は平滑でゆがみの
ないものを使用する。

8.2 試験板の調整及び塗装

  受渡当事者間の協定がなければ素地に対し,適切な前処理をし,試験板の表面調整をする。前処理の方
法は試験報告書に記録する。

8.3 試験片の乾燥及び養生

  試験片は,規定時間及び規定条件下で乾燥(又は焼付け及び静置)し,養生する。条件はJIS K 5600-1-6
の規定によって,試験前に23±2 ℃,相対湿度(50±5)%の状態で16時間以上保持する。

8.4 膜厚

  膜厚は,受渡当事者間の協定による。JIS K 5600-1-7に規定されている手順の一つによって,乾燥塗膜
の膜厚をμm単位で測定する。

9 手順

a) 試験回数 少なくとも6回試験を行う。すなわち,少なくとも6個の試験体を使用する[箇条9 d) 参
照]。
b) 試験雰囲気 試験は23±2 ℃,相対湿度(50±5)%の環境で行う。
c) 接着剤 接着剤は,製造者の説明書に従って接着剤を準備し,調整する。接着剤の量は,試験体の構
成材間を隙間なく充するのに必要な最小限の量とし,余分な接着剤はすぐに除去する(箇条6参照)。
d) 試験体
1) 堅く変形しにくい素地及び変形しやすい素地に対する一般的な試験体の作成は,次による[試験円
筒2個使用の場合(サンドイッチ法)]。
試験体には,塗板から切り出した試験片の一部(直径30 mm以上の円盤又は一辺が30 mm以上
の正方形の板)を用いる。試験片が変形しないように注意する。直径の等しい2個の試験円筒(5.2)
を受渡当事者間の協定がない場合は,JIS K 5600-1-4の規定に従って新たに清浄にした面に,均一
に接着剤を塗布する(注記参照)。
図4に示すように試験円筒が試験片の芯と軸方向に一直線になるように,試験片を試験円筒の接
着剤塗布面の間に置く。芯出ジグ(5.3)内で試験体を位置合わせし,接着剤が硬化するまで固定し
ておく。特に高湿度の条件の場合,できるだけ接着剤の硬化時間が短い,二液形で速乾タイプのエ

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ポキシ接着剤が望ましい。受渡当事者間の協定がなければ接着剤の硬化後,切込用具(5.4)を用い
て試験円筒の周囲を注意深く素地まで通して切り込む。変形しやすい試験片に対する方法において,
無塗装素地面と試験円筒との付着性が弱いと予測される場合は素地の両面に試験対象の塗料を塗装
する。
注記 接着剤と塗膜境界面との接着力は,試験円筒の接着剤塗布面と塗膜とを接合させる前に,
乾燥塗膜の表面を目粗しすることによって改善される。
1 : 接着剤が塗布された試験円筒
2 : 片面又は両面に塗装された素地
図4−片面又は両面の素地に塗装した場合の挟み込み方法
サンドイッチ法の試験片組立て
2) 片面だけの試験に対する試験体の作成は,次による(堅い変形しにくい素地に適する。)。
受渡当事者間の協定がない場合は,JIS K 5600-1-4の規定に従って,新たに清浄にした試験円筒
(5.2)の面に接着剤を均一に塗布する。試験円筒の接着剤塗布面を,接着剤が硬化するまで[箇条
9 d) の1) 参照]塗膜に接触させる。接着剤が硬化後,切込用具(5.4)を用いて,注意深く試験円
筒の周囲を素地まで切り込む。
図5に示されているように外側にリングを置き,試験する。
1 : 外側のリング
2 : 接着剤が塗布された試験円筒
3 : 塗膜
4 : 素地
図5−堅い素地に対する試験片組立て
3) 試験円筒だけを用いる試験体の作成は,次による。
特殊な目的に対しては,試験円筒に直接塗装してもよい。
清浄にした試験円筒表面に接着剤を均一に塗布する。図6に示す,試験円筒の接着剤塗布面を,

――――― [JIS K 5600-5-7 pdf 8] ―――――

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試験用に供する塗料を塗装,乾燥させた試験円筒面に接触させ,試験体を芯出ジグ(5.3)中で位置
合わせをし,接着剤が硬化するまで静置する。
1 : 試験円筒
2 : 接着剤
3 : 塗膜
4 : 試験円筒
図6−試験円筒だけの使用による試験片組立て
e) 測定 測定は,次による。
1) 破壊強さ 接着剤の硬化時間が過ぎた後,直ちに試験体を引張試験機(5.1)内に置き,曲げモーメ
ントがかからず,張力が試験部分全体に均一に加わるように注意して,試験円筒を調整する。張力
を塗面に垂直に加え,張力を最初に加えてから90 s以内に試験体の破壊が起きるように1 MPa/sを
超えない張力増加速度で引っ張り,試験体を破壊した張力を記録する。
用意した各試験体を用い,繰り返し試験を行う[箇条9 a) 参照]。
2) 破壊の形態 目視によって破壊の形態を評価するために破壊面の観察を行い,破壊面のタイプの評
価を次の表現を用いて表示する。
A=基板の凝集破壊
A/B=素地と第一塗膜との間の付着破壊
B=第一塗膜の凝集破壊
B/C=第一塗膜と第二塗膜との間の付着破壊
n=多層系塗膜の第n層目の凝集破壊
n/m=多層系塗膜の第n層/m層との間の付着破壊
−/Y=最終塗膜と接着剤との間の付着破壊
Y=接着剤の凝集破壊
Y/Z=接着剤と試験円筒との間の付着破壊
それぞれのタイプの破壊について10 %単位で破壊面積を換算評価する。
繰り返し試験の結果,破壊面積が一定でない場合には塗料の調整,塗装工程の見直しを実施する。
接着剤に起因する破壊面積のばらつきについては,箇条6及び箇条9 d) の1) の注記を参照する。
さらに,少なくとも6個の試験体による追加試験を実施する。

――――― [JIS K 5600-5-7 pdf 9] ―――――

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10 結果のまとめ方

  試験結果とその表示は,次による。

10.1 破壊強さ

  ここに,試験体によって得られる,破壊強さσ(MPs)は,次の式によって算出する。
F
S
ここに, F : 破壊力(N)
S : 試験円筒の面積(mm2)
試験円筒の直径が20 mmの場合,破壊強さσ(MPa)は,次の式によって算出する。
F F F
2
20 100 314
2
6回の試験結果を平均し整数値に丸め,結果を平均値と,最大値及び最小値として報告する。

10.2 破壊の形態

  箇条9 e) 2) の手順に従って評価した破壊の形態と平均破壊面積とを結果として表記する。

10.3 表示の例

  プルオフ試験によって試験したある塗装システムが20 MPaの張力で破壊し,各側の破壊面積が第一塗
膜の凝集破壊に関しては,試験円筒の面積の約30 %を示し,第一塗膜と第二塗膜間との付着破壊に関して
は,試験円筒の面積の約70 %を示す場合は,そのプルオフ試験の結果は次のように表す。
20 MPa, 30 %B, 70 %B/C

11 試験報告

  試験報告には,少なくとも次の情報を含めなければならない。
a) 試験した製品(複数)の種類及びその明細
b) この規格番号(JIS K 5600-5-7)
c) 附属書Aから引用した補足情報
d) 上記c) に引用した情報を提供する国際規格,国家規格,製品の仕様又はその他の文献の参照項目
e) 素地の前処理方法
f) 塗装膜厚,及び/又は単層ごとの膜厚
g) 用いた測定機器の種類及び試験円筒の直径
h) 試験円筒周囲を切るために使用した切込用具の種類
i) 箇条9の手順に従った試験結果の報告
j) 受渡当事者間の協定又はその他によって,規定の試験手順を変更した場合,その内容
k) 試験年月日

――――― [JIS K 5600-5-7 pdf 10] ―――――

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  • ISO 4624:2002(MOD)

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