JIS K 5603:2017 塗膜の熱性能―熱流計測法による日射吸収率の求め方 | ページ 5

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附属書D
(参考)
塗膜の見掛けの熱抵抗
D.1 一般
この附属書は,塗膜の見掛けの熱抵抗の測定について記載する。
D.2 試験の一般条件
試験の一般条件は,7.3による。
D.3 試験装置
試験装置は,箇条6に規定する測定装置を用いる。
D.4 屋外側表面熱伝達率の設定
屋外側表面熱伝達率は,附属書Aによって14±1 W/(m2・K)に校正する。測定時に用いる屋外側放射表面
熱伝達率(hr)及び屋外側対流表面熱伝達率(hCV)は,附属書Aによって設定した値とする。
D.5 検定方法
a)に示す実用標準板を用いて,b)に示す環境条件で測定し,実用標準板の両表面の温度差によって通過
する熱量を測定する。この測定値が附属書Bの通過する熱量の熱収支理論計算によって求めた,実用標準
板の両表面の温度差によって通過する熱量に対して,±5 %に入っていることを確認する。
なお,実用標準板からの全表面熱伝達熱量(塗膜表面から屋外側空気に伝達する対流伝達による熱量と
塗膜表面からの屋外側放射伝達による熱量との和)は,7.4.1で設定した屋外側放射表面熱伝達率(hr)及
び屋外側対流表面熱伝達率(hCV)を用い,測定した各部温度(実用標準板の表面,バッフル板の表面温度,
屋外側空気温度)から算出する。
a) 実用標準板 実用標準板は,7.5.1による。
b) 環境条件 表D.1に規定する環境条件で気流発生装置の運転条件は,附属書Aによって屋外側表面熱
伝達率を設定したときの条件で一定とする。
なお,結露などの影響が生じないよう恒温室の相対湿度は,50 %RH以下とする。
表D.1−環境条件
項目 環境条件
屋外側空気温度θex ℃ 23±0.5
室内側温度(加熱・冷却熱板の温度)θin ℃ 43±0.5
屋外側表面熱伝達率hse W/(m2・K) 14±1
照射日射強度ISolar W/m2 0
D.6 測定
D.6.1 測定項目
7.3 a)の試験の場所及びD.5 b)の環境条件で試験体ごとに測定を行う。塗膜の見掛けの熱抵抗を求めるた

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めに必要な測定項目は,次による。
a) 試験体の両表面の温度差によって通過する熱流束 QW/AW(qW)
b) バッフル板の表面温度 θg
c) 屋外側空気温度 θex
d) 塗膜の表面温度 θp
e) 室内側温度 θin
D.6.2 測定方法
始めに,試験体の見掛けの熱抵抗(R)は,JIS R 1611[3]に規定する試験方法で求めておく。熱流計の見
掛けの熱抵抗(RTH)は,材料仕様書から求めておく。
試験体の両表面の温度差によって通過する熱流束が一方向に単調に変化することなく10回測定し,偏差
が平均値の±5 %になった後に,D.6.1の全ての測定項目について,測定装置で10分間以上,かつ,40回
以上測定し,平均値を求める。試験体の両表面の温度差によって通過する熱流束,照射日射熱流束,及び
各部の温度の測定位置を図D.1に示す。
試験体
バッフル板の表面温度
塗膜の表面温度
屋外側空気温度
A A' 塗膜の表面温度 照射日射熱流束
照射日射熱流束
室内側温度
平面図 A-A' 断面図
図D.1−測定項目の測定位置
D.6.3 算出方法
塗膜の見掛けの熱抵抗(Rp)は,式(D.1)及び式(D.2)によって求める。塗膜の見掛けの熱抵抗は,四捨五
入によって小数点以下2桁で表し,報告する。
1 W
(D.1)
R W in ex
Rp R Rex RAL RTH (D.2)
ここに, R : 試験体の見掛けの熱抵抗[(m2・K)/W]
QW : 試験体の両表面の温度差によって通過する熱量(W)
θex : 屋外側空気温度(℃)
θin : 室内側温度(加熱・冷却熱板温度)(℃)
AW : 試験体の面積(m2)
Rex : 見掛けの屋外側表面熱抵抗[(m2・K)/W]
RAL : アルミニウム板の見掛けの熱抵抗[(m2・K)/W]

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RTH : 熱流計の見掛けの熱抵抗[(m2・K)/W]
Rp : 塗膜の見掛けの熱抵抗[(m2・K)/W]
照射日射がない条件での試験体の熱移動の内訳は,図D.2を参照する。
塗膜 QCV Qr 熱流計
QW : 試験体の両表面の温度差によって通過
屋外側仕切板 QW する熱量(W)
QCV : 試験体の対流熱伝達による熱量(W)
基材 加熱・冷却熱板 Qr : 試験体の放射熱伝達による熱量(W)
図D.2−照射日射がない条件での試験体の熱移動の内訳

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附属書E
(参考)
測定の不確かさの計算例
E.1 一般
測定装置で測定された試験体の塗膜の日射吸収率の不確かさは,測定装置,測定条件,測定手順及び試
験体特性に依存する。
特定の測定装置の不確かさを解析することによって,測定の不確かさを確認し,定量化することができ
る。
塗膜の日射吸収率の測定結果に関わる不確かさに対する評価手順を測定した塗膜の日射吸収率とともに
確定し,報告するのが望ましい。
E.2 基本的な測定の不確かさ
基本的な測定に関わる個々の不確かさは,不確かさの構成要素として適用できる。
基本的な測定の不確かさを増やすために不確かさの各々の測定構成要素は,他の不確かさと組み合わせ
る。塗膜の日射吸収率の測定結果に不確かさ伝ぱ(播)を考慮する前に,測定装置に関連する構成要素の
不確かさを調査するのが望ましい。
不確かさ構成要素は,製造業者によって供給される仕様又は一部の国家標準にトレーサブルな校正デー
タを使用している校正結果によって得ることができる。
表E.1−不確かさ構成要素
不確かさの構成要素 記号 単位
長さ ΔL m
温度 Δθ ℃
照射日射強度 ΔISolar W/m2
熱流計 ΔQ W/m2
E.3 塗膜の日射吸収率の不確かさ伝ぱ(播)
表E.1に記載する各々の不確かさ構成要素を日射熱取得率の全体の不確かさに組み込む。
結果(R)が式(E.1)で与えられる量xi(i=1, 2,···, n)に基づくと仮定する。
R R(ix ) ,i=1, 2,···, n (E.1)
各々同じ信頼水準P(例えば,P=95 %)で,xiは不確かさΔPxiとなる。
xi xi Δxi (E.2)
結果(R)の不確かさは,式(E.3)によって求める。
2
n R
ΔR i1 Δxi (E.3)
xi
この手順を使用することで一部の中間的な構成要素に対する不確かさと最終的な塗膜の日射吸収率に対
する不確かさとを得ることができる。

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E.4 不確かさの決定例
塗膜の日射吸収率(α)は,本文式(1)によって求める。また,式(1)に必要となる照射日射吸収熱量(Qα)
は,式(2)によって求める。
ここで,塗膜の日射吸収率に対する不確かさを算出する。
表E.1の不確かさ構成要素を用いて検討した標準不確かさの例を,表E.2に示す。
表E.2−不確かさ構成要素及び標準不確かさ
不確かさ構成要素 記号 標準不確かさ 単位
長さ Δd ±0.000 4 m
温度 Δθ ±0.21 ℃
温度差 Δδθ ±0.22 K
照射日射強度 ΔISolar ±0.34 % W/m2
熱流計 ΔQ ±1.02 % W/m2
塗膜の日射吸収率(α)のある測定結果によって算出した不確かさの例を,表E.3に示す。
表E.3−塗膜の日射吸収率の測定のバジェットシート
項目 測定値 感度係数 標準不確かさ 単位
QSolar 32.40 0.020 0.000 1 W
QW 30.30 0.107 0.010 1 W
QCV −1.03 0.001 0.001 5 W
Qr −0.02 0.002 0.001 5 W
α 0.90 − 0.013 2 −
拡張不確かさは,測定の不確かさに包含係数k=2を乗じて求め,0.026(=0.013×2)となる。
よって,表E.3から塗膜の日射吸収率(α)及びP=95 %の信頼水準の不確かさは,次のとおりとなる。
α=0.90±0.026,(P=95 %)
この値は,不確かさ範囲(0.8740.926)の中にあって,測定された値から2.8 %となる。
参考文献
[1] ISO/IEC Guide 98-3,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
[2] TS Z 0033 測定における不確かさの表現のガイド
[3] JIS R 1611 ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法

JIS K 5603:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 5603:2017の関連規格と引用規格一覧