JIS K 6258:2016 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―耐液性の求め方 | ページ 2

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鉱物油のアニリン点は,その芳香族成分含有量についての指標であり,一般には,他の条件が同じ
であれば,アニリン点が低いほど,ゴムを膨潤させる効果が大きくなる。しかし,アニリン点単独で
は,鉱物油の特性を表すには不十分であり,密度,屈折率,粘度なども重要な指標である。したがっ
て,試験報告書には,アニリン点又は芳香族成分含有量とともに,これらの特性を記載しなければな
らない。燃料油,特にガソリンは,同じ等級でも組成が大きく異なる場合がある。ただし,僅かな組
成の違いでもゴムに対して大きな影響を与えることがある。したがって,用いる燃料油の詳細を,試
験報告書に記載しなければならない。
c) 市販の液体は,常に一定の組成をもつとは限らないため,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの分類又は品質
管理の目的のためには,明確に定義された化合物又はその混合物から成る液体を試験用液体として用
いなければならない。試験用液体の組成は,附属書Aによる。
d) 試薬の効果を判断するために試験する場合,試薬の濃度は,目的とする用途に合っていなければなら
ない。
e) 試験用液体の組成は,浸せき中に大きく変化しないようにする。また,試験用液体の経時変化と試験
片との相互作用を,考慮する。試験用液体中に化学的に活性な添加剤が存在する場合,又はゴムから
の抽出,ゴムへの吸収,若しくはゴムとの反応によって,試験用液体の組成に著しい変化が生じる場
合,試験用液体の量を多くするか,又は新鮮な試験用液体と交換しなければならない。ただし,交換
時期は,受渡当事者間の協定による。

6 試験片

6.1 試験片の採取・作製及び試験片の数

  試験片の採取・作製は,JIS K 6250の8.(試験片の採取・作製)による。
試験片の数は,質量変化,体積変化,寸法変化,表面積変化,硬さ変化及び抽出物の質量の測定,片面
浸せき試験の場合は各々3個とし,引張応力−ひずみ特性変化の測定の場合は3個以上とする。

6.2 試験片の形状及び寸法

6.2.1  浸せき試験用試験片の形状及び寸法
浸せき試験片の形状及び寸法は,次による。
a) 質量変化,体積変化及び抽出物試験用試験片 質量変化,体積変化及び抽出物試験用試験片は,体積
が1 cm3以上3 cm3以下で厚さ(2.0±0.2)mmの試験片を用いる。製品の厚さが1.8 mm以下の場合,
製品から切り取って試験片としてもよいが,厚さ2.2 mm以上の製品の場合には,厚さを(2.0±0.2)
mmに調製する。試験片は,シート又は製品から切り取った適切な形状とする。
b) 寸法変化試験用試験片 寸法変化試験用試験片は,一辺が25 mm50 mmの試験片を用いる。厚さは,
一様であって,(2.0±0.2)mmとする。リング状の試験片を用いる場合は,内径44.6 mmの試験片(JIS
K 6251のリング状1号形試験片)を用いる。試験片の側面は,平滑に切断されており,かつ,上面と
底面とに対して直角であることが望ましい。
c) 表面積変化試験用試験片 表面積変化試験用試験片は,厚さ(2.0±0.2)mm,一辺が約8 mmの四角
形の試験片を用いる。試験片の側面は,平滑に切断し,かつ,上面と底面とに対して直角であること
が望ましい。試験片は,適正な間隔の2枚の平行な刃で,ほぼ直角に2回切断することによって作製
する。
注記 製品から切り取る場合,又は短時間で平衡膨潤に達することが求められる場合は,標準より
薄い又は小さい試験片を用いると便利であるが,規定の厚さの試験片での結果とは比較でき

――――― [JIS K 6258 pdf 6] ―――――

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ない。また,この場合には,精度が悪くなる。
d) 引張試験用試験片 引張試験用試験片は,JIS K 6251の6.1(ダンベル状試験片)又は6.2(リング状
試験片)を用いる。
e) 硬さ変化試験用試験片 硬さ変化試験用試験片は,JIS K 6253-2(国際ゴム硬さ)及びJIS K 6253-3
(デュロメータ硬さ)に規定した各々の試験片を用いる。
6.2.2 片面浸せき試験用試験片の形状及び寸法
片面浸せき試験用試験片は,直径約60 mmの円形の試験片を用いる。ゴム引布,ダイヤフラムなどを試
験する場合は,研磨操作は避ける。

6.3 試料及び試験片の保管

  試料及び試験片の保管は,JIS K 6250の7.(試料及び試験片の保管)による。

6.4 試験片の状態調節

  試験片の状態調節は,JIS K 6250の9.(試験片の状態調節)による。

7 試験条件

7.1 浸せき温度

  浸せき温度は,製品の使用目的及び試験目的に応じて,JIS K 6250の11.2.1(標準試験温度及び標準試
験湿度)及び11.2.2(その他の試験温度)から選択する。
高温下では,ゴムの酸化,試験用液体の揮発又は分解,試験用液体中の添加剤によるゴムへの劣化効果
を大きく増加させるため,試験温度の選択は,非常に重要である。
使用条件での再現を目的として,実際に用いている液体に浸せきして試験する場合,試験条件は,その
使用温度と同じにするか,又はそれよりも少し高い試験温度をJIS K 6250の11.2.2から選択する。

7.2 浸せき時間

  浸せき時間は,JIS K 6250の11.1(試験時間)から選択する。それ以外の浸せき時間で試験を行う場合
は,受渡当事者間の協定に従う。
なお,ゴム中への液体の浸透速度は,温度,ゴム材料の種類又は液体の種類に依存する。仕様確認のた
めには,連続した浸せきの間,測定を繰り返し行い,時間による特性の変化を見ることが望ましい。総浸
せき時間は,可能な限り,最大吸収の時間を超えて設定する。
品質確認目的には,浸せき時間は,1点でよいが,吸収が最大に達する時間を選択することが望ましい。
例えば,次の時間から選択する。
2420 時間,7220 時間,7日間±2時間,7日間の整数倍±2時間
注記1 吸収された液体の量は,初期は,時間よりもむしろ時間の平方根に比例するので,時間の平
方根に対する吸収量をプロットすることによって,“吸収が飽和に達するまでの時間”を評価
するとよい。
注記2 吸収が飽和に達しない浸せき条件での試験では,浸せきの初期段階での体積変化は,試験片
の厚さに逆比例するため,厚さの許容差をより厳しくするとよい。

8 試験方法

8.1 浸せき試験

8.1.1  一般事項
試験片は,測定項目ごとに6.1によって準備し,浸せき前に識別マークを施しておく。

――――― [JIS K 6258 pdf 7] ―――――

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浸せき試験は,3.1又は3.2に規定する適切な装置を用い,箇条5に従って選択した試験用液体に試験片
を浸せきし,7.1で選択した温度で行う。
浸せき試験では,試験片の全体を浸せきするために,容器の側面から少なくとも5 mm,底面及び上面
から少なくとも10 mmの距離に試験片を配置する。試験片の密度が試験用液体の密度よりも小さい場合は,
試験用液体表面より上に試験片が出ないよう適切な方法を取り,かつ,空気の侵入を避ける。
空気の侵入は,避けなければならないが,空気の影響を試験する場合には,空気との接触の程度は,受
渡当事者間の協定によって決定する。
浸せき終了後,試験片を30分間以内に試験室の標準温度に戻す。必要であれば,試験片を直ちにこの温
度の新鮮な試験用液体に,1030分間浸せきして行う。
試験片の表面から余分な試験用液体を除去する。揮発性の試験用液体を用いる場合は,ろ紙又は糸くず
の出ない布で素早く拭き取る。粘ちゅう(稠)な非揮発性液体は,必要に応じてエタノール又は石油エー
テルのような揮発性液体中に試験片を素早く浸せきさせた後,直ちに拭き取る。揮発性液体から試験片を
取り出した後,可能な限り早く次の操作を行うことが重要である。余分な液体を除去した後,直ちに質量
又は体積の測定を行う。
質量又は寸法を測定した後,同一の試験片を他の特性の測定に用いる場合,再び揮発性液体に試験片を
浸す。総浸せき時間は,7.2による。試験用液体の除去及び測定終了までの最大時間は,揮発性液体の試
験では,次のとおりとする。
− 寸法変化 : 1分間
− 硬さの変化 : 2分間
− 引張試験 : 2分間
浸せきを継続する場合には,直ちに試験片を試験用液体に入れ,温度制御された装置に戻す。
乾燥後の特性の変化を測定する場合は,約40 ℃で約20 kPaの絶対圧力下(減圧下)で一定質量になる
まで,すなわち,連続した計量の差分が30分間隔で1 mg以内になるまで,試験片を乾燥させる。その後,
試験室の標準温度で3時間以上維持し,室温状態まで冷却する。
8.1.2 質量変化
各試験片の質量を,浸せき前後に1 mgまではかる。次の式(1)を用いて質量変化率Δm100を計算する。3
個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記載す
る。
mi m0
Δm100 100 (1)
m0
ここに, Δm100 : 質量変化率(%)
m0 : 浸せき前の試験片の質量(mg)
mi : 浸せき後の試験片の質量(mg)
8.1.3 体積変化
各試験片の体積は,水と混和しない試験用液体を用いる場合は,水置換法を用いて換算する。
各試験片の質量(m0)を,1 mgまではかり,次に,蒸留水中での質量(m0,w)をはかる。このとき試験
片に気泡が付着しないように注意する(界面活性剤を用いてもよい。)。試験片の密度が1 g/cm3未満の場合
は,適切なおもりを用いて試験片を水中に完全に沈めて質量(m0,w)をはかる。おもりを用いる場合は,
水中でおもりだけの質量(ms,w)をはかる。測定後は,試験片の水滴を,ろ紙又は糸くずの出ない布で吸
い取り,乾かす。

――――― [JIS K 6258 pdf 8] ―――――

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浸せき試験終了後,1 mgまで各試験片の質量(mi)をはかり,次に,水中での質量(mi,w)をはかる。
次の式(2)を用いて体積変化率ΔV100を計算する。
mi mi, wms,w
ΔV100 1 100 (2)
m0 m,0w ms,w
ここに, ΔV100 : 体積変化率(%)
m0 : 浸せき前の試験片の質量(mg)
m0,w : 浸せき前の水中での試験片の質量(mg)
おもりを用いた場合は,おもりの水中での質量を加算し
たもの
mi : 浸せき後の試験片の質量(mg)
mi,w : 浸せき後の水中での試験片の質量(mg)
おもりを用いた場合は,おもりの水中での質量を加算し
たもの
ms,w : おもりの水中での質量(mg)
3個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記
載する。
試験用液体が水と容易に混和又は反応する場合,水置換法は使えない。試験用液体が室温で粘性があま
り高くなく,かつ,揮発性でない場合は,新鮮な同じ試験用液体中で質量(mi,liq)をはかる。試験用液体
が液中の質量をはかるのに適切でない場合には,別の液体を用いて液中の質量(mi,liq)をはかり,次の式
(3)を用いて体積変化率を計算する。
1 mi ms,liq
mi,liq
ΔV100 1 100 (3)
m0 m,0w ms,w
ここに, ρ : 室温での液体の密度(g/cm3)
mi,liq : 液体中での試験片の質量(mg)
おもりを用いた場合は,おもりの液体中での質量を加算
したもの
ms,liq : 液体中でのおもりの質量(mg)
8.1.4 寸法変化
各試験片の初期の長さ(l0)を,上面及び底面の中心線に沿って0.5 mmまで測定し,平均値を求める。
同様に,試験片の上下両側の端部付近の幅(b0)を4か所で0.5 mmまで測定し,平均値を求める。試験片
の厚さ(t0)は,異なる4か所を測定し,平均値を求める。浸せきした後,各試験片の長さ(li),幅(bi)
及び厚さ(ti)を上記同様に測定する。次の式(4)を用いて長さの変化率Δl100を計算する。
li 0
Δl100 100 (4)
0
ここに, Δl100 : 長さの変化率(%)
l0 : 浸せき前の長さ(mm)
li : 浸せき後の長さ(mm)
同様に,幅の変化率Δb100及び厚さの変化率Δt100を計算する。
3個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記
載する。
8.1.5 表面積変化
各試験片の上面又は底面について,対角線の初期長さ(la)及び(lb)を0.01 mmまで測定する。浸せき

――――― [JIS K 6258 pdf 9] ―――――

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後,上記同様に対角線の長さ(lA)及び(lB)を再測定する。光学測定システムを用いる場合,試験片から
試験液を拭き取ることなく,適切なガラス容器に入れた状態で測定することができる。
次の式(5)を用いて表面積変化率ΔA100を計算する。
lA lB
ΔA100 1 100 (5)
la lb
ここに, ΔA100 : 表面積変化率(%)
la,lb : 浸せき前の対角線の長さ(mm)
lA,lB : 浸せき後の対角線の長さ(mm)
3個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記
載する。
この測定値を用い,次の式(6)によって体積変化率を計算してもよい。
3
lA lB 2
ΔV100 1 100 (6)
la lb
体積変化率の計算式は等方性の膨潤を前提としており,等方性の膨潤が疑わしい場合は,8.1.3によって
求めることが望ましい。
8.1.6 硬さ変化
硬さの試験方法は,JIS K 6253-2(国際ゴム硬さ),又はJIS K 6253-3(デュロメータ硬さ)による。ま
た,試験片を重ねて試験を行った場合は,見掛け硬さとする。
次の式(7)を用いて,浸せき前後の,硬さの変化を計算する。
ΔH Hi H0 (7)
ここに, ΔH : 硬さの変化
H0 : 浸せき前の硬さ
Hi : 浸せき後の硬さ
3個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記
載する。
8.1.7 引張応力−ひずみ特性変化
JIS K 6251に従って浸せき前後の引張応力−ひずみ特性を測定する。ダンベル状試験片については,浸
せき後に標線を付ける。リング状試験片については,コーンゲージなどの適切な測定器具を用いて内径を
測定する。試験は,余分な試験用液体を取り除いてから3分以内に行う。比較のため,浸せきをしない試
験片についても試験を行う。
浸せき後の切断時伸びは,ダンベル状試験片の場合は,浸せき後に付した標線によって,また,リング
状試験片の場合は,浸せき後の内径によって,JIS K 6251の箇条15(結果の計算)及び箇条16(結果の表
記)によって求める。
試験片の初期の断面を用いて引張特性を計算する。次の式(8)を用いて,浸せき前の値との割合として特
性の変化を計算する。
Xi X0
ΔX100 100 (8)
X0
ここに, ΔX100 : 特性値の変化率(%)
X0 : 浸せき前の測定値
Xi : 浸せき後の測定値
3個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記

――――― [JIS K 6258 pdf 10] ―――――

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JIS K 6258:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 1817:2015(MOD)

JIS K 6258:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 6258:2016の関連規格と引用規格一覧