JIS K 6258:2016 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―耐液性の求め方 | ページ 3

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載する。
8.1.8 抽出物の定量
8.1.8.1 一般事項
試験用液体が容易に揮発する場合,試験片から抽出される物質の量は,次の二つの方法によって求める
ことができる。
a) 浸せき前の試験片の質量と,浸せき後の試験片を乾燥させた後の質量との差分を計量する方法
b) 浸せき後の試験用液体を蒸発させて乾固させ,不揮発性残留物を計量する方法
いずれの方法も誤差の影響を受けやすい。乾燥した試験片をはかる方法においては,特に高温での浸せ
き中に空気が存在する場合,材料は酸化する。試験用液体を蒸発させる方法においては,揮発性の抽出物
質,特に可塑剤は,損失が生じやすい。試験方法は,材料の性質及び試験の条件に合わせて選択する。
容易に揮発する液体を明確に定義することは困難であるが,附属書Aにおける試験用燃料油A,B,C,
D及びEよりも揮発しにくい液体は適していない。すなわち,沸点が110 ℃以下の液体が望ましい。
抽出物の測定は,質量変化(8.1.2参照),体積変化(8.1.3参照)及び寸法変化(8.1.4参照)を測定した
後に行う。
8.1.8.2 乾燥した試験片をはかる方法
浸せき後の試験片を,約40 ℃で約20 kPaの絶対圧力下で一定質量になるまで,すなわち,連続した計
量の差分が30分間隔で1 mg以下になるまで乾燥させる。乾燥した後の質量と試験片の浸せき前の質量と
の差分を,抽出物の質量とする。
抽出物の質量割合は,次の式(9)によって算出する。
mE m0 md
mE (9)
E 100
m0
ここに, ΔE : 抽出物の質量割合(%)
m0 : 試験片の浸せき前の空気中の質量(mg)
md : 試験片の浸せき乾燥後の空気中の質量(mg)
mE : 抽出物の質量(mg)
3個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記
載する。
8.1.8.3 試験用液体を蒸発させる方法
浸せき後の試験用液体を,適切な容器に移す。次に,試験片を新しい試験用液体25 mLで洗浄し,その
洗浄液を同じ容器に加える。約40 ℃,約20 kPaの絶対圧力下で試験用液体を蒸発させ,更に一定の質量
になるまで残留物を乾燥させる。続いて,浸せき及び洗浄に用いたのと同量の体積の,試験用液体に含ま
れる固形分量を推定する対照試験を実施する。浸せき及び洗浄に用いた試験用液体の蒸発によって得られ
た残留物の質量と,対照試験で得られた残留物の質量との差分を,抽出物の質量とする。

8.2 片面浸せき試験

  この試験は,使用中に一方の面が液体にさらされているゴムダイヤフラムのような比較的薄いシート材
料に適用する。試験片の厚さと,質量(m0)を1 mgまではかる。次に,図1に示すように,試験片を装
置に取り付ける。試験用液体を装置のチャンバ(2)に約15 mmの深さまで満たし,栓(6)をする。浸せ
き中は,試験温度を保ち,浸せき終了後,試験片を装着したまま装置を試験室の標準温度に戻す。
浸せき終了後,装置から試験用液体を除去し,試験片を取り外す。ろ紙又は糸くずの出ない布で試験片

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の表面から液体を拭き取る。その後,試験室の標準温度で試験片の厚さを測定し,質量(mi)を1 mgまで
はかる。試験用液体が室温で揮発する場合には,試験片を液体から取り出した後,2分間以内に測定を行
う。単位表面積当たりの質量変化ΔmAは,次の式(10)を用いて計算する。次に,厚さの変化は,8.1.4の方
法で計算する。
mi m0
ΔmA (10)
A
ここに, ΔmA : 単位表面積当たりの質量変化(g/m2)
m0 : 浸せき前の試験片の空気中の質量(g)
mi : 浸せき後の試験片の空気中の質量(g)
A : 試験片と液体との接触面積(m2)
3個の試験片によって得られた値の中央値を,JIS Z 8401によって丸めの幅1で表し,試験報告書に記
載する。

9 試験精度

  試験精度は,附属書Cを参照する。

10 試験報告書

  試験報告書には,次の事項を記録する。
a) 試料の詳細
1) 試料の由来(製品,試験用配合物など)
2) 種類
3) 試験片の作製方法(成形又は切り出し)
b) この規格の番号
c) 試験方法及び試験の詳細
1) 試験方法
2) 試験片の種類・寸法
3) 試験用液体の詳細
4) 試験室の標準温度
5) 状態調節の詳細
6) 浸せき時間及び浸せき温度
7) 規定された試験方法との相違点
d) 試験結果
1) 試験結果(各細分箇条で規定している事項)
2) 試験片の外観(亀裂,離,その他の異常の有無)
3) 試験用液体の外観(変色,沈殿,その他の異常の有無)
e) 試験年月日

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附属書A
(規定)
試験用液体
A.0 一般事項
試験用液体は,試験用燃料油,試験用潤滑油及びそれ以外の試験用液体に大別する。さらに,試験用燃
料油は,酸素化合物(アルコール類)の含有の有無によって分類し,試験用潤滑油は,低添加物鉱物油の
試験用潤滑油と,添加剤を加えた合成油である試験用サービス油とに分類し,これらは試験の目的に合わ
せて用いる。
警告 毒性,腐食性,引火性などの液体を取扱う場合は,適切な安全上の予防策を講じる。煙又は蒸
気を出す液体については,ドラフト内で作業する。腐食性液体については,人体又は衣服と接
触しないようにする。引火性液体については,火気の近くでは取り扱わない。
A.1 試験用燃料油
試験用燃料油には,酸素化合物(アルコール類)を含まないものと,含むものとがある。それぞれの例
を,表A.1及び表A.2に示す。他の適切な試験用燃料油を調合する場合は,これを指針とする。試験用燃
料油の調合には,市販の試薬を用いる。関連する燃料油に,アルコールが含まれていない場合は,アルコ
ールを含む試験用燃料油を用いてはならない。
表A.1−酸素化合物を含まない試験用燃料油
試験用燃料油 成分 CAS No. 体積分率(%)
A 2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 100
2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 70
B
トルエン 108-88-3 30
2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 50
C
トルエン 108-88-3 50
2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 60
D
トルエン 108-88-3 40
E トルエン 108-88-3 100
直鎖状パラフィン(C12C18) 68476-34-6 80
F
1-メチルナフタレン 90-12-0 20
注記 試験用燃料油B,C及びDは,主に酸素化合物を含まない石油系燃料油(自動車用ガソリン)の代替品と
して用いられる。試験用燃料油Fは,ディーゼル燃料油,家庭用灯油及び軽油の代替品として用いられる。

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表A.2−酸素化合物(アルコール類)を含む試験用燃料油
試験用燃料油 成分 CAS No. 体積分率(%)
2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 30
トルエン 108-88-3 50
1
ジイソブチレン 25167-70-8 15
エタノール 64-17-5 5
2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 25.35 a)
トルエン 108-88-3 42.25 a)
ジイソブチレン 25167-70-8 12.68 a)
2
エタノール 64-17-5 4.22 a)
メタノール 67-56-1 15.00
水 7732-18-5 0.50
2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 45
トルエン 108-88-3 45
3
エタノール 64-17-5 7
メタノール 67-56-1 3
2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン) 540-84-1 42.5
4 トルエン 108-88-3 42.5
メタノール 67-56-1 15
注記 酸素化合物(アルコール類)を含む試験用燃料油は,アルコール添加自動車用ガソリンの代替品として用
いられる。
注a) これら4成分の合計は,上記試験用燃料油1の体積分率84.5 %に相当する。
A.2 試験用潤滑油
A.2.1 一般事項
試験用潤滑油は,3種類の試験用低添加剤鉱物油を,ゴムを膨潤させる度合いによって,低膨潤油−No.1
油[IRM(Industrial Reference Material)901],中膨潤油−No.2油(IRM902),及び高膨潤油−No.3油(IRM903)
とする。
注記 試験用潤滑油No.1油として用いられてきたASTM No.1油は,製造中止となり,供給者によっ
て,IRM901油が代替油とされた(附属書JA参照)。
また,試験用潤滑油No.2油の引火点は,ASTM D471-06で240 ℃と規定されていたが,ASTM
D471-12で232 ℃に変更された(附属書JB参照)。
A.2.2 必要条件
試験用潤滑油の特性を表A.3に示す。表A.3の特性は,ASTM D5964で規定されており,試験用潤滑油
の仕様である。
これらの試験用潤滑油は,公認の供給者から入手する。入手できない場合は,定常の試験(工程管理試
験,品質管理試験など)に限って,代替油を用いてもよいが,それらの代替油は,表A.3の要件を満たし,
試験用潤滑油で得られた結果と同等の結果が得られるものでなければならない。
なお,その他の代表的な特性値は,表A.4を参照する。ただし,これらの値は,試験用潤滑油の供給者
が保証するものではない。

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表A.3−試験用潤滑油の仕様
種類
特性 No.1油 No.2油 No.3油
単位
(IRM901) (IRM902) (IRM903)
アニリン点 ℃ 124±1 93±3 70±1
動粘度 18.1220.34a)
m2/s(×10−6) 19.221.54a) 31.934.3b)
引火点 ℃ 243以上 232以上 163以上
API 度(16 ℃) − 27.829.8 19.021.0 21.023.0
粘度比重定数(VGC) − 0.7900.805 0.8600.870 0.8750.885
ナフテン系質量分率,CN % 27(平均) 35以上 40以上
パラフィン系質量分率,CP % 65以下 50以下 45以下
注a) 測定温度99 ℃
b) 測定温度37.8 ℃
表A.4−試験用潤滑油の代表特性
種類
特性
単位 No. 1油 No. 2油 No. 3油
流動点 ℃ −12 −12 −31
ASTMカラー − L3.5 L2.5 L0.5
屈折率(20 ℃) − 1.484 8 1.510 5 1.502 6
紫外吸光度(260 nm) − 0.8 4.0 2.2
アロマ系質量分率,CA % 3 12 14
A.3 試験用サービス油
A.3.0 一般事項
試験用サービス油には,101,102及び103の3種類がある。それぞれの組成を,表A.5に示す。
A.3.1 試験用サービス油101
試験用サービス油101は,ジエステル型潤滑油の代替品として用いる。組成は,ジ-2-エチルヘキシルセ
バケート,質量分率99.5 %及びフェノチアジン,質量分率0.5 %である。
A.3.2 試験用サービス油102
試験用サービス油102は,高圧力用作動油の代替品として用いる。
組成は,試験用潤滑油No.1油,質量分率95 %,及び炭化水素混合油,質量分率5 %であり,このうち
炭化水素混合油は,添加剤として,硫黄,質量分率29.533 %,りん,質量分率1.52 %,及び窒素,質
量分率0.7 %を含有する。
注記 試験用サービス油102は,対応国際規格ISO 1817では,試験用サービス油から除外され,情報
として組成だけが記載されている。
A.3.3 試験用サービス油103
試験用サービス油103は,航空機用りん酸エステル作動油の代替品として用いる。これは,トリ-n-ブチ
ルりん酸エステルである。

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  • ISO 1817:2015(MOD)

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