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K 6270 : 2018
10 結果の表し方
10.1 疲労寿命
疲労寿命(回)は,各試験ひずみごとに測定結果の中央値で表す。ただし,ダンベル状試験片が中央の
平行部以外で破断したときは,測定結果から除く。
疲労寿命(対数目盛)対試験ひずみ(等分目盛)の関係を,グラフ表示するのが望ましい(附属書A参
照)。
必要に応じ疲労寿命の最大と最小との比rを,次の式(4)によって算出する。
Nf,max
r (4)
N f,min
ここに, Nf, max : 最大疲労寿命(回)
Nf, min : 最小疲労寿命(回)
10.2 残留ひずみの計算
残留ひずみRd(ダンベル)及びRr(リング)(%)は,ダンベル状試験片の場合は式(5)によって,リン
グ状試験片の場合は式(6)によって算出する。結果は,いずれも2個の平均値で表す。
ld,nld,0
Rd 100 (5)
ld,0
ここに, ld,0 : 試験前の標線間距離(mm)
ld,n : n回繰返し引張り後のひずみを与えない状態での標線間距離
(mm)
lr,nlr,0
Rr 100 (6)
lr,0
ここに, lr,0 : 試験前の内周長(mm)
lr,n : n回繰返し引張り後のひずみを与えない状態での内周長(mm)
10.3 最大ひずみの計算
最大ひずみed(ダンベル)及びer(リング)(%)は,ダンベル状試験片の場合は式(7)によって,リング
状試験片の場合は式(8)によって算出する。結果は,いずれも2個の平均値で表す。
Ld,n ld,n
ed 100 (7)
ld,n
ここに, ld,n : n回繰返し引張り後のひずみを与えない状態での標線間距離
(mm)
Ld,n : n回繰返し引張り後の試験片を最大に伸張した位置での標線
間距離(mm)
Lr,n lr, n
er 100 (8)
lr,n
ここに, lr,n : n回繰返し引張り後のひずみを与えない状態での内周長(mm)
Lr,n : n回繰返し引張り後の試験片を最大に伸張した位置での内周
長(mm)
必要に応じ,ひずみは伸張比 嬰 ひずみを与えない状態での標線間距離又は内周長と,
――――― [JIS K 6270 pdf 11] ―――――
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伸張したときの標線間距離又は内周長との比である。ここで,75 %伸張時のひずみは,
10.4 最大応力の計算
疲労試験前の最大応力( 及び疲労試験後の最大応力( 滿 は,ダンベル状試験片の場合は式(9)及び
式(10)によって,リング状試験片の場合は式(11)及び式(12)によって算出する。
σd F
(pdf 一覧ページ番号 )
S
ここに, 試験前の最大応力(MPa)
F : 試験前のひずみ−力測定で求めた最大の力(N)
S : 試験前の試験片断面積(mm2)
n Fn
σd, (10)
S
ここに, n : n回繰返し引張り後の最大応力(MPa)
Fn : n回繰返し引張り後の力−伸長測定で求めた最大の力(N)
S : 試験前の試験片断面積(mm2)
r F
σ (11)
2S
ここに, 試験前の最大応力(MPa)
F : 試験前のひずみ−力測定で求めた最大の力(N)
S : 試験前の試験片断面積(mm2)
,r Fn
σn (12)
2S
ここに, n : n回繰返し引張り後の最大応力(MPa)
Fn : n回繰返し引張り後の力−伸長測定で求めた最大の力(N)
S : 試験前の試験片断面積(mm2)
10.5 みかけの最大ひずみエネルギー密度の計算
疲労試験前及び疲労試験後のみかけの最大ひずみエネルギー密度(J/m3)は,リング状試験片とダンベ
ル状試験片との試験結果を比較するために,最大ひずみエネルギーを試験片の体積で除して算出する。最
大ひずみエネルギーは,力−伸び曲線から最大力,最大伸びまでのひずみエネルギーを数値積分法によっ
て求める。これは,力−伸び曲線で最大力と最大伸びとに囲まれる面積に等しい。試験片の体積は,リン
グ状試験片の場合は試験片全体の体積,ダンベル状試験片の場合は標線間の体積とする。
10.6 試験結果のまとめ方
試験結果は,計算によって求められた値をJIS Z 8401に従って有効数字2桁に丸めて表す。
11 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記録する。
a) 試験方法
1) この規格の番号及び名称
b) 試験片の詳細
1) 試料及び試験片に関する詳細
2) 試験片の採取・作製方法
c) 試験の詳細
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1) 使用した試験片の種類
2) 試験周波数
3) 試験温度
4) 試験環境(8.4と異なる場合)
5) 残留ひずみ及び最大ひずみの測定方法
6) 必要に応じ,最大応力及びみかけの最大ひずみエネルギー密度の測定方法
7) 試験片の数
8) この試験方法と異なった手順の詳細
d) 試験結果
1) 各試験ひずみにおける個々の疲労寿命,疲労寿命の中央値,及び必要に応じ疲労寿命の最大と最小
との比
2) 初期のひずみ又は試験ひずみ
3) 各試験ひずみにおける,残留ひずみの平均値及びその時の繰返し引張回数
4) 測定した繰返し回数後の,残留ひずみで補正した試験ひずみ
5) 必要に応じ,各試験片の最大応力及びみかけの最大ひずみエネルギー密度及びその時の繰返し引張
回数
6) 必要に応じ,疲労寿命の中央値に対する,試験前及び/又は試験終了後の最大ひずみ,最大応力又
はみかけの最大ひずみエネルギー密度のグラフ
e) 試験年月日
f) その他必要事項
――――― [JIS K 6270 pdf 13] ―――――
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附属書A
(参考)
疲労寿命に影響する要因及び試験結果の解釈
A.1 概要
引張疲労は,ゴム中の欠陥の応力集中から生じる亀裂成長によって引き起こされる。亀裂の伝ぱ(播)
がひずみエネルギーに依存しているならば,加硫ゴムの亀裂成長挙動は,試験片形状及び変形の様式には
よらない[1],[2]。
A.2 疲労寿命に影響する要因
疲労寿命は,多くの因子に影響され,次の三つに大別される。
− 材料の特性因子 ゴムの種類,架橋形態及び架橋密度,充剤及び亀裂成長挙動が大きく影響する老
化防止剤並びに最初から存在する欠陥のサイズによる。
− 試験条件 製品の形状及びサイズ,変形の様式及び大きさ並びに変形サイクルの周波数及び波形。
− 環境的要素 温度,湿度,酸素及びオゾンのような劣化因子の存在。
自然界において,亀裂成長及び疲労を最初に引き起こすのは,機械的な応力,酸素及びオゾンである。
これらの相対的な関係を図A.1(1 phrの老化防止剤を含んだNR純ゴム加硫物の種々の環境下での引張疲
労寿命試験の結果)に示す。真空中では,疲労サイクルの最大ひずみが100 %以下ではほとんど亀裂が成
長しない。
酸素の影響を受ける試験室雰囲気下では,亀裂が成長しなくなる疲労限界の最大ひずみが約75 %に低下
し,高ひずみでの寿命は低下する。老化防止剤無配合のゴムは,寿命の低下が大きく,老化防止剤は,酸
素の影響を部分的に緩和する。疲労限界を下回るひずみでは,試験室雰囲気に存在する少量のオゾンが起
点となる。オゾン濃度は,疲労限界の低下に対して重要であるが,高ひずみでは影響が少ない。これらの
結果は,疲労寿命が最大ひずみに強く依存することを示している。
――――― [JIS K 6270 pdf 14] ―――――
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a
X : 最大ひずみ(%)
Y : 疲労寿命(回)
1 : 真空下
2 : 試験室雰囲気(オゾン濃度 約0.2 pphm)
3 : オゾン槽(オゾン濃度 8 pphm)
a : 破損していない試験片
図A.1−引張疲労寿命に対する最大ひずみ及び試験雰囲気の影響(加硫天然ゴム)
A.3 疲労試験結果の解釈
異なるゴムの疲労特性は,最大ひずみに依存し,幾つかのひずみで測定すること,及び実際に使用する
条件近くで測定することが望ましい。ゼロ点を通る一定振幅の繰り返し変形で長寿命な製品には,疲労限
界に近い試験が適切である。疲労限界寿命は,一般的に105106サイクルであり,ひずみの減少に伴い急
激に増加する。小形で大変形を印加される製品は,疲労限界をはるかに上回る過酷条件が適切である。
結果を比較する基準(定ひずみ,定応力又は定ひずみエネルギー密度)は,実使用で与えられる条件に
依存する。例えば,疲労寿命の温度依存性は,非晶性のゴムよりも結晶性のゴムのほうが強い。応力軟化,
永久ひずみ及び強い粘性挙動を示す材料の結果の解釈は,注意する。
製品性能,試験手順又は試験片作製の不具合を確認するため,結果のばらつきを評価することが重要で
ある。
――――― [JIS K 6270 pdf 15] ―――――
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JIS K 6270:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 6943:2017(MOD)
JIS K 6270:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.060 : ゴム
JIS K 6270:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK6200:2019
- ゴム―用語
- JISK6250:2019
- ゴム―物理試験方法通則
- JISK6251:2017
- 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方