JIS K 6558-10-2:2018 革試験方法―化学試験―第10-2部:6価クロム含有量の測定―クロマトグラフ法 | ページ 2

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7.2 分析溶液の調製

  JIS K 6556-2に規定する基準標準状態の温度(23 ℃±2 ℃)に調整し,脱気した抽出溶液(5.1)を全
量ピペットで100 mL(V0)採取し,300 mLの共栓付三角フラスコ(6.2)に入れる。酸素を含まないアル
ゴン又は窒素(5.6)をストッパ付き流量計を付けたばっ気用チューブ(6.3)から,1分間に50 mL±10 mL
の流量で5分間吹き込み,酸素と置換する。ばっ気用チューブを取り外し,質量を正確に測定した試料(7.1)
を加え,共栓で蓋をする。
試料を入れた共栓付三角フラスコを,JIS K 6556-2に規定する基準標準状態の温度で,振とう器(6.1)
を用いて機械的に1分間に100回±10回で3時間±5分間振とうし,6価クロムを抽出する。このとき,
試料がフラスコの壁面に付着しないように注意する。
3時間±5分間振とうした後,直ちに共栓付三角フラスコの内容物をメンブレンフィルタ(6.4)でろ過
し,蓋付きのガラス容器又はプラスチック容器に入れ,分析溶液のpHをpH計(6.11)で測定する。この
ときの溶液のpHは,7.08.0でなければならない。pHがこの範囲に入っていない場合は,全ての操作を
もう一度やり直す。
pHが7.08.0の間にない場合は,採取する試料の質量を減らすことを考慮する。ただし,この場合は定
量下限が高くなることに注意する必要がある。

7.3 クロマトグラフ法の条件

  6価クロム含有量は,イオンクロマトグラフ法によって測定する。クロマトグラフ法の装置によって次
に示す適切な分析方法によって測定する。適用した分析方法は,回収率の測定(7.5)を用いて検証する必
要がある。回収率が80 %120 %の範囲にない場合は,別の分析方法でやり直す。
a) 直接法 6価クロムを372 nmにおけるクロマトグラムのピークを直接検出することによって測定する
方法。分析条件の例を附属書Aに示す。
b) ポストカラム反応法 6価クロムを1,4-ジフェニルカルバジドでのポストカラム反応法によって,生
成した1,5-ジフェニルカルバゾンを540 nmでの吸光度を計測することによって測定する方法。分析条
件の例を附属書Bに示す。
分析のときの試料の注入量をVM(μL)として記録し,クロマトグラムからピークの面積をAとして記
録する。

7.4 検量線の作成

  6価クロム含有量は,外部標準法で校正し測定する。
6価クロム標準液(5.5)を用いて,濃度を段階的に変えて,少なくとも5点の検量線測定用の標準溶液
を調製し,適切な検量線を作成する。これらの検量線溶液の6価クロム濃度の範囲は,革から抽出する6
価クロム量で予想される濃度を含むものとする。
6価クロム標準液から,0.5 mL25 mLの範囲で全量ピペットを用いて,少なくとも5点を採取し,そ
れぞれ別々の25 mLの全量フラスコに入れる。それぞれの全量フラスコに抽出溶液(5.1)を標線まで加え,
25 mLとし,かくはん(撹拌)し,検量線測定用の標準液とする。
測定に用いるクロマトグラフ(6.7)に対応する適切なHPLC用バイアル瓶(6.9)に検量線測定用の標
準液を一定量採取する。
クロマトグラフに,検量線測定用の標準液を注入する。作成した検量線測定用の標準液はそれぞれ等量
を注入するが,試料の注入量(VM)と等量を注入するのが望ましい。注入した容量をVC(μL)として記
録する。
測定したそれぞれの6価クロム標準液のピーク面積に対して,6価クロム濃度(μg/mL)をプロットする。

――――― [JIS K 6558-10-2 pdf 6] ―――――

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6価クロム濃度はx軸に,面積はy軸にプロットして検量線とする。

7.5 回収率の測定

  回収率の測定は,試験結果に影響を及ぼす可能性のあるマトリックス効果に関する情報を得ることがで
きるため重要である。
7.2で調製した分析溶液から全量ピペットで10 mLを採取し,6価クロム標準液を全量ピペットで0.2 mL
(革質量当たり10 mg/kgの6価クロム濃度に相当する)採取して加える。7.4の検量線の作成で注入した
量と等量(VC)のこの溶液をクロマトグラフに注入し,得られたクロマトグラムのピーク面積を(As)と
して記録する。
抽出溶液から,全量ピペットで10 mLを採取し(先に7.2で調製した分析溶液から採取した量と同容量),
6価クロム標準液を全量ピペットで0.2 mL(革質量当たり10 mg/kgの6価クロム濃度に相当する)採取し
て加える。7.4の検量線の作成で注入した容量と同容量(VC)のこの溶液をクロマトグラフに注入し,得
られたクロマトグラムのピーク面積をAstとして記録する。
これらの溶液の二クロム酸カリウムのピーク面積は,検量線の範囲内になければならない。範囲内にな
い場合は,試料の採取量を少なくして,手順を繰り返し,回収率が80 %120 %の範囲となるようにする。
注記 追加した6価クロムが検出できない場合は,革中に還元性物質が含有していることを示してい
る可能性がある。この場合は,この革は6価クロムを含有していない(定量下限未満)という
結果になる。

8 計算及び結果の表し方

8.1 6価クロム含有量の算出

  革から抽出した6価クロム含有量の算出は,次の式から求める。
(A b) 0 VC
wCr ( VI )
VM m F
ここに, wCr(VI) : 革から抽出した6価クロム含有量(mg/kg)
A : 試料抽出物のクロマトグラム中における二クロム酸カ
リウムのピーク面積
F : 検量線の傾き(y/x)(mL/μg)
b : 検量線の切片(y/x)
m : 採取した試料の質量(g)
V0 : 抽出溶液の容量(mL)
VC : 校正時の注入量(μL)
VM : 試料分析時の注入量(μL)
結果は,揮発性物質を0 %として換算する。
wCr ( VI)
dry D
wCr ( VI)
ここに, D : 揮発性物質を0 %として換算するための係数
D
w
ここに, w : JIS K 6558-2に規定する方法で測定した揮発性物質の質
量分率(%)

――――― [JIS K 6558-10-2 pdf 7] ―――――

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8.2 回収率

  回収率は,次の式によって求める。
As (V1V2 ) V1
100
Ast (V1 V2 )
ここに, η : 回収率(%)
V1 : 試料溶液からの採取容量(mL)
V2 : 二クロム酸カリウム標準液の採取容量(mL)
As : 7.5で測定した6価クロム添加後の試料溶液におけるピ
ークの面積
A : 7.3で測定した元の試料におけるピークの面積
Ast : 7.5で測定した6価クロム添加後の抽出溶液におけるピ
ークの面積

8.3 結果の記載

  6価クロム含有量は,キログラム当たりのミリグラム量(mg/kg)で表し,結果は,算術平均で表し,四
捨五入によって,小数点以下1桁とする。結果は揮発性物質を0 %として換算する。揮発性物質は,JIS K
6558-2に規定する方法で測定し,パーセント(%)で表し,結果は,四捨五入によって,小数点以下1桁
とする。

9 試験報告書

  試験報告書には,次の事項を記載する。
a) 試験結果の算術平均(mg/kg,小数点以下1桁,揮発性物質を0 %として換算)
b) この規格の規格番号
c) 試料を識別するための詳細情報及び試料採取に関する7.1との相違点
d) クロマトグラフ法の簡単な記載(例えば,直接測定法又はポストカラム反応法のいずれを使用したか)
e) 試料の揮発性物質の質量分率(%,小数点以下1桁)
f) 回収率(%)
g) この規格で規定した方法との相違点

――――― [JIS K 6558-10-2 pdf 8] ―――――

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附属書A
(参考)
直接法のクロマトグラフ法の条件
A.1 一般原則
試験研究機関の機器・装置は多様であるため,イオンクロマトグラフ分析において,一般的に適用可能
な操作方法を規定することは難しい。次のパラメータは,実際に試験実績及び使用実績がある。
A.2 イオンクロマトグラフ法の条件の例
A.2.1 移動相試薬
全ての試薬は,特級以上の純度のものを使用することが望ましい。
A.2.1.1 無水硫酸アンモニウム
A.2.1.2 水酸化ナトリウム
A.2.1.3 移動相保存溶液
無水硫酸アンモニウム33.0 g及び水酸化ナトリウム0.4 gを採取し,蒸留水を加え溶解し,1 000 mLの
全量フラスコに入れ,蒸留水を加えて1 000 mLとする。この溶液には,250 mmolの硫酸アンモニウム及
び10 mmolの水酸化ナトリウムを含み,pHは8.2である。この溶液から,イオンクロマトグラフ法の溶出
液を調製する。
なお,保存期限は,温度4 ℃保存で4か月である。
A.2.1.4 移動相
移動相保存溶液100 mLを1 000 mLの全量フラスコに入れ,蒸留水を加えて1 000 mLとする。この溶液
には25 mmolの硫酸アンモニウム及び1 mmolの水酸化ナトリウムを含む。このときの溶液のpHは,8.0
±0.2とする。溶液をメンブランフィルタでろ過する。
なお,使用期限は室温で1週間である。
A.2.2 装置条件
カラムオーブン : 30 ℃
移動相 : 25 mmol硫酸アンモニウム,1 mmol水酸化ナトリウム
カラム : イオン交換カラム(四級アンモニウム基で修飾されたポリメタクリル酸樹脂),4.6 mm×75 mm,
1 mm プレカラム
波長の範囲(フォトダイオードアレイ検出器だけ) : 200 nm550 nmのUV吸収を記録する
抽出するクロマトグラムの波長 : 372 nm
流量 : 0.9 mL/min
注入量 : 50 μL
クロマトグラムの時間 : 5分間
試料注入間のカラム平衡時間 : 6分間
A.3 市販試料の分析によって得られたクロマトグラム及びUVスペクトルの例
図A.1は,6価クロムを3.9 mg/kg含有する試料から得られたクロマトグラムを示す。図A.2は,図A.1
の試料のクロマトグラムからフォトダイオードアレイ検出器で取り込まれた3.755分におけるクロム酸イ

――――― [JIS K 6558-10-2 pdf 9] ―――――

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オンのUVスペクトルを示す。
AU

図A.1−6価クロムを3.9 mg/kg含有する試料から得られたクロマトグラム
AU

図A.2−図A.1の試料のクロマトグラムからフォトダイオードアレイ検出器
で取り込まれた3.755分におけるクロム酸イオンのUVスペクトル

――――― [JIS K 6558-10-2 pdf 10] ―――――

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JIS K 6558-10-2:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17075-2:2017(MOD)

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