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K 7086-1993
附属書3 COD測定によるENF試験
1. 適用範囲 この附属書は,ENF試験片を用い,荷重−COD線図から,き裂進展開始直後及びき裂進展
過程のモードIII層間破壊じん性値GIICI,GIIRを求めるための操作と計算を規定する。GIIRは,き裂が安定
に進展している状態で測定する。COD制御,座標変換制御などで試験機を制御すれば,き裂進展を安定化
することができる。
参考1. COD制御については,次の文献がある。
K. Kageyama, M. Kikuchi and N. Yanagisawa, “Stabilized End Notched Flexture Test :
Characterization of Mode II Interlaminar Crack Growth”, Composite Materials : Fatigue and Fracture
(Third Volume), ASTM STP 1110, T. K. O'Brien Ed, American Society for Testing and Materials,
Philadelphia, 1991, pp.210-225.
2. 座標変換制御については,次の文献がある。
田中,座標変換制御によるモードII破壊じん性試験の安定化,日本複合材料学会1991年
度研究発表講演会予稿集,日本複合材料学会,1991, pp.31-32.
備考 CODコンプライアンスは,荷重点コンプライアンスよりき裂進展に対する変化が大きい。した
がって,同じ5%増加点で初期限界荷重を定義しても,対応するき裂進展量が異なる。荷重−
COD線図による方が,より小さなき裂進展に対応し,層間破壊じん性値も通常低めの値を与え
る。そこで,この附属書3で規定する荷重−COD線図の初期限界荷重から求めたモードII層間
破壊じん性値をき裂進展直後のモードII層間破壊じん性値GIICIと呼び,附属書2で規定する方
法で求められるき裂進展初期のモードII層間破壊じん性値GIICと区別する。
2. 試験装置及び器具 試験機は本体によるほか,次による。
2.1 ENF試験ジグ ENF試験ジグは,試験中ENF試験片に3点曲げ荷重を負荷するためのもので,附属
書2図1のJIS K 7074の3点曲げジグ又はそれと同等の3点曲げジグを用いる。
2.2 き裂開口変位計 き裂開口変位計(以下,COD計という。)は,試験中に試験片に加えられたCOD
のすべてを連続的に記録することができるものとし,設定した試験速度において誤差がCOD値の±1%又
はそれ以下である機構のもの。附属書3図1には,ENF試験用のCOD計の一例(日本国特許願63-80078,
米国特許4914965)を示す。
――――― [JIS K 7086 pdf 21] ―――――
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附属書3図1 ENF試験片(モードII)COD計の一例
3. 操作
3.1 試験速度 試験速度は,次による。
(1) OD制御で試験を行う場合は,試験速度は試験中にCODが増加する速度である。座標変換制御で試
験を行う場合は,き裂進展前に荷重点が移動する速度である。荷重線変位制御で試験を行う場合は,
試験速度は試験中に荷重点が移動する速度である。
(2) OD制御の場合の試験速度は,毎分0.03mmとする。座標変換制御及び荷重線変位制御の場合の試験
速度は,毎分0.5mmとする。
3.2 試験片の装着 試験片の装着は,ENF試験ジグを用い,次のとおりとする。
(1) 支持点と荷重点間の距離を50±0.2mmに調整する。
(2) 荷重計の零点を調節する。
(3) き裂面間幅5mm厚さ0.3mm程度のフィルム状クッション材(ポリテトラフルオロエチレンなど)を
附属書2図2に示すように支点上の位置に挿入する。
(4) 片側切欠き曲げ試験片のCODを測定するため,試験片の切欠き側端面にCOD計を取り付ける。
(5) 試験片の基準線と一方の支持点の位置を合わせて試験片をジグに支点のりょう線に直角に取り付ける。
(6) 荷重がほぼ零で荷重点と支持点で試験片が幅方向全域で同時に接触し,片当たりがないように,試験
機のクロスヘッド位置とジグを調節する。
(7) OD計の零点を調節する。
3.3 試験の操作 試験の操作は,試験片の種類及び試験機の制御方式によって異なる。その操作は,次
による。
(1) OD制御及び座標変換制御によるENF試験の操作は,次による。
(1.1) き裂長さが約50mmになるまで附属書3図2のように試験片に荷重を負荷し,その後,荷重を零に
して試験を終了する。
――――― [JIS K 7086 pdf 22] ―――――
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(1.2) き裂長さの測定には,精度が保証された修正コンプライアンス較正法を用いる。
(1.3) 試験後試験片を二つに割り,初期き裂長さを測定する(附属書2図4参照)。試験片両側面及び幅中
央の3点で測定した平均値を,初期き裂長さa0とする。3点で測定したき裂長さの最大値と最小値
の差は,3mm以内であること。
(2) 荷重線変位制御によるENF試験は,次による。
(2.1) 試験片にクロスヘッド速度一定の負荷を加えることによって行う。
(2.2) き裂進展は不安定に生じるので,試験中のき裂長さは測定しない。
(2.3) 試験後,試験片を二つに割り,(1.3)に従って初期き裂長さを測定する。
3.4 CODの原点 初期の直線とCOD軸の交点をCODの原点とみなし,以後この原点を基準にしてCOD
を測定する。
3.5 CODの永久変形分 最大変形後のCODの永久変形分(1)が,CODの最大値の10%を超える場合には
正確なCODコンプライアンスを求めるため,附属書1の3.4(1)の代わりに附属書3図3のようにき裂が
5mm程度進展した後,直ちに除荷,再負荷を行う。
注(1) ODの永久変形分は,除荷中の荷重−COD線図の直線部分を延長してCOD軸との交点として
求める。
3.6 CODコンプライアンス ( ‰湮 定 CODコンプライアンス ( ‰湮 定は,附属書3図2及び附属
書3図3を参考にして次による。
(1) 通常の除荷を行わない場合は,荷重−COD線図上のCODと荷重の比 P
(2) 除荷及び再負荷を行う場合は,荷重−CDD線図における直線部分のこう配から求めたCODと荷重の
比
P
附属書3図2 荷重き裂開口変位(除荷をしない場合)
――――― [JIS K 7086 pdf 23] ―――――
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附属書3図3 荷重き裂開口変位(除荷をする場合)
3.7 荷重線コンプライアンスの測定 荷重線コンプライアンスは,荷重線変位と荷重の関係からCODコ
ンプライアンスと同様な手順によって測定する。荷重線変位に試験機及び試験ジグの変形が含まれている
場合には,試験片の代わりにそれより著しく曲げ剛性の高い鋼材などを試験ジグ間に挿入して荷重を負荷
し,試験機と試験ジグのコンプライアンスをあらかじめ求めておく。試験機と試験ジグのコンプライアン
スが試験片の初期の荷重点コンプライアンスの1%以下ならば無視してよいが,それを超える場合には,
測定された荷重点コンプライアンスから試験機と試験ジグのコンプライアンスを減じたものを計算に用い
る荷重点コンプライアンスとする。
3.8 曲げ弾性率 曲げ弾性率が必要な場合は,JIS K 7074によって,試験片の半分の板厚をもつ4点曲
げ又は3点曲げ試験片(試験終了後二つに割った試験片の破面をヤスリなどで研磨して平らにしたものを
試験片としてもよい。)の曲げ試験を行う。
3.9 試験 試験の目的に応じ,次の測定を行う。
(1) 荷重−COD線図
(2) 荷重−荷重線変位線図
(3) 限界荷重及びき裂長さ
(4) ODコンプライアンス及び荷重点コンプライアンス
(5) 曲げ弾性率
(6) 試験機と負荷ジグのコンプライアンス
(7) 初期き裂長さ
4. 計算
4.1 COD制御及び座標変換制御の場合 COD制御及び座標変換制御の場合は,次による。
(1) 荷重−COD曲線における初期の直線の傾きより5%小さい直線が荷重−COD曲線と交わる交点の荷重
値 (P5) を読み取る。その交点以前に荷重が最大値又は最初のピーク値に達していない場合は,P5を
――――― [JIS K 7086 pdf 24] ―――――
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Psとする。P5に達する以前に荷重が最大値又は最初のピーク値を取る場合は,その荷重値をPsとする。
(2) き裂進展開始直後のモードII層間破壊じん性値は,次の式(1)及び式(2)によって算出する。
9a21P2CC1
GIIC= (1)
2B 2L3+3a31
又は
3PS
Gx IICi= S
(pdf 一覧ページ番号 )
4B 2H
ここに, GIIC : 荷重点変位から求めたき裂進展開始直後のモードII層間
破壊じん性値 (kJ/m2)
GxIIC : CODから求めたき裂進展開始直後のモードII層間破壊じ
ん性値 (kJ/m2)
a0 : 初期き裂長さ (mm)
Ps : 初期限界荷重(き裂進展直後) (N)
C0 : 初期の弾性部分の荷重点コンプライアンス (mm/N)
初期限界荷重時のCOD(き裂進展直後) (mm)
B : 試験片板幅 (mm)
参考 P5を用いる代わりに荷重−COD線図における非線形挙動の開始点PNL(初期の直線から荷重−
COD関係が外れる点の荷重)によって破壊じん性値GIICを計算してもよい。この場合,P5で定
義したGIICよりも低めのじん性値を与え,安全側の評価となる。
(3) き裂長さは,次の式(3)によって算出する。
a 21
= 1 B + 0 (3)
2H
ここに, a : き裂長さ (mm)
2H : 試験片板厚 (mm)
CODコンプライアンス
戀 N21
直線の傾き ( m)
m
戀 直線の切片(無次元)
戀こ
(4) 式(3)によってき裂長さをCODコンプライアンスから求める場合は,式(3)における係数, び 戀
別途解析によって求め,その精度を実験によって確認するか又は支点上で試験片を移動させてき裂長
さを変えることによって実験的に求めておかなければならない。解析又は実験によって得られたき裂
a
長さとCODコンプライアンスの関係を附属書3図4のように縦軸に無次元化き裂長さ 2,横軸に単
H
位幅当たりのCODコンプライアンスの平方根 B を取ってプロットし,両者の関係を直線で近似
して,係数 戀 戀 と異なり進展中のき裂長さを実測することは困難である。
参考 戀 無次元係数DIIを用いると,次の式(4)によっても算出できる。
1=31 .62D=
II EL (4)
ここに, EL : 曲げ弾性率 (GPa)
DIIはほぼ0.408に等しい。係数 戀 戀 潛 結果を式(3)に当てはめて求めるが,式(4)から分かるよ
うに 戀 片寸法のわずかな違いではほとんど変化せず,弾性率が同じならばほぼ同一の値を与え
る。このことを利用して,例えば,繊維体積含有率のわずかな差による弾性率の変動の補正などに式
(4)を利用してもよい。
――――― [JIS K 7086 pdf 25] ―――――
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JIS K 7086:1993の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.120 : 強化プラスチック
JIS K 7086:1993の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0601:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ
- JISB0621:1984
- 幾何偏差の定義及び表示
- JISB7502:2016
- マイクロメータ
- JISB7507:2016
- ノギス
- JISK6900:1994
- プラスチック―用語
- JISK7072:1991
- 炭素繊維強化プラスチックの試料の作製方法
- JISK7074:1988
- 炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法
- JISK7100:1999
- プラスチック―状態調節及び試験のための標準雰囲気
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方