JIS K 7244-10:2005 プラスチック―動的機械特性の試験方法―第10部:平行平板振動レオメータによる複素せん断粘度 | ページ 2

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K 7244-10 : 2005 (ISO 6721-10 : 1999)
にするためには,試験片の厚さは0.53 mmの範囲にあり,円板の直径と試験片の厚さとの比が1050
の範囲にあることを推奨する。低粘度の高分子液体では,これらの推奨範囲から外れた寸法で測定しても
よい。円板同士が平行でないことによって起こる円板間距離の変動は,±0.01 mm以内とする。試験中の
円板間距離の変動は,±0.01 mm以内とする。

5.5 校正

 試験機製造業者の取扱説明書に従い,試験機のトルク,角度変位及び角周波数の応答特性を
それぞれ測定することによって,レオメータを定期的に校正する。
校正は,試験温度で実施することが望ましい。

6. 試料の採取

 試験片調製に関する固有の方法及び試験装置への取付けを含む試料採取手順は,関連す
る材料の規格に規定されたものによるか,又は受渡当事者間の協定による。測定する試験片は,一般的に
35 g程度の少量なので,実質的には採取した材料の代表的なものになる。
試料又は試験片が吸湿性であるか揮発性成分を含む場合には,粘度変化を防止するか又は最小にするよ
うに保管しなければならない。試験片調製に先立って,試料の乾燥が必要になることもある。
試験片は,射出成形,圧縮成形によるか,又はシートから切り出して円板形状にする。又は,円板の間
にペレット,液体又は溶融高分子を充てんしてもよい。試験片が酸化しにくいか又は揮発分の損失が少な
いときに限り,溶融状態で取り付けてもよい。
試験片には,目視できる不純物及び気泡が含まれてはならない。試験片は,試験前又は後に目立った変
色を示してはならない。

7. 手順

7.1 試験温度

 粘度には温度依存性があるために,通常,試料間の比較が目的の測定は同じ温度で行う。
詳細は関連する材料の規格に規定されたものによるか,又は受渡当事者間の協定による。

7.2 円板間距離の零点調整

 装置を試験温度で熱平衡状態にさせる。平衡時間は1530分を推奨する。
円板を互いに接触するまで移動させてから,円板間距離の指示計を零に設定する。
7.3 試験片の取付け 試験片は,6.で規定するように,固体又は溶融状態で装置に取り付ける。試験片は,
2枚の平板間のすき間を完全に充てんしなければならない。測定開始前に,円板周端部からはみ出した余
分な試料は,取り除く。
さらに,円板とよく密着するように,試験片をわずかに押しつぶしてもよいが,そのとき,試験片が円
板周端部の外側にはみ出さないように,十分に注意する。
試験片と円板とを試験温度で,十分に熱平衡状態に達するまで保持する。この保持時間を予熱時間と呼
ぶ。どのような試験装置,円板及び試料片形状,ポリマー,試験片厚さ,取付け手順及び試験温度であっ
ても,予熱時間は設定を10 %ずつ長くしながら測定を繰り返すことによって決定する(備考参照)。複素
せん断弾性率 G,せん断貯蔵弾性率G 及びせん断損失弾性率G の測定値に変化がなくなった時を予熱時
間とする。
備考 試料の熱安定性は,時間依存性を測定することで確認できる(7.6参照)。
装置と試験片とが試験温度に達したとき,円板間距離と等価である試験片厚さdを測定する(5.4参照)。
この試験片の厚さの値が,すべての計算で使われる。

7.4 試験片の状態調節

 試験片は測定前に,試験温度で一定時間せん断のない状態に置く,及び/又は
あらかじめせん断を掛けることによって状態調節する。

――――― [JIS K 7244-10 pdf 6] ―――――

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7.5 試験方式(応力制御又はひずみ制御)

 ひずみ制御方式又は応力制御方式の装置を用いて測定を行
う。
ひずみ制御方式では,一定角周波数の正弦波変位を印加し,その結果発生する正弦波トルクとトルク−
角度変位間の位相差とを測定する。
応力制御方式では,一定角周波数の正弦波トルクを印加し,その結果発生する正弦波角度変位とトルク
−角度変位間の位相差とを測定する。
この規格に従った試験片の動的レオロジー特性の測定は,線形粘弾性領域の挙動に限定される。この規
格では,線形粘弾性挙動は,粘度又は弾性率が印加された応力若しくはひずみに依存しないものとして定
義する。この仮定は,試験データの解析に必要である。それ故に,応力制御方式又はひずみ制御方式の振
動の振幅は,試験片の変形が線形粘弾性領域内に入るように設定する必要がある。
線形粘弾性挙動領域の限界を決定する方法は,7.7を参照する。

7.6 試料の熱安定性の決定

 特定の材料の試験に先だって,材料の熱安定性を決定するため,試験温度
における時間依存性を測定する。その場合,測定は,同一の平板及び試料片形状と角周波数とを用い,引
き続き行う試験と同じトルク又は角度変位で行う。 複数の振動周波数で測定することが必要となる場合が
ある(備考1.参照)。熱安定時間は,測定開始後, G,G ,G のいずれかの測定値が初期値から5 %変
化するまでの経過時間として定義される(備考2.参照)。熱安定時間は所定の温度及び角周波数における時
間として,例えば,250 ℃,1rad・s−1において500秒と表示される。同一試料の新しい試験片を用いて引
き続き行う測定は,同一温度で熱安定時間より短い時間内で完了しなければならない。
備考1. レオロジー特性に対する試験片劣化の影響は,低周波数の振動で測定することによって,容
易に識別できる。
2. 弾性率の初期値を決定する場合に,測定開始直後の不安定な出力波形を削除する場合もある。
ある種の材料に対しては,早い劣化又は架橋のために熱安定性時間以内に望ましい結果が得られないこ
とがある。このような場合,試験報告には,測定時間内に起きた弾性率の変化の割合を記載する。この値
は,時間依存性から求められる。

7.7 線形粘弾性挙動領域の決定

7.7.1 ひずみ制御方式の場合 ひずみ制御方式を用いる場合には,ひずみ依存性を測定することによって,
振幅の最大許容値を決定する。
ひずみ依存性の測定は,同一の平板及び試験片形状を用い,引き続き行われる試験と同程度の角周波数
と温度とで行う。線形粘弾性挙動の限界が角周波数依存性をもつことを確認するために,複数の周波数で
測定を行う場合もある。1 %未満の円板周端部のひずみから開始し,徐々にひずみを増加させながら,広
範囲に測定することが望ましい。
線形粘弾性領域内において振動振幅の最大許容値を求めるために,複素せん断弾性率 G,せん断貯蔵弾
性率G 及びせん断損失弾性率G を振幅の関数として測定する。
実際の測定で使うひずみの最大値は, G,G ,G のいずれかの値が線形粘弾性領域の値から5 %ず
れるときのひずみの最小値よりも,更に小さくしなければならない。線形粘弾性領域の特性を決定できな
い場合には,試験報告に記載する。
備考 ある種の材料では,非常に小さなひずみ領域においてだけ線形粘弾性領域が現れる。関連する
測定誤差があるため,この領域における正確な特性が決定できない場合がある。

――――― [JIS K 7244-10 pdf 7] ―――――

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7.7.2 応力制御方式の場合 応力制御方式を用いる場合,応力依存性を測定することによって,線形粘弾
性挙動の範囲を決定する。応力依存性の測定は,同一の平板及び試験片形状及び角周波数を用い,引き続
き行われる試験と同程度の角周波数と温度とで行う。線形粘弾性挙動の限界が角周波数依存性をもつこと
を確認するために,複数の周波数において測定を行う場合もある。1 %未満の円板周端部のトルクから開
始し,徐々にトルクを増加させながら,広範囲に測定することが望ましい。
線形粘弾性領域内においてトルクの最大許容値を求めるために,複素せん断弾性率 G,せん断貯蔵弾性
率G 及びせん断損失弾性率G をトルクの関数として測定する。
G,G ,G のいずれかの値が線形粘弾性領域の値から5 %ずれるときのトルクの最小値に対し,実
際の測定で使われるトルクの最大値を,更に小さくしなければならない。
線形粘弾性領域の特性を決定できない場合には,試験報告に記載する(7.7.1備考参照)。
7.7.3 線形粘弾性挙動の確認 測定が線形粘弾性領域内で行われたことを確認するために,更に出力波形
を調べてもよい。
線形粘弾性挙動を仮定すると,加えた正弦波変位又は正弦波トルクに対して,それぞれ結果として生じ
るトルク又は角度変位は,同じく正弦波になる。出力が正弦波でないことは,非線形挙動であることを示
す。この場合,実験データの解析で置かれた仮定が不適切なので,得られた弾性率と粘度とは正確ではな
い。このような線形粘弾性の確認を行った場合には,試験報告に記載する。

7.8 周波数依存性の測定

 試験片の周波数依存性を測定するときに,特に低周波数の測定では,試料が
劣化しないことの確認が必要である。また,高周波数の測定では,試験片のゆがみ又は破壊がないことの
確認が必要である。
例えば,劣化,架橋又はメルトフラクチャによる試験片の変化は,試験結果に影響を与える。このよう
な変化の影響は,試験終了後に,そのまま同一の試験片を同一の測定条件で繰り返し測定を行い,その結
果を比較することによって確認できる。
一般にメルトフラクチャとして知られる円板周端部において試験片のゆがみが起こると,その測定は,
無効である。しかし,試験片にゆがみが生じる前に得られた測定結果は,有効である。

7.9 温度依存性の測定

 低温から高温へ温度依存性を測定する場合,試験前に試験片を円板の間で溶融
し,その後測定開始温度に冷却することによって,試験片と円板との間の物理的な密着を良好にすること
も必要になる。
温度依存性を測定するときには,装置の熱膨張によって生じる寸法変化の補正を考慮する。幾つかのシ
ステムは,ジグの線膨張係数を用いて,この補正を自動的に行うソフトウェアを備えている。
試験片の劣化と試料のゆがみに関しては,7.8も参照する。

8. 結果の表示

8.1 記号

 D     円板の直径(m)
d 円板間距離(m)
T トルク(N・m)
角度変位(rad)
(振動の)角周波数(rad・s−1)[f ,fは周波数(Hz)]
せん断応力(Pa)
最 せん断ひずみ(無次元)

――――― [JIS K 7244-10 pdf 8] ―――――

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G せん断貯蔵弾性率(Pa)
G せん断損失弾性率(Pa)
G 複素せん断弾性率(Pa)
動的せん断粘度(Pa・s)
複素せん断粘度の異相成分(Pa・s)
複素せん断粘度(Pa・s)
位相差又は損失角(rad)
t 時間(s )

8.2 複素せん断弾性率及び複素せん断粘度の計算

 次の式の調和関数の応力
t 0exp i t
を受ける線形粘弾性液体では,次の式の調和関数のひずみ
t 0exp it
が結果として得られる。
ここに, 0 び0 柿 それぞれ応力及びひずみの振幅
角周波数
応力−ひずみ間の位相差又は損失角
次の式も定義される。
せん断貯蔵弾性率 G 0cos / 0
せん断損失弾性率 G 0 sin / 0
*
複素せん断弾性率 G G iG
動的せん断粘度 G /
複素せん断粘度の異相成分 G /
*
複素せん断粘度 i
ここに, iは i 1
*
さらに, Gを G i * のように表すことができる。
平行平板の強制振動法では,試験片が線形粘弾性応答すると仮定すると,流動の運動方程式は,次の式
によって与えられる。
T0 D4 / 32dG iG 0 exp i
ここに, 0T : トルクの振幅
0燿 角度変位の振幅
この式は慣性とコンプライアンスとの項が小さいと仮定している。ポリマー溶融体を測定する場合に,
特に低い角周波数で,かつ,試験片の剛性が装置の剛性と比較して小さい場合に,これらの仮定によって
生じる誤差は,一般に小さくなる(備考参照)。
備考 慣性とコンプライアンス項との補正は多くの研究者,例えば, Marin [1],Walters [2]及び
Whorlow [3] によって提案されている。
そこで,加えられた角周波数に対する,せん断貯蔵弾性率G 及びせん断損失弾性率G は,次の式によ
って求める。

――――― [JIS K 7244-10 pdf 9] ―――――

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G 32dT0 cos / 0D4
及び,
G 32dT0 sin / 0D4
位相差 実験で求められる。
先に記載したせん断弾性率と粘度との関係式から,次の式が得られる。
32dT0 sin / 0 D4
及び,
32dT0 cos / 0 D4
角度変位 燿 円板の周端部において試験片のひずみ 次の式によって求める。
D2/d
一般に,市販の装置は,測定データから複素せん断弾性率及びその実数部と虚数部との値を算出するソ
フトウェアを備えている。トルクと変位振幅及び正弦波トルク−変位振幅間の位相差を測定して解析する
方法は,別の方法でもよい。また,慣性とコンプライアンスとの補正を行う場合には,異なった補正方法
でもよい。これらの手順の詳細は,現時点では,この規格の適用範囲外である。弾性率と粘度との算出方
法が,ここで提示された方法と基本的に異なる場合には,その方法の原理を試験報告に記載する。

9. 精度

 次に掲げる精度のデータは,1995年に,10か所の試験機関で実施された一連の試験によって得
られた[4]。
この試験では,3種類の角周波数を使用し,総合的な測定が行われた。rs及びRsは,それぞれ併行標準
偏差及び再現標準偏差である。
r及びRは,それぞれ併行精度限界値及び再現精度限界値である(JIS Z 8402-1参照)。
mは,それぞれの角周波数における弾性率の平均値である。
ラウンドロビン試験では,2種類の材料が使用された。充てん材を含まない高密度ポリエチレン(PE−
HD)と充てん材を含まないポリプロピレン(PP)である。PE−HD試験片は,圧縮成形で作製され,PP
試験片は,射出成形で作製された。すべての試料は,ラウンドロビン試験の主催者から参加者に供給され
た。測定装置には,ひずみ制御方式レオメータ及び応力制御方式レオメータの両者が使用された。
ポリエチレン,G (190℃)
角周波数 平均値 m 併行精度 再現精度
rs(%)
rad・s-1 Pa r(%) s(%)
R R(%)
1 6130 3.0 8.4 9.4 26.4
10 25500 2.0 5.5 8.9 24.8
100 91300 1.6 4.4 7.9 22.2

――――― [JIS K 7244-10 pdf 10] ―――――

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