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附属書6 サンプリングの偏りをチェックする実験方法
1. 適用範囲
この附属書は,サンプリングの偏りの有無を検討する実験方法を規定する。
備考 この方法は,試料調製の偏りをチェックする場合にも適用することができる。
2. 一般事項
(1) この実験方法では,チェックしようとする方法(これを方法Bという。)から得た結果と技術的及び
経験的観点から実質的に偏りがない結果を得ることができると判断できる基準方法(これを方法Aと
いう。)の結果とを比較する。
(2) 方法Bから得た結果と方法Aから得た結果との間に統計的に有意差がないと判定した場合,受渡当事
者間の協議によって方法Bを日常の方法として採用してもよい。
備考 方法Aの結果と方法Bの結果の差が誤差によるものかどうか,すなわち,統計的に差があるか
どうかを有意水準5%のt検定(片側検定)によって検定し,偏りの有無を決定する。
(3) ロットの数は,20以上でなければならない。必要な実験数は,4.に規定しているように20の実験に基
づく差の標準偏差,及び検出しようとする偏りの値 ( ‰
備考 検出しようとする偏りの値 ( ‰ 技術的及び経済的観点から採用した試料採取方法,試料調
製方法及び測定方法の精度を十分考慮し,受渡当事者間の協議によって決定しなければならな
い。
もし,取決めのない場合は,一つの基準として総合精度 ( 戀 ‰ 出しようとする
偏りの値 ( ‰地晏罵 してもよい。
(4) 化学成分,水分,粒度,各種物理特性などのうち検討しなければならない特性を用いる。
(5) この規格で述べる実験データの解析方法は,あるロットについての積地での結果と揚地での結果の差
についても適用することができる。
3. 試料採取及び試料調製方法
3.1 サンプリング 方法Aとチェックしようとする方法Bについての例を,次に示す。
例1. ベルトサンプリング
方法A : 最大粒度の3倍以上,しかも,少なくとも幅30mm以上で,ベルトの全流幅を指定し
た場所で停止したベルトコンベヤ上からインクリメントを採取する方法。
備考 この方法を実施するためには,作業に適した十分な長さのベルトコンベヤ設備が必要
である。
方法B : ベルト全流幅のランダムに選んだ位置からインクリメントを採取する方法。
例2. 機械サンプリング
方法A : 例1.の方法Aによってインクリメントを採取する方法。
方法B : 機械サンプラによって運転中のベルトコンベヤからインクリメントを採取する方法。
例3. グラブサンプリング
方法A : 例1.の方法Aによってインクリメントを採取する方法。
方法B : グラブの中からランダムにインクリメントを採取する方法。
――――― [JIS M 8100 pdf 76] ―――――
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例4. 貨車サンプリング
方法A : 例1.の方法Aによってインクリメントを採取する方法。
方法B : (1) 貨車上の積荷の表面からさし又はボーリングサンプラでインクリメントを採取す
る方法。
(2) 貨車に積荷中又は貨車から荷卸中に生じた新しい表面からランダムにインクリメ
ントを採取する方法。
例5. 容器サンプリング
方法A : 二段サンプリングの第一段目で選んだ容器の全量を試料とする方法。
方法B : 二段サンプリングの第一段目で選んだ容器からランダムにインクリメントを採取する
方法。
例6. 船倉サンプリング
方法A : 例1.の方法Aによってインクリメントを採取する方法。
方法B : 船倉内の荷役直後の位置からインクリメントを採取する方法。
例7. 水分試料の縮分
方法A : インクリメント縮分による方法。
方法B : 縮分機による方法。
3.2 試料調製 一組の大口試料のまとめ方,試料調製及び測定の方法は,次のようにしなければならな
い。
(1) 1ロットから方法A及び方法Bによって採取したインクリメントを一組の大口試料A及びBにまと
める。
(2) 大口試料A及びBを別々に同じ方法で試料調製し,測定して一組のデータを得る。
(3) このような実験を20以上のロット又は必要数のロットについて行う。
備考 方法A及び方法Bによるインクリメントを互いにごく近い位置で採取する場合は,各インクリ
メントごとに試料調製し,測定することが望ましい。
サンプリングの偏りをチェックするために20組以上のデータについて比較検討することが
望ましい。この場合,できれば多くの銘柄を含むよう多くのロットの組について比較すること
が望ましい。しかし,インクリメントからの結果と大口試料からの結果とを一緒にして取り扱
うことはできない。すなわち,インクリメントの組又は大口試料の組のどちらかにしなければ
ならない。
4. 実験データの解析 実験データの解析方法を次に示す。
(1) 差の標準偏差の決定
(a) 方法Aによって得たi番目のデータをxAi,及び方法Bによって得たi番目のデータをxBiとする。
(b) 次の式によってxAiとxBiとの差 (di) を計算する。
di=xBi−xAi, i=1, 2,···, k (1)
(c) 差の平均値 (d) を測定データのけた数より一つ多いけた数まで計算する。
1
d Σd
i (2)
k
(d) 差の平方和 (SSd) 及び標準偏差 (sd) を計算する。
――――― [JIS M 8100 pdf 77] ―――――
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2 1 2
SSd Σd
i ( Σd
i) (3)
k
sd SSd /(k )1 (4)
(2) 必要ロット数 (nr) の決定 規準化した偏り (D) を次の式で計算する。
D (5)
sd
次に附属書6表1からDの値に対応するnr1の値を決定する。
nr1が20以下の場合は,(3)に移る。
nr1が20より大きい場合は, (nr1−20) のロットについて追加実験を行い,nr1のデータについてsd
及びDを求め,再び附属書6表1によってnr2を求める。
nr2がnr1以下の場合は,(3)に移る。
nr2がnr1より大きい場合は, (nr2−nr1) のロットについて更に追加実験を行う。
この手順はnrjがnr (j−1) 以下になるまで繰り返す。
ここに,nrj,j=1, 2, ···, jは,第j回目に求めたnrである。
(3) 検定 t0の値を次の式によって小数点以下第4位を丸めて小数点以下第3位まで計算する。
d
t0 (6)
sd / k
t0の絶対値が附属書6表2のkに対応するtの値より小さい場合,差は有意でなく,方法Bは日常
の方法として採用することができると判定する。
附属書6表1 Dとnrとの関係表
(片側検定の場合)
D nr D nr
以上 未満 以上 未満
0.30 0.35 122 1.1 1.2 11
0.35 0.40 90 1.2 1.3 10
0.40 0.45 70 1.3 1.4 8
0.45 0.50 55 1.4 1.5 8
0.50 0.55 45 1.5 1.6 7
0.55 0.60 38 1.6 1.7 6
0.60 0.65 32 1.7 1.8 6
0.65 0.70 28 1.8 1.9 6
0.70 0.75 24 1.9 2.0 5
0.75 0.80 21 2.0 5
0.80 0.85 19
0.85 0.90 17
0.90 0.95 15
0.95 1.00 14
1.00 1.10 13
備考 附属書6表1は危険率 懿 0.05及び 拿 0.05におけるD
の値に対するnrの値を示したものである。ここに,
は偏りがないときに偏りがあるとする危険率であり,
戰 估 歐估
る。
――――― [JIS M 8100 pdf 78] ―――――
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附属書6表2 有意水準5%のtの値
(片側検定の場合)
k t k t k t
20 1.729 33 1.694 46 1.679
21 1.725 34 1.692 47 1.679
22 1.721 35 1.691 48 1.678
23 1.717 36 1.690 49 1.677
24 1.714 37 1.688 50 1.677
25 1.711 38 1.687 51 1.676
26 1.708 39 1.686 61 1.671
27 1.706 40 1.685 81 1.664
28 1.703 41 1.684 121 1.658
29 1.701 42 1.683 241 1.651
30 1.699 43 1.682 ∞ 1.645
31 1.697 44 1.681
32 1.696 45 1.680
備考 kはデータの組の数である。
5. 実験例
5.1 数値例1 附属書6表3に示す数値例は,鉄鉱石について附属書6の3.1例2.によって実施した機械
サンプラについての実験結果である。
検出しようとする偏りの大きさは,受渡当事者間の協議によって全鉄分=0.2%とした。
附属書6表3 数値例1
ロットNo. 鉄鉱石の 全鉄分 %
銘柄
xBi xAi di=xBi−xAi di2
1 F 59.20 59.00 0.20 0.040 0
2 E 59.75 59.67 0.08 0.006 4
3 C 62.00 61.74 0.26 0.067 6
4 B 62.62 63.16 −0.54 0.291 6
5 B 62.96 63.26 −0.30 0.090 0
6 E 60.02 59.92 0.10 0.010 0
7 B 63.17 63.11 0.06 0.003 6
8 A 63.91 63.87 0.04 0.001 6
9 E 59.98 60.42 −0.44 0.193 6
10 D 61.21 61.13 0.08 0.006 4
11 D 61.26 61.30 −0.04 0.001 6
12 E 58.98 59.22 −0.24 0.057 6
13 F 58.95 59.09 −0.14 0.019 6
14 C 61.97 61.89 0.08 0.006 4
15 F 59.36 58.88 0.48 0.230 4
16 A 63.74 64.24 −0.50 0.250 0
17 B 62.74 63.14 −0.40 0.160 0
18 E 60.47 60.33 0.14 0.019 6
19 B 62.55 63.03 −0.48 0.230 4
20 A 63.80 63.94 −0.14 0.019 6
計 −1.70 1.706 0
――――― [JIS M 8100 pdf 79] ―――――
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1 .170
d Σd
i .0085
k 20
2 1 2 ( .170) 2
SSd Σd
i (Σd
i) .1706 0 .15615
k 20
.1561 5
sd SSd /(k )1 .0287
19
2.0
D .0696
.0287
附属書6表1から,nr=28を得る。したがって,8組の追加実験を行い,有意差検定を28組のデータ全
部について行わなければならない。
5.2 数値例2 附属書6表4に示す数値例は,鉄鉱石について3.1の例2.によって実施した機械サンプラ
についての実験結果である。
検出しようとする偏りの大きさは,受渡当事者間の協議によって全鉄分=0.1%とした。
附属書6表4 数値例2
ロットNo. 鉄鉱石の 全鉄分 %
銘柄 xBi xAi di=xBi−xAi di2
1 F 59.20 59.00 0.20 0.040 0
2 E 59.75 59.67 0.08 0.006 4
3 C 61.80 61.74 0.06 0.003 6
4 B 63.02 63.16 −0.14 0.019 6
5 B 62.96 63.06 −0.10 0.010 0
6 E 60.02 59.92 0.10 0.010 0
7 B 63.17 63.11 0.06 0.003 6
8 A 63.91 63.87 0.04 0.001 6
9 E 59.98 60.02 −0.04 0.001 6
10 D 61.21 61.13 0.08 0.006 4
11 D 61.26 61.30 −0.04 0.001 6
12 E 58.98 59.02 −0.04 0.0016
13 F 58.95 59.05 −0.10 0.010 0
14 C 61.97 61.89 0.08 0.006 4
15 F 59.06 58.88 0.18 0.032 4
16 A 63.74 63.75 −0.01 0.000 1
17 B 62.74 62.80 −0.06 0.003 6
18 E 60.47 60.42 0.05 0.002 5
19 B 62.55 62.62 −0.07 0.004 9
20 A 63.80 63.83 −0.03 0.000 9
計 +0.30 0.166 8
1 .030
d Σd
i .0015
k 20
2 1 2 .0(30) 2
SSd Σd
i (Σd
i) .0166 8 .0162 3
k 20
.0162 3
sd SSd /(k )1 .0008 5 .0092
19
1.0
D .108
.0092
――――― [JIS M 8100 pdf 80] ―――――
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JIS M 8100:1992の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3082:1987(NEQ)
- ISO 3084:1986(NEQ)
- ISO 3085:1986(NEQ)
- ISO 3086:1986(NEQ)
JIS M 8100:1992の国際規格 ICS 分類一覧
JIS M 8100:1992の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8801:1994
- 試験用ふるい
- JISZ8815:1994
- ふるい分け試験方法通則