JIS M 8250:2015 鉄鉱石―分析用試料の吸湿水定量方法―重量法,カールフィッシャー滴定法及び乾燥減量法 | ページ 2

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注記 この乾燥は,系のキャリアガスの汚染を制限して二次乾燥剤の使用寿命を延ばすために行う。
5.2.3 シリカゲル乾燥剤 青色指示薬入りのもの。
シリカゲルは,使用前に105 ℃で4時間加熱して乾燥する。
5.2.4 硫酸銅(II)五水和物 結晶性粉末のもの。
粒径の大きいものは微粉砕せずに,乳鉢を用いて約1 mmの粒径に押し潰す(すり潰さないこと。)。
5.2.5 窒素 JIS K 1107の1級の品質に適合したもので,3550 kPaの圧力でフィルターを通して供給さ
れるもの。

5.3 装置

  装置は,次のものを用いる。定量装置の加熱管までの構成例を図A.1に,加熱管以降の構成例を図A.2
に,それぞれ示す。
5.3.1 はかり 吸収管の質量を0.1 mgの桁まではかれるもの。
5.3.2 加熱炉 アルミニウム金属ブロックタイプのものが好ましく,1個,望ましくは数個の加熱管
(5.3.3)の収容が可能で,それらの管が160 mm以上の長さの範囲で105±2 ℃に保持されるもの。
5.3.3 加熱管及び接続部 ほうけい酸ガラス製で,ふっ素ゴム製Oリングシールの付いた,押し棒用の
キャップ部がきっちりはまるもの又は接続部をすり合わせガラスとして密閉性を保持したもの。
加熱管の例を,附属書Bに示す。
5.3.4 ガス乾燥塔 250 mLの容量で,加熱管(5.3.3)へ導入する窒素(5.2.5)の乾燥のため,1本目に
は乾燥用合成ゼオライト(5.2.2)又はシリカゲル乾燥剤(5.2.3)を充し,2本目には乾燥剤(5.2.1)を
充したもの。
1本目のガス乾燥塔は,2週間ごとに新しく乾燥させた乾燥用合成ゼオライト又はシリカゲル乾燥剤に詰
め直す。良好な乾燥のためには,乾燥剤の結合容量(CC)は質量分率10 %に抑えるのが望ましい。
5.3.5 流量計 100200 mL/分の流量が測定可能なもの。
くびれによる圧力降下を流量測定に用いる場合,マノメータ液は不揮発性オイルを用いる。
5.3.6 吸収管 化学的に不活性で,静電気帯電の影響を最小にするために,導電性材料(チタンが望まし
い。)で作られたもので,上皿はかりの角に置くことによる質量はかりとりの誤差を最小にするために,上
皿はかりに置く台付きのもの。
吸収管の例を,附属書Cに示す。
吸収管は,流される窒素(5.2.5)から水分を完全に取り除くための十分な量の乾燥剤(5.2.1)を充す
るのに適切な形状(内径8 mm×長さ300 mm)でなければならない。
吸収管は,ガス導入口及びガス排出口の接続が完全にシールされていてガス流の方向が明示されていな
ければならない。ガスの吹抜けを防ぐため乾燥剤を固く充し,ガラスウールを詰めて乾燥剤の位置を固
定する。
5.3.7 ガード管 大気中の水分の吸収管(5.3.6)への逆拡散を防ぐための,乾燥剤(5.2.1),乾燥用合成
ゼオライト(5.2.2)又はシリカゲル乾燥剤(5.2.3)を充するのに適切な形状のもの。
5.3.8 試料ボート ガラス,ステンレス鋼,磁器など,105±2 ℃の雰囲気において,不活性で安定な材
質のもの。
試料ボートのおおよその寸法は長さ100 mm×幅20 mm×高さ10 mmとする。試料ボートは使用する前
に約105 ℃で乾燥した後,デシケーター中で常温まで放冷し,使用までデシケーター中に保管する。
5.3.9 板状フィルター 加熱管(5.3.3)と吸収管(5.3.6)との間のフレキシブル接続部内に挿入する,焼
結金属,焼結ガラスなどで作られたもの。

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5.3.10 フレキシブル接続部
フレキシブル接続部の材質は,焼鈍した銅及び/又はステンレス鋼が望ましい。ポリマー製の管を用い
る場合は,水分を透過しない材質のものを選ぶ。スウェージロック型コネクタ及び取外しの容易なクロロ
プレンゴム製Oリングコネクタ継手を推奨する。取換えが必要な部品には取外しの容易なクロロプレンゴ
ム製Oリングコネクタ継手を用いる。ガラスの端部は,継ぎ目のシールの損傷を最小にするために十分滑
らかなことが望ましい。
5.3.11 流量制御用ニードルバルブ
各々の流量計の流入側に置く。

5.4 試料採取及び試料調製

5.4.1  試験室試料
分析には,JIS M 8702によって採取,調製した,粒度が100 m以下又は160 m以下の試験室試料を用
いる。
5.4.2 分析用試料の調製
試験室試料を十分に混合し,容器の全量を代表するように数インクリメントで分析用試料を採取する。
分析用試料は,不活性なトレーに試料が0.1 g/cm2を超えないように広げて2時間以上実験室に放置して
実験室の大気雰囲気に平衡させる。分析用試料は,吸湿水を測定する直前に十分に混合する。
注記 この規格では,吸湿水定量に用いる試料を測定試料,成分定量用の試料を分析試料という。い
ずれも分析用試料からその一部を採取して試料とする。

5.5 操作

5.5.1  装置の調整
5.5.1.1 加熱管の調整
加熱管(5.3.3)の温度を105±2 ℃とし,5.5.1.2から5.5.5までの操作中,この温度を維持する。
加熱管に100200 mL/分の一定量を供給するように窒素(5.2.5)の流量を調節し,5.5.1.2から5.5.5ま
での操作中,この流量を維持する。
各々の加熱管のガス流出口をガード管(5.3.7)のガス流入口につなぎ,ガード管の栓を開いて管に窒素
を15分間以上流す。
注記 装置が待機中も,加熱管を105±2 ℃の温度とし,100200 mL/分の一定量の窒素を流すのが
望ましい。
5.5.1.2 吸収管の調整
窒素(5.2.5)の流量を100200 mL/分の一定量を供給するように調節する。閉じた吸収管(5.3.6)を空
の加熱管(5.3.3)からのガス流出口につなぐ。吸収管に閉じたガード管(5.3.7)をつなぎ,最初にガード
管の栓を開き,次に吸収管の出側の栓を開き,最後に入側の栓を開く。窒素を組立部に15分間以上流す。
注記 吸収管の調整は,新しい乾燥剤(5.2.1)を詰めたときだけ必要である。
5.5.1.3 吸収管のひょう量
吸収管(5.3.6)の栓を,最初に出側を,続いて入側を閉じ,取り外す。開いたガード管(5.3.7)を加熱
管(5.3.3)からのガス流出口に再接続する。ほつれた繊維のないきれいな乾燥した布で吸収管表面を拭っ
てから,天びん室に20分間静置する。
水分,グリースなどの汚染物の移動を最小にするために,調整した吸収管及び試料ボート(5.3.8)は綿
の手袋を装着して取り扱う。
吸収管の栓を瞬間的に開き,内圧を大気圧と平衡させてから0.1 mgの桁までひょう量する。

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5.5.2 システムチェック
ひょう量した吸収管(5.3.6)及びガード管(5.3.7)を再接続し,吸収管の出側を最初に全ての栓を開き,
窒素(5.2.5)の流量を5.5.1.1の値にする。2時間後,5.5.1.2に記載した手順を正確に行う。
ガス乾燥塔(5.3.4)の乾燥剤(5.2.1)及び吸収管の乾燥剤の吸収効率が等しい場合には,吸収管の質量
はシステムチェックの間には増加しない。吸収管の質量増加が0.2 mgを超えるときには,乾燥塔の乾燥剤
の質,システムの漏れ及び吸収管のひょう量を誤差の発生源としてチェックするのが望ましい。
5.5.3 空試験
ひょう量した吸収管(5.3.6)及びガード管(5.3.7)を再接続し,全ての栓を5.5.1.2の手順に従って開き,
窒素(5.2.5)の流量を5.5.1.1の値にする。
加熱管端のキャップ部(5.3.3)を素早く外し,空の試料ボート(5.3.8)を加熱帯の入口に置く。キャッ
プ部を素早く取り付け,押し棒を用いて(手動又は磁石で)直ちに試料ボートを加熱炉(5.3.2)の中心に
動かし,導入時間を記録する。
5.5.2から5.5.4においては,加熱管中に試料ボートを置いている操作中に,実験室の水分を含む空気が
加熱管中へ入るのを防ぐために細心の注意を払って操作する必要がある。
水分,グリースなどの汚染物の移動を最小にするために,調整した吸収管及び試料ボートは綿の手袋を
装着して取り扱う。
2時間後,5.5.1.3に記載した手順に従って操作し,質量を0.1 mgの桁まで記録する。
空試験での吸収管の質量増加はできるだけ少なく,2 mgを超えないことが望ましい。測定試料の定量後
にも空試験を繰り返し,空試験値が一定であることを確認する。
5.5.4 真度のチェック試験
注記1 真度のチェック試験は,装置を初めて使用するとき及び他の適切な時期,例えば,装置若し
くは作業者を変更したとき又は吸収管の状態をチェックすることが必要になったときに行う。
また,定期的に真度のチェック試験を行うことが望ましい。
空試験の値が満足できるものであったとき,空試験に用いてデシケーター中で放冷した試料ボート
(5.3.8)に硫酸銅(II)五水和物(5.2.4)0.050.2 gを0.1 mgの桁まではかりとる。はかりとり量は,その
水分量が分析対象の鉄鉱石の品種で予想される水分量に近い量とする。
はかりとった硫酸銅(II)五水和物を入れた試料ボートを用いて5.5.3の操作を繰り返す。ただし,乾燥
時間は,短縮してもよい。空試験値を補正した吸収管(5.3.6)の増量は,硫酸銅(II)五水和物の脱水水
分含有率の値として質量分率28.5 %29.2 %の範囲にあるのが望ましい。この範囲の値とならないときは
原因を調べる。
注記2 上記試験の代わりに,校正したマイクロシリンジ(精確さ及び再現性が±1 %のもの)を用
いて,試料ボートに水又はJIS K 0113の8.1.2 l) に規定された水−メタノール溶液を直接導
入してチェックしてもよい。この場合,乾燥時間は短時間でよいが,同じ時間だけ水又は水
−メタノール溶液を加えない空試験を行い,空試験値を補正する。水分添加量に対して,±
1.2 %以内にあるのが望ましい。この範囲の値とならないときは原因を調べる。
注記3 硫酸銅(II)五水和物の脱水水分含有率とは,105±2 ℃加熱前後における,硫酸銅(II)五
水和物から硫酸銅(II)一水和物への配位水の脱離による質量減少率をいう。
5.5.5 定量
空試験及び真度のチェック試験で満足する結果が得られた後,平衡に達した分析用試料(5.4.2)から成
分定量用に必要な量の分析試料をはかりとる。引き続き,吸湿水定量のための測定試料を表1に従って直

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ちに0.1 mgの桁まではかりとる。
表1−測定試料はかりとり量−方法1(重量法)
吸湿水含有率 測定試料はかりとり量
質量分率(%) g
0.05以上 2.0未満 2.0
2.0以上 4.5以下 1.0
はかりとった測定試料を乾燥した試料ボート(5.3.8)に移し入れ,均一に広げる。直ちに,5.5.3の操作
を,空ボートの代わりに,はかりとった測定試料が入った試料ボートを用いて繰り返す。
測定試料は,吸湿水含有率が質量分率0.05 %2.0 %の試料では,単位面積当たりの試料質量が0.5 g/cm2
を超えないように,吸湿水含有率が質量分率2.0 %4.5 %の試料では0.15 g/cm2を超えないように広げる。
吸湿水定量に用いる測定試料のはかりとりは,日本工業規格(日本産業規格)(JIS)の鉄鉱石分析法規格群(以下,鉄鉱
石分析法規格群という。)における分析用試料の採取,調製及び分析試料のはかりとりと併行して実施する。
吸湿水の定量は,分析成分の報告ごとに実施する。
吸湿水の値は平均化せず,個々の値を用いて,それと対応する分析成分の分析結果を補正する。
大気雰囲気と平衡させた分析用試料を,直接,乾燥した試料ボートにはかりとってもよい。

5.6 結果の表示

5.6.1  吸湿水含有率の計算
測定試料の吸湿水含有率(HM)は,式(2)によって算出し,小数点以下2桁にJIS Z 8401によって丸め,
質量の百分率で表す。
m3 m4
HM 100 (2)
m5
ここに, m3 : 試料測定による吸収管の増加質量(g)
m4 : 空試験による吸収管の増加質量(g)
m5 : 測定試料はかりとり量(g)
分析用試料の吸湿水含有率は測定時の環境によるので,結果は併行してはかりとった分析試料の吸湿水
補正だけに用いるのが望ましい。
5.6.2 分析試料の質量の吸湿水補正
分析試料の乾燥質量(MCM)は,式(3)によって吸湿水補正を行う。
HM
MCM m6 m6 (3)
100
ここに, m6 : 分析試料のはかりとり量(吸湿水未補正質量)(g)
HM : 測定試料の吸湿水含有率[質量分率(%)]
MCM : 分析試料の乾燥質量(g)

6 方法2-カールフィッシャー容量滴定法

6.1 要旨

  大気雰囲気と平衡させた測定試料を,105±2 ℃に設定した加熱管中で,乾燥窒素を流量100200 mL/
分で流しながら,2時間加熱する。加熱時間中に放出された水分を滴定溶媒に捕集し,捕集終了後,滴定
溶媒中の水分を(自動又は分析者が制御して)カールフィッシャー試薬の滴定量から求める容量滴定方法
によって定量して吸湿水の質量とする。

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6.2 試薬

  試薬は,次による。
6.2.1 乾燥剤 5.2.1による。
警告 過塩素酸マグネシウムは,強力な酸化剤であり有機物との接触は避けなければならない。廃棄
するときは,そのまま廃棄箱に捨てず,水に溶解して処理する。
6.2.2 乾燥用合成ゼオライト 5.2.2による。
6.2.3 シリカゲル乾燥剤 5.2.3による。
6.2.4 硫酸銅(II)五水和物 5.2.4による。
6.2.5 窒素 5.2.5による。
6.2.6 エチレングリコール・メタノール脱水液 メタノール(JIS K 0113に規定したメタノールで,水分
0.005 %未満のものが望ましい。)とエチレングリコール(カールフィッシャー用の無水のもの。)とを1+
1で混合したもの。この溶液は密栓して保存する。市販のものを使用してもよい。
6.2.7 カールフィッシャー滴定液 滴定可能な水分量0.73.5 mg/mLのもの。
カールフィッシャー滴定液は,市販のものか又はJIS K 0113に規定する方法で調製したものを用いる。
カールフィッシャー滴定液の標定は,a) 又はb) の適切な量の標準品を(マイクロシリンジを用いてセ
プタムを通して)終点まで滴定された脱水液を含む滴定セルに移し入れ,6.5.3に規定した滴定操作を行う。
a) IS K 0113の8.1.2 l)(水−メタノール溶液)に規定された水−メタノール溶液
b) マイクロシリンジを用いて添加した水
注記 JIS K 0113の8.1.2 k) 注(3) には,標準品として市販のアンプル入り水標準品(10 mg/g)約2 g
を用いてもよいと記載されている。
カールフィッシャー滴定液1 mL当たりの水分量(mg)を示すファクター(F)は,この滴定から算出
される。

6.3 装置

  装置は,次のものを用いる。定量装置の加熱管までの構成例を,附属書Aに示す。
6.3.1 加熱炉 5.3.2による。
6.3.2 加熱管及び接続部 5.3.3による。
6.3.3 乾燥塔 5.3.4による。
6.3.4 流量計 5.3.5による。
6.3.5 試料ボート 5.3.8による。
6.3.6 板状フィルター 加熱管(6.3.2)と滴定セル(6.3.9)の入口との間のフレキシブル接続部内に挿入
する,焼結金属,焼結ガラスなどで作られたもの。
6.3.7 フレキシブル接続部 5.3.10による。
6.3.8 流量制御用ニードルバルブ
各々の流量計の流入側に置く。
6.3.9 滴定セル 望ましくは容量が5070 mLの褐色ガラス容器で排水弁があるもの。白金電極の入口
はセルの壁の近くに位置しているものが好ましく,一方,ビュレットの先端は,添加試薬が迅速に分散す
るようにスターラーの上部中央に位置しているものが望ましい。
容量滴定セルの構成例を,附属書Dに示す。
ビュレット,白金電極及びガス入出口は水分を通さない構造とする(すり合わせガラスが望ましい。)。
注記 水−メタノール溶液[6.2.7 a)]を校正に使用しない場合は,滴定セル(6.3.9)へのビュレット

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JIS M 8250:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 2596:2006(MOD)

JIS M 8250:2015の国際規格 ICS 分類一覧

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