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R 1610 : 2003
4.6.12 対角線長さの測定 対角線長さとして,くぼみの2方向の対角線長さを,長さが50 満の場合
には0.2 下の単位まで,50 上の場合には0.5 下の単位まで読みとる。
2方向の測定値の平均値を用いて,ビッカース硬さを算出する。もし,2方向の対角線長さの差が,平均
値の5 %以上である場合は,そのくぼみの測定値は結果から除外し,試料の平行度,試験面の平たんさ,
圧子の設置が正しく行われているかを確認する。対角線長さの測定に際しては,測定装置の取り扱い方法
をよく理解して行う。付図5に例を示す。
4.6.13 測定点数 測定点数は少なくとも5点とする。
4.6.14 ビッカース硬さの算出 各々のくぼみの対角線長さからビッカース硬さを算出し,平均及び標準偏
差を算出する。平均値はJIS Z 8401の規定に従って,有効数字3けたに丸める。標準偏差は,JIS Z 8401
の規定に従って,有効数字2けたに丸める。
4.7 報告
試験結果報告書には,次の項目を記載しなければならない。
a) 測定がこの規格 (JIS R 1610) に沿って行われたことの表示。
b) 試料に関する情報
1) 試料の材質
2) 試料厚さ
3) 試料表面の状況(研磨方法)
4) その他,試料に関する付記事項
c) 試験条件
1) 試験力
2) 試験温度(“室温”という記述でもよい。)
3) 試験を行ったくぼみの数,及びそのうちで有効なくぼみの数
4) 顕微鏡の倍率
d) 試験結果
1) ビッカース硬さの平均値
2) ビッカース硬さの標準偏差
e) この規格に沿わない事項が発生した場合,その内容
f) その他,測定に影響を与えると考えられる付記事項
5. ヌープ硬さ試験方法
5.1 原理
ひし形の底面をもつと定義された角度の四角すいダイヤモンド圧子を試料表面に押しつけ,
形成されるくぼみの長い方の対角線長さと試験力とから計算式によって硬さを決定する。付図6及び付図
7参照。
5.2 記号及びその意味
ヌープ硬さは,試験力をニュートン (N),くぼみの投影面積を平方ミリメート
ル (mm2) を単位として測定し,付表3の式で算出する。付表3,付図6及び付図7参照。
ヌープ硬さは,硬さの値,ヌープ硬さであることを示す記号HK及び試験力の値を組み合わせて,次の
例のいずれかの方法で表す。ただし,5.2 a)の方が望ましい。
a) Pa単位で表記する場合
15.0 GPa HK 9.807 N
(9.807 Nの試験力で試験を行った際のヌープ硬さが,15.0 GPaであった。)
b) ヌープ硬さ記号で表記する場合
――――― [JIS R 1610 pdf 6] ―――――
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R 1610 : 2003
1 500 HK 1
(9.807 Nの試験力で試験を行った際のヌープ硬さが,1500であった。)
5.3 ヌープ硬さの特徴
試験力が同じとき,ヌープ硬さ試験で形成されるくぼみの,長い方の対角線長
さは,ビッカース硬さ試験で形成されるくぼみの対角線長さの約2.8倍長く,形成されるくぼみの深さは,
ビッカース硬さ試験で形成されるくぼみの深さの約2/3である。また,ヌープ硬さ試験でき裂が発生する
確率は,ビッカース硬さ試験の場合より小さい。しかし,ヌープ硬さで形成されるくぼみの方が,くぼみ
の角を判別するのがより難しい。
ビッカース硬さとヌープ硬さの試験結果を直接比較したり,換算することは適切ではない。
ヌープ硬さ試験の際に形成されるくぼみは,延性金属材料に対する試験ではそ性変形によって形成され
る場合が多く,セラミックスに対する試験では弾そ性変形が関係している場合が多い。金属とセラミック
スの硬さを比較するとき,この点に留意する必要がある。
5.4 試験機
5.4.1 試験機は,JIS B 7734によるものとする。試験力は,4.90349.03 Nの範囲のうち,付表4で示す
試験力を負荷できるものであることが望ましい。 特に9.807 N及び19.61 Nの試験力を負荷できることが
望ましい。
5.4.2 試験機は,その分解,組立て,模様替え,圧子の取り替えなどを行ったときは,改めてJIS B 7734
の規定の精度に適合することを確認する。
5.4.3 前項に該当しないときでも,使用頻度に応じ,一定の期間ごとにJIS B 7734の規定の精度に適合
することを確認する。
5.4.4 ダイヤモンド圧子はひし形底面をもつ四角すい形状のものであり,付表3に定義されたものでなけ
ればならない。圧子の検証はJIS B 7734に従って行われていなければならない。
5.4.5 くぼみの対角線長さの測定装置は,0.2 下の単位で長さを読みとれるものでなければならない。
5.5 試料
5.5.1 試料表面の研磨 試験は,試料の平滑で汚れのない平面上で行わなければならない。試料は,くぼ
みの長さの測定が正確に行えるように研磨しなければならない。研磨などの試料準備の作業は,測定値に
与える影響を最小限に抑えるようにしなければならない。
5.5.2 試料の厚さ 試料の最小の厚さは,0.5 mmとする。また,試料裏面にくぼみをつけたことによる
変化が観察されてはならない。
5.6 試験方法
5.6.1 試験温度 試験は1035 ℃の温度範囲で行う。ただし,温度制御が必要な場合は,23±5 ℃の温
度範囲で行う。
5.6.2 試験力 推奨される試験力は,9.807 N及び19.61 Nである。二つの推奨試験力のうち,19.61 Nで
の試験では,より精度の高い測定を行うことができる。9.807 Nでの試験は,試験機の試験力の上限がこの
値である場合及びき裂発生などの特定の理由がある場合に使用できる。また,試験面の破壊が起こった場
合及びくぼみが不鮮明な場合など,試験に不都合が発生した場合には,4.90349.03 Nの範囲で,付表4
に示す試験力のいずれかを用いてもよい。
5.6.3 試験前の確認事項 試験前に次の点を確認する。
a) 長さ測定装置のゼロ位置が正しい。
b) 長さ測定装置の倍率が合っている。
c) 試験機の負荷機構が正しく動作している。
――――― [JIS R 1610 pdf 7] ―――――
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d) 圧子の状態が正常である。
5.6.4 圧子の清掃 試験中に圧子表面にセラミックスの破片などが付着する可能性があるので,試験前に
圧子表面のごみをふきとる。
5.6.5 試料の設置 試料はしっかりした台上に置く。試料の表面及び裏面,試料台の表面は異物などがな
いようにふきとる。試験中に試料が移動しないように試料をセットする。
5.6.6 長さ測定装置の調整 長さ測定装置の照明及び焦点を正しく合わせる。くぼみの対角線長さを測定
する際,対角線両端の二つの角に同時に焦点が合うことを確認する。それぞれの角に個別に焦点を合わせ
る必要があるときには測定を中止し,試料の平行度などを確認する。
5.6.7 試験力の負荷 圧子を試料上面に移動し,試料表面に垂直に,設定された試験力を,衝撃や振動を
与えることなく負荷する。圧子の速度が測定値に影響を与えてはならない。圧子の接触から試験力に到達
するまでの時間(負荷所要時間)は15秒が望ましい。試験力を保持する時間は15秒とする。除荷後,
すみやかに対角線長さの測定を行う。
5.6.8 試験中,試験機に衝撃や振動を与えてはならない。
5.6.9 くぼみ間距離及びくぼみと試料の縁との距離 付図8にくぼみの間隔,及びくぼみと試料の縁との
距離について示す。それぞれのくぼみ同士は,その角同士がくぼみの長い方の対角線長さの平均値の1.5
倍以上離れていなければならない。また,くぼみから発生するき裂が相互に影響し合っていることが確認
された場合には,くぼみの距離を更に離し,き裂同士が影響しあわないようにしなければならない。くぼ
みの角は,試料の縁からくぼみの長い方の対角線長さの平均値の1.5倍以上離れていなければならない。
もし,隣り合うくぼみが異なる試験力で形成されたものであれば,大きい方の試験力で形成させたくぼみ
の大きさをもとにこれらの距離を計算し,適正な距離が保たれているかを判断する。
5.6.10 圧子の状態の確認 圧子の状態の確認は十分頻繁に行う。もし,くぼみに圧子の破損を想定できる
形状異常が見られた場合は,そのくぼみを測定から除外し,圧子を交換する。
5.6.11 測定から除外するくぼみ くぼみの周囲から,くぼみの対角線長さの測定を妨げるほど大きなき裂
が発生した場合は,そのくぼみを測定から除外する。くぼみの角のいずれかが試料の空孔の位置に当たり,
対角線長さが読みとれない場合,そのくぼみを測定から除外する。くぼみ自身が大きな空孔と重なって形
成されている場合も,そのくぼみを測定から除外する。付図9に例を示す。
5.6.12 対角線長さの測定 対角線長さとして,くぼみの長い方の対角線長さを,長さが50 満の場合
には0.2 下の単位まで,50 上の場合には0.5 下の単位まで読みとる。対角線長さの測定値
から,ヌープ硬さを算出する。もし,くぼみの角から中心までの長さについて,一方が他方より10 %以
上長い場合(付図9),及び測定する二つの角が顕微鏡の同じ焦点に合っていない場合,そのくぼみの測
定値は結果から除外し,試料の平行度,試験面の平たんさ,圧子の設置が正しく行われているかを確認す
る。対角線長さの測定に際しては,測定装置の取り扱い方法をよく理解して行う。付図10に例を示す。
5.6.13 測定点数 測定点数は少なくとも5点とする。
5.6.14 ヌープ硬さの算出 各々のくぼみの長い方の対角線長さからヌープ硬さを算出し,平均及び標準偏
差を算出する。平均値は,JIS Z 8401の規定に従って,有効数字3けたに丸める。標準偏差はJIS Z 8401
の規定に従って,有効数字2けたに丸める。
5.7 報告
試験結果報告書には,次の項目を記載しなければならない。
a) 測定がこの規格 (JIS R 1610) に沿って行われたことの表示
b) 試料に関する情報
1) 試料の材質
――――― [JIS R 1610 pdf 8] ―――――
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R 1610 : 2003
2) 試料厚さ
3) 試料表面の状況(研磨方法)
4) その他,試料に関する付記事項
c) 試験条件
1) 試験力
2) 試験温度(“室温”という記述でもよい。)
3) 試験を行ったくぼみの数,及びそのうちで有効なくぼみの数
4) 顕微鏡の倍率
d) 試験結果
1) ヌープ硬さの平均値
2) ヌープ硬さの標準偏差
e) この規格に沿わない事項が発生した場合,その内容
f) その他,測定に影響を与えると考えられる付記事項
――――― [JIS R 1610 pdf 9] ―――――
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R 1610 : 2003
付表 1 ビッカース硬さ試験に関する記号とその意味
記号 意味
θ ビッカース圧子の対面角(136.0±0.5度)
F 試験力 (N)
d くぼみの二つの対角線長さd1及びd2の平均値 (mm)
k 定数,k = 1/gn = 1/9.806 ≒ 0.102 0
Sv ビッカース圧子の形状から決定される定数
1/Sv = 2 sin (θ/2) = 1.854
HV ビッカース硬さ
試験力
定数
くぼみの表面積
a)GPa単位で表記する場合
F F
.0001 2
.0001 854
d Sv d2
b)ビッカース硬さ記号で表記する場合
F F
k 2
.01891
d Sv d2
c 付図2に示す2方向のき裂長さc1及びc2の平均値
S.D. 標準偏差
2
HV HVi
n 1
ここで,HVはビッカース硬さの平均値,HV iは各くぼみに対するビッカー
ス硬さの算出値,nは測定されたくぼみの個数,i = 1n
付表 2 ビッカース硬さの硬さ記号と試験力
硬さ記号 試験力
HV 4.903 N 又は HV 0.5 4.903 N
HV 9.807 N 又は HV 1 9.807 N
HV 19.61 N 又は HV 2 19.61 N
HV 29.42 N 又は HV 3 29.42 N
HV 49.03 N 又は HV 5 49.03 N
HV 98.07 N 又は HV 10 98.07 N
――――― [JIS R 1610 pdf 10] ―――――
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JIS R 1610:2003の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14705:2000(MOD)
JIS R 1610:2003の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.30 : ニューセラミックス
JIS R 1610:2003の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7725:2010
- ビッカース硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISB7725:2020
- ビッカース硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISB7734:1997
- ヌープ硬さ試験―試験機の検証
- JISB7734:2020
- ヌープ硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISB7735:2010
- ビッカース硬さ試験―基準片の校正
- JISB7735:2020
- ビッカース硬さ試験―基準片の校正
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方