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7.4 結果の計算 弾性率は,個々の試験片の測定値から次の式によって算出する。
7.4.1 3点曲げ
a) ひずみゲージによる場合7.3.4のa)で得られる図6のような線図を用い,次の式で弾性率を計算する。
3l(P2 P1 )
Eb3 2
2wt ε
( s2 εs1 )
ここに, Eb3 : 3点曲げによる弾性率 (Pa)
P : 荷重 (N)
l : 支持ロール間距離 (m)
w : 試験片の幅 (m)
t : 試験片の厚さ (m)
攀 ひずみゲージによって測定された曲げひずみ
b) 荷重点の変位又は試験片中央部の変位による場合7.3.4のb)で得られる図7のような線図を用い,次
の式で弾性率を計算する。
l3 (P2 P1 )
Eb3
4wt 3 ( yb2
yb1 )
ここに, yb : 荷重点の変位量 (m)
図6 荷重−曲げひずみ線図 図7 荷重−変位線図
7.4.2 4点曲げ
a) ひずみゲージによる場合(図6参照)
l (P2 P1 )
Eb4
wt2 (εs2
εs1 )
ここに, Eb4 : 4点曲げによる弾性率 (Pa)
b) 試験中央部のたわみ変位による場合(図7参照)
23・l3 (P2P1 )
Eb4 3
4 27wt ( yb2 yb1 )
ここに, yb : 試験片中央部のたわみ変位量 (m)
c) 荷重点の変位による場合(図7参照)
5・l3 (P2P1 )
Eb4 3
27wt ( yl2yl1 )
ここに, yl : 荷重点の変位量 (m)
――――― [JIS R 1644 pdf 11] ―――――
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7.5 試験結果の有効性 次に示す試験結果は,無効とする。
a) 記録した荷重と時間の関係に直線とみなせる領域が存在しない場合。
b) 測定に用いる荷重域で,既にx軸に平行なき裂が著しく発生した場合。
c) 測定に用いる荷重域で,既に層間はく離が著しく発生した場合。
d) 測定に用いる荷重域で,既に荷重点又は支持点において圧壊が著しく発生した場合。
8. 曲げ振動による弾性率試験方法
8.1 試験法の区分 この方法は,次の区分による。
a) 中央固定曲げ共振法
b) 落球衝撃スペクトル解析法
8.2 中央固定曲げ共振法
8.2.1 適用条件 この弾性率試験を適用できる材料は,ノギス,マイクロメータによって,かさ密度を定
義できるだけの表面の平滑度をもち,試験片を加振器に取付けるのに支障がなく,変位計測用の金属はく
小片を接着できるものである。この試験法を用いる積極的理由がある場合にだけ,注目する繊維の方向又
は,それと直角方向の曲げ振動弾性率を求めるために実施するものとする。
8.2.2 装置及び器具 試験装置は,基本的には図8に示す回路及び機器から構成される。
図8 中央固定曲げ共振法の装置基本構成図
a) 加振回路 加振回路は,振動数が可変の発振器,増幅器,加振装置及び周波数カウンタから構成され
る。発振器は,振動数を10010 000Hzの範囲で可変とすることができ,分解能を0.1Hz以内で振動
数を調整できるものを用いる。加振装置は,電気振動を機械振動に変換して,試験片に振動を与える
能力をもつものである。
b) 検出回路 検出回路は,非接触電磁変位検出器,増幅器,及びオシロスコープから構成される。非接
触電磁変位検出器は,アルミのような金属はくを接着した部分の変位を計測し,その周波数を出力で
きる機能をもつものである。
c) 変位計支持具 図8に示すように,非接触電磁変位検出器を試験片端に近い近接した位置で保持でき
るような支持具を用意する。
d) 試験片支持部 図9に示すように,試験片中央を加振装置ボスに固定するための支持具を用意する。
加振装置ボスには一般に金属ねじをもつので,試験片をくわえてねじ止めするような金属板を用意し,
これを機械加工,溶接又は接着によって,このねじに板厚中心とボス中心が一致するよう固定する。
――――― [JIS R 1644 pdf 12] ―――――
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又は,試験片が軽い場合には,図9のような開口したプラスチック板をボスのねじに接着し,この弾
性で試験片をくわえてもよい。これらの支持板の厚みは23mmとする。
e) 寸法測定器 寸法測定器は,6.2による。
図9 試験片支持部概念
8.2.3 試験片 試験片は,次による。
a) 試験片の形状及び寸法 試験片は長さ (LT) 40mm以上200mm以下,幅 (b) 4mm以上20mm以下,厚
さ (t) 1.0mm以上の直方体とし,試験片の長さ/厚さ比 (LT/t) は60以上,長さ/幅比 (LT/w) は10
以上とする(例えば,LT=80mm,b=6mm,t=1mm)。ただし,試験片の上下面及び幅の平行度は,
それぞれ厚さ (t) 及び幅 (b) の0.5%以下とする。
b) 試験片の数 試験片の数は,5個以上とする。
8.2.4 試験方法 試験方法は,次による。
a) 試験片の乾燥 試験片の乾燥方法は,5.1による。
b) 試験片の質量及び寸法の測定 試験片の質量を±0.2%以上の精度で測定する。試験片の寸法測定器具
には,JIS B 7502に規定する外側マイクロメータ,及びJIS B 7507に規定するノギスを用いる。長さ
の測定は,ノギスを用いて0.05mmの精度で測定する。厚さと幅は,マイクロメータ又はダイヤルゲ
ージを用いて各々5か所測定し,その平均値をもって厚さ及び幅とする。
c) 変位測定準備と試験片の保持 試験片端に,非接触電磁変位検出器の検出点とするため,3mm角程度
のアルミはくを瞬間接着剤で接着する。この後,加振器ボスのねじに用意した試験片支持具に,試験
片中央を支持具に直角にくわえて固定する。試験片固定後,アルミはくの近傍に変位計検出端を試験
片上下面に直角となるよう,変位計支持具を用いて固定する。装置の必要な結線を行う。あらかじめ,
試験片支持具の板厚は,マイクロメータを用いて計測しておく。
d) 一次共振振動数の測定 加振器によって試験片を直接加振する。この際,加振器のパワーを上げすぎ
て,試験片が破損することのないよう,加振力を低いところに設定して,必要な測定変位が得られる
よう,徐々にパワーを上げていくものとする。発信器の振動数を徐々に変化させ,増幅された変位計
の信号と,加振振動の信号を両軸に入力したオシロスコープのリサージュ図形を観察する。リサージ
ュ図形の位相が反転した振動数を,曲げ一次の共振振動数とする。この操作を発振器の最低の振動数
から振動数を徐々に増加させて最低3回繰り返し,その平均値を,その試験片の曲げ振動の一次共振
振動数とする。
――――― [JIS R 1644 pdf 13] ―――――
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8.2.5 結果の計算 繊維方向又は繊維に直角方向の曲げ振動弾性率は,個々の試験の測定値から,次の式
によって算出する。
Ebv=3.194× (w/LT/I)
ここに, Ebv : 中央固定曲げ共振法による弾性率 (Pa)
替 最低次共振振動数 (Hz)
LT : 試験片長さ (m)
Lh : はり振動長さ (=LT/2) (m)
w : 試験片質量 (kg)
I=bt3/12 : 断面二次モーメント (m4)
b : 試験片の幅 (m)
t : 試験片の厚さ (m)
8.2.6 試験結果の有効性 次に示す試験結果は,無効とする。
a) リサージュ図形の位相反転の起こる最低次共振振動数が二つ近接している場合。
b) 加振パワーを上げすぎて,共振振動数が測定不能となったときの初めの共振振動数。
c) 測定後に,支持具との上方から見た直角度が失われているなど,試験片固定状況に異常が認められた
場合。
8.3 落球衝撃スペクトル解析法
8.3.1 適用条件 この弾性率試験を適用できる材料は,ノギス,マイクロメータによって,かさ密度を定
義できるだけの表面の平滑度をもち,ち密な材質であり,落下球によって損傷を生じないことが保証され
るものであり,この試験法を用いる積極的理由がある場合にだけ,注目する繊維の方向又は,それと直角
方向の曲げ振動弾性率を求めるために実施するものとする。
8.3.2 測定原理の概要 角柱形の試験片を糸,セラミックス製の糸又は金属製の細い針金(2)によって水平
につるし,上方からセラミックス製又は金属製の小球を落下させ,試験片に衝突させる。このときに発生
する振動音をマイクロフォンで測定し,音圧と周波数の関係を表すスペクトルをスペクトル分析器を用い
て求める。スペクトルに表れるピーク値から曲げ固有振動数を決定し,これから弾性率を算出する。
注(2) 細くても剛性があって振動に影響を与えるような材料の使用は避ける。
8.3.3 装置及び器具 試験装置は,基本的には図10に示す回路及び機器から構成される。
――――― [JIS R 1644 pdf 14] ―――――
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図10 落球衝撃スペクトル解析法の装置基本構成図
a) 衝撃用落下球 衝撃用落下球は,試験片に振動音を発生させる手段として用いる。試験片の材質と寸
法に応じて,適切な材質と直径をもつ球を用いる。例えば,直径3mmの鋼又はセラミックス製の球
を用いる。
b) 落下球案内装置 試験片の中心近傍に落球させるために,落下位置が調節できる落下球案内装置を用
いる。落下球の直径よりも若干大きい内径をもつ円管を用い,管の位置が水平面内で微調節できる構
造のものが望ましい。
c) 検出回路 検出回路は,マイクロフォン,増幅器,スペクトル分析器及び表示器からなる。マイクロ
フォン及び増幅器は,音圧に比例した電圧を発生するものとする。スペクトル表示器は図11に示すよ
うに,固有振動数を示すピークに対応する周波数を明示するものが望ましい。
d) 試験片のつり下げ糸 試験片は,2本のつり下げ糸によって支持する。
e) 寸法測定器 寸法測定器は,6.2による。
8.3.4 試験片 試験片は,次による。
a) 試験片の形状及び寸法 試験片の形状は,均一く(矩)形断面をもつ長さ (L) 40mm以上,幅 (b) 3.0mm
以上,厚さ (t) 1.0mm以上の長方体とする。試験片の長さ/厚さ比 (L/t) は15以上とする(例えば,
L=60mm,b=4.0mm,t=2.0mm)。試験片の厚さ (t) は,2Dの場合には繊維の積層を3層以上,3D
の場合には構造ユニットを二つ以上含むことが望ましい。試験片上下面の平行度はそれぞれの幅 (W)
及び厚さ (t) の0.5%以下とする。
b) 試験片の採取 試験片切出し方向は原則として注目する繊維の方向又は,それと直角方向に平行に切
り出すものとする。これから外れる場合には,切出し方向を報告する。
c) 試験片の数 試験片の数は,5個以上とする。
d) 試験片の加工及び表面粗さ 試験片の表面粗さを#320800のダイアモンドと石で研削仕上げをした
程度とする。加工条件を報告する。
8.3.5 試験方法
――――― [JIS R 1644 pdf 15] ―――――
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JIS R 1644:2002の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.30 : ニューセラミックス
JIS R 1644:2002の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0601:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ
- JISB0621:1984
- 幾何偏差の定義及び表示
- JISB7502:2016
- マイクロメータ
- JISB7503:2017
- ダイヤルゲージ
- JISB7507:2016
- ノギス
- JISB7721:2018
- 引張試験機・圧縮試験機―力計測系の校正方法及び検証方法
- JISK7100:1999
- プラスチック―状態調節及び試験のための標準雰囲気
- JISR1600:2011
- ファインセラミックス関連用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方