JIS R 2207-1:2007 耐火物の熱膨張の試験方法―第1部:非接触法 | ページ 2

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5.1.2 加熱炉
5.1.2.1 加熱炉の概要
加熱炉は,発熱体,温度制御装置,試料支持台,観察窓,試料取出し機構などからなり,横形管状炉又
は箱形炉で,規定の昇温速度[箇条7のb)参照]で最終(最高)試験温度まで試験片を加熱できるものを
用いる。炭素及び/又は炭化けい素含有耐火物の測定用の加熱炉には,不活性ガス(窒素又はアルゴン)
を一定流量流す機構を設ける。6.2で規定する試験片を均一に加熱できる少なくとも試験片の1.5倍の等温
帯をもつものでなければならない。
注記1 試験片に発熱体の放射光が直接当たらないマッフルタイプの炉を用いることが望ましい。
注記2 加熱によって有機ガスを発生するものには,これらの発生ガスを排出することのできる機構
を設けた装置を用いるとよい。
5.1.2.2 加熱炉の構成
加熱炉の構成は,次による。
a) 発熱体 発熱体には,炭化けい素発熱体,けい化モリブデン発熱体,金属発熱体又は黒鉛発熱体のい
ずれかを用いる。
b) 観察窓 装置には,外部から試験片の両端の位置を計測するための窓を設ける。窓の材質としては,
透明石英ガラスを用いる。窓の高温温度からの保護及び発生ガスによる曇り防止のために,窓の冷却,
ガスカーテンなどの機能を備えたものが望ましい。
c) 試料温度測定用熱電対 保護管付き熱電対を使用し,その温接点を試験片近傍にくるように配置する。
注記 炉の構造によっては,試料温度測定用とは別に,炉内温度制御用熱電対を発熱体の近傍に配
置してもよい。
d) 熱電対の種類及び精度 熱電対は,JIS C 1602に規定する白金−白金ロジウム系熱電対を,最終(最
高)試験温度に合わせて選択して用いる。また,熱電対の精度は,JIS C 1602に準拠した方法で検定
しておく。
高温の測定のためにJIS C 1602に規定されるもの以外の熱電対を使用する場合にも,JIS C 1602に
準拠した方法で検定したうえで用いる。
5.1.3 試料支持台
熱間で試験片と接触した部分が低融物を生成するなど,測定に直接又は間接的に影響のない材質を用い
る。支持台の高さ方向の熱膨張収縮をできるだけ小さくして,試験片の測定位置が変動しないようにする
ために,支持台の高さをできるだけ低く抑え,低熱膨張率の材質を適用する。
5.1.4 変位検出器
変位検出器は,送光器と受光器とからなり,受光器で受光した試験片両端の変化を試験片の寸法変位に
変換できるものを用いる。変位検出器には,自動測定方式及び手動方式があり,自動測定方式には,白色
光を送光して固体撮像素子で受光する可視光投影方式(図1),レーザ光を用いるレーザ投影方式(図2)
などがある。図3にレーザ検出器の構造の一例を示す。目視・手動方式には,望遠鏡で試験片の両端を検
出して,コンパレータで変位を読み取る手動コンパレータ方式,映写した写真から変位を読み取るものな
どがある。
検出器の検出分解能は,0.1 μm以下で,変位測定頻度は,5 ℃間隔以内であることが望ましい。

――――― [JIS R 2207-1 pdf 6] ―――――

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図3−レーザ検出器の構造の一例
5.2 乾燥器
乾燥器は,温度110±5 ℃に保つことのできる,自動温度調節器付き電気恒温器を用いる。
5.3 ノギス
JIS B 7507に規定する最小読取値が,0.01 mmのM形ノギス又はCH形ノギスを用いる。
5.4 はかり
最小読取値が0.1 g又はそれ以下まで読み取ることのできるはかりを用いる。
5.5 標準試料
線熱膨張率及び線熱膨張係数が既知な高純度アルミナ焼結体,石英ガラス及び/又は高純度黒鉛焼結体
を用いる。
注記 定期的に測定して測定精度を管理するとよい。

6 試験片

6.1 試験片の寸法及び形状

  試験片は,各辺が1525 mmで長さ60150 mmの角棒,又は直径が1525 mmで長さが60150 mm
の丸棒とし,両端面が平行となるように軸方向に垂直に加工する。
試験片は,図4に示すように試験片の光路側の両端辺を切り欠くか,円弧をもたすなどして測定時に測
定位置が変わらないようにする。また,長さ方向の試料台と接する面は,水平で平滑に仕上げる。

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a) 角欠け試験片の一例 b) 角取り試験片の一例
図4−試験片の形状の例

6.2 試験片の調製方法

6.2.1  定形耐火物
試験片の採取方向は,特に取り決めがない場合,試験片の長さ方向が供試試料の成形時の加圧方向に平
行となるように採取する。採取した試験片は,110±5 ℃で恒量になるまで加熱する。
なお,試験片の採取方向は,熱膨張結果の使用目的に合わせて,受渡当事者間の協定によって定めてよ
い。不焼成耐火物の場合には,一定温度で焼成後の試料から試験片を採取するか,加工した試験片を一定
条件で焼成して試験片として供することができる。
注記 恒量とは,まず,加工後の試験片を2時間加熱し,デシケータ中で冷却後質量をはかり,その
後30分間加熱後,冷却・ひょう量を繰り返して,各測定前後の質量の差が0.3 g以内になった
点をいう。
6.2.2 不定形耐火物
試験片は,JIS R 2553に準じて6.1に規定する形状に成形するか,又は一定形状に成形したものから切
り出すかのいずれかによる。焼成の要否及び焼成温度は,受渡当事者間の協定による。試験片の調製・成
形・焼成条件及び試験片の寸法は,試験報告書に記載する。

7 操作

  操作は,次による。
a) 試験片の長さをノギスで測定する。
b) 試験片を加熱炉内の測定位置に置き,毎分4±1 ℃の加熱速度で均一に加熱を続け,所定の温度まで
昇温させる。この間,各温度における試験片両端の寸法変化量を直読式検出計によって精密に測定し,
試験片温度と試験片の長さとの関係を記録する。
注記 温度計及び直読式検出器の読みをパソコンで読み取りデータ処理を容易にすることができ
る。この場合,1 ℃単位ごとの寸法変化量を記録するとよい。
c) 必要な場合には,冷却過程における試験片の温度と長さとの関係を測定し,記録する。

8 計算及び作図

  計算及び作図は,次による。
a) 線熱膨張率は,箇条7の測定結果を基に次の式によって算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2け

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たに丸める。
i
Ei 100
0
ここに, Ei : 線熱膨張率(%)
L0 : 起点温度における試験片の長さ(mm)
ΔLi : 温度Ti(℃)における試験片の長さの変化量(Li−L0)(mm)
なお,実測温度の方が起点温度よりも低い場合には,起点温度からの長さ変化の値を用いて線熱膨
張率を算出する。また,実測温度の方が起点温度よりも高い場合には,d)の線熱膨張係数を用いて外
挿法によって起点温度からの線熱膨張率を算出する。
注記 受渡当事者間の協定によって,起点温度を変更してもよい。
b) 線熱膨張率曲線は,a)で得た各温度とその線熱膨張率との関係を作図して求める。図5に,その一例
を示す。
図5−マグネシア炭素質耐火れんがの線熱膨張率曲線の一例
c) 平均線熱膨張係数は,次の式で計算し,JIS Z 8401によって有効数値を10−8のけたに丸め,10−6・℃−1
の単位で表示する。
L
αT2
T1
L0 T
ここに, αT2−T1 : 試験片の平均線熱膨張係数(℃−1)
L0 : 起点温度における試験片の長さ(mm)
ΔT : 下限温度(T1)と上限温度(T2)との差(℃)
ΔL : 温度差ΔTに対応する試験片の伸びの差(mm)
線熱膨張率と温度との関係線が全温度域を通じて直線的なものは,下限温度(T1)を起点にとり,上
限温度(T2)を測定最高温度とすることができる。また,線熱膨張率と温度との関係線がわい(歪)曲
していても,目的に応じて任意の温度範囲での平均線熱膨張率を求めてもよい。ただし,平均線熱膨
張係数の表示は,“α800−200”のように平均した温度範囲で表示する。
d) 線熱膨張係数は,次の式で計算し,JIS Z 8401によって有効数値2けたに丸めて10−6・℃−1の単位で
表示する。
LTi 25 )
(LTi 25
Ti
Ti 25 )
L0 (Ti 25

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ここに, αTi : 温度Ti(℃)における試験片の線熱膨張係数(℃−1)
L0 : 起点温度における試験片の長さ(mm)
Ti+25 : 温度Tiよりも25 ℃高い温度(℃)
Ti−25 : 温度Tiよりも25 ℃低い温度(℃)
: 温度Ti+25における試験片の長さ(mm)
: 温度Ti−25における試験片の長さ(mm)
なお,実測された線熱膨張と温度との関係線は,必ずしもスムーズな曲線とはならない。そのため,
iTL
+25
所定温度Tiの前後25 ℃における試験片の長さを求めて線熱膨張係数とする。実測された線熱膨張率
LiT−25
曲線をカーブフィッテングして関数化して,温度Tiにおける微分値(接線のこう配)を求め,100で
除して線熱膨張係数を求めてもよい。

9 試験報告

  測定結果の報告書には,次の項目を明記する。
a) 試験実施事業所名
b) 試験年月日
c) この規格番号(JIS R 2207-1)
d) 測定試料名(製造事業者名,品種,形式,バッチ番号など)
e) 試験片の形状及び寸法
f) 試験片の調製条件(6.2の条件,成形時の加圧方向との関係,試験片を採取した位置など)
g) 使用した装置の名称及び変位検出器の種類
h) 炉内雰囲気(ガスを流した場合,ガスの種類と単位時間当たりの流量)
i) 加熱条件(発熱体の種類,昇温速度,冷却速度など)
j) 試験結果(受渡当事者間の協定によって各温度の線熱膨張率,線熱膨張率曲線,平均線熱膨張係数,
線熱膨張係数の内,必要とする測定結果)
k) 試験中に観察された異常現象

JIS R 2207-1:2007の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 2207-1:2007の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7507:2016
ノギス
JISC1602:2015
熱電対
JISR2001:1952
耐火レンガの一般通則
JISR2001:1985
耐火物用語
JISR2553:1992
キャスタブル耐火物の強さ試験方法
JISZ8401:2019
数値の丸め方