JIS S 0012:2018 アクセシブルデザイン―消費生活用製品のアクセシビリティ一般要求事項 | ページ 2

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度,使用する環境の照度などを考慮し,下限値(見える最低限のレベル)から上限値[まぶ(眩)し
さが生じるレベル]までの間で適切に設定する。
c) 白色背景,微小報知光(視角20分以下)及びロービジョン(弱視)に対しては,より高い輝度レベル
を設定する。
d) 報知光の色は,背景から識別しやすい色とする。同一光源で色が変化する場合には,多様な色覚特性
のある人々を考慮し,色の変化が分かるよう配色などを工夫する,又は色の変化が分からなくても情
報が伝わるようにする。
注記 多様な色覚特性のある人々の中には,赤と緑とが区別しにくい人々がいることに注意が必要
である。
e) 報知光以外に他の報知手段を併用するのがよい。
f) 報知光の意味を表示する場合は,報知の対象となる操作要素の近傍に分かりやすく配置する。
5.1.5 グレア(まぶしさ)
グレアの可能性を抑えるように配慮する。表示板が光を反射したり,取扱説明書,包装の表示部分の紙
質に光沢をもたせるなどは,避けることが望ましい。
5.1.6 音・音声
音・音声の情報表示は,次による。
a) 音・音声は,明瞭で適切な音量とする。
b) 音・音声による表示のほかに,必要に応じて視覚的な表示及び触覚的な表示も併用するのがよい。
c) 音声言語による情報表示の際には,伝えたい内容が確実に伝わるように文を構成する。
d) 注意表示は,製品ごとに道理にかなった順序で情報を提供する。重要な部分は,繰り返し示すことに
よって強調するのがよい。
注記 音声による注意表示の音量が小さかったり,声が高すぎたり低すぎたりすると,聴覚障害の
ある人々は,より大きな危険及び不利にさら(曝)されることになる。
e) より多くの人にとって利用しやすくするために,音が出る機器類には,音量,音質などの調整機能を
組み込むのがよい。
5.1.7 報知音
報知音の情報表示は,JIS S 0013によるほか,次による。
a) 報知音は,聴覚の衰え,報知すべき距離,周囲の環境音などに配慮し,過不足のないよう,音量,音
質及び音の持続時間を適切に設定するのがよい。
注記1 警報・報知音の音量が十分でなかったり,音の高さが高すぎたり低すぎたりすると,視覚
障害のある人々は,より大きな危険及び不利にさらされることになる。
注記2 騒音下における報知音の音量の設定及び調整の詳細な方法については,JIS S 0014 [2]を参
照。
b) 報知音には,二つ以上の周波数成分をもつ音を用いるのがよい。
c) 音量の急激な変化を避けることが望ましい。
d) 可能な限り“入”,“切”の機能及び音量調節機能を設けることが望ましい。
e) 操作の確認,操作の誤りなどを報知する音は,操作及び報知になるべく時間差がないようにする。
f) 報知音の種類,区分及び組合せは極力シンプルにし,容易に判別しやすくする。
5.1.8 触覚表示
触覚表示の情報表示は,次による。

――――― [JIS S 0012 pdf 6] ―――――

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a) 製品の基本機能を開始させる操作部は凸点とし,製品の基本機能を停止/キャンセルさせる操作部に
は凸バーを表示する。また,基本機能の開始,停止を兼用する入切スイッチなどの操作部には凸点だ
けとする[JIS S 0011の箇条3(凸点及び凸バーを表示する操作部)参照]。
注記 凸点及び凸バーは,視覚障害のある人々にとって特に有効な情報となる。
b) 容器,袋などに,触覚による警告表示を付けて,毒性のある物質,腐食性物質など危険物質及び調整
物の識別を可能とする[JIS S 0025及びJIS Z 8071の7.2.4(触覚)参照]。
c) 視覚的な表示のほかに,必要に応じ,触知図形,触覚識別表示など触覚による表示を設けるのがよい
(JIS S 0022-3及びJIS S 0052参照)。
d) 視覚障害のある人々が,製品の各部の区別及び操作要素を探しやすいように,それと分かる触感をも
つ部品及び/又は素材を採用し,本体は触感の異なる素材を使用するのがよい。
例 リモコン本体の形状部分は固い素材を採用し,操作ボタンは柔らかい素材にするなどの配慮が
よい。
5.1.9 触覚振動
触覚振動の情報表示は,次による。
a) 身体に装着する又は手指で触知する製品の触覚振動は,告知情報として重要な要素となるので,適切
に装備するのがよい。
b) 振動障害を生じる可能性もあるので,過度の振動は避けなければならない。
5.1.10 点字
点字の情報表示は,JIS T 0921によるほか,次による。
a) 視覚障害のある人々にとって,点字は情報を得るための有効な情報となる。製品に複数の操作ボタン
がある場合,その操作ボタンが示す内容が点字でも表記されていると操作がしやすくなる。
b) 点字表示は,適切な位置に表示する。
注記 墨字と点字とは重ならないように表示し,情報を得るときに邪魔にならないところに配置す
る。
5.1.11 言語・用語
言語・用語の情報表示は,次による。
a) 操作部の機能,働きなどを指し示す用語は,その機能,働きなどを容易にイメージでき,かつ,でき
る限り平易で一般的なものを用いる。曖昧な用語,専門的な用語又は技術的な用語を用いてはならな
い。また,略語を用いる場合は,一般的でないもの,別の意味が一般的なものはできるだけ使用しな
いことが望ましい。
b) 同一品目の基本機能及び働きを指し示す用語は統一し,これを使用する。
c) 他の代替様式に加え,可能な限り,情報を簡潔な文章にした形で整備するのがよい。
注記 長文及び複雑な文章を判読することが困難な人々にも,理解が容易になる。また,簡潔な文
章は他言語への翻訳が容易となる。
d) 限られたスペースに点字で用語を略語化して表示する場合,同一品目においては統一した略語を使用
する。
5.1.12 情報表示位置
情報表示位置は,次による。
a) 情報表示位置は,操作しようとする状態で,手などによって,操作に必要な表示が隠れないようにす
るのがよい。

――――― [JIS S 0012 pdf 7] ―――――

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b) 操作部に関連する表示の位置は,できるだけ対象とする操作要素の近くに表示し関係性を分かりやす
くする。
c) 情報表示は,分かりやすい位置にする。
d) 情報表示は,視覚障害のある人々及び読むことに障害のある人々にとって気付きやすい位置にするの
がよい。
e) 情報表示は,立った姿勢でも,車椅子からでも見ることができ,かがまなくても簡単に使用できる場
所にするのがよい。このためには,表示又は操作要素の位置は,固定せず調整可能であるか,複数箇
所に配置することが望ましい。
5.1.13 情報表示速度
情報表示速度は,次による。
なお,その速度は,情報表示面上で文字,図形を動かして表示する速度,音声言語による情報表示する
速度などを対象としている。
a) 情報表示速度は,伝達内容の理解がしやすくなるように,調節できるようにするのがよい。
b) 情報表示速度で速さを必要とする場合は,情報を理解し実行に移すための余裕ができるように,個々
の情報表示に間(ま)をとるのがよい。
注記1 音及び音声の情報表示で伝達情報が速すぎると,聴覚障害又は学習障害のある人々にとっ
ての理解が困難になる。
注記2 視覚障害のある人々には,十数モーラ(拍)/秒の速い話速を好む者が少なくない。
c) 一時的に表示した後,消える情報の場合,提示時間の長さに配慮することが望ましい。
5.1.14 その他
5.1.14.1 使用期限・保証期限の表示
使用期限・保証期限は,明瞭に表示することが望ましい。
5.1.14.2 型式の表示
製品の型式(型番・品番)は,見やすい位置に配置し明確に表示するのがよい。
5.1.14.3 成分表示及びアレルゲンに関する警告
成分表示及びアレルゲンに関する警告は,次による。
a) 明瞭な成分表示とする。
注記1 有害となる可能性のある,薬品,ガス,気体,煙などに関する警告は,特に,視覚,味覚
及び嗅覚に障害のある人々にとって重要であり,食物アレルギー,接触アレルギーのある
人々にとっては,製品又は包装に明確な成分表示が付いていることが重要な表示となる。
既存の製品の成分変更が行われた場合,それを明瞭に知らせる。
b) 製品の“アレルギーテスト済み”を示す特定のラベルは,安全な利用及び操作のための明瞭な注意表
示を付けることと同様に有用なため,分かりやすく表示するのがよい。
c) アレルギー性及び毒性のある素材の回避は,味覚及び嗅覚に障害のある人々,接触アレルギー,食物
アレルギー及び気道アレルギーのある人々にとっては,重要となるため分かりやすく表示するのがよ
い。
d) 触覚に依存する視覚障害のある人々にとっても,アレルギーを引き起こす素材と接触することは危険
になるため,表示には配慮しなければならない。
注記2 アレルギーを引き起こすニッケル及びクロムを含む日常生活で使用するものの例として
は,ドアハンドル及び窓枠がある。

――――― [JIS S 0012 pdf 8] ―――――

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5.1.14.4 発作の防止
画面上の文字などの表示,又は画面全体をフラッシュさせる場合には,視覚刺激による発作を引き起こ
しやすい明滅速度を避けることが望ましい。

5.2 操作・取扱い

5.2.1  操作部の位置
操作部の位置は,次による。
a) 利用者の身体寸法,到達範囲及び動作範囲に配慮し,製品を使用中に身体の一部が意図しないで操作
部に接触して誤操作を起こさないようにするのがよい。
b) 製品の外形から操作部の位置が容易に判断できるようにしなければならない。その方法として,視覚
的,触覚的など複数の手法で操作部の位置が分かるのがよい。
c) 利用者の手などが操作部に届くようにする。
d) 目的とする操作に必要な操作要素と表示部分とが容易に区別できるようにする。
e) 視覚障害のある人々が,操作部の上下・左右を識別するために,操作部の形は,できる限りそれらの
向きが確認できるのがよい。
5.2.2 操作要素の配置
操作要素の配置は,次による。
a) 操作要素及び対応する機能・部位は,目的とする操作の実際の動きと関連性をもたせる[5.1.12のb)
参照]。
b) 操作要素は,いずれの手で製品を持っても,両手で扱っても,手の機能又は力に障害のある人々が独
自の持ち方をしても,隠れてしまわない位置に付けられるのがよい。
c) 操作要素は,使用頻度,操作手順などを配慮し,一貫性のある配置にする。
d) 操作要素は,機能ごとに形状,大きさ,色調などでグループ化しているのがよい。
5.2.3 操作要素の使いやすさ
操作要素の使いやすさは,次による。
a) 操作方向と操作によって起こる変化との間に,利用者が容易に理解でき,分かりやすい配慮がなされ
ていなければならない。
b) 押す,引く,回すなどの操作方法が容易に理解できる形状とする。
c) “入”・“切”及び“強”・“弱”の調節など,互いに関連する操作要素については,それらの操作の方
向について一貫性をもたせなければならない。
d) 視覚障害のある人々又は触覚に障害のある人々が,製品を見分け,部品の組立方を理解しやすいよう,
操作要素は区別しやすい形状を採用する。
注記1 認知機能に障害のある人々にとっては,慣れた形状のものは利用しやすい。
e) 手の動きの自由さに制約がある人々にとって,持ちやすく,また,操作がしやすいよう製品・素材の
表面は,滑りにくい仕上げとする。
f) 滑りやすい操作要素の場合は,適度な引っかかりを付けたり,指のかかりがよい形状とする。
g) シート状のキーのような操作要素は,表面に凹凸,凸記号などを付け,押す位置が触覚的にも判別で
きるようにしなければならない。
h) 同形状の操作要素を連続して配列する場合は,その中で基準となる操作要素を視覚,触覚などで読み
取ることができるようにしなければならない。
i) 押しながら回すなどの,複合的な動作を要求してはならない。ただし,安全の確保を優先する場合は

――――― [JIS S 0012 pdf 9] ―――――

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この限りではない。
j) 誤操作を防止する目的以外で,二つの操作要素を同時に操作する操作方法を用いてはならない。
k) できる限り一つの操作要素には,一つの操作機能を割り当てる。
l) やむを得ず一つの操作要素に複数の操作機能を割り当てる場合には,機能の働きの違いが容易に分か
るように適切な表示手段との連動を配慮しなければならない。
m) 操作要素は,互いに操作の邪魔にならない程度に間隔をあけて配置するのがよい。特に,接近して操
作要素を並べるときは,指が他の操作要素に当たらないような形状及び間隔とする。
n) 押す時間の長さで機能の使い分けをしないのがよい。
o) 軽く触れただけで作動しないのがよい。
p) 両手を同時に使わなければならない操作は,できるだけ避けるのがよい。
q) 安全性を犠牲にしない範囲で,可能な限り,製品には左右いずれの手でも片手で扱えるのがよい。
r) 操作部は抵抗力を最低限にし,手首を回す必要がないなど,様々な障害のある人々が容易に操作でき
るよう配慮するのがよい。
s) より大きなてこ(梃)の力,又は助力装置のような代替の操作要素の提供を考慮するのがよい。
注記2 操作要素をねじる,回す,押す又は引っ張る場合の必要な力は,様々な障害のある人々に
よってはより多くの力を必要とする。
t) 操作要素の一連の操作を事前にプログラム設定できるようにし,操作の負担を減らす,また,個人が
好むように設定及び変更ができるのがよい。
注記3 これは,特に認知機能に障害のある人々に対して有効である。
5.2.4 手順の分かりやすさ
手順の分かりやすさは,次による。
a) 基本機能を開始及び終了させる操作は,操作部から容易に理解及び判別しやすいようにする。
b) 操作の手順を,選択肢を重ねた階層構造とする場合は,その階層構造が複雑にならないようにしなけ
ればならない。
c) 製品は,短時間で利用でき,操作の余計な繰返しを要求しないのがよい。
d) 筋力に障害のある人々にとって,ある作業を行うのに,同じ動作を頻繁に繰り返すことがないよう配
慮するのがよい。
e) 誤操作した場合でも,操作のやり直しがしやすいように,分かりやすい手順で戻ることができる操作
手段を設ける。
f) 操作中に入力の制限時間を設ける場合には,操作に慣れない利用者でも頻繁に制限に至ることのない
よう,適度な制限時間を設ける。さらに,利用者に制限時間の存在を示し,制限時間に至る過程を知
らせる手段を設けるのがよい。また,可能な限り利用者自身が設定できることが望ましい。
5.2.5 取扱いのしやすさ
取扱いのしやすさは,次による。
a) 包装の開封及び製品の組立・取付け又は操作は,簡単で分かりやすく,理にかなった手順でできるの
がよい。
注記1 特に,視覚又は認知機能に障害のある人々にとって有用となる。
b) 製品の組立・取付け及び設置が容易な構造とする。また,配線などの接続がしやすいのがよい。
c) 季節製品などの収納のときに,収納箇所,収納順序などが分かりやすいようにこん(梱)包に絵表示
を入れるなどの配慮をするのがよい。

――――― [JIS S 0012 pdf 10] ―――――

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