JIS S 0012:2018 アクセシブルデザイン―消費生活用製品のアクセシビリティ一般要求事項 | ページ 3

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d) 扉又は蓋があるものは,開閉時に利用者が負担にならないような重量バランスのよい構造とする。
e) 密閉包装などは,製品の品質を保証する範囲で,可能な限り弱い力でも開閉できるのがよい。
f) 容器は,開閉しやすいように,適切な形,大きさ及び表面仕上げとするのがよい。
g) 持ち運びできるものにあっては,製品重量のバランスのよい箇所に取っ手などを設ける。また,重量
物にはキャスタなどを設けるのがよい。
h) 持ち上げる,手に持つ,運ぶといった動作がしやすいよう,製品の大きさ,形及び重さに配慮しなけ
ればならない。
i) 日常の手入れを必要とする製品は,分解,組立が容易であり,汚れが付着しても容易に清掃しやすい
素材を採用する。
j) 鋭い角及び縁の存在は,避けなければならない。
注記2 特に,視覚及び触覚に障害のある人々にとっては取扱いがしにくいためでもある。
5.2.6 適切なフィードバック
適切なフィードバックは,次による。
a) “正常に受付”,“エラー”などの操作に対する結果を利用者に明確に伝えるためには,視覚,聴覚,
触覚などのいずれの感覚にも対応できる方法によってフィードバックを行うことが望ましい。また,
操作要素が今どのような状態にあるのか,複数の感覚器官を通じて利用者に知らせる仕組みとするの
がよい。
b) 一連の操作のうちの個々の操作が完了した場合には,適切なフィードバックを操作直後に出すように
配慮するのがよい。操作開始から結果までに時間がかかる場合は,動作状態(機能が動作しているか
否か)も知らせることが望ましい。
c) 複数の段階を踏んで操作するものについては,現在どの段階にいて,かつ,何をしているのかを知ら
せるのがよい。
d) 一連の操作に対する反応時間には,極端な偏りがないようにする。
e) フィードバックの方法は,利用者の知覚,認知,運動などの特性を配慮して設定するのがよい。
f) 同一の操作によって,設定値,設定モードなど複数の選択肢を一定の順番で切り換える(サイクリッ
ク)操作方法においては,基点において音及び音声を発する,視覚表示するなど適切にフィードバッ
クする補助手段を設けるのがよい。
g) つまみの回転量など操作量と表示量との関係は,利用者の知覚,認知,運動特性などを配慮して設定
する。
h) 報知音などのフィードバックは,重大な危険を知らせる場合を除いて,製品操作の妨げとならないよ
う,その出力途中であっても利用者が出力を停止できる又は次の操作に移れるようにするのがよい。
5.2.7 誤操作の対処・防止
誤操作の対処・防止は,次による。
a) 誤った組立,誤った取付けなどが起こった場合,製品又はシステムは利用者の危険とならないように,
起動しない又は安全に停止する設計にしなければならない。
b) 誤操作した場合は,その状況が利用者に直ちに分かるように表示,報知音,ランプなど,なるべく利
用者の複数の感覚に訴える注意及び警告を行わなければならない。また,誤操作によって利用者に危
険が及ぶ場合,注意及び警告とともに,製品又はシステムが安全に停止する設計にしなければならな
い。
c) 不用意に操作してはならない重要な操作要素は,他の操作要素から離して配置し,ロック機構,チャ

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イルド・レジスタンス1)及びシニア・フレンドリー2)(Child Resistance and Senior Friendly)に配慮し,
カバーなどを設けなければならない。
注1) 例えば,51か月未満の幼児による操作を困難とするなどの機能[JIS S 4803 [8]の3.1(チャイ
ルドレジスタンス機能)参照]。
2) 容器の蓋,紙器などの分野において高齢者にやさしく活用できる機能。
d) 認知機能に障害のある人々にとって,操作要素及び画面は,誤操作しても問題にならないよう配慮す
るのがよい。
e) 万一誤操作した場合は,操作の途中からでも元の状態に容易に復帰でき,やり直しができるようにす
る。

5.3 取扱説明

  取扱説明は,次による。
a) 冊子の場合は,分量及び重さに配慮する。
注記 取扱説明書の大きさ,ページ数及び紙の重さは,手に持ったりページをめくったりといった
動作のしやすさに影響し,最終的には,その取扱説明書が活用される度合いに影響する。
b) 技術的用語及び専門用語で,一般化した日常語に置き換えることができない用語を使用する場合には,
取扱説明書などで用語の説明を行うなど,利用者が理解できるように工夫しなければならない。
c) 注意表示を複数の言語で提示する場合,印刷情報であれば1ページ中に言語を混在させずに言語ごと
に別ページとするのがよい。音声言語による情報の場合には,どの言語で話すかという分かりやすい
前置きをそれぞれの言葉で付けることが望ましい。
d) 操作部に表示する用語と取扱説明書で使用する用語とは必ず一致させる。
e) 冊子が同封されていない場合は,どの媒体で入手できるかを記載するのがよい。
例 DVD,ウェブサイトなど。

5.4 適切な環境

5.4.1  音響
音響には,磁気ループ,赤外線,無線を利用した(補聴)システムなどのコミュニケーション機器を設
置するのがよい。
注記 聴覚障害のある人々にとっては,音響設計の優れた場所であっても,遠くの音を捉えることは
難しい。
5.4.2 照明
照明は,使われる場所の明るさに配慮して設計するのがよい。
注記 テレビの操作要素(リモコンなど)は,暗い部屋で使われることがある。視覚障害のある人々
にとっては,適切な照明があれば,操作要素がより見やすくなる。また,適切な照明は,手話,
口話,読唇などによる聴覚障害のある人々のコミュニケーションにとっても有用になる。
5.4.3 温熱
温熱は,次による。
a) 通常の利用で触れてしまう表面は,素材に配慮し極端に熱くなったり,冷たくなったりしないように
配慮する。冷たくなりすぎない素材を使うなど,適切な断熱材を使用するのがよい。
b) 機能上極端に熱くなる部分及び冷たくなる部分がある場合は,接触禁止又は接触時の注意について警
告するのがよい。
注記 警告は,触覚に障害のある人々,視覚及び認知機能に障害がある人々にとって有用となる。

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また,注意を促す表示及び文章は,見付けやすく,理解しやすいように配慮するのがよい。
5.4.4 その他
5.4.4.1 換気
換気システムには,気道アレルギーを悪化させたり,息苦しさを引き起こすことのないように配慮する
のがよい。
5.4.4.2 素材の火災安全性
障害のある人々が利用する製品は,燃えにくい素材を採用するのがよい。
注記 たばこ,マッチなどの小さな火元から燃え上がってしまう素材は,燃えるときに有毒ガスを発
生したり,急速に燃え広がったりするので危険であることに注意が必要である。これは,素早
く移動することが困難な人々及び視力の弱い人々にとって,特に危険となる。
参考文献
[1] JIS S 0011 高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活用製品における凸点及び凸バー
[2] JIS S 0014 高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活用製品の報知音−妨害音及び聴覚の加齢変化を考
慮した音圧レベル
[3] JIS S 0022-3 高齢者・障害者配慮設計指針−包装・容器−触覚識別表示
[4] JIS S 0025 高齢者・障害者配慮設計指針−包装・容器−危険の凸警告表示−要求事項
[5] JIS S 0032 高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法
[6] JIS S 0033 高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−年齢を考慮した基本色領域に基づく色の組合
せ方法
[7] JIS S 0052 高齢者・障害者配慮設計指針−触覚情報−触知図形の基本設計方法
[8] JIS S 4803 たばこライター及び多目的ライター−操作力による幼児対策(チャイルドレジスタンス機
能)安全仕様
[9] ISO 26800,Ergonomics−General approach, principles and concepts
[10] ISO/TR 9241-100,Ergonomics of human-system interaction−Part 100: Introduction to standards related to
software ergonomics
[11] ISO/TR 22411,Ergonomics data and guidelines for the application of ISO/IEC Guide 71 to products and
services to address the needs of older persons and persons with disabilities

JIS S 0012:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS S 0012:2018の関連規格と引用規格一覧