JIS T 0801:2016 ヘルスケア製品の滅菌―エチレンオキサイド―医療機器の滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理の要求事項 | ページ 14

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T 0801 : 2016 (ISO 11135 : 2014)
当たりのEOへのばく露は,菌数にかかわらず微生物の菌数の1/10に減少する。この単位時間は,あらか
じめ定められた滅菌プロセスにばく露したとき,製品の微生物汚染のD値という。
あらかじめ定めた滅菌プロセスにばく露したときの製品に与える特定の微生物のD値及び微生物学的致
死率は,一般的に用いられている二つの方法のうちの一つの方法で結果を計算できる。第1の方法(計数)
は,生残数の計数又は実地計数である。また第2の方法(部分陰性)は部分サイクルの間の生育/非生育
の結果を用いる。これらは附属書A又は附属書Bの方法のいずれかに用いることができる。D値は,部分
サイクルの結果を用いて,ISO 11138-1及びISO 14161に記載された式で計算できる。
EO導入及びばく露後の排気時間の影響を致死率の測定において考慮することは,より高い精度を与え
るので,適切なことがある。EOばく露時間と比較して,EO導入及びばく露後の時間が長いとき,これら
の影響は最も重要である[40]。
用いた方法によらず,次の事項が前提である。
a) 微生物数は均一である。
b) プロセスパラメータはバッチ間で一定である。
c) 片対数生残関係がある。
d) そのプロセスで処理した及び未ばく露微生物は,回収培地で同様な応答で生残している微生物である。
e) 全ての微生物試験法(無菌性の試験,計数など)はJIS T 11737-1及びJIS T 11737-2に従ってバリデ
ートするとよい。
計数法 : 計数は内部PCDを部分サイクルへのばく露,チャレンジの取り出し,及びサンプル又はBIの
生残数の計数から成る。生残数は生残曲線及びD値に使用できる。D値は直線回帰モデルを用いて計算さ
れる。
ISO 14161:2009参照。
フラクションネガティブ法(部分陰性法) : フラクションネガティブ法(部分陰性法)は,滅菌サイク
ルの運転をして全てではないが幾つかのBIが不活化する必要がある。それは次を含む。
a) ホルコム・スパーマン・カーバー(HSK)法
b) 限定ホルコム・スパーマン・カーバー(LHSK)法
c) ストゥンボ・マーフィー・コクラン(SMC)法
ISO 14161:2009参照。
サンプルサイズ : サンプルの数は,用いる方法及びサンプルを負荷に分散しておくか又は1か所に集中
させるかによる。1か所に集中した使用の場合は,サンプル間の結果の整合性を改善することがある。し
かし,広範囲のマッピングを各々のチャンバ,各々可能な載荷形態で実施していない場合は,チャンバ内
のワーストケース位置を代表しないことがある。
結果を評価しているとき,繰返しチャレンジの間,ばく露条件の変動よりも菌数のランダムな変動のた
めに微生物の生残数が異なることがないようにする考慮が必要である。
BIの数の詳細な指針は表C.3参照。付け加えて,サンプルの最低数に適合することを確実にするためISO
11138-1及びISO 14161を参照。
望まれる結果を達成するために,そのサイクルのばく露後のフェーズを短くする必要な場合がある。
D.13.1.2[A.1.2] BIの培養期間の情報は,ISO 14161:2009の12.3に示されている。
D.13.1.3[A.1.3] 致死率又はD値の測定のために計数法及びフラクションネガティブ法を組み合わせる
ことは可能である。二つの方法は異なった計算方法を基にしている。ユーザは一般的にプロセス致死率の
測定のためにいずれか一つの方法を選択する。

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D.13.2[A.2] 手順
無菌性を達成するのが最も困難な製品内での部位は,滅菌剤の浸透が少ない部位だけでなく,多量のバ
イオバーデンが存在するような部位を含む。製品のレビューは,微生物学的チャレンジの適切な設置位置
を確立するために実施するとよい。そのレビューは文書化するとよい。ISO 14161:2009の7.2.2を参照。
考慮すべき点は次の事項である。
a) 内くう(腔)の長さ及び内径,及び医療機器の壁がEOの拡散を許すかどうか
b) 製品及び材料の両方の異なった部品の吸収性
c) 物品の重さ及び密度
d) 載荷形態,特に混載した製品負荷
サンプルの最低数の要求事項に合致することを確実にするためISO 11138-1及びISO 14161を参照。
ISO 14161:2009の附属書Aは,BI/バイオバーデン法におけるBIと製品バイオバーデンとの関係を用
いる場合の追加的な指針を提供する。
内部PCDは,少なくとも製品の最もアクセスしにくい部位のバイオバーデンよりも同等以上のチャレン
ジを提供することが重要である。PCDの開発の情報はD.7.1.6を参照及び製品の無菌バリアシステム内に
置いた内部PCDの適切性の決定の情報はD.8.6参照。
主に致死率に影響するパラメータは,ばく露時間,EO濃度,湿度及び温度である。ばく露時間以外の
パラメータを調整した場合,パラメータには相互関係があり,この調整によって希望した結果を達成でき
ないかもしれないので,そのサイクルへの全体的な影響を評価するとよい。例えば,温度低下の結果は,
圧力パラメータを変更しない場合,実際にEO濃度及び相対湿度の上昇となる。
プロセス致死の検討から得たデータは,滅菌プロセスに要求される最短のEOばく露時間を確立するた
めに使用される。これらの検討が研究用のチャンバで実施される場合,死滅曲線(致死率又はD値/SLR)
はプロセスパラメータ,チャンバ載荷形態,及び検討に用いた負荷内のPCDの場所に固有なので,実際の
滅菌プロセスに対して,このばく露時間を直接適用することに注意するとよい。
直接計数法及びフラクションネガティブ法の追加説明はISO 11138-1:2006の附属書D及びISO
14161:2009の附属書Cを参照。
D.14 附属書Bの指針−安全率を見込んだ滅菌プロセスの致死率の決定−オーバーキル法
D.14.1[B.1] 一般
D.14.1.1[B.1.1] この箇条は附属書Bの詳細な指針情報を提供している。また,箇条8及び箇条9の追
加的指針情報である。BI/バイオバーデン法,及びオーバーキル法は多くの同じ手順を用いるので,幾つ
かのこの附属書の文章はD.13の文章と重複する。
しかし,サイクル計算法を用いる場合,D.13.1.1を参照。オーバーキル法の使用に関する詳細な情報は
ISO 14161:2009の7.2参照。
ユーザは,この方法から導き出された最低サイクル時間は,それ自身では,滅菌プロセスをバリデート
するために十分ではないことに注意を払うとよい。提案されたフルサイクルの間,プロセスパラメータが
定義された限度で維持できる能力の立証が必要である。
D.14.1.2[B.1.2] この方法では一般的に二つの方法が用いられる。
ハーフサイクル法 : 使用の相対的簡便さ及び安全率を見込んだSALが得られることから,医療機器製造
業者及びヘルスケア施設は一般的にハーフサイクルばく露時間でチャレンジBIの106の全ての不活化を立
証するこの方法を用いる。このばく露時間が2倍のとき,EOばく露中に最低12 SLRが得られる。この方

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法は12 SLR相当以上のプロセスを提供する。
サイクル計算法 : この方法は,内部PCDの実験サイクルへのばく露,チャレンジの取り出し及び生残数
の試験から成る。この試験は,フラクションネガティブ手法,又はサンプル上の,若しくはチャレンジイ
ンジケータの生育可能な微生物の計数の実施である。この情報は,製品に定義したSALを与えるために必
要なサイクルの計算に用いることができる。ISO 14161:2009を参照。ストゥンボ・マーフィー・コクラン
法及びオーバーキルサイクル計算法を用いるとき,BI/PCDの推奨される数量は,滅菌される製品容積を
基にして最低10個である。参考文献[38]及びC.3参照。ゼロ時間でばく露するサンプルセットは,実験サ
イクルの滅菌剤導入前の全段階にばく露するとよい。
D.14.1.3[B.1.3] BIの培養期間の情報はISO 14161:2009の12.3に示されている。
D.14.1.4[B.1.4] 製品のバイオバーデン抵抗性に対する相対的なBIの適切性は,適切なばく露時間の部
分サイクルを用いたプロセスの決定の前又は間に実施する無菌性の試験によって立証できる。
D.14.2[B.2] 手順
D.14.2.1[B.2.1] この方法では内部PCDを製品無菌バリアシステム内に置いて使用することができる。
この方法を用いる場合,製品が示すものよりは滅菌プロセスに対して大きなチャレンジを提供することを
示すとよい。内部PCDの滅菌プロセスに対するチャレンジは,少なくとも負荷の中で最も到達しにくい製
品の部位(D.7.1.6及びD.8.6参照)に存在するバイオバーデンと同等であるとよい。PCDの開発について
は7.1.6を参照,製品の微生物学的チャレンジの内部PCDの適切性の判断についての情報は8.6及びD.8.6
を参照。
D.14.2.2[B.2.2] 無菌性を達成するのが最も困難な製品内での部位は,滅菌剤の浸透が少ない部位だけ
でなく,多量のバイオバーデンが存在するような部位を含む。
考慮すべき点は次の事項である。
a) 内くう(腔)の長さ及び内径,及び医療機器の壁がEOの拡散を許すかどうか
b) 製品及び材料の両方の異なった部品の吸収性
c) 物品の重さ及び密度
d) 載荷形態,特に混載した製品負荷
ヘルスケア施設での考慮点 : EO,湿度及び熱の製品への十分な浸透を立証するために,EO滅菌プロセ
スの日常監視及びバリデーションのためにPCDを選定するとよい。EOに対するPCDの抵抗性は,製品の
最も滅菌しにくい部位の製品のバイオバーデンの抵抗性と同等以上であることを示すのがよい。
D.14.2.3[B.2.3] 指針はない。
D.14.2.4[B.2.4] 微生物学的計数データ又は部分死滅データの取得には,微生物学的チャレンジを通常
の滅菌サイクルより少ない致死となる条件にばく露することが要求される。これは通常,全てのパラメー
タを一定で通常の状態に保持する,又は許容最低プロセス条件を選定し,ばく露時間を少なくして達成す
る。計数実験で許容最低温度を用いることは,あらかじめ定めた温度範囲内で操作したとき要求される致
死率が得られることを保証する。
致死率に主に影響するパラメータは,ばく露時間,EO濃度,湿度及び温度である。ばく露時間以外の
パラメータを調整した場合,このパラメータが相互に関係があり,この調整によって希望した結果を達成
できないかもしれないので,そのサイクルへの全体的な影響を評価するとよい。例えば,温度低下の結果
は,蒸気導入圧及びEO導入圧力上昇を行わない場合,EOの濃度及び相対湿度は実際には増加する。
D.14.2.5[B.2.5] SLRは部分サイクルの結果を用いて計算できる。内部PCDの生残がない場合,SLRの
ワーストケースの確立は,生残1と仮定した計算を行って得ることができる。

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T 0801 : 2016 (ISO 11135 : 2014)
用いた方法によらず,次の事項が前提である。
a) 微生物の菌数は均一である。
b) プロセスパラメータはバッチ間で一定である(ガスばく露時間を除き)。
c) 片対数生残関係がある。
d) 回収培地内でばく露及び非ばく露の微生物は同様な反応をする。

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T 0801 : 2016 (ISO 11135 : 2014)
附属書E
(規定)
単一ロットの出荷
E.1 一般
この附属書は,単一の滅菌負荷を構成する十分な製品がある場合,例えば,新製品の研究及び開発又は
臨床試験用製品について滅菌プロセスからの製品リリースための要求事項を規定する。
注記 臨床用製品については国の規制のある可能性のあることに注意を払わなければならない。この
ような規制が有効な場合,その規制の要求事項に従うとよい。
E.2 手順
E.2.1 対象の包装された製品が,滅菌する既存の製品ファミリに該当するかどうか評価する。この評価は
製品組成,設計,包装,バイオバーデン及び負荷密度を考慮しなければならない。この評価の結果,決定
に至った理論を含めて文書化しなければならない。
E.2.2 包装された製品が既存製品ファミリに該当した場合,12.5.2及びD.12.5.2参照。
E.2.3 既存の製品ファミリがない場合,又は既存製品ファミリに該当しない包装された製品の場合,次の
事項を実施する。
a) ロットからランダムにサンプルを採り,JIS T 11737-1に従いそのロットの平均バイオバーデンを測定
する。
b) 包装された製品内にある製品無菌性の試験のサンプル及び内部PCDを,滅菌負荷内に滅菌条件を達成
するのが最も難しい位置を含んで配置する。定義した位置に外部PCD(用いる場合)を置く。PCDは
ISO 11138-2:2006の箇条5及び9.5に適合するBIを含む。
注記 位置は温度監視に用いられている位置を含めるとよい。
c) 滅菌負荷を最低プロセスパラメータが推定で製品に10−1未満のSALを与える及び78 log10の減衰を
PCDに与える部分EOガスばく露サイクルにばく露する。
d) 内部PCD,外部PCD(用いる場合)及び負荷からの製品試験サンプルの取り出し及びJIS T 11737-2
に従った無菌性の試験にかける。
注記 内部PCDに対する製品バイオバーデンの抵抗性の比較をE.2.3 c) の部分サイクルより短い時
間の部分サイクルを用いて,以前に評価している及び製品の無菌性の試験サンプルから陽性
試験結果がない場合,E.2.3 c) の部分サイクルにばく露した製品試験サンプルの無菌性の試
験を実施する必要性はない。
e) 負荷を周囲条件へエアレーション及び再じゅん(馴)化する。エアレーション期間は,フルばく露滅
菌サイクル[次のf) 及びg) 参照]内で新しいPCDに悪い影響を与えないことになるレベルにEO残
留物を蒸散させるのに十分である時間とする。
f) 最も達成が難しい滅菌条件の位置を含めて,滅菌負荷内に製品包装内に置かれた新しい内部PCDを配
置する。定義した位置に外部PCD(用いる場合)を置く。
注記 用いられる位置は温度監視に用いられる位置を含めるとよい。
g) 同じ負荷を2回目の公称プロセスパラメータで滅菌サイクルにばく露する。その負荷のあらかじめ定
めたばく露時間は上記c) の部分サイクルの少なくとも2倍である(これはフルサイクルである。)。

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JIS T 0801:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11135:2014(IDT)

JIS T 0801:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 0801:2016の関連規格と引用規格一覧