JIS T 1506:2018 超音波装置―超音波手持探触子形ドプラ胎児心拍動検出装置―性能要求事項,試験方法及び表示 | ページ 3

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8.5.1.5 スピーカ(音響出力部)
音響出力が利用できない場合は,スピーカ又は他の音響出力部は,被試験装置の信号出力部に接続する
ことが望ましい。
8.5.1.6 音響減衰器
音響減衰器は,標的からのドプラシフトしたエコーレベルの実際的な条件を作るために,探触子と標的
との間の超音波音場に挿入する。減衰器の位置は,探触子とできる限り近づける。減衰器は,測定される
感度の範囲をカバーする挿入損失の範囲をもたなければならない。最も厚い減衰器は,20 dB以上の往復
挿入損失をもたなければならない。減衰器は,誤差±0.05 mmの一定の厚さの材料のシートで,25 %未満
の前面振幅反射係数をもたなければならない。往復挿入損失(減衰)は,この総合感度試験の間か,又は
それに先立って測定する(附属書C参照)。個々の減衰挿入損失の精度は,音響作動周波数の範囲で信頼
限界95 %において,±1 dB又はそれ以上でなければならない。幾つかの減衰器を重ねて使用するとき,減
衰器の厚さの総合計は20 mmを超えてはならない。減衰器の表面に空気が入らないように注意することが
望ましい。水,他の適切な液体,又はゲルを,音響結合媒体として使うことが望ましい。
探触子から標的へ,及びその戻りの超音波が通過する間の往復減衰の総合計Bを決定する。この減衰は,
水槽の音響の結合器窓(図3において例として示した底プレート)の挿入損失も含まなければならない。
信号減衰の総合計は,次の式によって算出する。
B Ba Bw
ここに, ΣBa : 減衰器の全挿入損失
Bw : 全結合窓にわたっての挿入損失。一定の条件の下では無視で
きる(附属書C参照)。
8.5.2 測定手続
装置の総合感度の測定は,次に従って行う(図3に示した試験システムの例参照)。
8.5.2.1 水槽を水で満し,探触子面がほぼ試験容器の中心となり,探触子を超音波ビームが標的に当たる
ように向けた試験装置を準備する。探触子と標的との間の距離dは,8.5.2.6に規定した距離のうちの一つ
に設定する。超音波ビームに関連した標的は,標的反射損失の決定のために使用したものと同一でなけれ
ばならない(8.5.1.1参照)。
8.5.2.2 実効値電圧測定システムは,信号出力部に接続する。オシロスコープは,標的駆動部の電気信号
と被試験装置とに接続する。探触子は,図3に例示するような試験装置と接続する。
8.5.2.3 被試験装置の音量調整器は,標的が作動していないときに実効値Vn(装置の電気のノイズ出力)
の値を測定できる位置に設定する。駆動部は,ドプラ信号を得るために操作され,探触子部の水平位置は,
出力振幅が最大になるような位置に調整する。
出力実効値Vs(信号及びノイズが混ざったもの)は,前出の音量調整器と同じ位置で測定する。被試験
装置の出力は,信号対雑音比Cが,約6 dBになるまで,探触子と標的との間に音響減衰器を加えること
によって減衰させる。
ここに,Cはデシベルで,次の式によって算出する。
V(s rms)
C 20 log10
V(n rms)
総合感度S(dB)は,次の式によって算出する。

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S A(d) C
ここに, A(d) : 距離dでの標的平面波反射損失(dB)(8.5.1.1及び附属書A
参照)
B : 音響減衰器,全結合窓及び水の進路を含む音響の進路全体に
わたる往復減衰(dB)(附属書C参照)
C : 信号対雑音比(dB)
8.5.2.4 ドプラ信号が確実に聞こえるように,信号対雑音比C=6 dBの条件の下で,音響出力Paは,音
量調整器を最大に設定した状態で,スピーカ駆動出力としてPa>1 mW,及びイヤホン又はヘッドホン駆
動出力としてPa>100 μWであることが望ましい。
出力Paは,次の式によって算出する。
2
Vn ( rms )
Pa
Zv
ここに, Zv : 実質的な抵抗である負荷の公称電気インピーダンス
8.5.2.5 球状標的を使用する場合は,総合感度の決定は,直径の異なる二つの標的を用いて行わなければ
ならない。大きい標的と小さい標的との直径の比率は,1.1よりも大きくなければならない。総合感度S
の公示値は,より大きい値を与える標的からのデータに基づく(附属書A参照)。
8.5.2.6 総合感度Sは,探触子の面から50 mm,75 mm,100 mm及び200 mmの距離(d)に置いた標的
によって決定する。
注記 ここでの目的は,臨床に使われる距離の範囲での感度を決定することである。最大距離200 mm
は,遠い距離にある標的を表し,この距離は,比較的厳しい要求条件である。

9 性能の表示

  装置の性能を表示するために,次のパラメータの値を明示する。
a) 公称音響作動周波数(有効数字2桁)
b) (対応国際規格では,この細別において,総合感度の表示について規定しているが,この規格では不
要であり,不採用とした。)
c) (対応国際規格では,この細別において,ドプラ周波数及び標的速度の表示について規定しているが,
この規格では不要であり,不採用とした。)
d) 空間のピーク時間的ピーク音圧
e) 出力
f) 超音波振動子の有効範囲
g) 通常使用する音響結合媒体及びその特性音響インピーダンスの記載
複数の周波数を使用する装置の場合は,パラメータa) f)は,各公称音響作動周波数に対する値を明示
する。周波数掃引をする装置の場合は,パラメータa) f)は,掃引された周波数範囲の下限及び上限の周
波数での値を明示する。
出力が変更できる装置の場合は,a) f)は,最大出力時の値を明示する。
ここに,箇条8で規定した試験で使用された水槽の温度を明示する。さらに,試験中の環境温度も明示
する。

10 附属文書の明細項目

  超音波の性能に関するラベリングについては,次のパラメータの値を,適切な形式で附属文書の中に明

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確に記載する。
a) 公称音響作動周波数(有効数字2桁)
b) (対応国際規格では,この細別において,総合感度の記載について規定しているが,この規格では不
要であり,不採用とした。)
c) (対応国際規格では,この細別において,ドプラ周波数及び標的速度の記載について規定しているが,
この規格では不要であり,不採用とした。)
d) 空間のピーク時間的ピーク音圧
e) 出力
f) 超音波振動子の有効範囲
g) 通常使用する音響結合媒体及びその特性音響インピーダンスの記載
公表値は,箇条11で規定したサンプリングと一致しなければならない。
複数の周波数を使用する装置の場合は,パラメータa) f)は,各公称音響作動周波数に対する値を明示
する。周波数掃引をする装置の場合は,パラメータa) f)は,掃引された周波数範囲の下限及び上限の周
波数での値を明示する。
出力の可変できる装置の場合は,a) f)は,最大出力時の値を明示する。
水槽の温度及び環境温度の範囲は,パラメータa) g)の記載ごとに明示する。
注記 3.10で定義した装置の総合感度は,出力及び装置によって発生した超音波音場での音響圧力分
布によって変わる。したがって,装置の性能を十分評価するためには,これらのパラメータの
知識を必要とするため,それらをこの項に含めた。その装置がIEC 61157の4.2.5に該当する場
合にも,これらの項目を含める。

11 サンプリング方法

  箇条10で規定した性能パラメータの記載の必要条件は,少なくとも五つの同一形名の装置のサンプル群
による形式検査に基づかなければならない。
箇条10に従って記載した種々のパラメータの値は,サンプルから得た平均値としなければならない。

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附属書A
(参考)
標的の選択及び標的平面波反射損失の決定
A.1 標的の選択
8.5.1.1に規定した小さい標的に要求する仕様は,多くの異なった形式の標的を用いることによって明確
になる。最も頻繁に用いられる二つの形式(終端の形状が,平面カット又は半球状の細い棒の場合及び細
い棒の端に支持される小球である場合)の標的について次に記載する。一般的な目的は,標的平面波反射
損失が40 dB60 dBの範囲の標的を使うことにある。
A.1.1 鋼球標的
A.1.1.1 特性
表A.1は,この規格で記載している応用例で使用し,良い結果を得た鋼球標的の詳細である。
表A.1−鋼球反射体の詳細
データ 形式
A B
(周波数800 kHz以上) (周波数1.2 MHz以上)
鋼球の直径 mm 2.38 1.58
鋼球の材質 マルテンサイト系ステンレス鋼
支柱 ステンレス製皮下注射針
鋼球標的の標的平面波反射損失は,その剛球の大きさ及び超音波の波長,すなわち,周波数に依存する。
重要なパラメータkaは,波数k=2πf/c[ここに,fは周波数(kHz),cは鉄の音速(m/s)]と鋼球の半径a
(m)との積である。ka≧4の範囲では,反射損失は,kaによって変化し,かつ,kaの増加に伴い,一定
の値に収束する傾向がある。表A.1に示した二つの標的で,ka=4であるための周波数は,形式Aでは800
kHz,形式Bでは1.2 MHzである。
A.1.1.2 反射損失
連続波の場合は,特定の方角での鋼球から反射される超音波は,鋼球及び支持棒の内部の種々な反射の
干渉によって強く影響される。したがって,標的平面波反射損失は,被試験装置の音響作動周波数及び使
用する標的の方向によって決定されることになる。これが,球状標的の場合は,異なった直径の二つの標
的が使われなければならず,かつ,Sが大きい方の標的からデータを取ることが望ましいと8.5.2.5で推奨
している理由である。これを考慮した場合は,直径が1.58 mmと2.38 mmとの二つが適切である。この方
法は,有害な干渉のために偶然に非常に高い反射損失が出るかもしれない不具合を回避できる。表A.1で
詳述した距離100 mmでの二つの鋼球の標的平面波反射損失の周波数による変化の例を,図A.1に示した。
A.1.2 細い棒状の標的
A.1.2.1 特徴
長い棒を標的として用いる。直径が約0.5 mmの終端が平面状のステンレス製の棒を使用し,標的平面
波反射損失が滑らかに変化することを,図A.1に示している。これらの標的は,音響のインピーダンスが
0.6×106 kgm−2s−13.5×106 kgm−2s−1の範囲の材質を使うことが望ましい8.5.1.1の推奨に従わないが,鋼
球からの高い反射によって内部反射なしに直径を小さくできる利点がある。それによって,滑らかで適切

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な標的平面波反射損失を算出できる。また,ポリメタクリル酸メチル,ポリカーボネート,ポリテトラフ
ルオロエチレンなどの損失の大きい材料から作った直径1 mmの終端が平面状の棒も使用できる。
ポリメタクリル酸メチルのような損失の大きい材料で組み立てた終端が半球状の長い棒の場合は,ka>4
(aは,半球部分の直径)において平たんな周波数応答をもつことを示した。使用した他の材料として,
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がある。これらの材料の特性音響インピーダンスは,8.5.1.1に示す
値よりも十分に低い。しかし,十分に小さい標的平面波反射損失を得るためには,直径が上の規定よりも
大きい棒を使うほうがよく,一般に2 mm程度の値である。図A.1に代表的な結果を示す。
30
35
標的平面波反射損失(dB)
40
45
50
55
60
65
1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0
鋼球形式A 表A.1参照
■ 鋼球形式B 表A.1参照
◆ 直径0.56 mmで終端が平らな鋼棒
▲ 直径2 mmで終端が半球状のポリテトラフルオロエチレンの棒
図A.1−距離100 mmでの4種類の標的の周波数の作用に関する標的平面波反射損失
A.2 標的平面波反射損失の決定
A.2.1 一般
標的平面波反射損失は,多くの異なった試験方法を用いて決定する。その目的は,標的からの規定の距
離で,180°後方反射超音波音場と標的との位置で,標的を取り去ったときの音響圧力比を決定することに
ある。この規定のために,例えば,次のような異なった方法が使用される。三つの方法には,それぞれ概
略的に図A.2に示すような試験機器構成を用いる。図A.2のa)及びb)に示した機器構成ではハイドロホン
の使用を基本においているが,これは,最大の精度が要求される場合の参考測定として使用する。図A.2 c)
で示した機器構成は,超音波トランスジューサの使用に基づいており,測定の精度はそれほど重要でなく,
簡単なこと及び使いやすいことが最も重要である。
三つの機器構成に共通の初期設定の手順は,次による。
A.2.1.1 少なくとも0.5 mの長さの,水で満たした試験水槽を準備する。トランスジューサ,標的及び測
定用ハイドロホン(又は反射体)を支持するための位置調節機構が必要である。少なくとも,20サイクル

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JIS T 1506:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61266:1994(MOD)

JIS T 1506:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 1506:2018の関連規格と引用規格一覧