JIS T 6505:2016 歯科用アルギン酸塩印象材 | ページ 2

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c) 印象材の試験を行うために必要な試料の量を次に示す。
− アルギン酸塩印象材(粉末)は,少なくとも900 g
− アルギン酸塩印象材(ペーストとペーストとの組合せ)は,5 L
− 石こうとの適合性試験用石こうは,少なくとも1 000 g
注記 この細分箇条に示す試料の量は,全ての試験で必要とされる量,及び予備試験又は追加試験に
必要となる量を考慮している。

6.2 試験前の製品確認

  試験のために準備した試料が,6.1の事項に適合することを確認する。
6.2.1 表示事項の確認
開封前の顧客向け包装品(一次包装及び一次容器を含む。)に,8.1の表示がされていることを確認する。
試験する印象材の製品名,種類,製造番号又は製造記号,及び使用期限を記録する。
6.2.2 包装状態の確認
試料を開封する前に,次の事項について異常がないことを確認する。
− チューブキャップ,容器蓋の緩み,又は内容物の漏えい
− 容器の破損又はせん(穿)孔
アルギン酸塩印象材の容器を開封した直後に,包装不良及び劣化による粉の塊・か(顆)粒がないかを
確認する。
何らかの異常が確認された印象材は,試験に使用しない。
6.2.3 使用方法に関する情報の確認
試料を開封する前に,次の事項を確認する。
− 8.2に規定する使用方法に関する情報が,添付文書に記載されていることを確認する。
− 添付文書が添付されていることを確認する。
アルギン酸塩印象材の粉材の一次包装又は一次容器を開封後直ちに,その中に指示書などが封入されて
いる場合には,その内容を確認する。

6.3 試験前の留意事項

6.3.1  試験条件
特に指定のない限り,温度23±2 ℃及び相対湿度(50±10)%の環境下で,試料の準備及び試験を実施
する。さらに,特に指定のない限り,試験に使用する器具及び材料は,事前にこの環境下に保持しておく。
6.3.2 試験器具の確認
試験器具の確認は,次による。
a) 試験前に,附属品,器具及び機器を確認する。
b) この規格,JIS T 6600又はISO 6873に規定する仕様に適合していることを確認する。
c) あらかじめ計測機器又は試験器具の試料に触れる表面部分から,汚れを除去する。
6.3.3 試験用材料の取扱い及び使用方法
6.3.3.1 個別包装試料の識別
試験のために準備した製品が,2個以上の別個の包装からなる場合,試験体の作製に用いる材料を特定
するために,一次容器又は一次包装に数字又はアルファベットと数字との組合せの記号を割り当てて識別
する。
6.3.3.2 保管及び操作方法
特に規定のない限り,製造販売業者の添付文書に記載の機器,使用方法及び保管方法に従う。各試験体

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の調製のための練和方法・練和時間を記録する。
6.3.3.3 アルギン酸塩印象材及び石こう製品の練和用水
試験体の作製に使用する水は,次による。
− 水質 : ISO 3696のグレード3の水,蒸留水,脱イオン水又は逆浸透膜水を用いる。
− 水温 : 製造販売業者の指定による。
6.3.3.4 試験体調製のための量
バルク容器で供給される場合,約40 mLの練和物(中型の印象採得に相当する量)を得られる粉末又は
ペースト。
個包装で供給される粉末は,個包装の粉末を推奨する量の水と練和して得られる量。
6.3.4 試験体作製時の温度及び時間
試験体作製用の材料を試験体作製用型内に満たし,型全体を指定の時間及び温度,すなわち,印象材が
口くう(腔)内で印象採得する状態を模倣する温度に保つ。
例えば,印象材を満たした型は,口くう(腔)内で印象採得する温度である35±2 ℃に設定した水槽に
浸せきし,口くう(腔)内に保持する場合と同じ使用法で,推奨する時間,浸せきする。
6.3.5 試験の順序
操作時間試験(7.1)及び初期硬化時間試験(7.2)を行う。製造販売業者が表示するこれらの時間[8.2.2
g) 及び8.2.2 h)]より有意に異なる場合には,試料の品質に問題のある場合がある。
6.3.6 試験中の時間計測
時間計測は,ストップウォッチなどで計測する。
6.3.7 合否判定
箇条7の各試験方法において規定するように,それぞれの試験項目の合否判定に用いる試験体の数は,3
個又は5個のいずれかとする。
a) 3個の場合,最初にまとめて3個の試験体を作製して試験する。3個の試験体のうち,2個以上が要求
事項に適合する場合は,合格とする。0個の場合,不合格とする。1個が適合する場合,3個の試験体
を追加で作製する。追加した試験体3個が全て適合すれば,合格とする。そうでない場合は不合格と
する。
b) 5個の場合,最初にまとめて5個の試験体を作製して試験する。5個の試験体のうち,4個以上が要求
事項に適合する場合は,合格とする。2個以下が適合する場合は,不合格とする。3個が適合する場合
は,5個の試験体を追加で作製する。追加した試験体5個のうち4個以上が適合すれば,合格とする。
そうでない場合は不合格とする。
6.3.8 試験結果の報告
試験に供した試験体の数及び合否を記録する。

7 試験方法

7.0 一般

  試験体の作製を開始する前に,箇条6の内容を熟知しておく。

7.1 操作時間試験

7.1.1  装置及び材料
装置及び材料は,次による。
a) 金属リング 高さ16.0±0.1 mm,内径30.0±0.2 mm。

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b) 高真空用グリス シリコーングリスなど試験に用いる器具及び材料と反応しないもの。
c) ガラス板 約50 mm×50 mmで,少なくとも3 mmの厚さ。
d) 針入試験機(図A.1参照) シャフトと針との合計質量は,50±0.5 g。
7.1.2 試験体の作製
7.1.2.1 少なくとも3個の試験体を作製する。
7.1.2.2 試験体作製の準備
試験体作製の準備は,次による。
a) 針入試験機,金属リング及びガラス板に印記又は目印を付して,これらが各試験において同じ位置関
係になるようにする。
b) 金属リングの表面に高真空用グリスを塗布する。
c) 金属リングをガラス板の中心に置く。
d) 針入試験機(図A.1)のシャフト及びダイヤルゲージのスピンドルを上昇させて固定し,金属リング
及びガラス板の中心が針の直下に位置するようにする。
e) シャフトのロックを解除し,針を金属リングの下に敷かれたガラス板表面の中心と接触するまで下ろ
し,次にダイヤルゲージのスピンドルの測定子(接触点)を下ろし,シャフトの上端に当て,基準読
取り値(a)としてダイヤルゲージの読みを記録する。
f) シャフトとダイヤルゲージのスピンドルとを上昇させ,金属リング及びガラス板が撤去できるよう,
針を金型上端上方の十分離れた位置で固定する。
7.1.2.3 試験体作製及び試験前の位置合わせ
アルギン酸塩印象材を練和終了後,直ちに,やや過剰に金属リングに満たし,金属リングの上面にレベ
ルを合わせて余剰分を擦り切る。試験体を針下方の中央に配置する。次いで,シャフトのロックを解除し,
針を試験対象である印象材の上面にぎりぎりに接するようになるまで降下し,シャフトをロックする。
7.1.3 試験手順
添付文書に記載された操作時間の5秒前に,シャフトを固定しているねじを緩め,針を試験体内に降下
させる。
なお,操作時間に幅がある場合は,最長の操作時間の5秒前に試験を開始する。
10秒後,シャフトの上端に当たるようにダイヤルゲージの測定子(接触点)を下げ,直ちにダイヤルゲ
ージの読みをbとして記録する。次いで,読取り値aとbとの差を0.01 mmの精度で計算し,針とガラス
板面との間に残っている印象材の厚さが,5.2に規定する値に適合するかどうかを記録する。
注記 針がガラス板の位置まで完全に落下する場合,操作時間試験の試料は初期硬化の状態にないた
め,その後直ちに同一の試験体を用いて7.2.3による初期硬化時間の試験を開始することが可能
である。
7.1.4 合否判定及び試験結果の報告
合否判定及び試験結果の報告は,6.3.7及び6.3.8による。

7.2 初期硬化時間試験

7.2.1  器具
器具は,次による。
a) 金属リング 高真空用グリスを塗布する。
b) 円柱状のポリメチルメタクリレート製テスト棒 長さ約100 mm,直径6 mmで,両端は高い光沢が得
られるまで研磨したもの(目視によってきずがないことを確認する。)。

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7.2.2 試験体の作製
7.2.2.1 少なくとも3個の試験体を作製する。
7.1.3の注記に示すように,操作時間試験用の試験体は,初期硬化時間試験にも使用することができる。
そうでない場合は,7.1.2.2のa),b),c) 及び7.1.2.3の手順で試験体を作製し,7.2.3によって試験を行う。
7.2.3 試験手順
添付文書に記載された操作時間終了5秒後に,テスト棒の一端を,未硬化の試験体材料に僅かに接触さ
せ試験を開始する。テスト棒に付着した印象材を除去しながら,テスト棒に印象材が付着しなくなるまで,
10秒間隔で繰り返す。この時点を初期硬化時間として記録し,5.3の要求事項と比較する。
なお,操作時間に幅がある場合は,最長の操作時間の5秒後に試験を開始する。
7.2.4 合否判定及び試験結果の報告
合否判定及び試験結果の報告は,6.3.7及び6.3.8による。

7.3 細線再現性試験

7.3.1  試験器具及び材料
試験器具及び材料は,次による。
a) 細線再現性試験用のテストブロック(図A.2参照)
b) 試験体作製用の附属品 孔あきリング及び固定用リング(図A.3参照)
c) ガラス板 約50 mm×50 mm,厚さ3 mm以上のガラス板。片面を厚さ約0.035 mmのポリエチレンシ
ートで覆って使用する。
注記 ガラス板の片面に高真空用グリスを薄く塗布し,ポリエチレンシートを密着して保持する。
d) 離型剤 テストブロックの表面にアルギン酸塩印象材が付着することを防止するために使用する。
[離型剤の例 : テトラデシルアミン(tetradecylamine)の1 %アセトン溶液]
e) 恒温器 テストブロックを35±2 ℃に維持できるもの。
f) 計量・練和用器具 アルギン酸塩印象材を計量・練和するために必要な器具。
g) 水槽 アルギン酸塩印象材が口くう(腔)内で硬化する温度に合わせ,35±2 ℃に保持した水槽。
h) −クランプ 挟み幅40 mm以上で,深さ30 mm以上のもの。
i) 消毒剤 製造販売業者が指定する消毒剤。
j) 顕微鏡又は拡大鏡 倍率が412倍で,低角度照明の付いたもの。
7.3.2 試験器具並びに附属品の確認及び調整
試験器具並びに附属品の確認及び調整は,次による。
a) 顕微鏡又は拡大鏡を用いて,テストブロック上のラインに汚れが付着していないことを確認する。
注記 重炭酸ナトリウムの濃厚水溶液を入れた超音波洗浄器は,印象用トレー及び試験附属品から
アルギン酸塩印象材による汚れを除去するのに有用である。
b) テストブロックは,試験体作製の温度に調整するために,少なくとも15分,35±2 ℃の恒温器内に保
持する。
7.3.3 試験体の作製
7.3.3.1 少なくとも3個の試験体を作製する。
7.3.3.2 試験体作製の準備
アルギン酸塩印象材の試験体を作製する場合,テストブロックに薄く離型剤を塗布する。
練和のためにアルギン酸塩印象材を計量する。

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7.3.3.3 試験体作製の手順
次の手順を行う。
a) 恒温器からテストブロックを取り出し,ブロックの肩部に載るように孔あきリング及び固定用リング
を装着して,試験体作製用の空洞を形成する。
b) 操作時間の30秒前に,テストブロックのほぼ中央に約6.5 mLの練和した印象材を流す。
c) 操作時間の15秒前に,ポリエチレンシートで覆ったガラス板を,空洞からあふれるように盛り上げた
印象材に,ねじることなくゆっくり押し当て,過剰な量を排出する。
d) その後,C−クランプを用い,固定用リングの上端面にガラス板を圧接して,最終的な試験体を成型
する。
e) その後,直ちに35±2 ℃の水槽に移し,製造販売業者指定の口くう(腔)内保持時間が経過したのち
(6.3.4参照),取り出し,次の操作を行う。
− テストブロック及び固定用リングから,印象材及び孔あきリングからなる組立体を分離する。
− 組立体を水洗する。
− 弱圧のエアを用いて,細線を印象した表面から余剰の水滴を除去する。
細線を印象した表面は,乾燥させないようにする。
7.3.4 試験手順
テストブロックから試験体を分離した後すぐに,顕微鏡又は拡大鏡を使用して,消毒前の試験体が全長
にわたって細線再現性の要求事項に適合するか否かを試験する(表1参照)。適合する場合は,次の手順
に進む。そうでない場合,その試験体は不合格とする。
注記 細線再現性試験及び石こうとの適合性試験の試験体を観察する場合,材料の色調によっては,
異なる照明強度(オーバーヘッド照明,顕微鏡又は拡大鏡の照明)及び/又は異なる色の照明
用フィルタを使用する。
その後,直ちに,製造販売業者の添付文書に従って,試験体を消毒し,次いで消毒済みの試験体を再試
験して,消毒前の細線再現性の適合性が継続しているか否かを確認する。
7.3.5 合否判定及び試験結果の報告
合否判定及び試験結果の報告は,6.3.7及び6.3.8による。

7.4 石こうとの適合性試験

7.4.1  試験器具及び材料
試験器具及び材料は,次による。
a) 試験体 7.3.3又は7.3.4によって作製した試験体で,消毒前後の細線再現性試験の要求事項に適合す
るもの。
b) 消毒後の処理材 製造販売業者の指示による。
c) スリット型(図A.4) 上面に切り込んだ凹部をもつもので,クランプで締め付けてスリットを閉鎖し
使用するもの。
注記 スリット型を用いる場合,石こう試験体を作製する間,スリットを閉じるためのクランプが
必要となる。その後,石こう試験体が硬化した後,試験体が容易に取り出せるように,スリ
ットへのクランプの締付けを緩める。そのため,材質は黄銅など,幅径の減少が生じること
なく,繰り返し開閉することが可能となるように,高い弾力性をもつものを用いる。
d) 高真空用グリス シリコーングリスなど試験に用いる器具及び材料と反応しないもの。
e) 顕微鏡又は拡大鏡

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  • ISO 21563:2013(MOD)

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