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注5) 導電性の小球には,直径4 mm又は5 mmの金属球又はプラスチック球がある。
b) 気中試験の場合には,供試品の形状及び寸法に適合し,かつ,供試品の表面に密着する導電性金属(縁
部を丸く仕上げた構造)に織布,フェルト,ウレタンフォームなどを内張したものを電極とする。
ただし,供試品の形状などによって電極の一部は織布,フェルト,ウレタンフォーム,導電性金属
又は導電性プラスチックだけであってもよい。特に,供試品の表面が平滑シート状のもの若しくは管
状のもので試験時に供試品にひずみを与えず,かつ,電極が供試品の表面に密着できる構造の場合,
又は供試品が耐オゾン性に富み,オゾンによって劣化,亀裂などの変質のおそれのない場合には,導
電性金属又は導電性プラスチックだけであってもよい。また,管状のものに対して棒状電極を使用す
る場合はできるだけ密着させることが望ましい。織布,フェルト,ウレタンフォームを用いる場合に
は,導電性液体を十分含浸させる。袋状の供試品にあっては,内面の電極は導電性の小球5)を用いて
もよい。
なお,以上のものを総合した耐電圧試験装置の結線の一例を図1に示す。
Tr : 試験用変圧器 S1 : 電源開閉器 V : 電圧計
SVR : 可変比単巻変圧器 CB : 回路遮断器 A : 電流計
Hz : 周波数計 PL2 : 表示灯 S2 : 短絡開閉器
PL1 : 電源表示灯
図1−耐電圧試験における試験装置と供試品の結線例
――――― [JIS T 8010 pdf 6] ―――――
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6.4 散水器具
散水器具は,JIS C 0920の付図4[散水及び飛まつに対する試験装置 : 第二特性数字3及び4(オシレー
ティングチューブ)]に示すオシレーティングチューブ又は付図5[散水及び飛まつに対する手持試験装
置 : 第二特性数字3及び4(散水ノズル)]に示す散水ノズルとする。
7 試験方法
7.1 試験電圧の測定方法
試験電圧の測定方法は,次のいずれかの方法による。
a) 試験用変圧器の三次巻線に電圧計を接続する。
b) 高圧側に静電電圧計を接続する。
c) 計器用変圧器の二次側に電圧計を接続する。
d) 一次側の電圧から換算する。ただし,この場合,試供品の静電容量及び変圧比の関係から,あらかじ
め試験装置ごとに特性を確認しておく。
7.2 試験電圧
試験電圧は,最初低い電圧を加え,規定試験電圧値に達するまで,約1 000 V/秒の速度で昇圧する。
なお,手動昇圧の耐電圧試験機を使用する場合では,規定試験電圧値の約75 %まで速い速度で昇圧させ,
以後は約1 000 V/秒の速度で昇圧させてもよい。
7.3 試験時間
試験時間は,規定試験電圧値に達したときから起算して連続印加する時間とする。
7.4 充電電流の測定方法
耐電圧試験中に流れる充電電流を測定する場合には,一般に接地側に接続した電流計によって測定する。
測定値の丸め方は,JIS Z 8401の規則Aによる。多数同時に並列して耐電圧試験を行う場合の充電電流は,
算術平均で示す。
注記 試験電源周波数の違いによる充電電流の換算方法を次に示す。
試験電源周波数が50 Hzで測定された充電電流を60 Hzに換算したい場合には,次の式によ
る。
なお,測定値の丸め方は,JIS Z 8401の規則Aによる。
50
I60 60
50
ここに, I60 : 60 Hzにおける充電電流(mA)
I50 : 50 Hzにおける充電電流(mA)
7.5 沿面距離
試験の際の沿面距離は,沿面放電を生じない限度において,できる限り小さくする。水中試験では,供
試品の形状によって沿面距離を均等にとれない場合もあるが,このような場合には,沿面距離が最短とな
る箇所を測定する。気中試験では,できる限り沿面距離が均一になるように電極形状を工夫する。
なお,受渡試験の場合には,試験を容易にするために,沿面距離を多少緩和してもよい。
注記 沿面距離の目安を,附属書Aに示す。
7.6 試験時における供試品及び電極の配置と状態
7.6.1 水中試験
水中試験を実施するときの留意事項は,次による。
――――― [JIS T 8010 pdf 7] ―――――
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a) 供試品は,縁の部分を上にして水槽中に保持し,試供品の沿面部分が水槽に接触しないようにする。
b) 供試品の内側の水電極に挿入する導電体は,先端の滑らかな金属棒又は金属製鎖を用い,供試品内面
をきずつけたり,供試品に変形を与えないもので,供試品の沿面部分に接触しないようにする。
c) 多数同時に並列して試験する場合には,供試品相互が接触しないよう適切な間隔を保つ。
d) 沿面部分は,濡れていてはならない。
e) 耐電圧試験の試験電圧値が低い場合(例えば,電気絶縁用手袋J00),破壊の判定が難しい場合がある。
このようなときには,試験後に空気テスト6)等,供試品を引っ張ってピンホールがあるか否かを目
視で確認する。
注6) 手袋の袖口を密着させて丸めていき,手袋内部の空気を加圧して手袋を膨らませ,空気漏れ
を見つけるテスト。
7.6.2 気中試験
気中試験を実施するときの留意事項は,次による。
a) 電極は,供試品の変形を加えることなく,供試品の内面及び外面にできるだけ密着させる。
b) 多数同時に並列して試験を行う場合には,電極間の放電を避ける。
c) 沿面部分は,濡れていてはならない。
d) 連結部分を試験する場合は連結部分を確実に連結する。また,内部電極は連結部分においてもできる
だけ密着貫通させ,外部電極は連結部分全体を覆うように密着させる。連結部分の耐電圧試験方法の
一例を図2に示す。
図2−連結部分の試験例
7.6.3 散水後に行う気中試験
供試品は,散水によって付着した水滴を拭き取らずに,供試品の内面及び外面に電極を密着させる。
8 記録
試験成績書には,次の事項を記録しなければならない。
a) 試験年月日
b) 試験室の温度及び湿度
c) 試験電圧及び試験時間
d) 試験結果(充電電流を測定した場合には,充電電流値も含む。)
e) その他の必要事項
――――― [JIS T 8010 pdf 8] ―――――
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附属書A
(参考)
沿面距離
A.1 一般
沿面距離は,試験電圧及び試験の種類によって異なるが,このほかに供試品の種類によっても多少変え
る必要がある。現状の国内外の規格を基に,絶縁用保護具・防具類における沿面距離の目安は,次による。
a) 電気絶縁用手袋,電気用長靴,絶縁シートなどの絶縁用保護具・防具類については,試験電圧及び試
験の種類の違いによって,表A.1に示す沿面距離を目安とすることが望ましい。
表A.1−沿面距離
単位 mm
試験電圧 kV 沿面距離
水中,気中試験の場合 散水後の気中試験の場合
3以下 30以下 40以下
3を超え 10以下 40以下 50以下
10を超え 15以下 50以下 −a)
15を超えるもの 70以下 −a)
注a) 沿面放電が生じない最小の距離とする。
b) 電気絶縁用手袋は,沿面距離について表A.2[JIS T 8112の表9(手袋開口部から水面までの沿面距離)]
に示すような数値を示しているが,形式検査においては,その最小値を用いて行い,全数検査のよう
な大量の試験を実施する場合だけ,その数値を緩和する。
表A.2−手袋開口部から水面までの沿面距離(JIS T 8112の表9)
単位 mm
手袋の種類(クラス) 開口部から水面までの沿面距離
J00 1540
J0 2040
J01 3540
J1 3565
注記1 袖ぐりのある手袋については,袖ぐりの最もえぐられた
部分を手袋の縁とする。
注記2 JIS T 8112の沿面距離は,手袋の開口部から水面までの
距離をいい,この規格でいう沿面距離の半分である。
c) 電気用安全帽のように,沿面距離をあまり大きくすると耐電圧試験をする部分が小さくなるため,JIS
T 8131に示すように,試験電圧が15 kVを超える場合は60 mm以内とする。
――――― [JIS T 8010 pdf 9] ―――――
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附属書B
(参考)
充電電流の測定
B.1 一般
絶縁用保護具・防具類の耐電圧試験で充電電流を測定する理由として,次のことが考えられる。
B.2 電撃安全上の理由
充電電流の測定は,一つには電撃危険に対する安全性の評価が考えられる。一般に,人体に商用周波数
の交流電流が流れた場合,0.5 mAで自身の人体に電流が流れていると感じ(感知電流という。),また,成
人男子であれば10 mA以上の電流が2秒以上人体に流れると,自分の意志で感電箇所から離れることがで
きず(10 mAを可随電流又は離脱電流という。),50 mAの電流が1秒以上人体に流れると心臓が微細な振
動(心室細動)を起こし,たとえ他人が電源を遮断しても心室細動を止めることができず,感電死する危
険性がある(心室細動電流の発生限界)。
B.3 物理的理由
絶縁用保護具・絶縁用防具類の耐電圧性能は,それに使用されている絶縁材料(絶縁物又は誘電体とも
いう。)の絶縁性能に依存している。絶縁物の絶縁性能を評価する指標として,一般に,絶縁破壊電圧値(交
流,直流及びインパルスにおける),漏れ電流値(充電電流値)及び耐電圧値(試験電圧と印加時間)など
があり,充電電流の測定はその一つと考えられる。
理想的な絶縁物は電気回路的に見れば一種のコンデンサであり,それに電圧Eを印加すれば,コンデン
サ(静電容量C)に流れる電流Icは,次の式から求められる。
Ic=ωCE(ω=2πf,角周波数)
コンデンサの面積をS,厚さをdとすれば,C=ρ(S/d)であるので,Cの値は面積に比例し,厚さに反比
例する(ρは誘電率)。すなわち,絶縁物(コンデンサ)に流れる電流Icは,同じ絶縁物であっても,面積
が大きいほど厚さが薄いほど大きな値になり,絶縁物の大きさと厚さを同一にしないと絶縁性能の評価は
できない。そのため,絶縁用保護具又は絶縁用防具が大きくなれば,その全面に電圧を印加して測定する
充電電流は10 mA,50 mAなどには収まらず,大きな値になる。しかし,通常使用時に絶縁用保護具又は
絶縁用防具が電源に触れる部分はほんの一部分であり,実際には試験時のような大きな電流が流れること
はなく,感電の危険はない。
一般に,絶縁物に交流電圧を印加すると損失を生じる。この損失は漏れ電流による損失,誘電分極に基
づく損失などによるもので,このような損失のため電流位相は,理想的な絶縁物(コンデンサのみ)に流
れる無損失電流(Ic)より遅れの電流が流れる。すなわち,一般的な絶縁物は,等価回路で示せば,図B.1
のa)に示すようにコンデンサCと抵抗Rとの並列回路と考えることができ,実際に流れる漏れ電流Iは図
B.1のb)に示すような,無損失電流よりδだけ遅れの電流になり,常にI>Icである。δを誘電損角,その
正接を誘電正接(tanδ)という。このため,誘電正接が小さければ小さいほど理想絶縁物に近く漏れ電流
も小さくなり,誘電正接は絶縁物を評価する上で重要な指標の一つになる。同じ条件で絶縁物の充電電流
を測定すれば,充電電流の測定は誘電正接の大小を簡単に判定したことになる。
――――― [JIS T 8010 pdf 10] ―――――
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JIS T 8010:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.260 : 電気衝撃に対する防御.活線作業
JIS T 8010:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC1102-2:1997
- 直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8703:1983
- 試験場所の標準状態