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T 8106 : 2016
附属書C
(規定)
セラミックタイル及び他の試験床の校正手順
C.1 一般
セラミックタイル(4.5)又は,他の硬質床面(4.6)で試験を行う前に,次の手順に従って校正しなけれ
ばならない。セラミックタイル(4.5)は,附属書Bで規定された範囲内に試験結果が入っている場合だけ,
靴の試験を行うことができる校正基準値内にあるものとして認められる。
この範囲外の数値のタイルは,試験で使用してはならない。
C.2 装置及び方法(箇条4にこれらを追加)
C.2.1 試料スライダー96
試料スライダー96は,(23±2)℃の条件下で幅(25.4±1.0)mm,長さ50 mm以上,厚さ57 mmのサ
イズの直方体でなければならない。また,23 ℃,(24±2)%の条件下でISO 4662に規定された反発弾性
係数をもち,JIS K 6253-2に規定する硬度(96±2)IRHDでなければならない。
試料スライダー96の保管 :
− 保管温度は,25 ℃以下,できれば15 ℃以下が望ましい。
− 湿度が高い状態は避け,収縮が生じないような条件であることが望ましい。
− 光からの防護,特に直射日光,強い機械光などから防護されていることが望ましい。
− 気密性容器の中で包装又は保存をすることで循環空気から防護されていなければならない(紙及びポ
リエチレンは両方とも適合するが,プラスチックのPVCフィルムは使用できない)。
試料スライダー96は,使用後の有効期間は12か月以内とし,その後は廃棄する。
注記 試料スライダー96は,廃棄日付を記した証明書を添付して提供するのが一般的である。
C.2.2 試料スライダー96の切断方法
試料スライダー96(C.2.1)は,適切なサイズ及び形状に成形して供給される。
しかしながら,試料スライダー96より長いシート状材料を入手した場合には,垂直壁及び四角形の端を
もち,(25.4±1.0)mm幅と50 mm以上の長さになるように長方形の試料として切断する必要がある。垂
直壁及び四角形の角をもっていれば,25.4 mm幅の試料の縁に平行にトリミングする方法もある(C.3.6参
照)。
注記 靴製造に使う抜型のようなもので切断すると,凹面の壁ができてしまうことがある。
C.2.3 硬質の四角形の裏当て板
少なくとも装置で切断する試料よりも大きく,50 mm以上の長さの寸法とする。
C.2.4 試料スライダー96(C.2.1)を裏当て板(C.2.3)にしっかりと装着する方法
適切な接着剤としては,エポキシ樹脂系,シアノアクリレート系又は溶剤系の接着剤がある。接着面は,
研磨紙(C.2.6)で軽くこすり,それから清浄な乾燥圧縮空気で吹き飛ばし,又はメタノールのような適切
な溶剤によって拭き取って,接着する前に乾燥させる必要がある。
注記 両面テープは,例えば洗浄液(4.12)のついたセラミックタイル(4.5)で試験するときのよう
に,低い摩擦係数CoF値が予想されるときには適している。
――――― [JIS T 8106 pdf 16] ―――――
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T 8106 : 2016
C.2.5 試料スライダー96の装置への装着方法
試料スライダー96を取り付けた裏当て板(C.2.3)を規定の接触角度で試験装置に装着する。
注記 180 mm×90 mm×90 mmの四角の金属の箱を,靴型(4.1.1,4.1.2,4.1.3)とそれに装着する裏
当て板(C.2.3)として代用してもよい。
C.2.6 シリコンカーバイド研磨紙
平滑で硬い面の上に装着された粒径400グリットの研磨紙
C.3 試料スライダー96及びタイル又は他の床面の準備
C.3.1 試料スライダー96(C.2.1)よりも長い試料については,装置(C.2.2)の方法に従ってカットし,
イオン交換水で洗浄してから空気を吹き付けて乾燥させる。
注記 油などによって汚れが生じた場合,破棄して新しい試料スライダー96を使用する。
C.3.2 裏当て板(C.2.3)に接着剤(C.2.4)を使用して試料スライダー96(C.3.1)を取り付ける。
C.3.3 裏当て板(C.2.3)に試料スライダー96を固定し,光を照射し,目視で研磨が均等なレベルとなる
まで,また,ゴム表面が裏当て板と平行になるまで,研磨紙(C.2.6)をゴム表面に軽く均等な圧力を加え
ながら研磨する。作業手順としては,試料スライダー96の長辺方向に前後に直線的な研磨を行い,次いで
直角方向に左右に研磨を行い,さらに,最終仕上げでは長辺方向に,前後に研磨する。
C.3.4 清浄な乾燥圧縮空気を使って,試料スライダー96の表面からごみを取り除く。
C.3.5 7.2.2に従って,セラミックタイル(4.5)を洗浄する。他の床面(4.6)は,適切な洗浄液で洗浄す
る。
C.3.6 試料スライダー96は,繰返しの使用で角が丸くなったり又は試料端を横切るように凹形の小さな
溝が生じるようになることがあるので,定期的に研磨しなければならない。スライダーを正常状態に復元
するために,前述の研磨方法を使用するか,又は,材料の端の部分を少なくとも50 mm残して切断し,側
面が垂直で平滑になるようにしたもののいずれかを使用する。試料スライダー96の面の両端及び表面は,
使用されたものであっても正しい状態であれば使用してもよい。試料スライダー96の厚さが繰返しの使用
で厚さが5 mm未満となったときには,交換しなければならない。
C.4 校正試験の手順
C.4.1 試験床(4.5又は4.6)及び試料スライダー96(C.2.4)を,少なくとも3時間は試験環境下に置い
て調整する。
C.4.2 試料スライダー96を取り付けた裏当て板(C.2.3)を試験機に装着する。25.4 mmの面がスライド
動作の方向に対して直角となるようにし,鉛直力が加わるラインが試料スライダー96と床との接触面を通
るようにする。
C.4.3 短い方の硬質ウエッジ(4.10)を用いて,試料スライダー96の面を試験面(4.5又は4.6,図C.1参
照)に対して(7±0.5)°の接触角度となるようにセットする。試料スライダー96を取り付けた裏当て板
は,自重で硬質ウエッジ上傾斜面に平らに接するように降ろす。硬質ウエッジの傾斜面から試料スライダ
ー96の最後尾が2 mm3 mm出るように調整しなければならない。
――――― [JIS T 8106 pdf 17] ―――――
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T 8106 : 2016
V 鉛直力
F 試験面に相対して試料スライダー96の前方への移動
1 試料スライダー96
2 硬質ウエッジ
3 試験面
図C.1−試料スライダー96の位置及び接触角度
C.4.4 試験床(4.5又は4.6)を装着し,洗浄液(4.12)で滑らかにする。
注記 他の床材及び潤滑剤は,追加情報を提供するために使用される。
C.4.5 前方へのかかとの滑りモードに関しては,箇条6に規定した試験条件で500 Nの鉛直力を加える。
C.4.6 8.18.7に規定された試験方法を実施する。セラミックタイル(4.5及び附属書B)及び他の硬い
床材(4.6)に関しては,更に二つの連続した測定(CoF2及びCoF3)を行い,3番目の測定値(CoF3)を
校正試験値CTVとして報告する。
なお,連続した3回の試験測定中に,正しい試験範囲(8.3)を維持することが必要となった場合には,
潤滑剤(4.12)を補充すること以外,何の処理もしないことが望ましい。
C.4.7 セラミックタイルに関して,校正試験値CTVが規定の範囲(附属書B)外であれば,タイルを廃
棄する。
C.4.8 セラミックタイルに関して,校正試験値CTVが規定の範囲(附属書B)内であれば,タイルを受
入れ,得られた校正試験値CTV値を記録する。
C.4.9 他の床材(4.6)について,ほかに何か指定されていないのであれば,得られた校正試験値CTV値
を記録する。
C.4.10 試料スライダー96及び試験床を保管する前に,洗浄(C.3.1)及び乾燥する。
――――― [JIS T 8106 pdf 18] ―――――
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T 8106 : 2016
附属書JA
(参考)
床面上に粉体が介在する場合の耐滑靴の選定
JA.1 床面上に粉体が存在する場合の滑りのメカニズム
この規格では,床面上に粉体が介在する場合の靴の耐滑試験法については,規定していない。粉体の粒
径,硬度,粘度などの特性によって,耐滑性能が大きく異なり,その複雑なメカニズムが未解明で試験法
について合意が得られていないためである。
粉体が介在する場合の滑りのメカニズムの説明図を図JA.1及び図JA.2に示す。
図JA.1−靴底と床との滑り 図JA.2−床面上に粉体が介在する場合の滑り
床面に潤滑剤が介在する場合の滑り(図JA.1)では,この規格で規定された測定法から求めた動摩擦係
数と滑りの実体感とは正の相関性がある。これに対して,床面に粉体が介在する場合は,靴底が滑りにく
いものであっても靴底に粉体が付着した状態では滑りの程度は,粉体と床面との間の摩擦係数に依存する
ために,潤滑剤が介在する動摩擦係数と粉体が介在する床面の滑りとの体感とは相関性が小さいと考えら
れる。
つまり,床面に粉体が介在する場合はこれが当てはまらないため,水及び油に対して滑りにくい靴であ
っても粉体に対しては耐滑性能を発揮できない場合があるので,この規格によって動摩擦係数が高く滑り
にくい靴という表示だけで,粉体用として選定しないことが必要となる。
JA.2 床面上に粉体が介在する場合の耐滑靴の選定
床面上の粉体による汚れを取り去ることが安全対策の基本となるが,粉体を常時扱う作業では,その作
業環境に合わせた靴側からの滑り対策も必要となる。靴底の材質,意匠などによって対策は取れる場合が
あるが,特性の異なる全ての粉体について耐滑性能があるわけではなく,作業で扱う粉体の種類,状態な
どによっても変わってくるので,各職場環境において実地履きを行って確認した上で選定する必要がある。
――――― [JIS T 8106 pdf 19] ―――――
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T 8106 : 2016
附属書JB
(参考)
氷面上で使用する耐滑靴の選定
JB.1 氷面上での滑りのメカニズム
この規格では,氷面上で使用する靴の耐滑試験法については,規定していない。氷面温度,周囲環境温
度によって耐滑性能が大きく異なり,その複雑な滑りのメカニズムは未解明で試験法について合意が得ら
れていないためである。
氷が溶けて水の層が床面上にできた場合の滑りのメカニズムの説明図を図JB.1及び図JB.2に示す。
図JB.1−靴底と氷との滑り 図JB.2−靴底と氷との間に水の層が存在する場合の滑り
図JB.2のように,氷面に水が溶け出している状態が非常に滑りやすくなるが,氷点下の厳しい温度環境
下では,氷面は岩のような特性を示し,滑りはほとんど発生しない。水及び油に対して滑りにくい靴であ
っても,氷面に対しては耐滑性能が発揮できない場合があるので,この規格で規定された方法で得られた
数値(動摩擦係数)が高いという表示だけで氷面上で使用する靴として選定しないことが必要となる。
JB.2 氷上面を歩行する場合の耐滑靴の選定
氷上での滑り防止対策では,氷の上の水分を除くことによって耐滑性はかなり改善することができる。
この対策が難しい場合には,氷上の水を吸収又は取り除くような構造をもった靴底を選定する必要がある。
なお,このような靴底でも氷上の状態によっては対策がとれる場合もあるが,氷上は状態の変化が大き
く,全ての氷面状態に対応できる有効な表底の意匠設計はまだ確立されていないため,氷上を歩行する場
合には,靴底の効果を過信せず,急がない,歩幅を狭く,上から歩行面を押し付けるようにして歩行する
などの対策によって転倒を防止する必要がある。
――――― [JIS T 8106 pdf 20] ―――――
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JIS T 8106:2016の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13287:2012(MOD)
JIS T 8106:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.340 : 防護設備 > 13.340.50 : 足の保護
JIS T 8106:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0601:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ
- JISK6253-2:2012
- 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―硬さの求め方―第2部:国際ゴム硬さ(10 IRHD~100 IRHD)
- JISS5037:1998
- 靴のサイズ