JIS T 8165:2018 墜落制止用器具 | ページ 4

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b) 最大の自由落下距離及びショックアブソーバの伸びの合計値に1 mを加えた値を超える高さの箇所で
使用する墜落制止用器具は,フルハーネス型でなければならない。
4.2.2 最大使用質量
墜落制止用器具の最大使用質量(作業者の体重と装備品の質量との合計)は,耐衝撃性及び関連性能試
験を行った落下体(砂のう,トルソー又は重すい)の質量を上回ってはならない。この耐衝撃性及び関連
性能試験を行う落下体の質量は,85 kg又は100 kgとする。また,100 kgを超える重量者用の特別な落下
体を使用することができる。
4.2.3 ランヤードの使用条件
ランヤードの使用条件は,次による。
a) コネクタを腰の高さにかけて使用する場合,ランヤードはタイプ1の使用を原則とし,コネクタをか
ける取付設備の高さ(環との高さの差)によって,ランヤード長さLに追加落下距離Dを加えた試験
落下距離H(H=L+D)以上でショックアブソーバの耐衝撃性及び関連性能の試験を行ったものを使
用しなければならない。
b) コネクタを足元にかけて使用する場合,墜落制止用器具はフルハーネス型であり,かつ,使用するラ
ンヤードはタイプ2でなければならない。

5 構造,形状及び寸法

5.1 構造一般

  構造の一般事項は,次による。
a) フルハーネス及び胴ベルトは,身体への着脱及び長さ調節のためのバックルなどをもち,身体への装
着及び取外しが容易な構造とする。
b) ランヤードは取付設備又は環に取り付けるためのコネクタをもち,取付けが容易な構造とする。
c) コネクタは,着用者が離脱させるための,二つ以上の連続した操作によらないと外れない構造とする。
d) フルハーネス及び胴ベルトの身体に接触する部分は,突起部をもたない構造とし,平滑に仕上げるも
のとする。

5.2 各種の構造

5.2.1  A種
A種(フルハーネス型)の構造は,次による。
a) 身体に装着し保持するためのフルハーネスに落下時に墜落を制止するためのランヤードを接続した構
造とする。また,ランヤードとの接続については,背中側の場合は両肩甲骨の中間,胸側の場合は胸
面の中心線上,かつ,胸骨の高さで行い,ランヤードと適切に接続できるものとする。
b) フルハーネスはもも(腿)ベルト及び肩ベルトをもち,墜落を制止するときに,着用者の身体に生じ
る荷重を腰部,肩,もも(腿)など複数箇所において適切に支持する構造とする。また,骨盤,脚及
び背周りに配置されたベルトの組合せを含むものとし,専用の作業ベルトを組み込んでもよい。
c) フルハーネスの構造は,墜落を制止した状態で,骨盤周りに配置されたベルトなどによって,股間に
荷重が集中しないものでなければならない。
d) フルハーネスは,着用者の体型などに合わせて適切にベルトの調整ができる構造とする。また,それ
ぞれのベルトは,着用者に適切に装着させることができるようにバックルなどを備えるものとする。
ただし,肩ベルト又はもも(腿)ベルトのいずれか一方のバックルなどによって,着用者に適切に装
着させることができる場合は,それぞれのベルトにバックルなどを備えなくてもよい。

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e) フルハーネスを構成する金属部品の表面及びベルトとの接触面は円滑に仕上げるなど,安全上必要な
形状でなければならない。また,フルハーネスを構成するベルトは縫製又は容易にずれない構造とす
る。
f) フルハーネスのベルトに関わる縫製糸は,目視点検が容易に行えるように,ベルトと相違する色とす
る。
g) バックルは,適切に結合でき,外れにくいものでなければならない。また,滑り,緩みなどが容易に
生じない構造とする。
h) フルハーネスは衣服の中に組み込んでもよい。ただし,目視検査が可能な構造でなければならない。
i) ランヤードは,その使用条件によってタイプ1又はタイプ2を選択するものとする。
j) 環などの接続部を繊維製のループとする場合は,摩耗を防止するための措置を講じなければならない。
5.2.2 B種
B種(胴ベルト型)の構造は,次による。
a) 身体に装着し保持するための胴ベルトに,落下時に墜落を制止するためのランヤードを接続した構造
とし,胴ベルトは,着用者に適切に適合させることができるものとする。
b) 墜落を制止するときに,着用者の胴部が胴ベルトによって適切に支持される構造とする。
c) ランヤードを接続したものとする。
d) 腰への負担を軽減するために,補助ベルトを併用してもよい。
e) 字つりにできない構造とする。ただし,ワークポジショニング用ロープを備えたものは除くものと
する。
注記 U字つりにできない構造とは,環を一つにするか,環部の空隙が小さくコネクタがかからな
いようにすることなどがある。
5.2.3 ワークポジショニング用器具
ワークポジショニング用器具の構造は,次による。
a) 環は,ワークポジショニング用器具を着用した者の腰部の両側で固定されるように,補助ベルトに取
り付ける構造とする。
注記 B種(胴ベルト型)用として使用する場合,この環にランヤードを接続してもよい。
b) ワークポジショニング用ロープは,作業姿勢保持位置を調節するために伸縮調節器をもつ構造とする。
c) ワークポジショニング用ロープは,一端にコネクタを取り付け,伸縮調節器を通し,他端は伸縮調節
器がロープなどから抜けない構造とする。
d) 傾斜面などの作業で,身体の作業姿勢を安定保持するためのバックサイドベルトと組合せ可能な構造
とする。

5.3 各部の構造

5.3.1  フルハーネス用主ベルト
フルハーネス用主ベルトは,次による。
a) 細幅織であり,かつ,よじれ,ほつれ,きず,その他の欠陥があってはならない。
b) 幅は40 mm以上とする。
c) ベルト及び原糸は,使用に適した長繊維又は合成繊維で製造し,合成繊維の破断荷重は,0.6 N/tex以
上でなければならない。
注記 1 tex(テックス)は太さの単位で,長さ1 000 mで質量が1 gあるものをいう。

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5.3.2 フルハーネス用副ベルト
フルハーネス用副ベルトは,次による。
a) 細幅織であり,かつ,よじれ,ほつれ,きず,その他の欠陥があってはならない。
b) 幅は20 mm以上とする。
c) ベルト及び原糸は,使用に適した長繊維又は合成繊維で製造し,合成繊維の破断荷重は,0.6 N/tex以
上でなければならない。
5.3.3 胴ベルト
胴ベルトは,次による。
a) 細幅織であり,かつ,よじれ,ほつれ,きず,その他の欠陥があってはならない。
b) 幅が50 mm(補助ベルトと組み合わせるものは40 mm)以上で,装着するのに十分な長さをもち,か
つ,2 mm以上の厚さとする。
5.3.4 補助ベルト
補助ベルトは,次による。
a) 細幅織であり,かつ,よじれ,ほつれ,きず,その他の欠陥があってはならない。
b) 幅が75 mm以上で,装着するのに十分な長さをもち,かつ,2 mm以上の厚さとする。
c) 字つりに用いる補助ベルトは,両端にU字つり用のロープなどを取り付ける環を備えているものと
する。
5.3.5 バックサイドベルト
バックサイドベルトは,次による。
a) 細幅織であり,かつ,よじれ,ほつれ,きず,その他の欠陥があってはならない。
b) 幅が75 mm以上で,装着するのに十分な長さをもち,かつ,2 mm以上の厚さとする。
c) 作業位置に身体を保持するためのロープなどを取り付ける環を,左右対称に2個備えているものとす
る。
d) 胴ベルトに接続するための,つりベルトを備えているものとする。
5.3.6 バックル
バックルは,次による。
a) ベルトの一端又は両端に取り付け,ベルトを容易に装着できるものとする。
b) ベルトの長さは,自由に調節できるものとする。
c) 使用中,任意の箇所で常に確実にベルトを保持することのできるものとする。
d) 外れにくいものとする。
5.3.7 ロープ又はストラップ
ランヤードを構成するロープ又はストラップは,よりむら,きず,その他の欠陥があってはならない。
5.3.8 フック
フックは,次による。
a) 自動的に閉じ,かつ,二つ以上の連続した操作によらないと外れない適切な外れ止め装置を備えてい
なければならない。
b) フックを構成する金属部品の表面及びベルトとの接触面は円滑に仕上げるなど,安全上必要な形状で
なければならない。また,かぎ部の表面は円滑でなければならない。
5.3.9 専用カラビナ
専用カラビナは,次による。

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a) 自動的に閉じ,かつ,二つ以上の連続した操作によらないと外れない適切な外れ止め装置を備えてい
なければならない。
b) 外れ止め装置が,専用カラビナにかかる力の作用中心線上にあってはならない。
c) 専用カラビナを構成する金属部品の表面及びベルトとの接触面は円滑に仕上げるなど,安全上必要な
形状でなければならない。
5.3.10 環
環は,次による。
a) 表面は,平滑でなければならない。
b) 角の部分は,円滑でなければならない。
5.3.11 ショックアブソーバ
ショックアブソーバは,次による。
a) 衝撃荷重の負荷に対し必要に伸展したとき,ランヤードなどから脱落してはならない。
b) 端末部は,コネクタなどに連結ができるものであり,金属部品と連結する場合は摩耗を防止するため
の措置を講じなければならない。
c) 衝撃を吸収する部分が露出しないよう,保護カバーなどを備えなければならない。
d) 溶接,バーナー切断装置,熱源などの近くでの作業に使用する場合,適切な熱保護手段によって保護
しなければならない。
5.3.12 巻取器,ロック装置付き巻取式ランヤード又はロック装置なし巻取式ランヤード
巻取器,ロック装置付き巻取式ランヤード又はロック装置なし巻取式ランヤードは,次による。
a) ロープ又はストラップを完全に引き出したときに,ロープ又はストラップが巻取器から脱落してはな
らない。
ロック装置付き巻取式ランヤードは,墜落を制止するとき,ロープ又はストラップを設計された繰
り出し長さの範囲内で,ランヤードの繰り出しを停止することができなければならない。また,ロッ
ク装置なし巻取式ランヤードには,ロープ又はストラップをロックする機能がないことを表示しなけ
ればならない。
b) ロック装置付き巻取式ランヤードは,ショックアブソーバ又は緩衝リングなどと接続していなければ
ならない。
5.3.13 伸縮調節器
伸縮調節器は,次による。
a) 連結フックは,自動的に閉じるかぎ部の外れ止めを2個備えるか又は自動的に閉じ,かつ,二つ以上
の連続した操作によらないと外れない外れ止め装置を備えていなければならない。
b) ロープなどの長さを任意の長さで保持できるものとする。

5.4 ランヤード,補助ロープ及びワークポジショニング用ロープの構造及び寸法

5.4.1  ランヤード,補助ロープ及びワークポジショニング用ロープの構造一般
ランヤード,補助ロープ及びワークポジショニング用ロープの構造の一般事項は,次による。
a) ランヤード用などのロープ又はストラップ,及び縫製糸が繊維製の場合,必要な強度をもつ長繊維の
合成繊維とする。
b) よ(撚)りロープの場合,そのストランド数は3ストランド以上とする。
c) 溶接,バーナー切断装置,熱源などの近くでの作業に使用する場合,ランヤードを適切な手段で保護
するものとする。

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d) コネクタ,ショックアブソーバなどとの連結は,確実な方法で行うこととする。
e) よ(撚)りロープの場合,3回以上のさつま編み込み,又はこれと同等の強度をもつ連結を行うもの
とする。
f) 縫製によって連結する場合,その露出した部分の縫製糸は,目視点検が容易に行えるように,繊維ロ
ープ又はストラップと相違した色とする。
5.4.2 A種に用いるランヤード
ランヤード長さは,コネクタ及びショックアブソーバを含め,図10のとおり測定する。
a) ショックアブソーバ付き
b) 巻取器付き
図10−A種のランヤード長さ(形状は一例を示す。)
5.4.3 B種に用いるランヤード
ランヤードの全長は,コネクタ及びショックアブソーバを含め,1 700 mm以下とする(図11参照)。
a) ショックアブソーバ付き
b) 巻取器付き
図11−B種ランヤードの全長(形状は一例を示す。)
5.4.4 ワークポジショニング用ロープ
ワークポジショニング用ロープの全長は,コネクタ及び伸縮調節器を含め,3 000 mm以下とする(図
12参照)。
図12−ワークポジショニング用ロープの全長(形状は一例を示す。)

――――― [JIS T 8165 pdf 20] ―――――

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JIS T 8165:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10333-1:2000(MOD)
  • ISO 10333-1:2000/AMENDMENT 1:2002(MOD)
  • ISO 10333-2:2000(MOD)
  • ISO 10333-5:2001(MOD)
  • ISO 10333-6:2004(MOD)

JIS T 8165:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 8165:2018の関連規格と引用規格一覧