JIS T 9254:2015 在宅用電動介護用ベッド | ページ 9

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A.2.7.2.2 利用者の不意の落下に対する保護
サイドレールについて,高さがマットレス支持台から220 mm以上で長さがマットレス支持台の長さの
50 %以上でなければならないという要求は,マットレスから利用者が不意に滑り落ちる又は転がり落ちる
リスクをサイドレールが確実に低減することを意図している。
サイドレールによる挟まれのリスクの性質のため,リストアップされた寸法要求に適合することだけで
は,全ての考えられるリスク(足並びに腕の挟まれ及びサイドレールを乗り越えようとした結果の利用者
の落下を含む。)を解消するのに適切であるわけではない。この理由から,リスクアセスメントを行う(サ
イドレールに関する全ての課題の評価)という追加要求が含まれている。
220 mmという寸法は,マットレス上面からサイドレール最上端までの最低距離の要求で,圧縮された
マットレス上に横たわる成人男性の胸部幅の中間点(重心)の95パーセンタイルを元にしている。
表4では,圧縮されていないマットレスの上面からサイドレールの上端までのサイドレールの高さ(寸
法G)は最低でも220 mm以上あることが好ましいと記載している。この根拠として,220 mmという寸法
は,圧縮されたマットレス上に横たわる成人男性の胸部幅の中間点の95パーセンタイルに基づいていると
の記載がある。これに間違いがなければ,220 mmという寸法は,マットレスの沈み込みを考慮した結果
もっと小さくなるであろう。この根拠が人体測定法の応用に基づいているのであれば,当然圧縮されてい
ないマットレスと記載すべきである。
サイドレールの最低高さ要求は,利用者が乗り越えて落下した際のけがのリスクを増加させるかもしれ
ない。サイドレールの最低長さ要求は,利用者の立ち上がるエリアを減らすため,挟まれのリスクを増さ
せるもしれない。また,利用者が不意にベッドから転げ落ちるリスクは減るかもしれないが,利用者があ
えてサイドレールを乗り越えようとするリスクは増えるかもしれない。この規格の寸法要求は,得られる
情報の中から最良のリスクトレードオフを試みたものである。今後出てくるデータによって,将来はこれ
らの寸法要求が改良されるべきかもしれない。
A.2.7.4 d) ボトムの角度
足への血流の低下(胴体部の必要以上の折れ曲がりによる)又は腹部への血液その他液体の蓄積は,利
用者に深刻なダメージを与える可能性がある。
A.2.8 性能
A.2.8.1.1 人の荷重による静的な力に対する強度
既存の規格IEC 60601-2-38及びEN 1970に存在する安全率に関する要求は,数年間の現場での実績で十
分であることが示された。それゆえ,この要求がこの規格では目標値とした。
A.2.9 試験方法
A.2.9.2.2 人の荷重による静的な力の試験
a) 静的強度 EN 1970は,ベッドが最も不利な位置,ということを除けば,この点では実質的にはIEC
60601-2-38と似ている。IEC 60601-1は,最悪のケースは“最も不利な”位置と言及されている。そ
のため,IEC 60601-1のこの規定を使用する。この規定において,“最も不利な”とは,ベッドの上・
下の位置に言及している。試験方法は,組込み式又は追加式の長さ調整を備えたベッドにとって最悪
となるように,最も不利な長さとすることも要求している。加えて,1時間という時間は,部品にク
リープ現象(樹脂又は非金属)が存在する場合だけ適用すべきである。全て金属部品であるものを試
験する場合,1分間以上の時間は不要である(IEC 60601-1:2005の9.8.2の注記2を参照)。
b) 附属品強度 IEC 60601-1の定義を使用する。附属品のサイクルが部品の磨耗を引き起こす可能性が
ある場合,附属品又は接合部に予期される磨耗が試験前にシミュレーションできるならば,要求に適

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合するかどうかを証明するために安全動作荷重を使用することは受け入れられる。質量を支持する附
属品の能力は,合理的に予測可能な誤使用の間に附属品にかかる質量分布の予測を考慮することが好
ましい。
1時間という要求は,材料のクリープが問題となる設計に対してだけ課せる(樹脂部品が使用され
ている。)。1分間という時間は,その設計が安全動作荷重と引張り安全率を乗じた値に耐えられるか
どうかを決めるために十分なものである(IEC 60601-1:2005の副節9.8.2の注記2を参照)。
A.2.9.3 安定性試験
負荷をかける領域は,横方向試験に関しては,一人の人間がベッドの側端部に可能な限り近く前後の端
部に座ることも理解できる。IEC 60601-2-38及びEN 1970のとおり,95パーセンタイルの男性が座ったと
きのでん(臀)部の幅が466 mm(People Size,1998)である。よって,1 350 Nの質量を,約466 mm≒475
mmの長さに対して,幅250 mm(従来規格のとおり)に分布させることを推奨した。縦方向試験の人間一
人分の荷重は,最も厳しい状態である縦方向端部から250 mmのベッド幅全体の面積に1 350 Nの荷重を
分布させる。利用者がベッドにいないときに,来訪者がベッドの側部又はベッド端部に座ることは非常に
一般的であるため,試験は安全動作荷重なしで行う。これが一番不利なケースである。試験中に安全動作
荷重をベッド上に与えることは,ベッドを安定させるのに役立ってしまうため,使用すべきではない。同
様に,横方向及び縦方向安定性試験で規定する荷重は,転倒の可能性を最大限にするために,一番重い側
部又は端部に配置するべきである。しかしながら,ベッドのどちらの側部が重いか決めることは困難であ
るため,試験は両側部,両端部で実施すべきである。
A.2.9.4 a) 固定式サイドレールの強度及び信頼性試験
この規定は,サイドレールのライフサイクルをシミュレーションをした後で,サイドレールのラッチが
適切に作動するかどうかを確認するため,規定したサイクル試験とIEC 60601-2-38に既存の負荷試験とを
組み合わせたものである。IEC 60601-1:2005の用語を用いるため,“ハザード”は“リスク”に置き換えた。
30 000回は,製品の平均ライフサイクルを10年とし,1日4サイクル使用(14 600回)するものとし,安
全率2倍を乗じたものである。サイクル数は実際の製品のライフサイクルを,また,サイドレールの使用
頻度も製品から見積もられたものを代表したものであるべきである。試験中に緩む又は故障する構成部品
で,追加のリスク発生又は製品の突然の破壊に寄与しない物は,交換してもよい。
縦横方向のサイクル : サイクル回数は,興奮した利用者がサイドレールに合理的に予測可能な誤使用を
行った場合を再現するように任意に決めた。再び,試験は,製造業者が示唆するライフサイクル,見積も
られるサイドレールの使用頻度,サイクル回数と与えられる力の大きさと方向に関するリスクアナリシス
によって調整すべきである。
理解できる予測可能な誤使用の一つとして,利用者がサイドレールを乗り越えることをシミュレーショ
ンするために,最大利用者体重が用いられる。FDAのデータベースには,落下につながったサイドレール
の乗り越えをした利用者の中に,250ポンド(1 112 N)より大きい利用者がいたというデータはない。
100 Nは,興奮した利用者がベッドの中からサイドレールを揺さぶったときに掛けられる力のおよその
値として選んだ。
図13に関して,力Aは,人によってサイドレールが上に引っ張られる力を表し,力を加えるのはサイ
ドレールの上端であることが好ましい。
図13に関して,力Bは,利用者がサイドレールの上端を乗り越える力を表し,この場合も,力を加え
るのはサイドレールの上端であることが好ましい。
図13に関して,力C,D,E及びFは利用者又は操作者がサイドレールを手すりとして使う場合の力を

――――― [JIS T 9254 pdf 42] ―――――

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表している。
A.2.9.5 耐久性試験
この要求は,市場で発見された不適切な耐久性の仕様によって発生したと思われる問題のために追加し
た。これらの中には,ベッド面が最低位置まで落下するという事態につながったベッド又は台車の損傷を
含む。これによって,この文書において最低限の標準試験が規定すべきと感じた。
ベッドの耐久性を分析するために,耐久性試験は,最低限の標準試験である。設計によるリスクの排除,
操作者又は利用者の正常使用及び誤用,環境要因ほかを根拠とした製造業者のリスクマネジメントプログ
ラムに従って,試験は修正すべきである。試験中に緩む又は故障する構成部品で,追加のリスク発生又は
製品の突然の破壊に寄与しない物は,交換してもよい。
A.2.9.8 昇降機構の動的耐久性試験
試験期間及び製造業者の専門家の市場観察を元にした経験によって,合理的なサービス期間の最低限の
安全性を提供するために,記載した動的試験が必要であるという結論に達した。
3 000回は,1日12サイクルをベースとして算出し,およそ48年の製品寿命に相当する。
A.2.9.10 サイドレール及びベッド用グリップの形状・寸法試験
コーンツール及びシリンダーツールの寸法及び質量は,次の見解に基づいている。
A.2.9.10.1 頭の閉じ込め回避確認試験
円すいツール : 男性の頭部の質量の95パーセンタイルは,5.13 kgである[空軍研究所による“Design and
Development of Anthropometrically Correct Head Forms for Joint Strike Fighter Ejection Seat Testing”(2005年2
月)を参照]。
A.2.9.10.2 けい部の引き込まれ回避確認試験
円柱ツール : 60 mmという寸法は,女性の首の幅の5パーセンタイルである83 mmから更に余裕を見て
出された寸法である。
A.2.11 表示
A.2.11.2 d) 安全動作荷重,及び最大利用者体重の表示
責任部門及び/又は操作者が,ベッド及びその附属品を危害を生じる可能性のある方法で使用しないよ
うに,責任部門及び/又は操作者が,最大利用者体重と,ベッド及び危害を生じる可能性のある質量を支
持するよう意図された各々の附属品の安全動作荷重を明確に理解しておくことは重要である。
A.2.12 附属文書
A.2.12.2 j) ベッドの最大質量
ベッドが,手による搬送のために分解される可能性がある場合,筋肉の損傷を避けるために主要部品の
質量の情報は有効となり得る。
A.2.12.2 k) 2)緊急ポジション及びその取扱方法
ボトムの角度及びベッド高さの調節範囲を決める際には,介護者,操作者及び利用者の地域的身体特性
を考慮すべきである。
考慮されるべき項目 :
− 利用者のベッドからの落下,低い床高が傷害を最小化する場合
− 利用者のベッドからの立ち上がり及び座り込み
− 車椅子への又は車椅子からの移乗のしやすさ
− 介護者及び/又は操作者の腰痛などの問題を最小化する,安全に作業できる高さ

――――― [JIS T 9254 pdf 43] ―――――

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附属書JA
(規定)
ベッド用グリップ
JA.1 ベッド用グリップ及び各部の名称
JA.1.1 ベッド用グリップ
ベッド用グリップの例を,図JA.1に示す。
なお,サイドレール構造でないベッド用グリップ(図JA.2参照)は適用しない。
図JA.1−ベッド用グリップの例
図JA.2−サイドレール構造でないベッド用グリップの例

――――― [JIS T 9254 pdf 44] ―――――

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JA.1.2 各部の名称
ベッド用グリップの各部の名称は,図JA.3による。
図JA.3−各部の名称
JA.2 性能
JA.2.1 静的強度
静的強度は,次による。
a) 鉛直荷重強度は,JA.3.1.1の試験を行ったとき,各部に使用上の支障があってはならない。
b) 水平荷重強度は,JA.3.1.2の試験を行ったとき,各部に使用上の支障があってはならない。
JA.2.2 水平耐衝撃強度
水平耐衝撃強度は,JA.3.2の試験を行ったとき,各部に使用上の支障があってはならない。
JA.2.3 耐久性
耐久性は,次による。
a) 鉛直耐久性は,JA.3.3.1の試験を行ったとき,各部に使用上の支障があってはならない。
b) 水平耐久性は,JA.3.3.2の試験を行ったとき,各部に使用上の支障があってはならない。
c) ロック機構の耐久性は,JA.3.3.3の試験を行ったとき,各部に使用上の支障があってはならない。ま
た,ロック機構が不用意に解除されてはならない。
JA.3 試験方法
JA.3.1 静的強度試験方法
JA.3.1.1 鉛直荷重試験(図JA.4)
鉛直荷重試験は,次による。
a) 試験するベッド用グリップを,製造業者が指定する方法によって試験台に装着及び固定し,使用状態
とする。
b) 本体フレーム上端中央部及びスイング機能をもつ場合には,グリップ部の外端部(グリップの先端か
ら100 mmの範囲)に750 Nの圧縮方向の鉛直荷重を加える操作を10回繰り返し行う。各回に荷重を

――――― [JIS T 9254 pdf 45] ―――――

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  • IEC 60601-2-52:2009(MOD)

JIS T 9254:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 9254:2015の関連規格と引用規格一覧