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ベッドシステムでの挟まれによって生命の危険を伴う三つのキーとなる体の箇所は,頭,首及び胸であ
る。
a) 頭 120 mmという寸法は,スリランカ人女性の頭の幅(耳から耳まで)の5パーセンタイルを元と
している。120 mm未満の隙間は,挟まれを減少させる慎重な寸法要求として選ばれた。120 mmは,
最も小さい女性の頭部幅の5パーセンタイル及び多くの1パーセンタイルを含んでいる。
ベッドとサイドレールに対して専用の,取り外せない固定されたマットレスだけが使用され,マッ
トレス支持台上のマットレスの滑りが起こり得ない場合,取り外せない固定されたマットレスとレー
ル間(エリアA2及びA3)に直径120 mm円すいの直径60 mm円柱部を挿入することによって試験を
行う。
b) 首 60 mmという寸法は,成人女性の首の幅の5パーセンタイルを元としている。
低身長の女性の首の直径の1パーセンタイルは,79 mmである(5パーセンタイルは83 mm)。ただ,
首の圧縮性,利用者の加齢による首付近の筋肉量の減少,首形状の非対称性などの要因があり,全て
が60 mm未満という慎重な寸法要求を支持している。
首の挟まれによるリスクを減少するため,ベッドシステムの隙間は,小さい首が通らない程度に小
さくすべきである。加えて,首のくさび形状に関した挟まれを減少するため,V字形の隙間は,60度
より大きくなければならない(EN 13451-1参照)。60度という角度は,プール設備の挟まれのリスク
を評価する際のツールから選ばれた(EN 13451-1,スイミングプールの設備)。また,シリンダー形状
のおもりがオフセットされた2点で支えられている場合,支持角度が60度の場合において2点におけ
る鉛直方向の力はおもりと同等となる,という数学的解析からも導かれている。これらから,くさび
効果が重要となってくる変曲点は60度であろう,という仮説がなされた(図A.3)。
c) 胸 318 mmは,男性胸厚の95パーセンタイルを元にしている。分割式サイドレールの間に胸が挟ま
ったケースが報告されている。胸の挟まれを回避するため,空間は十分に広くして(318 mmより大
きい),大形の胸が挟まれることなくすり抜けるようにするべきである。
d) 寸法Bの根拠 寸法Bは,サイドレール下部の隙間(図A.3の3)とマットレス高さ±2 cmの範囲
の接線角度という,二つの独立した測定を含む。マットレスの有無で首にかかる力の分析の結果,こ
の測定にマットレスを含むことに決めた(図A.1及び図A.2参照)。くさび効果がある場合の挟まれに
マットレスが重要な役割を果たすことが示されている。製造業者が定めるマットレス高さで測定する
ものと認識されている。その測定は,ベッドが最も不利な状態を模するべきである(最も厚さの薄い
マットレス−2 cm,最も厚いマットレス+2 cm)。
角度の測定は,この範囲の複雑な形状に対しては,サイドレールの接線に対して測定する。
――――― [JIS T 9254 pdf 36] ―――――
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記号 記号
1 サイドレールからの垂直方向の力 1 サイドレールからの垂直方向の力
2 ボトムからの垂直方向の力 2 マットレスからの垂直方向の力
3首 3首
4 合成力(押し出す方向になる) 4 マットレスからの合成力
5 マットレス
図A.1−マットレスなしでの合成力 図A.2−マットレスありでの合成力
記号
1 サイドレール
2 ボトム
3 隙間測定(60 mm未満)
図A.3−B寸法の隙間60 mmの例
e) 寸法Dの根拠 Dゾーンとは,サイドレールの内側表面と利用者の頭の重みによって圧縮されたマッ
トレスとの間のスペースである。このスペースは,マットレスの沈み込み量,マットレス又はサイド
レールの横方向の動き,及びサイドレールの緩みによる遊びの程度を考慮した上で,頭が挟まれない
よう十分に小さなスペースであることが好ましい。頭部が首より先にこのスペースに入ると想定され
るため,この規格では,120 mm未満の寸法を要求する。
Dゾーン試験の目的は,マットレスとサイドレール内側との間の水平スペースに利用者が頭を挟む
可能性について評価することである。
寸法Dの測定例を,図A.4図A.7に示す。図A.6は,円すいツールの半分が丁度マットレス上面
まで沈み込んだ例であり,不適合となる。
――――― [JIS T 9254 pdf 37] ―――――
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記号
1 サイドレール
2 マットレス
3 円すいツール
図A.4−D寸法測定ツールの置き方
記号 記号
1 サイドレール 1 サイドレール
2 マットレス 2 マットレス
3 円すいツール 3 円すいツール
4 ボトム 4 ボトム
図A.5−D寸法測定での適合の例 図A.6−D寸法測定での不適合の例
――――― [JIS T 9254 pdf 38] ―――――
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T 9254 : 2015
記号
1 サイドレール
2 マットレス
3 円すいツール
4 ボトム
図A.7−D寸法測定での不適合の例
f) サイドレールが中間位置での挟まれに関する決定事項の根拠 図A.8図A.14は,各測定箇所でどの
ように挟まれが生じるかを示す。
図A.8−Aゾーンのサイドレール内での 図A.9−Aゾーンのサイドレール下での
可能性のある利用者の挟まれの例 可能性のある利用者の挟まれの例
図A.10−Bゾーンでの可能性のある 図A.11−Cゾーンの分割式サイドレール間
利用者の挟まれの例 での可能性のある利用者の挟まれの例
――――― [JIS T 9254 pdf 39] ―――――
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図A.12−Cゾーンのサイドレールとヘッドボード間 図A.13−Dゾーンでの可能性のある
での可能性のある利用者の挟まれの例 利用者の挟まれの例
図A.14−Aゾーンの全面式サイドレール下での可能性のある利用者の挟まれの例
g) 隙間に足から体がずり落ちるリスクが存在する場合,サイドレール試験において50 Nではなく250 N
の試験荷重を与える根拠 測定Aについて,EN 1970又はIEC 60601-2-38の規格を満たしている全長
型のサイドレールに挟まれた事故の調査で,7件の事故の登録があったことが明らかになった。この
うち,4件は,下部のバーとマットレス支持台との間に挟まる事故で,その他の3件は,サイドレー
ルの上部(又は中央)のバーと下部のバーとの間に挟まる事故であった。
7件の事故のうち,5件で利用者が死亡し,1件で骨折,1件は重大な結果には至らなかった。この
5人の利用者は,胸又は首が挟まったことによって死亡した[体は完全にバーの下に滑り落ちていた
(図A.14を参照)。]。
これらの結果によって,IEC 60601-2-38での50 N及びEN 1970での30 Nという現在の試験荷重は
十分ではないという結論に至った。
詳細な調査によって,利用者の全体重がバーにかかっていた事例があることが明らかになり,体重
が非常に軽い利用者の事例でも40 kg45 kg(推定体重。体重は未登録)の体をバーに押し付けてい
た可能性があることが分かった。バーは曲がり,(体重の軽い)利用者はバーの下に足が落ちた状態で
滑り落ち,胸又は首の部分で挟まれていた。
全体重はバーに加えられていないと考えられる場合でも,25 kg以上がバーに押し付けられていると
推定される。この推定に基づき,サイドレールの寸法Aの試験に関して試験荷重は250 Nに上げた。
――――― [JIS T 9254 pdf 40] ―――――
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JIS T 9254:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60601-2-52:2009(MOD)
JIS T 9254:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.180 : 心身障害者用の介護用具 > 11.180.01 : 心身障害者用介護用具一般
JIS T 9254:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
- JIST0102:2011
- 福祉関連機器用語[支援機器部門]
- JIST0601-1:2017
- 医用電気機器―第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項