JIS W 0711:2021 無人航空機システム設計管理基準 | ページ 3

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合せによって,検証及び妥当性確認を行う。
設計検証試験に当たって,操縦方式,バッテリ及び燃料状態を監視できることを立証する。

5.6 機体本体の構造

5.6.1 一般
無人航空機の重心位置の設計範囲外への逸脱,ねじの緩み,取付部分の材料などの堅ろう(牢)性,耐
久性不足などが原因となる,人及び物件への危害を避けるよう設計しなければならない。
5.6.2 本質的安全設計方策
飛行荷重,地上運用,輸送などを含む通常の運用時に,ねじの緩み,取付部分の材料などの堅ろう(牢)
性,耐久性不足などが生じないよう設計しなければならない。
5.6.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 鋭利な突起物のない構造であること
b) ロータ,ロータのリンケージなどが故障した後,これらの破損した部品が飛散するおそれが,できる
限り少ない構造であること
5.6.4 使用上の情報
使用上の情報は,機体本体の構造の説明として,次の事項を含んでいなければならない。
a) 運用制限(気象条件,風速,温度など)及び飛行制限(飛行速度,荷重など)
b) 実証された耐久性及び経験から推定される耐久性に基づき,主要機能部品の交換時間及び交換方法,
並びに耐久性の維持に必要な点検·整備項目
c) 交換部品を明示せず,オンコンディション点検を行う部品については,点検間隔及び合否判定基準
5.6.5 検証及び妥当性確認
堅ろう(牢)性の立証の方法,安全基準などは,製造業者の自主基準によって,通常,5.1.3のC(設計
検証試験)によって製造業者が想定する運用に十分に耐えられる堅ろう(牢)性及び耐久性を定めるが,
それによらない場合は,適切な方法又は複数の方法の組合せによって,検証及び妥当性確認を行う。耐久
時間は,飛行テストなどによって実証する。

5.7 ペイロード

5.7.1 一般
ペイロードの装着によって,無人航空機の重心位置が設計範囲内から外れることを避けるように,設計
しなければならない。
5.7.2 本質的安全設計方策
ペイロードが機体の安全機能を妨げないよう,次の安全設計を行わなければならない。
a) ペイロードを脱落させないこと
b) ペイロードの重量及び重量重心が設計上で飛行の安定性が確保できる範囲内であること
c) 機体とペイロードとを電気的に接続する場合は,短絡,過電流,電圧低下,EMIなどによって機体側
に影響を与えないこと
5.7.3 安全防護及び付加保護方策
ペイロードの脱落が発生した場合でも,機体の安全な飛行に影響を及ぼさない方策を適用しなければな
らない。
5.7.4 使用上の情報
使用上の情報は,ペイロードの説明として,次の事項を含んでいなければならない。

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a) 運用制限(気象条件,風速,温度など)及び飛行制限(飛行速度,荷重など)
b) 出荷後に運用者がペイロードの取付け,交換などを行う場合は,取付方法,重心管理方法(許容範囲,
計測方法),電源の接続方法,EMCの確認方法など必要な事項
c) 想定するペイロードのリストを明示し,更にペイロードが確定されない場合は,その重量,搭載位置,
搭載による重量重心の変動範囲,電源の接続方法及び不随する通信機器
5.7.5 検証及び妥当性確認
耐久性の評価に当たっては,ペイロード,その取付構造なども含めて5.1.3のC(設計検証試験)によっ
て検証及び妥当性確認を行う。ペイロードそのものの機能を保証する必要はないが,不用意な重量重心変
動,脱落,配線切断などが起きないことは立証しなければならない。耐久性の評価後にペイロードを追加
する場合については,ペイロード搭載状態で耐久性の再評価を行うか,又はペイロード及びその取付構造
単体の耐久性評価を行う一方,その搭載が機体本体の耐久性に影響を及ぼさないことを立証する。

5.8 耐環境性

5.8.1 一般
無人航空機の飛行中,想定される気象条件,温度,湿度,気圧などの周囲環境が原因となる暴走,墜落
などを避けられるような設計としなければならない。
5.8.2 本質的安全設計方策
設計だけでなく,実験的に実証された温度,気象条件などの運用限界を設定しなければならない。
5.8.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 危機回避機能(例えば,自動帰還機能,電波が復帰するまでの空中で位置を維持する機能などのフェ
ールセーフ機能)をもつよう設計しなければならない。
b) その他,電波,操縦系統,推進系統,電源及び自動操縦のフェールモードに対し,暴走させないフェ
ールセーフ機能をもつよう設計しなければならない。
5.8.4 使用上の情報
使用上の情報は,耐環境性の説明として,次の事項を含んでいなければならない。
a) 運用制限(気象条件,風速,温度など)及び飛行制限(飛行速度,荷重など)
b) 設定した運用制限を遵守するよう明記すること
5.8.5 検証及び妥当性確認
5.1.3のC(設計検証試験)によって,検証及び妥当性確認を行う。

5.9 搭載機器

5.9.1 一般
無人航空機に搭載する機器においては,レーザ,その他の電磁波などの搭載機器が原因となる,機体の
暴走,墜落,及び人体への影響を防止するよう設計しなければならない。
5.9.2 本質的安全設計方策
レーザ,その他の搭載機器に個別に定められている安全に関わる仕様及び基準にのっとった設計を行わ
なければならない。
5.9.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,次の例のような方策を適用しなければならない。
a) レーザビームの方向を制御する。例えば,人が存在する可能性がある方向を避けるなどの方策を図る。
b) 安全要求性能に従ったレーザ出力の制御を行う。

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5.9.4 使用上の情報
使用上の情報は,必要に応じて,搭載機器の説明として,次の事項を含んでいなければならない。
a) 運用環境にある人,第三者がさらされる可能性がある人体への有害性,及び機体への悪影響に関する
警告
b) 無人航空機に施したマーキングの意味
c) 無人航空機用搭載レーザ機器の運用手順及び飛行手順
d) 環境条件(運用時の防護策,作業手順,注意事項など)
5.9.5 検証及び妥当性確認
5.1.3のA-1(ハードウェア設計の精査),A-2(ソフトウェア設計の精査)又はA-3(機能設計の精査)
のいずれかによって,検証及び妥当性確認を行う。

5.10 目視内飛行における機体位置の喪失及び機体方向誤認の危険源への対応

5.10.1 一般
目視内飛行時に機体視認性の低下·欠如による,操縦ミスによって人又は物件との接触の危険性が考え
られるが,それらのリスクを最小限にする設計としなければならない。
5.10.2 本質的安全設計方策
無人航空機の機体は,灯火類,機体形状,塗装などによって機体視認性を確保する安全設計を行わなけ
ればならない。
なお,無人航空機の機体に灯火類を使用する場合,白色の灯火類を使用してはならないが,照明用,着
陸灯などの光源は,この灯火類には含まない。
5.10.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,無人航空機の機体に搭載したカメラ,センサなどから得られた情報を基に無人航空機操
縦者·無人航空機運航者に機体の位置,方向などの情報を通知させる機能を付加するよう方策を適用しな
ければならない。
5.10.4 使用上の情報
使用上の情報は,無人航空機を実際に飛行させた場合の機体の視認方法に関する説明を含んでいなけれ
ばならない。使用上の情報には,必要であれば,適切な教育の方法を定めなければならない。
5.10.5 検証及び妥当性確認
5.1.3のA(システム設計の精査),C(設計検証試験)又はE(実用試験)の中から適切な方法を選択し,
検証及び妥当性確認を行う。

5.11 自動飛行時の計画飛行経路逸脱の危険源への対応

5.11.1 一般
自動飛行で無人航空機を飛行させる場合,飛行計画に基づく飛行経路を逸脱する危険性がある。これに
よって無人航空機が,本来飛行することを想定していない区域に侵入することで,有人航空機,他の無人
航空機,及び人又は物件と衝突する危険性が考えられるが,それらのリスクを最小限にしなければならな
い。
5.11.2 本質的安全設計方策
飛行計画に基づく飛行経路を記憶し,逸脱しないようにする機能をもつよう設計を行わなければならな
い。また,無人航空機操縦者·無人航空機運航者からの遠隔操縦の指令があった場合,自動飛行を解除し,
その遠隔操縦指令を優先させなければならない。特に,無人航空機操縦者·無人航空機運航者の目視外で
自動飛行を行う無人航空機は,有人航空機,他の無人航空機,地上移動物体及び地上固定物との衝突を自

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動,遠隔操縦,その他の方法で回避可能であることが求められる。
5.11.3 安全防護及び付加保護方策
自動飛行を行う無人航空機は,自ら自動飛行の継続の可否を常に監視し,継続が可能かどうか,常に遅
滞なく無人航空機操縦者·無人航空機運航者に自動で通報できる機能をもつよう方策を適用しなければな
らない。
自動飛行を行う無人航空機は,飛行許可範囲に留まることが困難な場合,飛行許可範囲に自動で着陸又
は墜落できる機能をもつよう方策を適用しなければならない。
5.11.4 使用上の情報
自動飛行時の機体の挙動,操作方法について,次の情報を含んでいなければならない。
a) 無人航空機操縦者·無人航空機運航者と無人航空機との通信が途絶した場合の対処方法
b) 飛行計画に基づく飛行経路から逸脱又は逸脱の危険性がある場合の対処方法
c) 有人航空機,他の無人航空機,及び人又は物件と衝突の危険性がある場合の衝突回避方法
5.11.5 検証及び妥当性確認
5.1.3のA(システム設計の精査),E(実用試験)又はF(その他)の中から適切な方法を選択し,検証
及び妥当性確認を行う。

5.12 離陸時に関する危険源

5.12.1 離陸前点検
5.12.1.1 一般
飛行時に発生し得る機体異常を離陸前の事前点検によって検知できるようにする設計を行わなければな
らない。
5.12.1.2 本質的安全設計方策
無人航空機操縦者又は無人航空機運航者によって,離陸前に点検を行えるよう設計を行わなければなら
ない。異常の発見は,無人航空機運航者の判断又は自動での検出ができるようにし,飛行を不可能にする
よう設計しなければならない。この点検が飛行手順の中に組み込まれていることを無人航空機操縦者又は
無人航空機運航者に周知する方策を適用しなければならない。
上記方策については,次の例を参考として,点検に関わる情報を周知する方策を適用しなければならな
い。
− プロペラ又はロータの破損状況,及びプロペラ又はロータの向き
− モータ及びサーボの指示値に対する動作方向,動作音及びセンサ値
− ねじ,駆動部分,翼及びペイロードを含む各部品締結部分の緩み及び破損
− 搭載された測位センサ,地磁気センサ,IMU,気圧計,その他センサの正常性の確認
− 操作端末と機体との通信状況の監視(電波強度,RSSI,C/Nなど)
− バッテリを搭載する機体の場合,バッテリの残量及びバッテリの正常性
− 内燃機関を搭載する機体の場合,燃料残量及び内燃機関の正常性
− 内部使用電流の正常性
− 灯火類の正常性
− 制御パラメータの正当性
− ペイロード搭載後の機体重量及び重心が許容範囲であることの確認
5.12.1.3 安全防護及び付加保護方策
飛行申請情報の確認を含む,離陸地点,及び飛行範囲の周囲安全確認による不測の事故並びに飛行区域

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の風速,気温及び気象条件の確認による不測の事故へ対処する方策を適用しなければならない。必要に応
じて,周囲の電波環境の測定による電波障害による事故を防止する方策を適用しなければならない。
5.12.1.4 使用上の情報
離陸時に関する危険源を無人航空機操縦者及び無人航空機運航者が確認できるようにするために,点検
項目及びその判断方法を,取扱説明書及び運航時のチェックリストに記載しなければならない。各項目を
無人航空機操縦者,無人航空機運航者が全てを確認するには時間がかかり,また,判断ミスをする可能性
があるため,設計段階から,できる限り時間を短縮でき,容易に点検ができる方策を適用しなければなら
ない。
5.12.1.5 検証及び妥当性確認
5.1.3のA(システム設計の精査)F(その他)の中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を
行う。
5.12.2 離陸前安全装置
5.12.2.1 一般
電源を投入した後には,プロペラ,ロータなどの稼働部分が意図せず回り出すことがないように設計を
行わなければならない。
5.12.2.2 本質的安全設計方策
プロペラ,ロータなどの稼働部分が意図せず回り出すことがないような設計を行わなければならない。
5.12.2.3 安全防護及び付加保護方策
本質的安全設計方策が難しい場合,プロペラ又はロータを回転させるまでの運用方法を厳守しなければ
ならないよう方策を適用しなければならない。
5.12.2.4 使用上の情報
使用上の情報は,安全装置に関する説明を含んでいなければならない。
5.12.2.5 検証及び妥当性確認
5.1.3のA-1(ハードウェア設計の精査),A-2(ソフトウェア設計の精査)又はA-3(機能設計の精査)
の中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を行う。
5.12.3 自動飛行時の設定及び飛行経路確認
5.12.3.1 一般
自動飛行時においては,機体の飛行状態の設定,飛行経路などが誤った入力がなされている場合には,
予期しない機体の挙動となり,周囲の人及び物件への危険源となり得る。これによって無人航空機が,本
来飛行することを想定していない区域に侵入することで,有人航空機,他の無人航空機,及び人又は物件
と衝突する危険性が考えられるが,それらのリスクを最小限にしなければならない。
5.12.3.2 本質的安全設計方策
自動飛行時に無人航空機操縦者又は無人航空機運航者が,機体設定,飛行経路及び飛行領域の確認を行
い,間違いがないことを確認できるよう設計しなければならない。無人航空機操縦者が設定できるパラメ
ータがある場合は,そのパラメータについて容易に確認できるように設計しなければならない。計画され
た飛行に必要なバッテリ残量などを自動で計算し,飛行できない距離の場合には事前に警告できることが
望ましい。
例 数値だけではなく,経路及び機体の向きを視覚的に確認できるようにするなど。
5.12.3.3 安全防護及び付加保護方策
運用時,操作端末での飛行経路の視覚的な確認が難しい場合,複数人で飛行経路を読み上げて確認を行

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