JIS X 9004:1983 光学式文字認識のための印字仕様

JIS X 9004:1983 規格概要

この規格 X9004は、光学式文字認識(OCR)に使用する字形の印字に関する(1)使用する用紙の光学的特性,(2)印字した個々のOCR文字の光学的及び寸法上の特性,(3)帳票上に印字したOCR文字の位置についての基本的仕様,について規定。文字はJIS X 9001及びJIS X 9003で規定。

JISX9004 規格全文情報

規格番号
JIS X9004 
規格名称
光学式文字認識のための印字仕様
規格名称英語訳
Printing specifications for optical character recognition
制定年月日
1975年2月1日
最新改正日
2019年10月21日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 1831:1980(IDT)
国際規格分類

ICS

35.040, 35.180
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1975-02-01 制定日, 1978-02-01 確認日, 1983-01-01 改正日, 1987-03-01被移行日, 1989-02-01 確認日, 1994-02-01 確認日, 1999-03-20 確認日, 2004-11-20 確認日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
ページ
JIS X 9004:1983 PDF [22]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
X 9004-1983

光学式文字認識のための印字仕様

Printing Specifications for Optical Character Recognition

1. 適用範囲 この規格は,光学式文字認識(以下,OCRという。)に使用する字形の印字に関する次の
仕様について規定する。ここで文字は,JIS X 9001[光学式文字認識のための字形(英数字)]及びJIS X 9003
[光学式文字認識のための字形(片仮名)]の規定による。
(1) 使用する用紙の光学的特性。
(2) 印字した個々のOCR文字の光学的及び寸法上の特性。
(3) 帳票上に印字したOCR文字の位置についての基本的仕様。
引用規格 :
JIS X 9001-1976 光学式文字認識のための字形(英数字)
JIS X 9003-1980 光学式文字認識のための字形(片仮名)
対応国際規格 :
ISO 1831-1980 Printing Specifications for Optical Character Recognition
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 帳票 OCRへの入力媒体。
(2) スペクトルバンド OCRに使用する用紙,インキ及び印字図形の光学的特性を規定するために設定し
た分光波長領域。近紫外から近赤外にわたる数種の区分がある。
(3) 反射率 光学的に同じ状態に置いた被測定物と完全拡散反射体(1)からの反射光量の比。
注(1) 測定では,白の標準と呼ぶ白色板を用いる。白の標準としては,硫酸バリウム (BaSO4) などを
用いる。
(4) 汚点 用紙上で周囲より明らかに反射率の低い部分。
(5) 裏当て法 反射率及び不透明度の測定時に使用する方法。
十分な裏当て法とは,測定しようとする試料と同質の用紙を裏当てしたとき,その用紙の枚数を2
倍にしても測定値の変化が認められないように裏当てする方法をいい,黒の裏当て法とは,反射率が
0.5%以下の黒色板を試料の裏当てとする方法をいう。
(6) 印字図形 帳票上に印字した文字及びその周囲の余白部を含む図形。
(7) 線素 個々の文字を構成する幅をもった線分。
(8) 心線 標準字形の骨組みを表す線素の中心線。
(9) レンジ 印字品質の許容限界の程度。X,Y及びZの3区分がある。
(10) OL (Character Outline Limits)標準線幅からのずれに対し,許容できる限界を示す輪郭線。最大限
界を示す最大COLと最小限界を示す最小COLとがある。
(11) OLゲージ 印字図形の寸法上の特性を測定するためのゲージ。最大COL,最小COL及び心線字形

――――― [JIS X 9004 pdf 1] ―――――

2
X 9004-1983
が表示してある。
(12) カットオフ 文字の片側で線素の一部が非対称に欠落した状態。高速印字装置などで起こりやすい。
(13) カットオフ限界線 許容するカットオフの限界を示す境界線。レンジZ用のCOLゲージだけにある。
(14) カットオフ中心線 カットオフ限界線と最小COLの間に描く円の中心の軌跡がなす線分。カットオフ
を伴う印字図形の測定において心線に代えて用いる。
(15) 最良一致 文字が最小COL内をできるだけ多く満たし,同時に最大COLからのはみ出しが最も少な
くなるように合わせたCOLゲージと文字図形の相対位置。
(16) CS (Print Contrast Signal)用紙と印字図形のコントラストを表す量。
(17) 基本PCS 一つの文字内でCOLの心線に沿って測定した一連のPCS。機器による印字図形の測定に
用いる。
(18) CS80% COLの心線上で測定したPCS値のうち,大きい方から80%を選んだとき,その中で最も
小さい値。
(19) コントラスト変動比 文字内でインキの濃い部分と薄い部分のPCS値の比。COLの心線上で測定す
る。
(20) ボイド 最小COLの内側で文字の残りの部分より明らかに反射率の高い部分。
(21) 線縁 線素部と背景部との境界線。
(22) 線縁の凹凸 線縁が最小COLの内側又は最大COLの外側にはみ出している部分。
(23) スポット 最大COLの外側で背景より明らかに反射率の低い部分。
(24) 検査対象領域 印字図形の光学的特性を測定する範囲。文字とその周囲の余白部を含む長方形の領域。
(25) 帳票基準辺 印字位置の基準となる帳票の辺。
(26) 文字境界 1辺が帳票基準辺に平行で,1文字のすべての線素をその内部に含む最小の長方形。
(27) 行境界 1辺が帳票基準辺に平行で,その行のすべての文字境界を含む最小の長方形。
(28) 文字間余白 同一行境界内で相互に隣接する2文字の,文字境界間の水平距離。
(29) 文字間隔 同一行境界内で相互に隣接する2文字の,文字境界の垂直2等分線間の水平距離。
(30) 字並び 同一行境界内にある二つの文字境界のおのおのの基底線間の垂直距離。
(31) 印字領域 1辺が帳票辺に平行で,1行中の1組の認識対象文字を印字するために,あらかじめ定めた
長方形の領域。
(32) クリアエリア 1辺が帳票基準辺に平行で,印字領域及びその周囲の余白部を含む長方形の領域。
(33) 辺からの余裕 各帳票辺から印字領域までの距離。
(34) 行間余白 連続する2行の行境界間の垂直距離。
(35) 行間隔 連続する2行の行境界の水平2等分線間の垂直距離。

――――― [JIS X 9004 pdf 2] ―――――

                                                                                              3
X 9004-1983
3. スペクトルバンド スペクトルバンドは,表1のとおりとする。
表1 スペクトルバンド
単位nm
呼び ピーク 50%レベルのバンド幅
B425 425± 5 50以下
B460 460± 5 60以下
B490 490± 5 60以下
B530 530± 5 60以下
B570 570±10 100以下
B620 620±10 100以下
B680 680±10 120以下
B900 900±50 400以下
備考1. 光源,フィルタ及び受光素子の総合特性を表す。
2. これらの各バンドの分光特性曲線は,単峰性で滑らか
でなければならない。
3. 400nm未満の波長域におけるエネルギー分布量の合
計は,測定対象波長域内のエネルギーの5%以下でな
ければならない。
4. OCR用紙の特性
4.1 OCR用紙の光学的条件 OCR帳票に使用する用紙は,認識対象文字との高いコントラストと均一な
反射率を確保するため,次の条件を満足しなければならない。
(1) 白色で高い不透明度と反射率をもち,光沢が少ないこと。
(2) 平滑な仕上りで組成のむら,汚点が少ないこと。
(3) すかし印刷及び着色料や蛍光物質などの混入がないこと。
4.2 用紙の不透明度
4.2.1 不透明度 不透明度 (C) は,次の式で定義する。
RB
C 100 %
RI
ここに, RB : 用紙を黒の裏当て法で測定した反射率
RI : 用紙を十分な裏当て法で測定した反射率
備考1. 用紙の表と裏のおのおのについて測定し,0.5%以上の差があるときは,両方の値を採用する。
2. 測定は,表1のスペクトルバンドで行う。
4.2.2 不透明度の等級 不透明度の等級は,表2のとおりとする。
表2 不透明度の等級
等級 不透明度
高不透明紙 85%以上
中不透明紙 70%以上

――――― [JIS X 9004 pdf 3] ―――――

4
X 9004-1983
4.3 用紙の反射特性
4.3.1 用紙の反射率 用紙の反射率は,表3のとおりとする。
表3 用紙の反射率
番号 スペクトルバンド 高不透明紙 中不透明紙
1 B425 60%以上 50%以上
B530,B570又はこの間にピークをも
2 70%以上 60%以上
ち,バンド幅が100nm以内のもの
3 B900 70%以上 60%以上
備考1. 普通の白色紙では,番号1と番号2に相当するスペクトルバンドの2種
類で測定すればよい。番号3は,赤外光の反射に乱れのあるおそれが
あるときだけ測定する。ただし,分光特性に厳密さが要求される場合
は,表1のすべてのスペクトルバンドで測定しなければならない。
2. 測定は,黒の裏当て法で行う。
4.3.2 反射率の一様性 同一紙面内での反射率の変動は,表4のとおりとする。
表4 反射率の変動
等級 標準偏差/反射率の平均値最大反射率/最小反射率
高不透明紙 3.5%以下
1.2以下
中不透明紙 5.0%以下
備考1. 測定は,直径0.20mmの円形開口部で行う。
2. スペクトルバンドは,表3に従う。ただし,最も厳しいスペクト
ルバンドが明らかである場合は,そのスペクトルバンドだけで測
定してよい。
3. サンプル点は,測定結果の再現性が保証できるよう,偏りなく,
かつ十分に数多く取らなければならない。
4.3.3 用紙の汚点 用紙の汚点は,表5のとおりとする。ただし,表5の測定が不可能な場合に限り,表
6で検査してよい。
表5 用紙の汚点
汚点の大きさ 規定値 規定条件
直径0.10mm以上 250個/m2以下 試料20枚の平均値が規定値を満たすこと。
直径0.20mm以上 25個/m2以下 試料20枚中19枚が規定値を満たすこと。
備考 試料は,1m2程度あることが望ましい。0.125m2(A3判相当)以下であってはな
らない。
表6 簡易な汚点の検査
1区画の大きさ 検査面積 規定値 検査条件
汚点のある区画の合 明るい間接照明の下で,1区画につき1分間,0.5m
0.10m×0.10m 6.0m2
計数200以下 の距離から目視で検査する。
備考 測定結果に大きな個人差がないこと。
5. 印字図形の特性
5.1 印字品質確保のための条件 印字品質は,次の条件を満足しなければならない。
(1) 印字文字は,その背景となる帳票に対して,できる限り高いコントラストを保つこと。
(2) 線幅は,できる限り標準値に近く保つこと。
(3) 線素輪郭の内部には,ボイドをなくすこと。これが守れない場合は,ボイドの数と大きさとを最小に
し,ボイド間の距離もできる限り離すこと。

――――― [JIS X 9004 pdf 4] ―――――

                                                                                              5
X 9004-1983
(4) クリアエリア内には,スポットをなくすこと。これが守れない場合は,スポットの数と大きさとを最
小にし,スポット間の距離もできる限り離すこと。
(5) 印字図形の線素の中心線は,できる限り標準の心線字形に近く保つこと。
5.2 レンジ
5.2.1 区分 印字品質の許容限界の程度によって,次の三つに区分する。
(1) レンジX(高印字品質)
(2) レンジY(中印字品質)
(3) レンジZ(低印字品質)
備考 片仮名の小文字,英字の小文字及び記号#, %,@を含む場合は,レンジXとすること。
5.2.2 レンジZの適用範囲 レンジZは,次の場合に限り適用してよい。
(1) IS X 9001の6.で規定する数字サブセットに含まれる文字だけを認識対象とする場合
(2) 電子計算機を利用して印字図形の測定を行う場合
5.3 線幅の許容範囲 線幅の許容範囲は,表7のとおりとする。
表7 線幅の許容範囲
単位mm
字体 サイズ 標準線幅(2) レンジX レンジY, Z
OCR-A, B, K I 0.35 ±0.08 ±0.15
OCR-A, B III 0.38 ±0.08 ±0.18
OCR-A 0.51
IV ±0.13 ±0.25
OCR-B 0.50
注(2) 線幅についての詳細は,OCR-A及びOCR-Bに関してはJIS X 9001の附属書1と
附属書2を,OCR-Kに関してはJIS X 9003の8.を参照すること。
5.4 COLゲージ
5.4.1 一般規則 COLゲージには,心線,最大COL及び最小COLを表示する。その作り方は,附属書
のとおりとする。
5.4.2 非定線幅字形用COLゲージ 非定線幅字形の測定には,レンジX,サイズIのCOLゲージを用い
る。
備考 非定線幅字形に由来するCOLからのずれは,許容する。
参考 非定線幅字形を印字する機器は,良好な印字品質を保ち得ることが前提条件となっている。
5.4.3 レンジZ用COLゲージ レンジZ用のCOLゲージには電子計算機内に記憶してある,心線,最
大COL,最小COL,カットオフ限界線及びカットオフ中心線を用いる。その作り方は,附属書のとおりと
する。
5.5 印字図形の測定
5.5.1 測定方法の種類 測定方法は,その簡便さと,要求される精密さによって,次の3種類とする。
(1) 目視による測定
(2) 機器による測定
(3) 電子計算機利用による測定
備考 測定方法の違いによって検査結果が異なる場合は,精度の高い方(項番の大きい方)を優先す
る。
5.5.2 目視による測定
5.5.2.1 測定条件 目視による測定は,COLゲージと拡大鏡を使い,最良一致(3)の状態で行う。

――――― [JIS X 9004 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS X 9004:1983の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 1831:1980(IDT)

JIS X 9004:1983の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 9004:1983の関連規格と引用規格一覧