JIS Z 3905:1976 ニッケルろう分析方法 | ページ 2

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8. けい素定量方法
8.1 方法の区分 けい素の定量方法は,二酸化けい素重量法による。
8.2 二酸化けい素重量法
8.2.1 要旨 試料を王水で分解し,過塩素酸を加えて加熱蒸発し,けい素を不溶性二酸化けい素とし,こ
し分た後強熱して恒量とし,次に,ふっ化水素酸を加えて二酸化けい素を蒸発揮散させ,その減量をはか
る。
8.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸(1+10)
(2) 硫酸(1+3)
(3) 過塩素酸
(4) ふっ化水素酸
(5) 王水(塩酸3,硝酸1,水4)
8.2.3 試料はかり取り量 試料は0.5gをはかり取る。
8.2.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
(1) 試料をはかり取りビーカー (300ml) に移し入れ,時計ざらで覆い王水50mlを加え,静かに加熱して
分解した後過塩素酸20mlを加え,加熱蒸発して白煙を発生させる。強熱して蒸発した過塩素酸の蒸
気がビーカー壁を伝わって逆流する程度に1520分間加熱を続ける。
(2) しばらく放冷後,温水約120mlを加えてかき混ぜ,塩類を溶解し,直ちにろ紙(5種B)を用いてこ
し分ける。ビーカー壁に付着した沈殿は,ゴム管付ガラス棒を用いてすり落とし,ろ紙上に移し,初
めは温水で,次に温塩酸(1+10)で,最後に温水で十分に洗浄する。
(3) 残さは,ろ紙と共に白金るつぼに移し乾燥後,低温でろ紙を灰化した後1100℃以上で強熱して恒量と
し,デシケーター中で放冷して第1回のひょう量をする。
(4) 次に残さを硫酸(1+3)で潤し,ふっ化水素酸35mlを加え,注意して加熱し,二酸化けい素及び硫酸
を揮散させた後,1100℃以上で強熱して恒量とし,デシケーター中で放冷後,第2回のひょう量をす
る。
8.2.5 計算 試料中のけい素含有率を,次の式によって算出する。
W1 W2 .04674
けい素 % 100
W
ここに W1 : 第1回の質量 (g)
W2 : 第2回の質量 (g)
W : 試料はかり取り量 (g)
9. 鉄定量方法
9.1 方法の区分 鉄の定量方法は,重クロム酸カリウム滴定法による。
9.2 重クロム酸カリウム滴定法
9.2.1 要旨 試料を王水で分解し,過塩素酸とふっ化水素酸を加え,蒸発して白煙を発生させる。これに
塩化アンモニウムとアンモニア水を加えて水酸化鉄の沈殿を生成させてこし分ける。沈殿は塩酸に溶解し,
塩化第一すずを加えて鉄を還元し,塩化第二水銀を加えて過剰の第一すずを酸化し,混酸を加えて酸の濃
度を調節した後,指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを加え,重クロム酸カリウム標準
溶液で滴定する。

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9.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸(1+1,1+10,1+50)
(2) 過塩素酸
(3) ふっ化水素酸
(4) 王水(塩酸3,硝酸1)
(5) 混酸(硫酸3,りん酸3,水14)
(6) アンモニア水(1+50)
(7) 過酸化水素水
(8) 塩化アンモニウム溶液 (25w/v%)
(9) ピロ硫酸ナトリウム
(10) 塩化第一すず溶液 塩酸(1+1)200mlをビーカー (500ml) に取り,水浴上で加熱しながら塩化第一す
ず(2水塩)50gを少量ずつ加えて溶解し,冷却後水で薄めて500mlとする。
この溶液には少量のすずを加え,かっ色びんに保存する。
(11) 塩化第二水銀溶液(飽和,約5%)
(12) /50重クロム酸カリウム標準溶液 (0.9806gK2Cr2O7/l) 重クロム酸カリウム〔JIS K 8005(容量分析
用標準試薬)〕0.9806gをはかり取り,水約100mlに溶解し,1000mlのメスフラスコに入れ,水で標線
まで薄める。この場合標定は行わない。
(13) ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液 ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム0.2gを少量の
水に溶かし,水を用いて100mlとする。この溶液は,かっ色びんに入れて保存する。
9.2.3 試料はかり取り量 試料は0.5gをはかり取る。
9.2.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
(1) 試料をはかり取りビーカー (500ml) に移し入れ,時計ざらで覆い,王水3040mlを加え,静かに加
熱分解した後,過塩素酸20mlとふっ化水素酸12mlを加え,白煙が発生するまで加熱蒸発する。溶
液が黄赤色に変わってから,更に過塩素酸の白煙を約10分間発生させる。
(2) 放冷後水約100mlを加え,加熱して塩類を溶解し(1),これに塩化アンモニウム溶液20mlを加え,か
き混ぜながらアンモニア水(1+1)を,一度生成したニッケルの沈殿が溶解して濃青色となるまで加え,
更に過剰に5ml加える。12分間静かに煮沸した後,沈殿の沈降を待って,ろ紙(5種A)でこし分
け,温アンモニア水(1+50)と温水で十分に洗浄する。
(3) 沈殿は少量の温塩酸(1+1)を用いて元のビーカーに溶かし入れ,ろ紙は温塩酸(1+50)で数回,次に温
水で十分に洗浄する。この溶液に温水を加えて約150mlとした後,塩化アンモニウム溶液10mlを加
え,再びアンモニア水(1+1)を加えて中和し,更にその過剰5mlを加える。次に過酸化水素水12ml
を加えて約3分間煮沸する。静置後,ろ紙(5種A)を用いてこし分け,温アンモニア水(1+50)で数
回,次に温水で十分に洗浄する。
(4) 沈殿は少量の温塩酸(1+1)を用いて元のビーカーに溶かし入れ,ろ紙は温塩酸(1+50)で洗浄する。こ
の溶液を加熱蒸発して液量を約10mlとする。少量の温水を用いてビーカーの内壁を洗い落とした後,
直ちに振り混ぜながら塩化第一すず溶液を滴加して塩化第二鉄の着色がなくなった後,更に過剰に1
滴を加え,流水で冷却する。
(5) これに塩化第二水銀溶液5mlを一度に加え,振り混ぜた後,35分間放置する。この溶液に混酸30ml
を加え,水を用いて液量を約300mlとし,ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液数滴を指示薬
として加え,N/50重クロム酸カリウム標準溶液で滴定し,溶液が緑色から青緑色となり,更に紫色に

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変わった点を終点とする。
9.2.5 計算 試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。
V .0001117
鉄 % 100
W
ここに V : N/50重クロム酸カリウム標準溶液使用量 (ml)
W : 試料はかり取り量 (g)
注(1) この際二酸化けい素の沈殿を認めた場合はろ紙(5種B)を用いてろ過し,温水,温塩酸(1+10)
及び温水の順に洗浄する。
また沈殿が着色している場合は,上記の操作に従ってろ過洗浄した後,沈殿はろ紙と共に白
金るつぼに移し入れ,乾燥後強熱して灰化する。これに約10倍量のピロ硫酸ナトリウムを加え,
加熱して融解し,放冷後融成物を少量の温水で溶解した後,主液に合わせる。
10. 炭素定量方法
10.1 方法の区分 炭素の定量方法は,重量法による。
10.2 重量法
10.2.1 要旨 試料を酸素気流中で強熱し,炭素を完全に酸化して二酸化炭素とし,これをソーダ石灰又は
水酸化ナトリウムに吸収させ,その増量を測定する。
10.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 銅 99.95%以上で,1gにつき空試験値の増量が0.001g未満のもの。
(2) 酸素 99.5v/v%以上のもの。
(3) クロム酸飽和硫酸 硫酸(比重1.82,90%)に重クロム酸カリウムを飽和させ,上澄み液を使用する。
(4) ソーダ石灰又は水酸化ナトリウム,若しくはソーダ石綿を用いてもよい。
(5) 五酸化りん又は過塩素酸マグネシウム
10.2.3 装置及び器具 装置及び器具は,原則として次のものを用いる(付図1参照)。
(1) 酸素清浄装置 この装置は,使用する酸素中に含まれる二酸化炭素又は有機性ガスなどを除去し,か
つ酸素を清浄乾燥することを目的とするもので,クロム酸飽和硫酸(1)を入れたガス洗浄びん (c),ソ
ーダ石灰又は水酸化ナトリウムを詰めた管若しくは塔 (d),活性アルミナ又は硫酸を入れたガス洗浄
びん若しくは塔 (e) を順次連結する(2)ものとする。
(2) 燃焼炉 燃焼炉は,内径約30mm,長さ200300mmの管状電気炉 (f) に炉の両端からそれぞれ約
200mmずつ突き出し得る長さを有する内径20又は24mmの磁器燃焼管 (CT2) (g) をそう入(3)したも
ので,熱電温度計 (h) により炉の中央部の燃焼管の温度(4)を測定できるものとする。管状電気炉は,
電流を調節して温度を加減でき,炉の中央部において長さ約150mm以上を一定温度に保つことがで
き,かつ1400℃で常用できるものとする。磁器燃焼管には,磁器燃焼ボートがそう入される中央部の
後方に,約50mmにわたって白金石綿,パラジウム石綿又は酸化鉄石綿を詰める。
(3) ガス吸収装置 燃焼炉から出たりん,硫黄などのガスを酸化吸収させるため,クロム酸飽和硫酸を入
れたガス洗浄びん (i)(1),ガラス綿を詰めた管又は塔 (j),五酸化りん又は過塩素酸マグネシウムを入
れた管 (k) 及び二酸化炭素を吸収するためのソーダ石灰(5)又は水酸化ナトリウム(6)を入れ,その後に
約2mmの厚さに五酸化りん又は過塩素酸マグネシウムを詰めた2個の二酸化炭素吸収管 (l, m)(7),次
に五酸化りん又は過塩素酸マグネシウム及びソーダ石灰又は水酸化ナトリウムを詰めた管 (n) 及び
硫酸を入れたガス洗浄びん (o) を順次連結(2)するものとする。

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(4) 磁器燃焼ボート 磁器燃焼ボート (CB1) は,あらかじめ酸素気流中で燃焼温度で空焼きしておく。ま
た磁器ボートには,その半分を覆い,出し入れのじゃまにならない程度の大きさの磁器ボートカバー
(CBC1) を載せるとよい。このカバーは磁器燃焼ボートと同様に,あらかじめ空焼きして使用する。
10.2.4 試料はかり取り量 試料は0.5gをはかり取る。
10.2.5 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
(1) 10.2.3の装置を連結し(2)(3),燃焼管内温度を13501400℃にし,装置の気密試験(8)を行った後,酸素
を毎分約200mlの割合で約20分間通じて二酸化炭素吸収管 (l, m) の質量をはかる(9)。
(2) 次に燃焼管の酸素の入口部を開き,助燃剤として銅を1.5g加えた試料(10)を入れてある磁器燃焼ボー
トを燃焼管の中央部にそう入し,直ちに気密にせんをする。
初めは酸素を通さないで3040秒間予熱を行い,次に毎分約600mlの割合で酸素を送入して燃焼
管内の気圧をなるべく外気圧に近くする。燃焼が終われば酸素を毎分300400mlの割合で1015分
間送り,発生した二酸化炭素は酸素と共に二酸化炭素吸収管 (l, m) に送り,完全に吸収させる。
(3) 次に,二酸化炭素吸収管 (l) の炉に近い端から順にコックを全部密閉した後,酸素の送人を止め,管
(k) 及び (n) との連結をとき,二酸化炭素吸収管 (l, m) の質量をはかる(11)(12)。
10.2.6 計算 試料中の炭素含有率を,次の式によって算出する。
A .02729
炭素 % 100
W
ここに A : 二酸化炭素吸収管 (l, m) の増量 (g)
W : 試料はかり取り量 (g)
注(1) クロム酸飽和硫酸が緑色になれば酸化力を失うから,更新しなければならない。
(2) ゴム管は二酸化炭素を吸収するおそれがあるから,装置の各接続にはガラス管を用いてその両
端を密接させ,ゴム管又はビニル管でこれを保持するようにしなければならない。
(3) 燃焼炉の磁器燃焼管と酸素清浄装置及びガス吸収装置との接続部のゴムせんには,耐熱性の大
きいシリコーンゴムを使用するのがよい。
(4) 熱電温度計の指示温度と燃焼管内温度との差に注意して補正する必要がある。
(5) 二酸化炭素吸収管にソーダ石灰を詰める場合は,ソーダ石灰の粗粒(約3mm)と細粒(約1mm)
とを交互に数層に入れ,ガラス綿又は適当なものでこれを軽く押さえ,更に約5gの五酸化りん
又は過塩素酸マグネシウムを詰めて軽くたたく程度がよい。
(6) 二酸化炭素吸収管に水酸化ナトリウムを詰める場合は,水酸化ナトリウムを粉砕して1000
(約16メッシュ相当)のふるいを通ったもの約20gを詰め,次に少量のガラス綿を置き,更に
約5gの五酸化りん又は過塩素酸マグネシウムを詰めて軽くたたく程度がよい。
水酸化ナトリウムを粉砕するとき,堅い感じがするものには二酸化炭素吸収能力の悪いもの
が多いから,このようなものは,ニッケルるつぼに入れて電気炉で約400℃に加熱溶融し,冷
却後粉砕して使用するのがよい。
(7) 二酸化炭素吸収管 (l, m) の二酸化炭素吸収能力は,吸収管1本当たりソーダ石灰では吸収剤充
てん質量の10%,水酸化ナトリウムでは20%,ソーダ石綿では15%程度であるが,その能力は
吸収剤の調製方法によっても大きな差がある。また生成した水分を吸収してガスの通気が悪く
なるので,あらかじめ確認しておく必要がある。
なお,水酸化ナトリウム20gを詰めた吸収管の場合には,通常23g増量したとき新しく詰
め替えるのが適当である。

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(8) 気密試験は,次のようにして行う。
まずガラス綿を詰めた管又は塔 (j) のコックを閉じて酸素を送入する。しばらく放置した後
クロム酸飽和硫酸を入れたガス洗浄びん (c) に酸素の気ほうの生じないことを確かめる。もし
酸素の気ほうを生じたなら,ガス洗浄びん (c) とガラス綿を詰めた管又は塔 (j) までの間に気
密の悪いところがあることを示す。次に五酸化りん又は過塩素酸マグネシウム,及びソーダ石
灰又は水酸化ナトリウムを詰めた管 (n) のコックを閉じて,ガラス綿を詰めた管又は塔 (j) の
コックを開く。しばらく放置した後,同様に酸素の気ほうを生じないことを確かめる。もし酸
素の気ほうが生じたなら,管 (j) と管 (n) までの間に気密の悪いところがあることを示す。
(9) この試験の前後におけるそれぞれの吸収管の質量変化は,0.0005g未満でなければならない。
(10) 試料に油類が付着しているのを認めたときは,エチルアルコール及びエチルエーテルで洗浄し,
乾燥した後使用する。試料を調製するときは,あまり小さい試料や長く巻いた試料にならない
ように注意する。
(11) 操作後に試料が完全に融解状態になったかどうかを確かめるとともに,試料が完全に酸化した
かどうかを確かめなければならない。
(12) 日常作業に当たっては,作業時間の初期,中期及び終期には必ず炭素含有量既知の試料を用い
て分析し,その日の装置その他の調子を試験しなければならない。
11. りん定量方法
11.1 方法の区分 りんの定量方法は,EDTA滴定法による。
11.2 EDTA滴定法
11.2.1 要旨 試料を王水で分解し,過塩素酸を加えて蒸発した後,二酸化けい素などの沈殿をこし分け,
必要があれば残さ処理を行って主液に合わせる。これにくえん酸を加え,アンモニア水で中和し,塩化マ
グネシウム溶液を加えて水中で冷却しながらかき混ぜ,りん酸マネグシウムアンモニウムを沈殿させる。
放置後沈殿をこし分け,薄いアンモニア水で洗浄した後塩酸で溶解し,これにEDTA標準溶液の一定量を
加え,EBTを指示薬とし,アンモニア水を過剰に添加後,亜鉛標準溶液で溶液が明らかに赤紫色となるま
で滴定する。
11.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸(1+3)
(2) 硝酸(1+50)
(3) 過塩素酸
(4) 王水(塩酸3,硝酸1)
(5) アンモニア水
(6) アンモニア水(1+20)
(7) ピロ硫酸ナトリウム
(8) 塩化マグネシウム溶液 塩化マグネシウム50gと塩化アンモニウム100gを水800mlに溶解し,フェ
ノールフタレイン溶液(0.1%,JIS K 8006の3.)を指示薬とし,アンモニア水を加えてアルカリ性と
し,約48時間放置する。沈殿が生じたときはろ過し,塩酸を滴加して微酸性とした後,水で1lとす
る。この溶液はP-ニトロフェノール溶液 (0.2w/v%) を指示薬とし,アンモニア水と塩酸とを用いてpH
を56に調節して保存する。
(9) くえん酸 溶液くえん酸(1水塩)30gを水に溶かして100mlとする。

――――― [JIS Z 3905 pdf 10] ―――――

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JIS Z 3905:1976の国際規格 ICS 分類一覧

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