JIS Z 3940:2010 溶接ヒュームのデータシート | ページ 2

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5.3 ガスシールドアーク溶接の試験条件

  ガスシールドアーク溶接の試験条件は,表1,表3及び表4による。
表3−ソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤによるガスシールドアーク溶接の試験条件
項目 試験条件
製造業者の推奨するガスを用いる。ただし,複数のガスが推奨されてい
る場合は,次の式で最大値が得られる酸化性(oxidising mixture)の混合
ガスの種類
ガスを用いる。
1×CO2(体積分率)+2×O2(体積分率)
適切なシールドが得られるガス流量とする。
ガス流量
(ガス流量は,一般的には1525 L/min)
チップ母材間距離は,表4の値が望ましい。溶接電流は,供試ワイヤの
チップ母材間距離,
径に対して製造業者が推奨する溶接電流範囲の最大値の90 %の値とす
ワイヤ送給速度
る。
及び溶接電流
なお,ワイヤ送給速度を記録する。
製造業者が推奨する範囲内で,熟練した溶接技能者が設定する適正アー
ク電圧とする。測定方法は,測定機器の導線の一端をコンタクトチップ
アーク電圧
近傍に取り付け,もう一方の導線の端を試験体又はその近傍に取り付け,
アーク電圧を測定する。
製造業者が推奨する極性とする。また,複数の極性が推奨されている場
極性
合は,通常に使用する極性とする。
表4−ガスシールドアーク溶接におけるチップ母材間距離の推奨値
単位 mm
チップ母材間距離
ワイヤ径
ソリッドワイヤa) フラックス入りワイヤb)
0.6 8 −
0.8 10 −
0.9 − 15
1.0 15 18
1.2 18 20
1.4 − 22
1.6 22 25
2.0 26 28
2.4 28 30
注a) 他の径のチップ母材間距離は内挿法で求めることができる。
b) 他の径のチップ母材間距離は内挿法又は外挿法で求めることができる。

5.4 セルフシールドアーク溶接の試験条件

  セルフシールドアーク溶接の試験条件は,表1及び表5による。

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表5−セルフシールドアーク溶接の試験条件
項目 試験条件
チップ母材間距離は,製造業者が推奨する距離とする。溶接電流は,供試
チップ母材間距離,
ワイヤの径に対して製造業者が推奨する溶接電流範囲の最大値の90 %の
ワイヤ送給速度
値とする。
及び溶接電流
なお,ワイヤ送給速度を記録する。
熟練した溶接技能者が設定するスムーズな溶滴移行が得られる最小アー
ク電圧とする。測定方法は,測定機器の導線の一端をコンタクトチップの
アーク電圧
近傍に取り付け,もう一方の導線の端を試験体又はその近傍に取り付け,
アーク電圧を測定する。
製造業者が推奨する極性とする。また,複数の極性が推奨されている場合
極性
は,通常に使用する極性とする。

6 溶接ヒュームのデータシート

6.1 溶接ヒュームのデータシートの作成

  試験を実施した機関は,附属書Aの様式に従って,溶接ヒュームのデータシートを作成しなければなら
ない。溶接ヒュームのデータシートには,必す(須)項目として,次のa) i) の項目を含まなければなら
ない。
なお,j) n) の項目については,任意選択項目とする(附属書E参照)。任意選択項目に関する溶接ヒ
ュームのデータシートの例を附属書Fに示す。また,附属書Gに“溶接ヒュームのキー成分”を,附属書
Hに“溶接ヒュームのデータの利用”を,附属書Iに“溶接材料分類方法の例”を示す。
a) 溶接材料の製造業者又は供給業者の名称及び住所
b) 溶接ヒュームのデータシートの作成年月日及び最終検証年月日
c) 溶接材料の銘柄及び種類並びに溶接方法
d) 溶接材料の該当規格
e) 試験機関の名称及び住所
f) 試験報告書の発行年月日
g) 試験条件の詳細
h) 溶接ヒューム発生量(mg/s及びg/h)。有効数字は2けた以上とする。
i) 溶接ヒューム中のすべての主要成分の質量分率(附属書B参照)。ただし,少なくとも表B.2にある
小数点以下のけた数及び有効数字とする。
j) 溶接材料が販売されるすべての国に対応するキー成分の溶接ヒューム限界値(E.1.4参照)。ただし,
小数点以下1けたに丸める(附属書H参照)。
k) 溶接材料が販売されるすべての国に対応する相加溶接ヒューム限界値(E.1.2参照)。小数点以下1け
たまで報告する(附属書H参照)。
l) 溶接材料が販売されるすべての国に対応する表I.1にて算出した溶接ヒュームによる溶接材料の分類
(附属書I参照)。
m) キー成分の溶接ヒューム限界値又は相加溶接ヒューム限界値を算出したときに使用した限界値の適用
国(H.1.1.2の注記及びH.1.2.2参照)。
n) 溶接材料の包装に表示された,溶接ヒュームによる溶接材料分類に関する情報(附属書F参照)。

6.2 溶接ヒュームのデータシートの提供

  溶接材料製造業者又は供給業者は,顧客の要求があれば,附属書Aの様式で作成した溶接ヒュームのデ

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ータシートのコピーを提供しなければならない。

6.3 溶接ヒュームのデータシートの更新

  次の場合には,溶接ヒュームの再試験を行い,データシートを更新し,顧客の要求があれば,そのコピ
ーを提出しなければならない。
a) 製品中の一つ以上の原料含有率を,表6の許容値を超えて変更した場合。
b) 製品中の一つ以上の原料を,組成の異なる他の原料で置き換えた場合。
c) 他の原料を製品に添加した場合。
表6−溶接ヒュームのデータシートの更新を必要としない原料含有率変化の許容値
元の原料含有率 含有率変化の許容値
%(質量分率) %
2.5以下 ±50
2.5を超え10以下 ±30
10を超え25以下 ±20
25超 ±10
注記 含有率は製品の全質量に対する比率である。
例えば,被覆アーク溶接棒の場合,溶接棒の全質量に対する被覆成分の比率。

6.4 データの共有

  データの共有は,次による。
a) 複数の銘柄をもつ製品については,同一の試験報告書に基づいてそれぞれの溶接ヒュームのデータシ
ートを作成してもよい。ただし,製品の同一性を品質管理システムによって立証しなければならない。
b) 特注仕様の製品(例えば,少数の顧客からの特注によって仕様変更した溶接材料)のデータシートは,
6.3に規定した更新の条件に適合しない限り,元の試験報告書を用いて溶接ヒュームのデータシートを
作成してもよい。
c) 同一規格のソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤにおいては,溶接ヒューム発生量及び化学成分
のデータは,製造業者間において顕著な差がない場合は,相互間の同意があり,かつ,詳細な試験内
容のすべてが関係する全製造業者に開示されている限り,データを共有してもよい。

6.5 溶接ヒュームのデータシートの有効性

  溶接ヒュームのデータシートは,少なくとも5年に1回その有効性の検証を行い,記載内容に変更があ
った場合には,変更を反映することとする。
なお,検証した日付は,溶接ヒュームのデータシートに記録しなければならない。

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附属書A
(規定)
溶接ヒュームのデータシート
製造業者又は供給業者 : 住所 :
データシート作成年月日 : データシート最終検証年月日 :
溶接材料の銘柄 : 溶接材料の種類/溶接方法 :
溶接材料の該当規格 :
試験機関 : 報告書発行年月日 :
追加事項 :
試験条件
項目 試験条件
溶接材料の径(mm)
溶接電流(A)
アーク電圧(V)
極性(DC棒プラス/AC/DC棒マイナス)
ガスの種類
ガス流量(L/min)
溶接速度(mm/min)
試験板の材質
電源
製造業者及び形式
トーチ
製造業者,形式及びノズル径(mm)
チップ母材間距離(mm)
ワイヤ送給速度(m/min)
JIS Z 3940によって測定した溶接ヒューム発生量及び化学成分のデータ
溶接ヒューム発生量(mg/s及びg/h)
溶接ヒュームの主要成分 化学成分 %(質量分率)
備考

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附属書B
(規定)
溶接ヒュームの主要成分
表B.1−溶接ヒュームの代表的な主要成分
その他の
溶接方法 溶接材料の種類 代表的な主要成分 分析可能な
主要成分
軟鋼及び低合金鋼 Fe,Mn,Cr,Ni,Cu F−
高合金鋼 Cr,Cr(VI),Fe,Mn,Ni F−
鋳鉄 Ni,Cu,Fe,Mn Ba,F−
被覆アーク溶接 硬化肉盛 Co,Cr,Cr(VI),Fe,Ni,Mn V
加工硬化 Fe,Mn,Cr
ニッケル合金 Cr,Cr(VI),Ni Fe
銅合金 Cu,Ni
軟鋼及び低合金鋼 Fe,Mn,Cr,Ni,Cu
ソリッドワイヤに 高合金鋼 Cr,Cr(VI),Fe,Mn,Ni
よるガスシールド アルミニウム合金 Al,Mg,Mn,Zn
アーク溶接 ニッケル合金 Cr,Cr(VI),Ni Fe
銅合金 Cu,Ni
フラックス入りワイヤに 軟鋼及び低合金鋼 Fe,Mn,Cr,Ni,Cu F−
よるガスシールド 高合金鋼 Cr,Cr(VI),Fe,Mn,Ni F−
アーク溶接 硬化肉盛 Co,Cr,Cr(VI),Fe,Ni,Mn V
軟鋼及び低合金鋼 Fe,Mn,Cr,Ni,Cu,Al Ba,F−
セルフシールド
高合金鋼 Cr,Cr(VI),Fe,Mn,Ni,Al Ba,F−
アーク溶接
硬化肉盛 Co,Cr,Cr(VI),Fe,Ni,Mn,AlV
表B.2−化学成分報告データの小数点以下けた数及び有効数字
含有率 小数点以下けた数 有効数字 含有率の例
%(質量分率) %(質量分率)
10以上 0 2 11
1以上 1 2 2.4
0.1以上 2 2 0.17
0.01以上 2 1 0.08
0.001以上 3 1 0.007

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JIS Z 3940:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15011-4:2006(MOD)
  • ISO 15011-4:2006/AMENDMENT 1:2008(MOD)

JIS Z 3940:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 3940:2010の関連規格と引用規格一覧