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附属書E
(参考)
パルス波高スペクトルの測定
E.1 一般
この附属書は,放射線場のパルス波高スペクトルの測定法の例を記載するものである。
E.2 パルス波高スペクトルの測定のための実験設定
図E.1は,パルス波高スペクトルの測定に関する概略図である[1]。モニタの前後に二つのコリメータを
設置し,試験点には小さなビーム径のコリメータを用いる。Ge検出器は,その周囲を円筒形の鉛で遮蔽す
る必要があり,検出器の前に約1 mmの直径の開口部をもつ鉛コリメータを設置する。これは,検出器に
入射する光子数を減少させ,Ge結晶のエッジ効果及び目的外の放射線の影響を排除するのに役立つ。円筒
形鉛の厚さ及び鉛コリメータの前面の厚さは,遮蔽を貫通した総光子フルエンスが,開口部を貫通したフ
ルエンスの10−4未満になるようにする。コリメータ及びスペクトロメータシステムは,レーザマーカを用
いるなどして,X線ビーム軸に正確に位置合わせをする。スペクトロメータのエネルギー分解能(全半値
幅)は,5.9 keV(55Fe)で300 eV未満及び59.5 keV(241Am)で350 eV未満が望ましい。
パルス波高スペクトルの測定は,試験点において行うのが望ましい。測定中のX線管の電流は,パルス
波高スペクトル内の全ての事象に対してパイルアップが10−3未満となるように,連続X線線質のLシリ
ーズ及びNシリーズについて約0.1 mAで実施するのが望ましい。他のシリーズについては,電流は,10
倍以上,更に低くするとよい。
1 X線アノード 2 X線管窓 3 ISOフィルタ 4 2重コリメータ 5 モニタ
6 1 mm直径程度の開口部をもつ鉛コリメータ 7 プレーナ形高純度Ge結晶
8 円筒型鉛シールド9 冷却用液体窒素容器
図E.1−波高分布測定のための配置例
E.3 スペクトルフルエンスを決定する波高スペクトルのアンフォールディング
波高スペクトルのアンフォールディングのために,スペクトロメータの応答関数を求める。
一つの方法は,適当な放射性核種,例えば57Co,241Am,55Feなどの線スペクトルの測定がある。また,
光子及び電子のモンテカルロ法を用いたシミュレーション計算で評価する方法がある。
――――― [JIS Z 4511 pdf 71] ―――――
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測定されたものとシミュレーションによるスペクトルとの間の一致が十分でないならば(例えば,1 %
以上の偏差),検出器結晶の不感層厚さ,有効長などのパラメータを,モンテカルロプログラムコードの中
で変更することが有効な場合がある。
十分な一致が達成された後(例えば,1 %未満の偏差)に,スペクトロメータの応答関数は,モンテカ
ルロプログラムコードによって評価できる。応答関数のエネルギー間隔は,200 eV未満であることが望ま
しい。応答関数によるアンフォールディングの方法は,Kramer[2],Matzke[3]などの文献を参照することが
できる。
図E.2は,線質N-30についての参考文献[4]の波高スペクトル及びフルエンススペクトルの例である。
用いたスペクトロメータは,250 μmのBeウィンドウをもつプレーナ形の高純度ゲルマニウム検出器で
ある。この例は,応答関数が対角行列に近く,補正があまり大きくないことを示している。
1 波高スペクトル
2 フルエンススペクトル
A 相対値
B パルス波高
図E.2−線質N-30,X線管の焦点から1.0 m,Geスペクトロメータで測定した波高スペクトル及び
フルエンススペクトルΦE(E)の例
参考文献
[1] Ankerhold, U., Catalogue of X-ray spectra and their characteristic data−ISO and DIN radiation qualities,
therapy and diagnostic radiation qualities, unfiltered X-ray spectra-, PTB-Bericht, PTB-Dos-34, Braunschweig
April 1990
[2] Kramer, H.-M., Buermann, L., Guldbakke, S., X- and gamma ray spectrometry over the energy range from 5
keV to 7 MeV, 2000
[3] Matzke, M., Unfolding of pulse height spectra: The HEPRO program system, PTB-Bericht, PTB-N-19, 1994
[4] Ankerhold,U., Behrens,R. and Ambrosi,P., X-ray spectrometry of low energy photons for determining
conversion coefficients from air kerma, Ka, to personal dose equivalent, Hp(10), for radiation qualities of the
ISO narrow spectrum series, Rad. Prot. Dos., Vol. 81, No.4, pp.247-258 (1999)
――――― [JIS Z 4511 pdf 72] ―――――
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Z 4511 : 2018
附属書F
(参考)
参考文献
F.1 参考文献リスト
本体中で引用されている参考文献のリストを次に示す。
[1] SEELENTAG,W.W., PANZER, W., Drexler, G., PLATZ, L. and SANTNER, F. Catalogue of Spectra for the
Calibration of Dosemeters. GSF Bericht 560, Munich: Gesellschaft fur Strahlen und Umweltforschung mbH,
1979
[2] Ankerhold, Catalogue of X-ray spectra and their characteristics data−ISO and DIN radiation qualities, therapy
and diagnostic radiation qualities, unfiltered X-ray spectra-, PTB-Bericht, PTB-Dos-34, Braunschweig, April,
2000
[3] Taylor, L.S. Physical Foundations of Radiology, 2nd Edition, 1959, pp. 227-257
[4] 神之浦文三,南 賢太郎,“校正用蛍光X線場の確立”,保健物理,25,P.147154(1990)
[5] H. E. Johns and J. R. Cunningham, The Physics of Radiology, p. 723, Charles Thomas, Springfield USA, 1983.
[6] International Commission on Radiation Units and Measurements, Radiation Quantities and Units. ICRU Report
33, 1980
[7] S. Shimizu el al. JAEA-Technology 2011-008 (2011)
――――― [JIS Z 4511 pdf 73] ―――――
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Z 4511 : 2018
附属書JA
(参考)
校正の階層及びトレーサビリティ体系
JA.1 一般
この附属書は,校正の階層及びトレーサビリティ体系について記載するものである。
JA.2 校正の階層及びトレーサビリティ体系
空気カーマ測定器,空気吸収線量測定器,線量当量測定器などの校正の階層及び実用に供している測定
器及び計測素子(以下,実用測定器という。)の国家標準へのトレーサビリティ体系の概念図を,図JA.1
に示す。
国家標準
グラファイト電離箱など
国家標準機関 一次標準場
二次標準a)
校正機関 電離箱式照射線量率測定器
二次標準場b)
参照標準
電離箱式照射線量率測定器など
参照標準場b)
産業界 実用標準c)
実用標準測定器など
γ(X)線源c)
実用測定器
空気カーマ率測定器,空気吸収線量率測定器,線量当量率測定器,線量計測素子など
注記 計量法トレーサビリティ制度に基づく校正の階層の場合には,国家標準及び二次標準は,それぞれ特定標準
器及び特定二次標準器となる。
注a) 二次標準器に連鎖して校正した標準器を保有する校正機関もある。
b) 二次標準場及び参照標準場は,各機関の保有する標準器によって校正される場合と,上位機関の保有する仲
介測定器によって出張校正される場合とがある。
c) 実用標準とする実用標準測定器及び実用標準γ線源を用いた実用測定器の簡素化した校正方法は,附属書JB
による。
図JA.1−校正の階層及びトレーサビリティ体系の例
――――― [JIS Z 4511 pdf 74] ―――――
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Z 4511 : 2018
附属書JB
(規定)
実用測定器の簡素化した校正及び機能確認
JB.1 一般
この附属書は,実用測定器の簡素化した校正方法,及び実用測定器が正常に動作し,校正結果が継続し
て有効であることを確認する方法について規定する。
JB.2 実用測定器の簡素化した校正
JB.2.1 校正の適用範囲
実用標準測定器を用いた比較測定によって行う。
JB.2.2 実用標準測定器
実用標準測定器は,次による。
a) 箇条9の規定に基づき校正した国家標準とのトレーサビリティが確保された場のモニタリング用線量
当量(率)測定器,個人の線量当量(率)測定器又は吸収線量(率)測定器とする。
b) 校正対象の実用測定器と同一形式とする。被校正実用測定器と実用標準測定器とが同一形式であると
判断するためには,製品規格に基づき,形式検査の結果が同等である,測定器の重要部分の設計が同
じであるなど,製品を確認した結果を用いる。
c) 実用標準測定器が個人線量計の場合,実用標準測定器は,この規格に基づきファントムを用いて校正
する。
JB.2.3 校正に用いる装置及び線源
校正に用いる装置又は線源は,次による。
a) 実用に供しているX線及びγ線の放射線発生源とする。ただし,H'(0.07) 又はHp(0.07) を計測する線
量計の場合は,適切なβ線源を用いてもよい。
b) 実用測定器の測定において,安定した指示値が得られる線量(率)を設定できる放射線発生源とする。
c) 実用標準測定器及び実用測定器の設置場所がほぼ同じとみなせる場合には,照射野の均一性,散乱線
などの放射線場に関する仕様は,本体に規定する要求事項に必ずしも適合しなくてもよい。
JB.2.4 校正の環境条件
校正の環境条件は,附属書Aによる。ただし,環境条件からの影響量が補正できる場合,又は環境条件
の補正を要しない測定器は,必ずしもこの限りではない。
JB.2.5 校正方法
校正方法は,次のいずれかによる。
なお,個人線量計の校正においては,実用標準測定器が校正されたときのファントムを用いなくてもよ
い。
a) 実用標準測定器と実用測定器との比較測定
b) 同一ジオメトリにおける同時照射
被校正実用測定器の校正定数(Nb)は,次による。
Ia Na
Nb
Ib
――――― [JIS Z 4511 pdf 75] ―――――
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JIS Z 4511:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 4037-1:1996(MOD)
- ISO 4037-2:1997(MOD)
- ISO 4037-3:1999(MOD)
- ISO 4037-4:2004(MOD)
JIS Z 4511:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.240 : 放射線測定
JIS Z 4511:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ4001:1999
- 原子力用語
- JISZ4331:2005
- 個人線量計校正用ファントム
- JISZ8103:2019
- 計測用語