JIS Z 8106:2000 音響用語 | ページ 3

                                                                                              9
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
IEV番号 用語 定義 対応英語(参考)
801-23-17 腹 antinode
定在波において,波のある指定された量の振幅が最大と
なる点,線又は面。
備考 腹となる量を明確に指定するために,変位の
腹,粒子速度の腹,音圧の腹のように,腹と
いう用語の前に接頭語を施して用いるのがよ
い。
801-23-18 音の速さ 自由進行音波の位相速度の大きさ。 speed of sound
801-23-19 音の速度,音速 音波が伝搬する方向と速さを示すベクトル。 sound wave velocity
参考 音速は,音の速さの意味に用いることもある。
801-23-20 位相速度 一定位相の面が伝搬する方向の速度。 phase velocity
801-23-21 群速度 group velocity
非正弦的なじょう乱の包絡線で表される特徴量の伝搬速
度。
備考1. 群速度は,分散性媒質においてだけ位相速
度と異なる。
2. 群速度は,通常,じょう乱にかかわるエネ
ルギーの伝搬速度。
801-23-22 分散 dispersion
音の速さが周波数によって異なるために生じる,波の正
弦波成分の分離。
801-23-23 屈折 refraction
音の速さが場所によって変わるために,音波の伝搬する
方向が変化する現象。
801-23-24 鏡面反射 specular reflection
二つの媒質の境界面から,その境界面の法線方向に対し
て対称で入射角と等しい角度で元の媒質中を音波が進行
する現象。
801-23-25 回折 diffraction
媒質中の障害物又は不均一性によって,音波の進行方向
が変化する現象。
801-23-26 散乱 多くの方向に生じる音波の不規則な回折及び反射。 scattering
801-23-27 音場 音波の存在する弾性体内の領域。 sound field
801-23-28 自由音場 free sound field
等方性,かつ,均質の媒質中で境界の影響を無視できる
音場。
801-23-29 近距離音場 near sound field
音源に十分近くに作られる瞬時音圧と瞬時粒子速度とが
同相にならない音場。
801-23-30 遠距離音場 far sound field
音源から十分遠方に作られる瞬時音圧と瞬時粒子速度と
を同相とみなすことができる音場。
801-23-31 拡散音場 diffuse sound field
ある区域内で音響エネルギー密度の統計分布が一様で,
かつ,その区域内のどの点においても音響エネルギーの
伝搬方向がすべての方向に対して等確率である音場。
801-23-32 残響音場 reverberant sound
ほとんどすべての音波がすでにその媒質境界から多数回
反射を繰り返している音場。 field
801-23-33 伝搬定数 一様な系において系が無限の長さをもつとみなせるとlinear exponent of
き,単位の長さだけ隔たった2点において測定される二 sound
つの粒子速度(又は音圧)間の複素数比の自然対数。 propagation,
sound propagation
coefficient
801-23-34 要素伝搬定数 elementary exponent
周期的な構造をもつ系において,系が無限の長さをもつ
とみなせるとき,相隣る対応する2点において測定されof sound
propagation
る二つの粒子速度(又は音圧)間の複素数比の自然対数。
801-23-35 減衰定数 伝搬定数の実数部。 attenuation
備考 単位記号は,Np/m。 coefficient

――――― [JIS Z 8106 pdf 11] ―――――

10
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
IEV番号 用語 定義 対応英語(参考)
801-23-36 要素減衰定数 要素伝搬定数の実数部。 elementary
attenuation of
propagation
801-23-37 位相定数 伝搬定数の虚数部。 acoustic phase
備考 単位記号は,rad/m。 coefficient
801-23-38 要素位相定数 要素伝搬定数の虚数部。 elementary
dephasing of
sound propagation
801-23-39 伝搬損失 transmission loss,
音が伝搬する媒質中における,ある指定された2点間の
propagation loss
音圧レベルの減衰。しばしばどちらか一方の点を音源か
らある基準の距離だけ離れた地点に採る。
801-23-40 吸収損失 absorption loss
伝搬損失のうち,媒質中又は反射に伴う音響エネルギー
の消散又は変換によるもの。
801-23-41 発散損失 divergence loss,
伝搬損失のうち,発散すなわち系の構成に基づく音波の
広がりによるもの。 spreading loss
備考 発散損失は,例えば,点音源から放射される
球面波に存在する。
参考 距離減衰ともいう。
801-23-42 屈折損失 refraction loss
伝搬損失のうち,媒質の不均一性によって生じる屈折に
よるもの。
801-23-43 音響流 音波によって引き起こされる流体中の一方向の流れ。acoustic streaming

3.4 発振

   IEV番号         用語                             定義                       対応英語(参考)
801-24-01 強制振動 外部からの励振によって引き起こされる振動。 forced oscillation
801-24-02 固有振動 外部からの励振を取り去った後に持続している振動。free oscillation
801-24-03 過渡振動 外部からの励振の変化の結果生じる振動。 transient oscillation
801-24-04 自励振動 self-induced
非周期的エネルギーが供給されたときに系の中に生じる
持続した振動。 oscillation,
self-excited
oscillation
801-24-05 共振, resonance
励振周波数のわずかな増減によっても系の応答が減少す
共鳴 るような強制振動系の現象。
備考 例えば,速度の共振のように何の量に対する
応答かを示すのがよい。
801-24-06 共振周波数 共振を起こす周波数。 resonance frequency
備考 混乱を起こす可能性があるときは,例えば,
速度の共振周波数のように,共振の種類を示
さなければならない。
801-24-07 反共振 anti-resonance
励振周波数のわずかな増減によっても系の応答が増加す
るような,強制振動系の現象。
備考 例えば,速度の反共振のように何の量に対す
る応答かを示すのがよい。
801-24-08 固有振動数 natural frequency
系の固有振動の周波数。多自由度系においては,固有振
動数は固有振動モードの周波数である。
参考 自由振動数ともいう。
801-24-09 不減衰自由周波数, undamped natural
系の弾性力又は慣性力だけによって決まる固有振動の周
不減衰固有振動数 波数。 frequency
801-24-10 減衰自由周波数, 減衰線形系の固有振動数。 damped natural
減衰固有振動数 frequency

――――― [JIS Z 8106 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
IEV番号 用語 定義 対応英語(参考)
801-24-11 基本周波数, fundamental
a) ある周期性の量において,それと同じ周期をもつ正
基本振動数 弦波成分の周波数。 frequency
b) 振動系において,最も低い固有振動数。
801-24-12 Q(きゅう) quality factor
1周期の間に蓄えられる最大エネルギーの消費されるエ
ネルギーに対する比の2 で表される,系の共振の鋭さ
の測度。
備考 歴史的には,Qという文字は回路のリアクタ
ンスの抵抗に対する比を示すために適宜に選
ばれたものである。英語の“quality factor”と
いう名前は,後から導入された。
801-24-13 振動モード mode of oscillation
各粒子の動きが同一周波数で単純調和している振動系が
とる特徴的なパターン。
備考 多自由度系では,二つ以上のモードが同時に
存在する。
801-24-14 固有振動モード 非制動系の固有振動のモード。 normal mode of
備考 一般的に,系のどのような複合された動きも oscillation
それぞれが全く独立に振動する固有モードの
和に分解できる。
参考 振動の正規モードともいう。
801-24-15 モード番号 系の固有振動モードを周波数順に並べて付けた整数のmodal numbers
組。
801-24-16 基本振動モード 最も低い固有振動数をもつ振動モード。 fundamental mode of
oscillation
801-24-17 連成モード coupled modes
互いに独立でなくエネルギーの移動によって影響し合う
振動モード。
参考 結合モードともいう。
801-24-18 非連成モード 他のモードと独立に振動する固有モード。 uncoupled mode
参考 非結合モードともいう。
801-24-19 ダンピング, damping
時間又は距離とともに振動系からエネルギーが失われる
制動減衰 こと。
801-24-20 臨界制動 critical damping
変位した系が振動することなしに,初期位置へ戻るよう
にするための最小限の制動。
801-24-21 制動比 実際の制動の臨界制動に対する比。 damping ratio
801-24-22 粘性減衰 viscous damping
振動系の粒子が粒子速度に比例した大きさをもち,粒子
の動きと逆方向の力によって抵抗を受けるときに生じる
減衰。
801-24-23 対数減衰率 logarithmic
単一周波数の振動が減衰するとき,振動の最大値の同じ
向きの相続く最大値に対する比の自然対数。 decrement
801-24-24 定常振動 変動なしに続いている振動。 steady-state
oscillation
801-24-25 サブハーモニックレ励振周波数の約数の周波数における系の周期的な応答。 subharmonic
スポンス response
801-24-26 力積 力が加えられている期間にわたる力の時間積分。 impulse
801-24-27 衝撃パルス shock pulse
系のどの振動モードの半周期と比べても短い時間内に立
ち上がり,立ち下がるという特徴をもつ励振。
801-24-28 衝撃パルスの持続時 duration of shock
励振の瞬時値が,その最大値に対する所定のある割合か
間 pulse
ら立ち上がり,同じ値まで減少するために必要な時間。
801-24-29 パルス立上がり時間 pulse rise time
パルスの立上がり部において,パルスの最大値に対して
所定のある小さな割合から,ある割合まで立ち上がるた
めに必要な時間。

――――― [JIS Z 8106 pdf 13] ―――――

12
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)

3.5 変換器

   IEV番号         用語                             定義                       対応英語(参考)
801-25-01 音響系 音響信号を発生,伝送又は受信することができる系。acoustical system
801-25-02 機械系 機械信号を発生,伝送又は受信することができる系。mechanical system
801-25-03 複素パラメータ complex parameter
(音圧,振動速度,電圧などのように)時間とともに正
弦的に変化する実際の量を表現する複素量又は同じ周波
数におけるそのような二つの複素量の商であり,それら
は実数部 bとによって(a+jb)の形で表現す
るか又は大きさAと位相 数形式Aej
現することができる。
備考1. この項を通じて(機械的,音響的,電気的
な)すべてのパラメータは,特に断りがな
い限り複素数と考える。
2. ここでは,+jの慣例は,それによって正方
向に進む正弦波をRe[ej(wt−kx)],質量による
リアクタンスを+jwM,スチフネスによるリ
アクタンスを−jS/wと表現するように守ら
れている。ここに,波数k=w/cは,角周波
数wを音の速さcで除した値,質量は,M,
スチフネスは,Sである。
801-25-04 変換器 transducer
ある種類の入力信号を受け,これを別の種類の信号とし
て供給するが,入力信号の必要とされる特徴が出力信号
に現れるように設計されたデバイス。
801-25-05 受動変換器 passive transducer
出力信号のエネルギーがもっぱら入力信号から与えられ
る変換器。
801-25-06 能動変換器 active transducer
出力信号のエネルギーの少なくともその一部が入力信号
以外の供給源から与えられる変換器。
801-25-07 可逆変換器 reversible transducer
電気信号を音響信号又は機械信号に変換でき,またその
逆も可能な変換器。
801-25-08 相反変換器 reciprocal transducer
どちらの方向の変換においても同じ結合係数をもつよう
な,線形で受動的で可逆な電気機械変換器又は電気音響
変換器。
801-25-09 伝達関数 transfer function
線形の系において,出力信号のフーリエ変換又は初期条
件をゼロとしたラプラス変換を入力信号の同様の変換で
除した値。
801-25-10 (変換器の)感度 sensitivity (of a
変換器の出力信号を記述する所定の量を,それに対応す
る入力信号を記述する別の所定の量で除した値。 transducer)
801-25-11 (変換器の)相対感 relative sensitivity
ある条件下における変換器の感度の同じ種類の所定の基
度 準感度に対する比。 (of a transducer)
801-25-12 (変換器の)感度レ sensitivity level (of a
所定の種類の出力レベルと,その出力レベルから生じさ
ベル せる所定の種類の入力レベルを差し引いた値。 transducer)
備考 入力レベルと出力レベルの基準値が基準感度
を決める。それらは,適宜選ぶべきである。

――――― [JIS Z 8106 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
IEV番号 用語 定義 対応英語(参考)
801-25-13 インピーダンス impedance
ある周波数において,(力又は音圧といった)力の量を
(振動速度又は粒子速度といった)運動の場の量で除し
た値。又は電圧を電流で除した値。
備考1. インピーダンスという用語は,一般的には,
線形系,かつ,定常な正弦信号に対して適
用される。
2. 過渡的な場合には,周波数の関数としての
インピーダンスは,それぞれのフーリエ変
換又はラプラス変換した量の商である。
3. インピーダンスは,その積がパワー又は単
位面積当たりのパワーの単位をもつような
二つの量の商である。
801-25-14 共役インピーダンス conjugate impedance
実数部(抵抗)は等しく,虚数部(リアクタンス)は大
きさが等しく符号が逆であるようなインピーダンス。
備考 共役インピーダンスは,共役複素数によって
表される。
801-25-15 アドミタンス 所定の種類のインピーダンスの逆数。 admittance
801-25-16 イミタンス インピーダンス又はアドミタンスを示す一般用語。 immittance
801-25-17 駆動点インピーダン driving-point
系のある点における力の場の量を,その結果生じる同じ
ス 点における運動の場の量で除した値。 impedance
801-25-18 伝達インピーダンス transfer impedance
系のある点における力の場の量を,同じ系の異なる点に
おけるそれに対応する運動の場の量で除した値。
801-25-19 短絡インピーダンス機械又は音響信号を電気信号へ変換する変換器においshort-circuit
て,出力側を短絡したときの入力の機械又は音響インピimpedance
ーダンス。
801-25-20 自由インピーダンス電気信号を機械又は音響信号へ変換する変換器においfree impedance
て,出力側にインピーダンスがゼロの負荷をつないだと
きの入カインピーダンス。
801-25-21 負荷時インピーダン loaded impedance
変換器において,出力に所定の負荷を接続したときの,
ス 所定の種類(電気,機械又は音響)の入力インピーダン
ス。
801-25-22 開放インピーダンス機械又は音響信号を電気信号へ変換する変換器においopen-circuit
て,出力に無限大のインピーダンスの負荷を接続したとimpedance
きの入力の機械又は音響インピーダンス。
801-25-23 制止インピーダンス電気信号を機械又は音響信号へ変換する変換器においblocked impedance
て,出力に無限大インピーダンスの負荷を接続したとき
の入カインピーダンス。
801-25-24 モーショナルインピ motional impedance
変換器において,負荷時電気インピーダンスから機械的
ーダンス 制止負荷をかけたときの電気インピーダンスを差し引い
た値。
備考 この定義は,ジャイレータ結合の変換器に最
も適している。
801-25-25 モーショナルアドミ motional admittance
変換器において,負荷時電気アドミタンスから機械的制
タンス 止負荷をかけたときの電気アドミタンスを差し引いた
値。
備考 この定義は,トランス結合の変換器に最も適
している。

――――― [JIS Z 8106 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS Z 8106:2000の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60050-801:1994(IDT)

JIS Z 8106:2000の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8106:2000の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC1505:1988
精密騒音計