JIS Z 8402-2:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法 | ページ 10

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Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
すべての測定水準の結果は表B.11に示されている。
^,srj,sRjの計算値 : ピッチの軟化点
表B.11 mj
^(℃)
測定水準j Pj mj srj sRj
1 15 88,40 1,109 1,670
2 15 96,27 0,925 1,597
3 16 97,07 0,993 2,010
4 16 101,96 1,004 1,915
B.2.7 精度のmへの従属性
表B.11をざっと調べたところ,再現精度を除いて明らかな従属性は見つからない。mの全ての範囲にわ
たる精度の変化が仮にあったとしても,小さずきて有意とは考えられない。さらに,mの値の範囲が小さ
いこと,及び測定の性質からみて,mの値に従属性を期待することは難しい。通常の市販製品をカバーす
るようなこの範囲では,精度はmに従属しないと結論するのが,安全であるように思われる。そこで,併
行標準偏差,再現標準偏差の最終値として,平均値を採択することができるであろう。
B.2.8 結論
実用としては,この測定方法の精度の値は試料の測定水準に対して独立であると考えられ,それらは,
併行標準偏差 sr=1.0℃
再現標準偏差 sR : 1.8℃
となる。

B.3 例3 : クレオソート油の温度滴定(複数の測定水準,外れ値がある場合)

B.3.1 背景
a) 出典
タール及びその製品の標準試験方法;クレオソートセクション;方法番号No.Co.18(附属書Cの引
用文献 [5])
b) 試料
クレオソート油の市販品バッチから選ばれたもので,引用文献 [5] のクレオソート油セクションの
“試料”の章の規定に従って,採取,調製された。
c) 説明
これは温度滴定を含む化学分析の標準方法で,測定結果は質量パーセントで表わされる。9試験室
が参加し,5種の試料を2回繰り返して測定した。測定試料は一般的に商業上で利用される範囲をカ
バーするよう,概ねの測定水準が4,8,12,16,20 [% (m/m) ] になるように選ばれた。通常の方法で
は,測定結果は小数点以下一桁まで記録することになっているが,この実験ではオペレータに小数点
以下二桁まで求めるように指示した。
B.3.2 オリジナルデータ
これらデータは質量パーセントを単位として表B.12に,図2の書式A(7.2.8参照)の形式で示されて
いる。試験室1の結果はすべて高く,他の試験室の結果よりも著しく高い測定水準があった。試験室6の
測定水準5における二番目の値は疑わしい;この値は測定水準4の値とした方がもっとよく合うかも知れ
ない。これらの点についてはB.3.5でさらに検討する。
B.3.3 セル平均値
これらの値は質量パーセントを単位として表B.13に,図2の書式B(7.2.9参照)の形式で示されてい

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 46] ―――――

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る。
表B.12 オリジナルデータ : クレオソート油の温度滴定
試験室i 測定水準j
1 2 3 4 5
1 4,44 4,39 9,34 9,34 17,40 16,90 19,23 19,23 24,28 24,00
2 4,03 4,23 8,42 8,33 14,42 14,50 16,06 16,22 20,40 19,91
3 3,70 3,70 7,60 7,40 13,60 13,60 14,50 15,10 19,30 19,70
4 4,10 4,10 8,93 8,80 14,60 14,20 15,60 15,50 20,30 20,30
5 3,97 4,04 7,89 8,12 13,73 13,92 15,54 15,78 20,53 20,88
6 3,75 4,03 8,76 9,24 13,90 14,06 16,42 16,58 18,56 16,58
7 3,70 3,80 8,00 8,30 14,10 14,20 14,90 16,00 19,70 20,50
8 3,91 3,90 8,04 8,07 14,84 14,84 15,41 15,22 21,10 20,78
9 4,02 4,07 8,44 8,17 14,24 14,10 15,14 15,44 20,71 21,66
参考 表の中では小数点としてコンマ (, ) を用いている。
表B.13 セル平均 : クレオソート油の温度滴定
試験室i 測定水準j
1 2 3 4 5
1 4,415 9,340 24,140*
17,150** 19,230**
2 4,130 8,375 14,460 16,140 20,155
3 3,700 7,500 13,600 14,800 19,500
4 4,100 8,865 14,400 15,550 20,300
5 4,005 8,005 13,825 15,660 20,705
6 3,890 9,000 13,980 16,500 17,570
7 3,750 8,150 14,150 15,450 20,100
8 3,905 8,055 14,840 15,315 20,940
9 4,045 8,305 14,170 15,290 21,185
* 5%外れ値を示す。
** 1%外れ値を示す。
参考 表の中では小数点としてコンマ (, ) を用いている。
表B.14 セルの範囲 : クレオソート油の温度滴定
試験室i 測定水準j
1 2 3 4 5
1 0,05 0,00 0,50 0,00 0,28
2 0,20 0,09 0,08 0,16 0,49
3 0,00 0,20 0,00 0,60 0,40
4 0,00 0,13 0,40 0,10 0,00
5 0,07 0,23 0,19 0,24 0,35
6 0,28 0,48 0,16 0,16 1,98*
7 0,10 0,30 0,10 1,10* 0,80
8 0,01 0,03 0,00 0,19 0,32
9 0,05 0,27 0,14 0,30 0,95
* 5%外れ値を示す。
参考 表の中では小数点としてコンマ(, )を用いている。
B.3.4 セル内の差の絶対値
これらの値は質量パーセントを単位として表B.14に,図2の書式C(7.2.10参照)の形式で示されてい

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る。
B.3.5 一致性と外れ値の精査
マンデルのh,kの一致性の統計量(7.3.1参照)の計算結果を図B.7とB.8に示す。水平な線は,8.3か
ら得られるマンデルの指標の値に対応している。
hのプロット(図B.7)は,明らかに試験室1がどの測定水準についても,他の全ての試験室の値よりも
ずっと高い値であることを示している。この結果は試験室共同実験を実施している委員会の側に注意を喚
起すべきであることを意味している。もし,これらの測定結果に対する説明が見つからないならば,委員
会は,特別な,場合によっては統計的でない考慮にも基づいて,精度の値の計算に,この試験室を含める
か,除外するかを,委員会として決定すべきであろう。
kのプロット(図B.8)は,試験室6と7で繰り返した測定結果間にかなり大きなばらつきがあることを
示している。しかしながら,これらの測定結果は,説明の可能性を調べるための検討以上に,何らかの特
殊な処置,また,仮にそのような処置が必要であるとしても,これらの測定結果の補正処置を必要とする
ほどには,深刻なものではないように思われる。
コクランの検定の適用によって,次の結果を得る。
測定水準4では差の絶対値1.10から検定統計量の値は1.102/1.814 9=0.667となる。
測定水準5では差の絶対値1.98から検定統計量の値は1.982/6.166 3=0.636となる。
p=9のとき,コクランの検定の棄却限界値は5%で0.638,1%で0.754である。
測定水準4における1.10という値は明らかに外れ値であり,測定水準5における1.98という値は,また,
外れ値といってもよいほど5%の棄却限界値に近い。これらの二つの値は他の全ての値とかなり離れてお
り,コクランの検定統計量で用いられる分母を大きくするので,この2つの値をどちらも外れ値と見なし,
アスタリスク(*)がつけられる。しかしながら,この2つの値についての証拠は,マンデルのkプロット
(図B.8)もこれらの値に対して疑いを示しているものの,これらを除外できるほど充分ではない。
グラッブズの検定をセル平均について適用した結果を表B.15に示す。
片側1個のグラッブズ検定で,測定水準3及び4にそれぞれ1個の外れ値があることを示しているので,
片側2個のグラッブズ検定は適用していない(7.3.4参照)。
測定水準3と4で試験室1のセル平均は外れ値であることが判る。この試験室の測定水準5のセル平均
もまた高い。このことはマンデルのhプロット(図B.7)によっても明瞭に示されている。
さらに,問い合わせた結果,試験室6で測定水準5の少なくとも1つの試料は測定水準4のものと間違
っているかも知れないことが判った。このセルの差の絶対値もまた疑わしいので,このセルの測定結果は
除外しなければならないかも知れない。このセルの値がなくなったので,試験室1の測定水準5の測定結
果は,今では決定的に疑わしい。
この結果から,どの試料が測定されたか不明であるために,試験室6の測定水準5の測定結果を二つと
も除外すること,そして,外れ試験室であるため,試験室1のすべての測定結果を除外することが決まっ
た。
これらの測定結果を除いて,測定水準4におけるコクラン検定の統計量を8試験室に対する棄却限界値
(5%水準で0.680)と比較したが,もはや外れ値はなかった。
^,srj,sRjの計算
B.3.6 mj
^,srj,
試験室1の全測定結果と試験室6の測定水準5の測定結果を除外し,7.4.4と7.4.5に従って, mj
sRjを計算し,質量パーセントを単位として表B.16に示す。

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 48] ―――――

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Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
図B.7 クレオソート油の滴定 : マンデルの室間一致性の統計量h
図B.8 クレオソート油の滴定 : マンデルの室内一致性の統計量k
表B.15 セル平均へのグラツブズ検定の適用
測定水準 下側1個 上側1個 下側2個 上側2個検定のタイプ
1 1,36 1,95 0,502 0,356 グラッブズの
2 1,57 1,64 0,540 0,395 検定統計量の値
3 0,86 2,50 − −

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 49] ―――――

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Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
測定水準 下側1個 上側1個 下側2個 上側2個検定のタイプ
4 0,91 2,47 − −
5 1,70 2,10 0,501 0,318
5%外れ値 2,215 2,215 0,149 2 0,149 2 グラッブズの
1%外れ値 2,387 2,387 0,085 1 0,085 1 棄却限界値
^,srj,sRjの計算値 : クレオソート油の温度滴定
表B.16 mj
^
測定水準j pj mj srj sRj
1 8 3,94 0,092 0,171
2 8 8,28 0,179 0,498
3 8 14,18 0,127 0,400
4 8 15,59 0,337 0,579
5 7 20,41 0,393 0,637
B.3.7 精度のmに対する従属性
表B.16から,標準偏差は,mの値が高くなるにつれて増加する傾向にあることは明らかであるように思
われる。それで,ある種の関数関係を設定できるという可能性がある。この見解は,この測定方法に詳し
い化学者による,精度は測定水準に対して独立ではない傾向がある,という見解によって支持された。
関数関係のあてはめの実際の計算は,7.5.9でsrについて詳細に記述されているため,ここでは示さない。
^に対してsrjとsRjの値のプロットを図B.9に示す。
mj
図B.9から明らかに測定水準3の値はひどく外れているが,いかなる代わりの方法(7.5.2参照)によっ
ても改善されない。
併行精度については原点を通る直線が適切であるように思われる。
再現精度については3本の線が全てデータに適合しているが,関数関係IIIが最もよく適合している。
クレオソート油の標準測定方法に対する要求事項に精通した人ならば,最も適切な関係を選ぶことがで
きるかも知れない。
^による関数関係
図B.9 表B.16のsrjとsRjの mj
B.3.8 精度の最終の値

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 50] ―――――

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