JIS Z 8402-2:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法 | ページ 2

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Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
c) 併行条件の下で行う一組のn個の測定は,あたかも異なるn個の試料について測定を実施するかのよ
うに,独立して実施することが不可欠である。しかし,一般に,オペレータは,同一試料を測定して
いることを知ることになるが,この実験が実際の測定において結果にどのような違いが生じるかを明
らかにすることを目的としていることを,手順書のなかで強調しておくことが望ましい。この注意に
も関わらず,前の測定の結果が,引き続く後の測定の結果に影響する,従って,併行分散に影響を及
ぼす懸念があるときには,どの試料が,どの測定水準の繰返し試料であるかをオペレータにわからな
いようにコード化することによって,各々q種類の測定水準ごとにn個の独立した測定用試料を用い
ることを考慮することが望ましい。しかし,この手法は,測定の繰返しが併行条件下で実施されるこ
とを保証する点で問題を生じる。これが可能なのは,qn個のすべての測定が短時間のうちに実施でき
るような性質の測定に限られるであろう。
d) それぞれn回からなるq個のすべての組の測定が,厳密には短時間のうちに実施されなくともよい。
異なる組の測定が異なる日に実施されてもよい。
e) 種類の測定水準すべての測定は同一で唯一のオペレータが実施するとともに,どの測定水準につい
ても,一つの測定水準のn個の測定は,始めから終わりまで同一の装置を用いて実施しなければなら
ない。
f) 測定実験の途中でオペレータが実施不可能になったとき,オペレータ交替が,ある水準の一組のn個
の測定の途中でなく,q個の測定水準中の異なる組の間でなされるならば,他のオペレータが残りの
測定を完遂してもよい。この場合,いかなる変更もその結果とともに報告しなければならない。
g) 実験の終了の期限は,その期限内にすべての測定が完了するように設定しなければならない。このこ
とは,測定用試料を受けとった日から測定を実施する日までに許される経験時間を制限するために必
要であろう。
h) すべての測定用試料には,実験の名称と試料の識別用を明記したラベルを貼っておかねばならない。
5.1.3 オペレータは,5.1.2及びこの部の他の個所で単数形で(operatorとして)記述されている。測定に
よっては,実際には複数のオペレータから成るチームが実施し,一人一人のオペレータは操作のある特定
の部分を担当することがある。このような場合には,このチームを単数形の “the operator” と見なし,チ
ーム内の変更はいかなるものであっても異なるオペレータ,“a different operator” と見なさなければならな
い。
5.1.4 実際の取引の目的では,測定結果を適当に丸めてもよいが,精度評価実験においては,測定結果を
標準方法に規定されている桁数より少なくとも一桁多く報告しなければならない。もし,標準方法に桁数
の規定がないときには併行標準偏差の推定値の1/2より粗く丸めてはならない。精度がその測定水準mに
依存するときは,測定水準ごとに丸めの程度を変えることが必要となろう。

5.2 参加試験室の募集

5.2.1  試験室間共同実験に参加する試験室の募集に関する一般原則はこの規格の第1部の6.3に規定して
ある。必要な数の試験室の参加を募る際は,参加試験室の責任事項を明示しておかねばならない。適切な
募集用質問表の例を図1に示す。
5.2.2 この規格のこの部では,“試験室”とはオペレータ,装置及び試験場所(試験サイト)からなるも
のとする。したがって,一つのサイト(通常の意味では試験室)が,複数のオペレータと,各オペレータ
ごとに独立に測定を実施できる装置と場所を提供できる場合には,複数の“試験室”に相当する。

5.3 試料の調製

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5.3.1 精度評価実験に用いる試料の選択について考慮を要する点は,この規格の第1部の6.4に述べられ
ている。
5.3.2 供給する試料の量を決める際は,測定結果を得る場合に起こる,試料の追加使用を必要とするかも
知れないような,偶発的な漏洩または誤差のために余分量を見込んで調製しておかなければならない。調
製する試料の全体量は,実験の実施と適切なストックをまかなうのに十分でなければならない。
5.3.3 いくつかの試験室に対しては,正式の測定結果を得る前に,標準測定方法に馴染むために,ある程
度の予備的な測定結果を得ることが必要かどうかを検討することが望ましい。必要な場合には,この目的
のために,(精度評価実験用の試料ではない)別の試料を供給すべきかどうかも検討することが望ましい。
5.3.4 ある試料を均一にしておく必要があるとき,均一化はその試料に最も適した方法で行わねばならな
い。測定に用いられる試料が均一でないとき,測定方法に規定されたように測定用試料を調製することが
重要である。その場合,各測定水準ごとに市販試料の一つのバッチから始めるのが望ましい。不安定な試
料の場合には,保存と取り扱いに関する特別な指示を規定しなければならない。
5.3.5 容器を開放すると(酸化,揮発性成分の操失,または試料の吸湿性などによって)試料が劣化する
恐れがある場合には,試験室及び測定水準ごとのn個の試料に別々の容器を用いなければならない。不安
定な試料の場合には,保存と取り扱いに関する特別な指示を規定しなければならない。測定が実施される
まで測定試料が同質であることを確実にするための注意が必要なこともある。また測定対象の試料が相対
密度または粒子サイズが異なる粉体混合物である場合には,輸送などによる振動の結果,分離することも
あるので何らかの注意が必要である。大気との反応が予想される場合には,試料を,脱気または不活性ガ
スを充填したアンプル中に封じるのもよい。食品または血液などのように腐敗しやすい試料の場合には,
解凍手順に関する詳しい指示書を添えて,凍結状態のまま,参加試験室に送る必要があろう。

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図1 試験室共同実験のための募集用質問表

6. 精度試験の関係者

    備考3. 試験室が異なれば,実際の測定の操作が同一であることは期待できない。したがって,本節
は,それぞれの状況を満たすように適切に修正して使用される指針として意図したものにす
ぎない。

6.1 パネル

6.1.1  パネルは測定方法とその適用に精通した専門家で構成することが望ましい。
6.1.2 パネルの任務は,
a) 実験を計画・調整すること;
b) 実験に求められる試験室数,測定水準の数及び測定の回数,並びに有効数字の桁数を決めること;
c) 統計解析の担当者を指名すること(6.2を参照);
d) 実施責任者を指名すること(6.3を参照);
e) 標準測定方法とともに試験室の監督者へ配布する指示書を検討すること;
f) 数名のオペレータに対し,その方法についての以前の勘を取り戻させるため,非公式に数回の測定を
行うのを認めるかどうかを決めること(こうした場合には正式な共同実験用試料で測定を行ってはな
らない);

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g) 測定結果の統計的解析の完了時に,統計解析の報告書を議論する;
h) 併行標準偏差と(室間)再現標準偏差の値を最終的に設定すること;
i) 測定方法の規定,及び測定結果が外れ値として除外された試験室に関して,改善の処置が必要かどう
かを決めること,
である。

6.2 統計解析者の役割

  パネルのメンバーのうち少なくとも一人は実験の統計的な計画と解析の経験があることが望ましい。統
計解析者の任務は,
a) 実験の計画に関する専門知識を役立てること;
b) データを解析すること;
c) 7.7に規定された指示に従ってパネルに提出する報告書を作成すること,
である。

6.3 実施責任者の役割

6.3.1  実験の実際上の実施組織は,単一の試験室に委託することが望ましい。その試験室の関係者の一人
が全責任を負うことが望ましい。その関係者を実施責任者と呼び,パネルが指名する。
6.3.2 実施責任者の任務は,
a) 必要数の試験室を募集し,確実に監督者が定められるようにすること;
b) 試料手配,試料調製ならびに試料送付を組織的に監督すること;測定水準ごとに,適切な量の試料が
予備ストックとして確保されること;
c) 5.1.2のa) h)の要点を網羅する手順指示書を起草し,監督者が意見または質問を出せるように,また,
選ばれたオペレータが通常の操作でこのような測定を行えることを確かめることができるように,十
分早期に前もって回付すること;
d) オペレータの作業記録としての用途にも,要求された有効桁数で監督者が測定結果を報告する用途に
も,適した記録書式を作成すること(この記録書式にオペレータの氏名,測定用試料の受理日付・測
定日付,装置の名称,及びその他あらゆる関連情報を含ませてもよい);
e) 測定の実施に関する試験室からの問合わせに対応すること;
f) 全体の日程が守られるように取り計らうこと;
g) データの記録書式を集めて統計解析の専門家に提出すること,
である。

6.4 監督者

6.4.1  それぞれの参加試験室における一人の関係者(監督者と呼ぶ。)が,実施責任者から送付された手
順指示書に従って測定の実施を組織立て,測定結果を報告することに責任を持つことが望ましい。
6.4.2 監督者の任務は,
a) 選ばれたオペレータが通常の操作でこのような測定を正常に遂行できることを確かめること;
b) 測定用試料を実施責任者の手順指示書どおりにオペレータに配布すること(及び必要ならば,習熟の
ための予備実験用の試料を準備すること);
c) 測定の実施を監督すること(監督者が実験の実施に参加してはならない);
d) オペレータが要求された回数の測定を確実に行うようにすること;
e) 測定が設定された日程どおりに確実に実施されるようにすること;
f) 所定の桁数で記録された測定結果,及び実験中に発生した異常事態と問題点,並びにオペレータの意

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見を集めること,
である。
6.4.3 各試験室の監督者は,以下の情報を含む完全な報告書を作成することが望ましい。
a) 所定の記録書式に読めるように記入された,測定者自身の手による測定結果の原物,転記・タイプし
たものは不可(コンピュータまたは測定機器のプリントアウトでも構わない);
b) (もし,あれば)測定結果のもとになった,オペレータ自身の手によって所定の記録書式に読めるよ
うに記入された生の観測値又は読み値,転記・タイプしたものは不可;
c) オペレータによる,測定方法の規定に関する意見;
d) 測定中に生じた異常または障害に関する情報,オペレータの交替については測定ごとの担当オペレー
タ名を,欠測値については理由を含める;
e) 測定用試料を受理した日付;
f) それぞれの測定用試料を測定した日付;
g) (意味がある場合には)使用した装置の情報;
h) あらゆる他の関連する情報。

6.5 オペレータ

6.5.1  すべての試験室で,正常に測定を行える代表として選ばれた,一人のオペレータによって測定が実
施されなければならない。
6.5.2 実験の目的は,標準測定方法にしたがって測定しているオペレータの一般的母集団から得られる精
度を明らかにすることであるので,一般的にはオペレータに,測定方法に規定されていない事項について
補足説明が与えられないことが望ましい。しかし,オペレータに,実験の実施目的が測定結果の実際の変
動の程度を見つけることであることを,納得させておき,オペレータの判断で一致していないと感じる測
定結果を捨てたり,またはやり直したりするようなことを避けることが望ましい。
6.5.3 一般的にはオペレータに,測定方法に規定されていない事項について補足説明が与えられないこと
が望ましいが,その規定に関して意見を述べるように,特に,その内容に含まれる指示事項が十分にわか
りやすく明白であるかどうかを述べるように,オペレータを促すことが望ましい。
6.5.4 オペレータの任務は,
a) 標準測定方法にしたがって測定を行うこと;
b) 実験中に発生した異常事態と問題点を報告すること;欠測値が一つ二つあっても,実験を損なうこと
はなく,かえって規定事項の不適切さを示すことになるので,測定結果を修正するよりは間違いを報
告した方がよい;
c) 規定の指示事項の適切さについて意見を述べること;これもまた規定事項の不適切さを示すことにな
るので,オペレータは指示どおりに実施することが不可能であった状況について報告することが望ま
しい,
である。

7. 精度評価実験の統計的解析

7.1 前提となる基本事項

7.1.1  データの解析は,統計の専門家によって解かれるべき統計の問題として考えることが望ましく,3
つの段階から成っている。
a) 外れ値や,それ以外の変則的な値を特定・処理し,モデルの適合性を検定するために,データを評価

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 10] ―――――

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  • ISO 5725-2:1994(IDT)

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