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Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
検討すること;
b) 測定水準ごとに精度と平均の予備的な値の計算を行うこと;
c) 精度と平均の最終的な値を設定すること。これには,解析により精度と測定水準との間に関数関係が
示唆される場合に,その関数形を求めることを含む。
7.1.2 この統計的解析では,最初に測定水準ごとに次の推定値を計算する。
− 併行分散 sr2
− 室間分散 sL2
− (室間)再現分散 sR2=sr2+sL2
− 平均値 m
7.1.3 この統計的解析には,外れ値に関する統計的検定の系統的な適用を含んでいる。極めて多様な検定
の方法がさまざまな文献に示されていて,かつ,この規格のこの部のために用いることができる。実用的
な理由で,7.3に述べるように,限られた数の検定方法だけを用いた。
7.2 測定結果のまとめと用いられる記号
7.2.1 セル
一つの試験室と一つの測定水準の組合せを,精度評価実験のセルと呼ぶ。理想的には,p個の試験室に
おけるq種類の測定水準の結果が,pq個のセルから成り,それぞれのセルは併行標準偏差と再現標準偏差
の計算に用いることができるn個の併行条件の測定結果を含む。しかし,このような理想的な状況は,必
ずしも,実際に得られるものではない。余計な繰返しによる過剰のデータにより,また欠測値や外れ値の
ために,理想状況からの乖離(かいり)が生ずる。
7.2.2 過剰のデータ
ときおり,ある試験室が,公式に規定した回数以上の測定を実施し,n個よりも多くの測定結果を報告
することがある。こうした場合には,その試験室の監督者は,その理由と,どれが正しいデータであるか
を報告しなければならない。すべて有効なデータであると言う回答であるときは,統計解析のために,そ
の測定結果から計画した個数のデータをランダムに選びだすことが望ましい。
7.2.3 欠測値
別な場合として,試料の損失または測定実施上の失敗などによって,測定結果のいくつかが欠測するこ
とがある。7.1で推奨する統計解析法は,全く空白のセルについては単純に無視することができ,部分的に
欠測しているセルは,標準的な計算手順に組み入れることができるというものである。
7.2.4 外れ値
これらは原測定結果,または,原測定結果から得られる表中に含まれるデータではあるが,同じ表にあ
る他のデータから著しく離れているため,それ以外のデータとは調和しないと考えられるものである。経
験的に,外れ値は必ずしも除外されるべきものではなく,かつ欠測値と同様な方法で考慮に入れねばなら
ないものである。
7.2.5 外れ試験室
一つの試験室において,複数の測定水準で,説明できない異常な測定結果が生じている場合には,その
試験室を外れ値と考えることができる。そのままにすると,その測定結果の水準が,大き過ぎる試験室内
分散,及び/または大き過ぎる系統誤差をもつことになろう。そのため,このような外れ試験室のデータ
の一部もしくは全部を捨てることが合理的であろう。
この規格のこの部には,疑わしい試験室を判定する統計的検定の方法を規定していない。この扱いにつ
いては,統計解析の専門家が決定の主たる責任をとることが望ましい。しかし,除外されたすべての試験
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室について,将来の処置のために,パネルに報告しなければならない。
7.2.6 誤ったデータ
明白に誤りとわかるデータは,調査ののち,訂正するか,または,捨てることが望ましい。
7.2.7 釣り合い型一様水準の測定結果
理想的なケースでは,i (i=1, 2,···,p) で示すp個所の試験室で,j (j=1, 2,···,q) で示すq種類の測定水
準について,各々n回の繰り返し測定を行い,合計pqn個の測定結果が得られる。測定結果の欠測 (7.2.3),
外れ (7.2.4),試験室の外れ (7.2.5),または誤ったデータ (7.2.6) によって,理想的状況は,必ずしも達成
されない。7.2.87.2.10に示す表記法及び7.4に示す手順は,こうした各件の下での繰返し数の異なる測定
結果を考慮している。統計的解析のために推奨される書式の実例を図2に示す。以下の記述では,便宜的
にそれらを単に(図2)の書式A,B,及びCと呼ぶ。
7.2.8 原測定結果
図2の書式Aを参照のこと。ここで,
nijは,試験室iの測定水準jのセルの測定結果の数;
yijkは,これらの測定結果 (k=1, 2,···,nij) ;
pjは,(外れ値や誤った測定結果を除外後の)測定水準jで,測定結果を一つ以上報告している試験室
の数,
である。
7.2.9 セルの平均(図2の書式B)
これらは書式Aから以下のように導かれる。
jin
y=1
ij
y ijk (2)
n ij
k 1
このセルの平均値は,書式Aの測定結果より,一桁有効数字を増やして報告することが望ましい。
7.2.10 セル内のばらつきの尺度(図2の書式C)
これらは書式A(7.2.8参照)と書式B(7.2.9参照)から以下のように導かれる。
一般にはセル内標準偏差,
nij
1
ijs= ( yijk−yij 2)
(pdf 一覧ページ番号 )
nij 1k 1
または,以下の同等の式,
2
nij nij
ijs= 1 1
(yijk ) 2 yijk (4)
nij 1k 1
nijk 1
を用いる。
これらの式を用いて計算するときは,十分な桁数が保持されるように注意しなければならない;すなわ
ち,すべての中間の値は原データの少なくとも2倍の桁数まで計算されなければならない。
備考4 セルijが2っの測定結果だけからなる場合には,セル内標準偏差は
sij=|yij1−yij2|/2 (5)
となる。
したがって,すべてのセルが2つの測定結果から成るときには,簡略化のため,標準
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偏差の代わりに,測定結果の差の絶対値を用いることができる。
nijの値が1又は0のときは,書式Cの該当欄にダッシュ (−) を記入するとよい。
7.2.11 データの訂正または除外
データによっては,7.1.3,7.3.3及び7.3.4で述べた検定に基づき,訂正され,または除外されるものが
あるので,精度と平均の最終値を求めるために用いられるyijk,nij及びpjの値は,図2の書式A,B及びC
に記録された原測定結果について記述される値とは異なることがある。したがって,訂正や除外がある場
合の,精度と真度の最終値の報告には,どのデータが訂正,または,除外されたのかを必ず記述しなけれ
ばならない。
7.3 測定結果の一致性と外れ値についての調査
参考文献 [3] を参照すること。
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図2 解析のために測定結果を調査するために推奨する書式
規定した多くの測定水準について集めたデータから,併行及び再現標準偏差が推定される。他のすべて
の試験室または値と不一致であるような試験室または値が存在すると,それらの推定値を変化させること
があり,そのような値に関して決定がなされなければならない。この目的のために二つの方法をここに示
す。
a) グラフィカルな一致性の検討方法
b) 数値的な外れ値の検定方法。
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7.3.1 グラフィカルな一致性の検討方法
マンデル (Mandel) のh統計量及びk統計量と呼ばれる二つの尺度を用いる。これらは,測定方法のば
らつきを記述するだけでなく,試験室の評価にも役立つ。
7.3.1.1 試験室間の一致性の統計量hは,個々の試験室について,セル偏差(セル平均−その水準の総平
均)をセル平均の標準偏差で除して求められる。
yij yj
h=
ij (6)
p1
1
( yijyj 2)
( pj )1j 1
ここで, yは7.2.9を,ij
ij yは7.4.4を参照のこと。
それぞれのセルのhijの値は,試験室ごとに,各測定水準をグループにまとめて(これとは別に,測定水
準ごとに,各試験室をグループにまとめて)プロットする(図B.7参照)。
7.3.1.2 試験室内の一致性の統計量kは,個々の測定水準について,プールしたセル内標準偏差
sij 2
pj
を計算し,ついで測定水準ごとに,個々の試験室について求める。
sijpj
k=
ij (7)
s 2ij
それぞれのセルのkijの値は,試験室ごとに,各測定水準をグループにまとめて,(これとは別に,測定
水準ごとに,各試験室をグループにまとめて)プロットする(図B.8参照)。
7.3.1.3 h及びkを図示した結果を検討することによって,特定の試験室が,他の結果と著しく異なる結
果のパターンを表しているかどうかが示されるであろう。これは,セル内分散が一貫して高いか又は低い
こと,及び/または,多くの水準を通じてセル平均が極端な値であることによってわかる。こういったこ
とが起きたなら,その試験室に連絡し,その挙動の原因を確かめる努力をすることが望ましい。この知見
に基づき,総計解析者は以下のことを行うことができるであろう :
a) とりあえず,その試験室のデータを保留にすること;
b) (可能ならば)その試験室に,測定のやり直しを依頼すること;
c) その試験室のデータを対象から除外すること。
7.3.1.4 hの値のプロットにはさまざまなパターンが現れる可能性がある。すべての試験室が,実験の,
さまざまな測定水準で正と負の両方のh値をとることがある。個々の試験室は,すべて正の値またはすべ
て負の値のh値をとる傾向もあり得るが,その場合,負の値の試験室の数は,正の値試験室の数とほぼ同
数である。こうしたパターンのうち二番目に述べたパターンは,共通の原因による試験室かたよりが存在
することを示している可能性があるが,こうしたパターンはいずれも異常なものでもなく,調査を必要と
するものでもない。一方,一試験室のすべてのh値の符号が正負の一種類だけであり,他のすべての試験
室のh値の符号がすべて反対の符号のときは,その理由を調べることが望ましい。同様に,ある一つの試
験室のh値が,極端な値であり,系統的に実験の測定水準に依存しているようであるなら,その理由を調
べることが望ましい。h値のプロットには,8.3(表6と7)で与えられる棄却限界値に対応する線が引か
れる。これらの棄却限界値の線は,データのパターンを検討する場合の指標として役立つものである。
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JIS Z 8402-2:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 5725-2:1994(IDT)
JIS Z 8402-2:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
JIS Z 8402-2:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用