JIS Z 8402-2:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法 | ページ 4

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Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
7.3.1.5 ある試験室がk値の分布で,際だって大きな値が多く見られるようならば,その理由を調査する
ことが望ましい : これはその試験室の併行精度が他の試験室よりも劣っていることを示している。試験室
によっては,データの丸め過ぎや感度の低い測定のために,一様に小さいk値をもたらすことがある。k
値のプロットには,8.3(表6と7)で与えられる棄却限界値に対応する線が引かれる。これらの棄却限界
値の線は,データのパターンを検討する場合の指標として役立つものである。
7.3.1.6 試験室ごとのグループにまとめたh値またはk値のプロットから,ある一つの試験室が棄却限界
値の線に接近した数個のh値またはk値をもたらしていることが示される場合には,測定水準ごとのグル
ープにまとめ直したプロットを調べることが望ましい。試験室ごとのグループにまとめたプロットで大き
いと見てとれる値が,同じ測定水準の他の試験室と相応に一致していることがよくあるものである。その
値が他の試験室と際だって異なっている場合には,その理由を探すことが望ましい。
7.3.1.7 これらのh値とk値のグラフに加え,セル平均とセル範囲のヒストグラムは,別個の二つの母集
団の存在などを明らかにすることができる。ここで述べている方法の一般原理は一つの単峰型母集団を仮
定しているので,そのような場合は特別な処理が必要であろう。
7.3.2 数値的な外れ値の検定方法
7.3.2.1 外れ値を扱うために以下の慣例を推奨する。
a) 外れ値を識別するために,7.3.3及び7.3.4で推奨する検定方法を適用する。
− 検定統計量がその5%棄却限界値以下の場合には,その検定の対象を正常なものと認める。
− 検定統計量がその5%棄却限界値より大きく,1%棄却限界値以下の場合には,その検定の対象を
5%外れ値とよび,アスタリスクを一つ (*) 付して示す。
− 検定統計量がその1%棄却限界値を越える場合は,1%外れ値(または統計的外れ値)とよび,ア
スタリスクを二つ (**) 付して示す。
b) 次に,外れ値の原因が,技術的な誤り,例えば,
− 測定の実施における不注意による誤り
− 計算の誤り
− 測定結果を転記するときのちょっとした誤り
− 誤った試料の測定
などによって説明できるかどうかを調査する。
その誤りが,計算や転記のときの誤りならば,その外れ値と疑われた結果を正しい値に訂正するべ
きである。誤りが,誤った試料の測定によるのならば,その結果を正しいセルへ移すべきである。こ
うした訂正のあとで,もう一度外れ値について調べることが望ましい。技術的な誤りであって訂正で
きない結果は実験にふさわしくない“本物の”外れ値として除去することが望ましい。
c) 外れ値のうちで,はずれの説明が付いたものや,外れ試験室に属するものとして除外されたものの残
りがある場合,5%外れ値は正しいものとして,そのまま残し,1%外れ値は,統計解析者が妥当な理
由により残すと判断しない限り除外される。
d) あるセルのデータが,上の手順により,図2の書式Bで除外された場合には,図2の書式Cで対応す
るデータも除外されなければならない。逆の場合も同様である。

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 16] ―――――

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Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
7.3.2.2 7.3.3と7.3.4に二つの異なった検定方法を示す。コクランの検定は室内変動の検定であり,最初
に適用することが望ましい。必要ならば,外れ値についての処置を取ったのち,検定を繰り返して適用す
ることが望ましい。もう一つの検定方法(グラッブズの検定)は,主目的が室間変動の検定であるが,(n
>2の場合には)コクランの検定で示唆された大きな室内変動が,そのセル内の唯一つの測定結果に帰因
するかの検定にも用いることができる。
7.3.3 コクラン (Cocbhran) の検定
7.3.3.1 この規格のこの部では,室内分散は試験室が異なっても,ほぼ一定であることを仮定している。
しかし経験によればこのとおりには必ずしもならないことがわかっているので,この検定の目的には,こ
の仮定の妥当性の検定も含まれている。この目的に用いることのできる検定方法は数種類あるが,コクラ
ンの検定が選ばれた。
7.3.3.2 同じ繰り返し数 (n) の測定結果から計算されたp個の標準偏差sについて,コクランの検定統計
量Cは,
S2max
C= p

(pdf 一覧ページ番号 )

                               Si2
i 1
である。ここで,smaxはp個の標準偏差の最大値である。
a) 検定統計量がその5%棄却限界値以下の場合には,その検定の対象を正常なものと認める。
b) 検定統計量がその5%棄却限界値より大きく,1%棄却限界値以下の場合には,その検定の対象を5%
外れ値とよび,アスタリスクを一つ (*) 付して示す。
c) 検定統計量がその1%棄却限界値を越える場合は,1%外れ値(または統計的外れ値)とよび,アスタ
リスクを二つ (**) 付して示す。
コクランの検定の棄却限界値を8.1(表4)に示す。
コクランの検定は図2の書式Cに,個々の測定水準ごとに適用しなければならない。
7.3.3.3 コクランの判定基準は,厳密には,すべての標準偏差が併行条件下で得られた同一個の(n個)
の測定結果から計算される場合に限られている。実際には,この数は,データの欠測または除外によって
変わりうる。しかしながら,この規格のこの部では,適切に組織化された実験においては,1セル当たり
の測定結果の数のばらつきはわずかであり,無視することができるので,大多数のセルの測定結果の数n
を用いてコクランの判定基準を適用してよい,と仮定している。
7.3.3.4 コクランの判定基準は一組の標準偏差のうち最大値のみを検定するものであり,外れ値の片側検
定である。いくつかの標準偏差があまりに小さいと,そのための分散の不均質が検定結果に現れることが
ある。しかしながら,原データの丸めの程度の影響を強く受けたために標準偏差が小さくなることがあり,
小さい標準偏差はあまり信頼できない。さらに,ある試験室が,他の試験室よりも高い精度を達成してい
ることを理由に,除外されることは合理的ではない。従ってコクランの判定基準は適切であると考えられ
る。
7.3.3.5 図2の書式Cでの有意性評価によって,ある試験室の標準偏差が,他の試験室の標準偏差と比べ
て,すべての,または大部分の測定水準で低い値であることが,明らかになることがある。これは,その
試験室が,他よりも低い併行標準偏差で測定している,言い換えると,よい技術および装置によるため,
標準測定方法を変更したため,あるいは標準測定方法を不正確に適用したためかもしれない。このような
場合には,パネルに報告することが望ましく,パネルはその事項についてさらに詳細な調査を行う価値が
あるかどうかを決定することが望ましい(この例は,B.1に記述した実験における試験室番号2である。)。

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 17] ―――――

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7.3.3.6 標準偏差の最大値が外れ値として判定されたなら,その値は除外し,残りについて再度コクラン
の検定を行うことが望ましい。この手順は繰り返し可能であるが,検定の前提となっている正規性が,近
似的にも十分でない場合には,除外過多になる場合がしばしばある。ここではコクランの検定の繰返し適
用を,単なる有用な手段として提案しているだけであり,それは複数の外れ値を同時に検定するための統
計的な方法がないためである。コクランの検定は,複数の外れ値のために考えられたものではないので,
結論を出す際には十分な注意を払うことが望ましい。特に,測定水準のうちの一つの水準だけで,2つま
たは3つの試験室が大きな標準偏差を示す場合には,コクランの検定の結論を注意して検討することが望
ましい。一方,一つの試験室が複数の測定水準で外れ値を出しているときは,この試験室の室内分散が異
常に大きいことを強く示していると考えてよく,その試験室のデータ全部を除外することが望ましい。
7.3.4 グラッブズ (Grubbs) の検定
7.3.4.1 外れ値が一つの場合
小さい順に並べたxi (i=1, 2,···,p) について,グラッブズの検定により,その最大値を外れ値かどうか
判定するには,グラッブズの検定統計量Gpを計算する。
Gp=(xp x/) (9)
ここで,
p
1 ix
x= (10)
pi 1
p
1
s= (xix2) (11)
p 1i 1
である。
最小値が外れ値かどうかを判定するには,つぎの検定統計量を計算する。
G1=(x x1 )
a) 検定統計量がその5%棄却限界値以下の場合には,その検定の対象を正常なものと認める。
b) 検定統計量がその5%棄却限界値より大きく,1%棄却限界値以下の場合には,その検定の対象を5%
外れ値とよび,アスタリスクを一つ (*) 付して示す。
c) 検定統計量がその1%棄却限界値を越える場合は,1%外れ値(または統計的外れ値)とよび,アスタ
リスクを二つ (**) 付して示す。
7.3.4.2 外れ値が二つの場合
最大値と2番目に大きい値が外れ値かどうかを判定するためには,グラッブズの検定統計量Gを計算す
る。
G=sp2 s20
,1 p (12)
ここで,
p
s20= (xix) 2 (13)
i 1

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 18] ―――――

                                                                                             17
Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
p 2
2 2
sp,1 p= (xi xp
,1 p ) (14)
i 1
p 2
1
xp,1 p= xi (15)
p 2i 1
である。
逆に,最小値と2番目に小さい値を検定するためには,グラッブズの検定統計量Gは次のように計算さ
れる :
s20
G=s22,1 (16)
ここで,
p
s22,1=(xix2,1 ) 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                             i 3
p
1 ix
x2,1= (18)
p 2i 3
である。
グラッブズの検定の棄却限界値を8.2(表5)に示す。
7.3.4.3 グラッブズの検定の適用
精度評価実験を解析する場合に,グラッブズの検定を以下の場合に適用することができる。
a) ある測定水準jにおける,セル平均値(図2の書式B)への適用。
このときには,
iy
x= ij
及び
p=pj
である。ここで,jは,(測定の水準を表しているので)一定値である。
一つの測定水準のデータに対して,外れ値が一つの場合のグラッブズの検定を,7.3.4.1に従ってセ
ル平均値に適用する。この検定で,セル平均値が外れ値であることが示されるなら,それを除外し,
セル平均の反対側の極値に対して(すなわち,最大値が外れ値であるなら,その最大値を除外し,最
小値に対して),グラッブズの検定を繰り返すが,この場合には,7.3.4.2に記述した外れ値が片側の二
つの場合のグラッブズの検定は適用しない。もし最初のグラッブズの検定が最大値と最小値をともに
外れ値と見なさないときには,7.3.4.2で示した外れ値が二つの場合の検定を適用する。
b) コクランの検定で,セル内の標準偏差が疑わしいと示唆されたセル内の測定結果への適用。

7.4 一般平均と分散の計算

7.4.1  統計解析の方法
この規格のこの部で採用された統計解析の方法は,個々の測定水準mと精度を別々に推定するものであ
る。計算結果は個々の測定水準jごとに表に示す。
7.4.2 基本データ

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 19] ―――――

18
Z 8402-2 : 1999 (ISO 5725-2 : 1994)
計算に必要な基本データは図2に示す三つの表,
− 表Aには原測定結果が,
− 表Bにはセル内の平均値が,
− 表Cにはセル内のばらつきの尺度が,
示されている。
7.4.3 空でないセル
7.3.2.1のd)に記述した規則に従い,計算に用いられる空でないセルの数は,それぞれの測定水準につい
て,常に表BとCで同じになる。データの欠測により,表Aに測定結果が一つだけのセルがある場合に
は,例外が生じ,表Cは空のセルになるが,表Bは空でない。こうした場合,
a) その単独の測定結果を除外して,表B及び表Cをともに空のセルとする
b) 除外することが情報の不本意な損失になると考えるのならば,表Cの該当欄にダッシュ (−) を記入
する
ことが可能である。
空でないセルの数は,測定水準が異なると異なり,故にpjの添字jが相違する。
7.4.4 一般平均mの計算
測定水準jについて,一般平均は,
p
nijyij
^
mj =yj= i1
p

(pdf 一覧ページ番号 )

                                     nij
i 1
となる。
7.4.5 分散の計算
個々の測定水準ごとに三つの分散を計算する。これは,併行分散,室間分散と(室間)再現分散である。
7.4.5.1 併行分散は,
p
(nij )1sij2
2
=i
srj 1
p

(pdf 一覧ページ番号 )

                                (nij )1
i 1
である。
7.4.5.2 室間分散は,
2 2
sdj srj
s2Lj= (21)
nj
である。ここで,
p p p
2 1 1
sdj
= yj ) 2=
nij( yij 2
nij ( yij ) 2
( yj ) ij (22)
p 1i 1 p 1 i1 i 1

――――― [JIS Z 8402-2 pdf 20] ―――――

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JIS Z 8402-2:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 5725-2:1994(IDT)

JIS Z 8402-2:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8402-2:1999の関連規格と引用規格一覧