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Z 8402-3 : 1999 (ISO 5725-3 : 1994)
偏差は,併行条件の下での標準偏差の1.5倍であった。
1. 適用範囲
1.1 この規格のこの部は,一つの試験室内で測定の条件(時間,校正,オペレータ,及び装置)が変わ
ることによる4つの中間精度について詳細を述べる。これらの中間精度は,特定の試験室内での実験又は
試験室間共同実験によって確定することができる。
更に,この規格のこの部では,
a) 中間精度の定義の意味を詳述し;
b) 実際的な状況での中間精度の推定値の解釈と適用における手引きとを示し;
c) 中間精度の推定誤差については一切規定せず;
d) 測定方法自体の真度の求め方には係わらないで,真度と測定条件との関連を詳述する。
1.2 この規格のこの部は,計量値の測定値が求められ,測定結果として一個の値が得られるような測定
方法だけを対象とする。この一個の値は一組の観測値から計算によって求められたものであってもよい。
1.3 これらの中間精度を求めることの本質は,これらの精度が,測定方法の定められた条件の下で測定
結果を再現する能力の尺度になるということである。
1.4 この規格のこの部で説明する統計的方法は,中間精度に関してより正確な情報を得るために,“類似
している”測定条件からの情報を併合できるという前提に依存している。この前提は,“類似している”と
いう主張が本当に“類似している”限り強力な前提である。しかし,試験室間共同研究で中間精度が推定
されるときには,このような前提を維持することはかなり難しい。例えば,異なる試験室からの情報を併
合することが無意味にならないように,“時間”や“オペレータ”のような効果が試験室を越えて“類似し
ている”ようにコントロールすることは,大変困難である。このように,中間精度に関する試験室間共同
研究の結果を使用するには注意を要する。一試験室内での研究もこの前提に立っているが,その場合には,
ある因子の実際の影響をコントロールし,把握することは分析者の及ぶ範囲内であるので,より現実的で
ある。
1.5 試験室内で中間精度を推定し,確認するために,この規格のこの部で述べられている方法以外にも,
例えば管理図(JIS Z 8402-6を参照)のような技法がある。この規格のこの部に示されている方法だけが,
試験室内における中間精度の推定をするための唯一のアプローチではない。
備考1. この規格のこの部は,枝分かれ実験のような実験計画を引用している。基本的情報は附属書
B及びCに示されている。この領域の他の参考文献を附属書Eに示す。
2. 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するもので
あって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新版(追補
を含む。)を適用する。
JIS Z 8101-1 統計−用語と記号−第1部 確率及び一般統計用語
JIS Z 8101-2 統計−用語と記号−第2部 統計的品質管理用語
JIS Z 8402-1 : 1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第1部 一般的な原理及び定
義
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Z 8402-3 : 1999 (ISO 5725-3 : 1994)
JIS Z 8402-2 : 1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部 標準測定方法の併行
精度及び再現精度を求めるための基本的方法。
JIS Q 0033 : 1997 認証標準物質の使い方
JIS Q 0035 : 1997 標準物質の認証−一般的及び統計学的原則
3. 定義
この規格の目的に合わせ,JIS Z 8101とJIS Z 8402-1において定義された用語を用いる。
この規格で用いる記号を附属書Aに示す。
4. 一般的な要求事項
同じように測定を行うために,測定方法を標準化しておかなければならない。一つの試験室内で行われ
る実験,試験室間共同実験,のどちらの場合でも,実験を構成するすべての測定が,その標準化された方
法によって実施されなければならない。
5. 重要な因子
5.1 試験室内における測定条件において,主として4つの因子(時間,校正,オペレータ,及び装置)
が測定のばらつきに寄与すると考えられる(表1を参照)。
表1 4つの重要な因子とその状態
因子 試験室内の測定条件
状態1(同じ) 状態2(異なる)
時間 同じときに行われた測定 時間を変えて行われた測定
校正 測定の間に校正が行われる
測定の間には校正は行わない
オペレータ同一オペレータ 異なるオペレータ
装置 再校正を行わない同一装置異なる装置
5.2 “同じときに行われた測定”とは,環境条件などの不変性を常に保証できるとは限らない条件の変
動を最小とするために,できる限り短時間の内に行われた測定も含む。“時間を変えて行われた測定”とは,
長い時間間隔で実施された測定のことで,環境条件の違いの影響を含んでいるであろう。
5.3 測定結果を求めるために不可欠な部分として,その測定方法自体に含まれるいかなる校正も,ここ
で述べる“校正”にはあてはまらない。“校正”とは,試験室内で一連の測定と測定の間に定期的に行われ
る校正の手順を意味する。
5.4 ある種の作業では,実際には“オペレータ”は複数のオペレータから成るチームで一人一人のオペ
レータは手順の特定の部分を担当していることがある。このような場合には,このチームを一人のオペレ
ータと見なし,メンバーやチーム内での役務分担などのいかなる変更も,異なる“オペレータ”と見なす
ことが望ましい。
5.5 “装置”は,実際には装置の組み合わせであることが多く,いかなる主要な構成要素の交換も異な
る装置と見なすことが望ましい。何が主要な構成要素であるかということについては,常識にゆだねる。
温度計の交換は主要な構成要素と考えられるかもしれないが,水浴にほんの少し異なる容器を用いること
は僅かな相違と考えられよう。試薬のバッチを変えることは主要な構成要素と考えることが望ましい。校
正することによりこのような変化が生じたならば,異なる“装置”又は再校正と考えることができる。
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 7] ―――――
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5.6 併行条件の下では4つのすべての因子が表1の状態1である。中間条件では1つ以上の因子が表1
の状態2であり,“M因子異なる精度条件”と記述する。ここで,Mは状態2における因子の数である。
再現条件の下では,結果は異なる試験室で得られるので,4つのすべての因子が状態2にあるばかりでな
く,試験室の運営や維持,オペレータの一般的な訓練の水準,測定結果の安定性と点検などが試験室間で
異なることに伴う付加的な効果も存在する。
5.7 M因子異なる中間条件の下では,下付添え字によって,どの因子が表1に示す状態2にあるのかを
規定する必要がある。例えば,
− 時間が異なる中間標準偏差,sI(T);
− 校正が異なる中間標準偏差,sI(C);
− オペレータが異なる中間標準偏差,sI(O);
− [時間+オペレータ]が異なる中間標準偏差,sI(TO);
− [時間+オペレータ+装置]が異なる中間標準偏差,sI(TOE);
− 他の多くの条件が同様の形式で規定できる。
6. 統計モデル
6.1 基本モデル
測定方法の精確さ(真度と精度)を推定するために,測定結果yを(1)式に示す3つの成分の和として仮
定しておくことは有用である。
y=m+B+e (1)
ここで, 試験の対象となる試料について,
mは一般平均(期待値);
Bは併行条件の下でのかたよりの試験室成分;
eは併行条件の下で,一つ一つの測定に伴う偶然誤差
を示す。これらの成分のそれぞれに関する議論と,基本モデルの拡張に関する議論を以下に述べる。
6.2 一般平均m
6.2.1 一般平均mは測定結果全体の平均である。試験室間共同実験(JIS Z 8402-2参照)で得られたm
の値は,“真の値”と測定方法にのみ依存し,それぞれの測定が実施された試験室,用いられた装置,実施
したオペレータ,測定の日時には依存しない。試料を特定したときの一般平均は“測定水準”とよばれる。
例えば,ある化学成分の純度の異なった試料,又は異なった試料(例えば,異なったタイプの鉄鋼)は異
なった測定水準に対応する。
滴定される溶液の真の濃度のように,真の値 艟 は意味を持つ状況は多い。測定水準mはふつう真
の値 地估 その差 (m− ‰漠 測定方法のかたより”とよばれる。
状況によっては,測定水準は測定方法に依存して規定され,測定方法と独立な真の値の概念を適用でき
ない。例えば鉄鋼のヴィッカース硬度やコークスのマイカムインデックスがこの範疇に含まれる。とはい
え,一般にこの測定方法のかたよりを 真の値が存在しないときは 0)で表す。このとき一般平均m
は
m= (2)
となる。
備考2. かたよりの項 殕 する議論と真度評価実験の説明をJIS Z 8402-4に示す。
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 8] ―――――
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6.2.2 同じ測定方法によって得た測定結果の差を調べるとき,測定方法のかたよりは差に影響しないし,
無視することができる。しかし,契約や仕様の要求事項が測定(試料の)水準mではなく,真の値
って規定されている場合に規定された値と測定結果とを比較するとき,又は,異なった測定方法を用いて
得た測定結果を比較するとき,測定方法のかたよりを考慮しなければならない。
6.3 項B
6.3.1 Bは,いくつかの原因によって生じるその試験室に起因するmからの偏差を表す項で,一つ一つの
測定結果に発生する偶然誤差eとは関係しない。一つの試験室での併行条件の下ではBは一定値と考えら
れ,“かたよりの試験室成分”とよばれる。
6.3.2 とはいえ日常的に一つの試験方法を用いる場合には,Bの値が,オペレータ,用いられた装置,環
境(温度,湿度,大気汚染など),などの相違に起因する多数の影響から成り立っていることが分かる。統
計モデル[式(1)]は次のように書き直すことができる。
y=m+B0+B(1)+B(2)+···+e (3)
または
y= B0+B(1)+B(2)+···+e (4)
ここでBは変量B0,B(1),B(2)···から成り立ち,多数の中間精度因子を表す。
実際には,研究の目的や,測定方法の感度を考慮することによって,このモデルでどの項まで用いるか
が決まる。多くの場合には簡略化した形で充分である。
6.4 項B0,B(1),B(2),など
6.4.1 併行条件の下では,これらの項はすべて一定値となり,測定結果のかたよりに加わる。中間条件の
下では,B(1),B(2)などは因子の変量効果としてさまざまな値を取る(表1の状態2)のに対して,B0は因
子の定数効果としてそのままの値を取る(表1の状態1)。B(1),B(2)などは,もはやかたよりには寄与しな
いが,中間標準偏差を増大させるため,中間標準偏差は併行標準偏差よりも大きくなる。
6.4.2 オペレータの違いの影響には,測定する際の個人的な習慣(例えば,目盛りの読み方など)が含ま
れる。これらの違いのいくつかは,測定方法の標準化,特に技術の明瞭で精確な記述,によって除去され
ることが望ましい。一人のオペレータによって得られた測定結果にはかたよりが含まれるが,このかたよ
りは常に一定値になるのではなく(例えば,かたよりの大きさは,その人のその日の精神的・肉体的条件
によって変化するので),かたよりを正しく補正したり,校正することはできない。このようなかたよりは,
明瞭な操作マニュアルと訓練によって減少させるのが望ましい。このような状況ではオペレータの違いの
影響は変量的なものと考えることができる。
6.4.3 装置の違いの影響には,設置場所の違いの影響,特にインジケーターの変動などが含まれる。装置
の違いの影響には,正しい校正によって修正することができるものがある。系統的な原因による装置の間
の差は,校正によって修正されるのがよく,その手順は標準測定方法に含めることが望ましい。試薬のバ
ッチの変化などは,そのように処理するほうがよい。この目的には参照値が必要で,JIS Q 0033とJIS Q
0035が参考になる。標準物質を用いて校正している場合,装置の違いの影響は変量効果と考えることがで
きる。
6.4.4 時間による影響は環境的な違い,例えば室温,湿度などの違い,によるものであろう。環境条件の
標準化でこれらの影響を減らすように試みるのがよい。
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6.4.5 オペレータの習熟や疲労の影響はオペレータと時間の交互作用と考えられる。装置の性能が,開始
時と数時間を経た後と異なることがあるが,これは装置と時間の交互作用の例である。オペレータの母集
団が小さく,さらに装置の母集団も小さいならば,これらの因子の影響は変量効果ではなく,それぞれ母
数効果として評価してもよい。
6.4.6 JIS Z 8402-2に示された手順は,かたよりの試験室成分の分布が近似的に正規分布であることを仮
定して設定されているが,実際には単峰な分布であればほとんどの分布に対して適用できる。Bの分散は
室間分散とよばれ
Var (B) = (5)
と表される。しかし,これにはオペレータ,装置,時間,環境,の違いの影響も含まれる。枝分れ実験で
オペレータ,装置,測定時刻,環境,などを変えて行った精度評価実験からは,中間精度の分散を計算す
ることができる。Var (B) は,試験室,オペレータ,測定日,環境などの独立な寄与から成るものと考え
ることができて,
(pdf 一覧ページ番号 )
Var (B) =Var (B0) +Var (B(1)) +Var (B(2)) +···
となる。それぞれの分散は,
Var (B0) = 0)2,Var (B(1)) = 1)2,Var (B(2)) = 2)2,など (7)
で表される。
Var (B) は実際にはsL2で推定され,適切な実験計画によって同様の中間精度の推定値が求められる。
6.5 誤差項e
6.5.1 誤差項eは一つ一つの測定結果に含まれる偶然誤差を表す。この規格のこの部で与えられる手順は,
確率変数としての誤差の分布が近似的に正規分布にしたがうことを仮定して設定されているが,実際には,
ひとやまの分布であるならばほとんどの分布に対して利用できる。
6.5.2 ある一つの試験室の分散を室内分散とよび,
Var (e) = (8)
と表現する。
6.5.3 オペレータの技能レベルの違いなどによって,室内分散 室間で違いがあることが考えら
れる。しかし,この規格のこの部では,試験室間の室内分散の違いが小さくなるように,測定方法が適切
に標準化され,すべての試験室がその標準化された測定方法を用いることによって,試験室が異なっても
共通な室内分散となることが正当化されていると仮定する。この共通な値を併行分散とよび,式(9)によっ
て表現する。この値はそれぞれの室内分散の平均値によって推定される。
r2
Var(e) (9)
式(9)に表現した平均値は,精確さ評価実験に参加した試験室から外れ値を除いたすべての試験室から算
出される。
7. 測定条件の選択
7.1 測定方法を用いる際,一つの試験室において考えられる多くの測定条件には,
a) 併行条件(4つの因子を一定に保つ。)
b) 1つの因子だけを変える,いろいろな中間条件
c) 2つの因子を変える,いろいろな中間条件
d) 3つの因子を変える,いろいろな中間条件
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8402-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 5725-3:1994(IDT)
JIS Z 8402-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
JIS Z 8402-3:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用