この規格ページの目次
- 8. 試験室内評価実験と中間精度の解析
- 8.1 最も単純な方法
- 8.2 別な方法
- 8.3 測定条件の最終結果に与える影響
- 9. 試験室間共同実験と中間精度の解析
- 9.1 基礎になる仮定
- 9.2 最も単純な方法
- 9.3 枝分れ実験
- 9.4 完全枝分れ実験
- 9.5 スタッガード型枝分れ実験
- 9.6 枝分れ実験における因子の割り付け
- 9.7 枝分れ実験とJIS Z 8402-2に示した手順との比較
- 9.8 完全枝分れ実験とスタッガード型枝分れ実験との比較
- JIS Z 8402-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS Z 8402-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS Z 8402-3:1999の関連規格と引用規格一覧
8
Z 8402-3 : 1999 (ISO 5725-3 : 1994)
e) 4つの因子をすべて変える中間条件
がある。測定方法の規格に,併行標準偏差は必ず示されなければならないけれども,考え得る精度をすべ
て示すことは必要ではない(,さらには現実的ではない)。中間精度に関しては,一般的な実際の商取引
で,普通に起こり得る条件が示されるべきで,それに適した中間精度を一つ,その測定条件の詳細な記述
とともに規定すれば充分である。測定条件で変化させる因子は注意して定めるべきである。特に時間を変
化させた中間条件ならば,引き続く測定の間の実際的な平均時間間隔を示すのがよい。
7.2 標準化された測定方法は可能な限りかたよりが小さく,測定方法に固有のかたよりは技術的な方法
で処理されていると仮定する。それゆえ,この規格のこの部では測定条件によってもたらされるかたより
だけを扱う。
7.3 測定条件の因子(時間,校正,オペレータ,装置)を併行条件から変化させること(すなわち表1
の状態1から状態2への移行)は,測定結果のばらつきを一般に増加させる。しかしながら,多数の測定
結果の平均値の期待値は,併行条件よりも,一般にかたよりが小さくなる。中間条件で標準偏差が大きく
なることは,単一の測定結果の代わりに複数の測定結果の平均値を最終結果とすることで,一般に克服さ
れる。
7.4 大部分の試験室での実際的な考慮,すなわち測定の最終結果に要求される精度(標準偏差)と測定
実施コストによって,変化させる因子の数と,測定方法の標準化の際に変化させられる因子の選択とが決
まるものである。
8. 試験室内評価実験と中間精度の解析
8.1 最も単純な方法
一試験室内で中間精度を推定する最も単純な方法は,一つの試料(破壊試験の場合には,一組の同一と
見なしうる試料)について,一つ一つの測定ごとに因子を変化させてn回測定を行うことである。nは15
以上が推奨される。これが達成されない場合には,中間精度を推定するこの方法は他の推定の手順と比べ
て十分なものといえない。解析方法は単純であるが,時間を変えた中間精度を求めるために同一試料を日
を変えて毎日測定する場合や,測定の間の校正の影響を調べる場合には一般に有用である。
n回の測定結果のk番目をykとし,yでn回の測定結果の平均値を表すとき,測定番号kを横軸にした
yk のグラフは,外れ値を識別するのによい。より正式な外れ値の検定は,グラッブズ検定を適用す
るもので,JIS Z 8402-2 : 1999の7.3.4に示されている。
M因子異なる中間標準偏差の推定値は
n
1
sI() (yk y) 2 (10)
n 1k 1
で与えられ,中間条件を示す記号をかっこ内に示すとよい。
8.2 別な方法
8.2.1 全部の測定をn個の測定結果からなるt群のグループに分けて行う方法がある。例えば,一つの試
験室内でt種類の試料を一組にして測定し,中間条件での因子を変化させ,再びt種類の試料を測定する。
この手順を各試料についてn個の測定結果を得るまで繰り返す。各群のn個の測定結果は同一の試料(破
壊試験の場合には,一組の同一と見なしうる試料)について得られなければならないが,全試料が同一試
料であることは重要ではない。M因子異なる中間標準偏差として同じ値を適用できると考えられる区間に,
t種類の試料の測定水準がすべて含まれることのみが必要である。t (n−1) の値は15以上が推奨される。
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 11] ―――――
9
Z 8402-3 : 1999 (ISO 5725-3 : 1994)
例 あるオペレータがt種類の試料のそれぞれについて一つずつ測定結果を得て,つぎに別のオペレ
ータがこれを繰り返し,場合によってはさらに別のオペレータが,というように続けていき,sI (0)
の推定値を計算することができる。
8.2.2 j番目の試料についてのk番目の測定結果をyjkとし,jyでj番目の試料についてのn回の測定結果
の平均値を表すとき,試料測定番号jを横軸にした ( yjkyj) のグラフは,外れ値を識別するのによい。
より正式な外れ値の検定は,グラッブズ検定を適用するもので,JIS Z 8402-2 : 1999の7.3.4に示されてお
り,それぞれの群を別々に対象にしても,tn個の全測定結果をまとめて対象にしても,適用することがで
きる。
M因子異なる中間標準偏差の推定値s1 ( ) は,
t n
1
sI() ( yjk yj ) 2
(pdf 一覧ページ番号 )
t(n )1j 1k 1
で与えられる。n=2の場合(すなわち各試料について測定結果が二つのとき)には,この式は,
t
1
sI() ( yj1yj2 ) 2
(pdf 一覧ページ番号 )
2t j 1
と簡単になる。
8.3 測定条件の最終結果に与える影響
8.3.1 時間,校正,オペレータ,装置の組合せのうち,一つの因子が変わっただけでもyの期待値は変化
する。これは平均値の有用性の一つの限界である。化学分析や物理試験において,yは最終結果として報
告される。原材料の取引では,この最終結果はしばしばその原材料の品質評価に用いられ,製品の価格に
大きな影響を与える。
例 石炭の国際商取引では,コンサインメントの大きさは70 000tを超えることがよくあり,その灰分
の値は最終的にはわずか1gの測定試料から決定される。灰分1%の相違につき石炭1tあたりUSD
1.5に相当すると契約に明記してあると,化学天秤による灰の秤量で1mgの違いが灰分0.1%,す
なわち石炭1tあたりUSD 0.15に当たるため,コンサインメント全体ではUSD 10 500(0.1×1.5
×70 000なので)になってしまう。
参考 USDはアメリカ合衆国の通貨単位(ドル,$)の正式な表記である。
8.3.2 結果として化学分析や物理試験の最終結果は充分に正しく,信頼性が高く,特に普遍的で再現性が
あるべきである。特定のオペレータ,装置,時間の条件の下でのみ保証される最終結果は,商取引の目的
には充分にふさわしいとはいえないであろう。
9. 試験室間共同実験と中間精度の解析
9.1 基礎になる仮定
試験室間共同実験による中間精度の推定は,ある特定の因子の効果が全試験室で同じである,すなわち,
例えば一つの試験室でオペレータを変えることが,他の試験室でオペレータを変えることと同じ効果であ
り,時間の違いによるばらつきは全試験室で同じであるといった仮定に拠っている。もしこの仮定が満た
されないならば,中間精度の概念が意味をなさないばかりか,この後の項で提案する中間精度を推定する
技法も意味を持たない。全試験室の情報を併合するために必要な,仮定の検討のためには,外れ値に対す
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 12] ―――――
10
Z 8402-3 : 1999 (ISO 5725-3 : 1994)
る慎重な配慮(必ずしも外れ値を棄てなくてよい)が払われなければならない。外れ値を検出する一つの
強力な技法は,因子の種々の水準や実験に参加した各試験室の関数として,測定値を図示することである。
9.2 最も単純な方法
q水準の試料をpヵ所の試験室に送付し,それぞれの試験室でq水準についてn回ずつの測定の間,中
間精度の因子を変えて測定した場合の解析は,併行標準偏差の代わりに中間標準偏差が推定されることを
除けば,JIS Z 8402-2で説明した計算と同じ方法になる。
9.3 枝分れ実験
中間精度を推定する方法として,さらにより精巧な実験を実施することもある。このような方法には完
全枝分れ実験やスタッガード型枝分れ実験(これらの用語の定義はJIS Z 8101-3参照)がある。枝分れ実
験を採用することの利点は,一回の試験室間共同実験で一度に,併行及び再現標準偏差だけでなく一つ以
上の中間標準偏差を推定することが可能であることである。しかしながら,これらは9.8で説明するよう
にある種の注意を払わなければならない。
9.4 完全枝分れ実験
ある測定水準での,完全枝分れ実験の図式的な配置を図1に示す。
図1 3因子及び4因子完全枝分れ実験の配置図
いくつかの試験室で共同して3因子完全枝分れ実験を実施すると,併行及び再現標準偏差と同時に中間
精度を一つ得ることができる。すなわち 0), 1)と 爰 定することができる。同様に4因子完全枝分れ
実験は二つの中間精度,すなわち 0), 1), 2)と 爰 定するために用いることができる。
3因子完全枝分れ実験の図1a)におけるデータyの下付添え字i,j,kは,例えばそれぞれ試験室,実験
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 13] ―――――
11
Z 8402-3 : 1999 (ISO 5725-3 : 1994)
日,併行条件での繰返しを表している。
4因子完全枝分れ実験の図1b)におけるデータyの下付添え字i,j,k,lは,例えばそれぞれ試験室,実
験日,オペレータ,併行条件での繰返しを表している。
n因子完全枝分れ実験の解析は“分散分析 (ANOVA) ”という統計技法を用いて,各測定水準ごとに別々
に行われる。詳細を附属書Bに示す。
9.5 スタッガード型枝分れ実験
ある測定水準での,スタッガード型枝分れ実験の図式的な配置を図2に示す。
3因子のスタッガード型枝分れ実験ではそれぞれの試験室iごとに測定結果が3つ必要である。測定結
果yi1とyi2は併行条件の下で得て,yi 3を例えば時間の異なる中間条件(この場合yi1とyi2を得た日とは異
なる日にyi3を得ることになる)のように,M因子異なる中間条件 (M=1,2,3) の下で得る。
図2 スタッガード型枝分れ実験の配置図
4因子のスタッガード型枝分れ実験では,yi4を,さらにもう一つ因子を変えた中間条件,例えば別な日
に別なオペレータで測定することにより,時間とオペレータの異なる中間条件の下で得る。
n因子スタッガード型枝分れ実験の解析も“分散分析 (ANOVA)”という統計技法を用い,測定のそれぞ
れの段階に適用される。詳細を附属書Cに示す。
9.6 枝分れ実験における因子の割り付け
枝分れ実験における因子について,最も系統的な影響(すなわち,最も多くの測定結果に共通の影響)
を与える因子に最高のランク (0,1,···) を,最も偶然的な影響を与える因子に最低のランクを割り当て,
最低ランクの因子は残差変動と考えられる。例えば,図1b)と図2に示したような4因子の実験では,因
子0は試験室,因子1はオペレータ,因子2は測定が行われる日,因子3は繰返しとすればよい。完全枝
分れ実験はその対称性の理由で,この点は重要でないかもしれない。
9.7 枝分れ実験とJIS Z 8402-2に示した手順との比較
JIS Z 8402-2に示した手順は,測定試料の水準ごとに別々に解析されるので,まさしく2因子完全枝分
れ実験であり,併行及び再現標準偏差の二つの標準偏差が求められる。因子0は試験室で,因子1が繰返
しである。もしこの実験計画に,各試験室の二人のオペレータが併行条件でそれぞれ二つの測定結果を得
るというように,因子を一つ追加すると,併行及び再現標準偏差に加えて,オペレータの異なる中間標準
偏差が求められる。この代わりに,各試験室でオペレータを変えずに日を変えて併行条件での測定を繰り
返すならば,この3因子完全枝分れ実験により,時間の異なる中間標準偏差を求められる。各試験室で二
人のオペレータがそれぞれ二つの測定結果を得て,別な日にもう一度同じように測定を実施するというよ
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 14] ―――――
12
Z 8402-3 : 1999 (ISO 5725-3 : 1994)
うに,さらに因子を追加すると,併行標準偏差,再現標準偏差,オペレータの異なる中間標準偏差,時間
の異なる中間標準偏差,オペレータと時間の異なる中間標準偏差を求めることができる。
9.8 完全枝分れ実験とスタッガード型枝分れ実験との比較
n因子完全枝分れ実験ではそれぞれの試験室で2n−1個の測定結果が必要であるが,これは試験室にとっ
て過大な要求になることがある。これがスタッガード型枝分れ実験の主たる論拠となっている。この実験
計画は,解析が少し複雑になり,測定結果の数が少ないために各標準偏差の推定値の不確かさが増大する
けれども,同じ個数の標準偏差を求めるためにより少ない個数の測定結果で足りる。
――――― [JIS Z 8402-3 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS Z 8402-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 5725-3:1994(IDT)
JIS Z 8402-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
JIS Z 8402-3:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用