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Z 8403-1996
(2) 普通特性の場合
A0
L1Δ
= 2
VT
0
A0 2
2Δ
L=
2
Δ0
(3) 望大特性の場合
L1=A0
1
L2=A0 Δ2
手順3 L1とL2との値を比較し,品質水準の判定を行う。例えば,次のように考えて判定する。
(1) 1がL2に比較して十分小さい場合には,品質水準は十分だと判定する。
(2) 1がL2に比較して大きい場合には,品質水準の改善を検討する。
(3) 1がL2に対して同等から21程度の間にある場合は,製品の価格と品質の改善の可能性の
度合いとを勘案して,品質水準の判定を行う。
(4) 品質水準の改善が不可能な場合には,生産者側の損失Aの値を変えてを再検討する。
(5) の再検討が不可能な場合には,全数検査を行うか,材料変更又は設計変更を行う。
例1. 望小特性の例 音響機器の基板に使用している軸受の真円度の規格値が40 機能限界0=
110 平均損失A0=5 000円である。
手順1 現在の製品について真円度を測定した。
データは
38.1 39.5 38.9 39.8 43.8 (
であった。望小特性の平均二乗誤差VTを求める。
1 2 2 2 1
VT= ( y1 y2 yn )=
8 027.55 =1 605.51 (
n 5
手順2 現行の損失L1及び許容最大損失L2を求める。
A0 5 000
LΔ
1= 2
VT= 16 05.51 ≒663.4 (円/個)
0 1102
A0 2 5000
L2= 2 Δ= 2
40 2 ≒661.2 (円/個)
Δ0 110
手順3 L1とL2を比較して,現在の工程の品質水準を判定する。ここでは現行の損失L1が許
容最大損失L2よりもやや大きいので,品質水準の改善を検討する。
例2. 望大特性の例 手提げかばんのハンドルのはめあい強度の規格値が900Nで,機能限界0=
150N,平均損失A0=5 000円,生産者側の損失A=140円である。
手順1 現在の製品について,はめあい強度を測定した。
データは
1 355 1 229 1220 1 464 1 262 (N)
であった。望大特性の平均二乗誤差VTを求める。
1 1 1 1 1
VT= 21 2 2 = ×2.973 0×10−6=5.946 1×10-7 (N−2)
n y y2 yn 5
――――― [JIS Z 8403 pdf 11] ―――――
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Z 8403-1996
手順2 現行の損失L1及び許容最大損失L2を求める。
L1=A0 5 000×1502×5.946 1×10−7≒66.9 (円/個)
1 1
L2=A0 Δ=5
2 000×1502× ≒138.9 (円/個)
9002
手順3 L1とL2とを比較して,現在の工程の品質水準を判定する。ここでは現行の損失L1が
許容最大損失L2よりも十分小さいとみなされるので,現在の製品の品質水準は適正と
判定する。
4. 品質水準の改善
4.1 品質水準の改善の方法 目的とする製品に対する品質水準の改善は,材料,加工機械,付属する機
械,加工条件,工程の管理方法などについて検討することによって行うが,従来の知見では十分に効果が
期待できない場合には,生産技術部門において,次の手順によって改善を検討する。
手順1 製品の特性値に影響を及ぼす加工条件などを取り上げて,その中から重要と推定した因子を
選択する。
手順2 取り上げた各因子に対して,許される範囲内のできるだけ広い範囲で2又は3水準を選ぶ。
手順3 加工者が設定できる因子を制御因子として直交配列表に割り付ける。各制御因子に対して加
工上のばらつきの原因となる条件を誤差因子として選ぶ。実際の加工において発生すると思
われる範囲内で誤差因子の水準を選ぶ。誤差因子を別の直交配列表に割り付ける。
備考 直交配列表としては混合型直交配列表,例えばL18,L36などが使われる。
手順4 制御因子と誤差因子とを組み合わせた実験計画によって実験を行う。
手順5 誤差因子を割り付けた直交配列表による実験のデータから,次の方法によって特性値の種類
に応じてSN比
(1) 動特性の場合 信号因子をMi (i=1,······,k) とする。
信号因子の各水準の繰り返し数をr0とし,yk1,yk2,······,ykr0の繰り返しのデータを
足し合わせてykと表示する。
2 2 2
ST=y11 y12 ykr0
r=r0 (M12+M22+······+Mk2)
1
S= (M1y1 M2 y2 Mkyk ) 2
r
ST S
Ve=
kr0 1
1
r (S Ve)
Ve
dB) =10 log
(2) 望小特性の場合
1 1 21 2 2
= (y y2 yn )
n
dB) =10 log
(3) 普通特性の場合
――――― [JIS Z 8403 pdf 12] ―――――
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Z 8403-1996
ST=y12+y22+······+yn2
1
Sm= ( y1y2 yn) 2
n
ST Sm
Ve=
n 1
1
(Sm Ve)
=n
Ve
dB) =l0 log
(4) 望大特性の場合
1 1 1 1 1
= 2 2 2
n y1 y2 yn
dB) =10 log
手順6 SN比を特性値として,制御因子を割り付けた直交配列表について,各因子の水準ごとのSN
比の和及び平均値を求める。
手順7 効果の大きいと認められる制御因子のSN比の一番大きい水準の組合せが最適成形条件とな
る。
手順8 最適成形条件における品質水準と改善前の品質水準とを比較し,SN比の利得 (dB) を求め
る。確認実験によって利得の再現性を確認する。
例1. 望小特性の場合 エッチング用レジストインキの品質水準が十分ではなく,これを改善するた
めに,エッチング後の外観の評点を特性値とした実験を行った。従来は,検査において,外観
の評点で“中”以下のものは不良品とされていた。
手順1 レジストインキの品質向上に役立つと思われる制御因子として,薬剤の種類,量など
を,附属書2表1のように設定した。
附属書2表1 制御因子及び水準の選択
因子 水準
1 2 3
A : ベースレンジの種類 A1 A2 −
B : アロニックスの種類 B1 B2 B3
C : ベースレンジの配合比 多い 中 少ない
D : 顔料の種類(10部) D1 D2 D3
E : 添加剤Eの添加量 0部 2部 4部
F : 添加剤Fの添加量 0部 0.2部 0.4部
G : 開始剤の種類 G1 G2 G3
H : 開始剤の添加量 2部 6部 10部
手順2 制御因子の水準値を附属書2表1のように設定した。誤差因子はエッチング用試料の
場所として3か所を取った。
手順3 附属書2表2のように,制御因子を直交配列表L18の各列に割り付けた。
――――― [JIS Z 8403 pdf 13] ―――――
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Z 8403-1996
附属書2表2 割付け及び実験結果
行番 因子及び列番 外観の判定 SN比
A B C D E F G H 良 中 不良
1 2 3 4 5 6 7 8 (dB)
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 −2.3
2 1 1 2 2 2 2 2 2 3 0 0 12.0
3 1 1 3 3 3 3 3 3 1 2 0 1.6
4 1 2 1 1 2 2 3 3 2 1 0 4.3
5 1 2 2 2 3 3 1 1 1 1 1 −2.3
6 1 2 3 3 1 1 2 2 1 0 2 −4.3
7 1 3 1 2 1 3 2 3 0 3 0 0.0
8 1 3 2 3 2 1 3 1 1 0 2 −4.3
9 1 3 3 1 3 2 1 2 0 1 2 −4.8
10 2 1 1 3 3 2 2 1 0 1 2 −4.8
11 2 1 2 1 1 3 3 2 3 0 0 12.0
12 2 1 3 2 2 1 1 3 1 1 1 −2.3
13 2 2 1 2 3 1 3 2 3 0 0 12.0
14 2 2 2 3 1 2 1 3 3 0 0 12.0
15 2 2 3 1 2 3 2 1 0 3 0 0.0
16 2 3 1 3 2 3 1 2 2 0 1 −1.4
17 2 3 2 1 3 1 2 3 0 3 0 0.0
18 2 3 3 2 1 2 3 1 0 3 0 0.0
手順4 直交配列表L18の各行の条件の組合せでレジストインキを作成し,エッチングを行い,
試料を作製し,測定した。試料の3か所の外観を限度見本との比較によって,良,中,
不良の3段階に分け,データを取った。データは附属書2表2に示す。
手順5 良,中,不良の分類データに対し,0.25,1.00,2.00の評点を対応させた。この評点は
望小特性である。直交配列表の各行ごとに望小特性のSN比を求める。1行目のSN比
の計算は,次のようになる。
1 1 2 2 2 1
VT= = ( y1 y2 y3 )= .0(252 .100 2 .200 2 )
3 3
=1.687 5
dB) =10 log −2.3 (dB)
手順6 SN比 dB) をデータとして,附属書2表3のように,直交配列表に割り付けた制御
因子の各水準ごとのSN比の和及び平均値を求める。
附属書2表3 因子の水準ごとの和及び平均値
因子 和 平均値
1 2 3 1 2 3
A −0.1 27.5 − −0.01 3.06 −
B 16.2 21.7 −10.5 2.70 3.62 −1.75
C 7.8 29.4 −9.8 1.30 4.90 −1.63
D 9.2 19.4 −1.2 1.53 3.23 −0.20
E 17.4 8.3 1.7 2.90 1.38 0.28
F −1.2 18.7 9.9 −0.20 3.12 1.65
G −1.1 2.9 25.6 −0.18 0.48 4.27
H −13.7 25.5 15.6 −2.28 4.25 2.60
――――― [JIS Z 8403 pdf 14] ―――――
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Z 8403-1996
手順7 附属書2表3から,SN比の平均値の大きい水準の組合せである
A2B2C2D2E1F2G3H2
が最適条件になる。
手順8 エッチング後の外観に大きな効果をもつ要因は,A(ベースレジンの種類),B(アロ
ニックスの種類),C(ベースレジンの配合比),G(開始剤の種類)及びH(開始剤
の添加量)である。これらの条件を用いて,最適条件のSN比及び現状条件のSN比を,
次のように推定した。
なお,現状条件はA1B2C2D2E2F2G2H2である。
最適条件のSN比
(dB)= ( A2 ) (B2 ) (C2 ) (G3 ) (H2 )
=A2+B2+C2+G3+H2−4×
=3.06+3.62+4.9+4.27+4.25−4×1.52
=14.02 (dB)
現状条件のSN比
(dB)= ( A1 ) (B2 ) (C2 ) (G2 ) (H2 )
=A1+B2+C2+G2+H2−4×
=−0.01+3.62+4.9+0.48+4.25−4×1.52
=7.16 (dB)
利得の計算
最適条件のSN比と現状条件のSN比との差,すなわち,利得を求める。
利得=14.02−7.16=6.86 (dB)
1倍
6.86 (dB) の真数は4.85であるので,最適条件での分散は,現状条件の分散の .485
に改善されることが分かった。たがって,最適条件での損失は,現状条件での損失の
1になる。現状条件での損失が50万円であれば,最適条件での損失は約10万円と
.485
なる。
確認実験によって,利得が再現することが確かめられた。
例2. 普通特性の場合 金型加工は3軸同時制御のNC工作機械で行っている。プラスチック製品の品
質向上のために,金型加工の工程能力の改善を目的にして実験を行った。金型加工では,設計
された曲面が正しく金型に生成されることが必要であるので,改善には動特性のSN比を用い
た。
手順1 工作機械の運転条件の中から,附属書2表4に示した因子を制御因子として取り上げ
た。
――――― [JIS Z 8403 pdf 15] ―――――
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JIS Z 8403:1996の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.01 : 品質一般