JIS Z 8462-3:2006 測定方法の検出能力―第3部:検量線がない場合に応答変数の限界値を求める方法 | ページ 3

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Z 8462-3 : 2005 (ISO 11843-3 : 2003)
表 B.2 CRM 142土壌の226 nmにおける原子発光によるカドミウムの応答変数の限界値
基底状態における応答変数の測定回数 30
実際の状態における応答変数の測定回数 3
選択したαの値 0.05
基底状態における応答変数の平均値 2.189 8 mV
実際の状態における応答変数の平均値 2.173 7 mV
基底状態における応答変数の標準偏差 0.0186 mV
この規格に従って計算された応答変数の限界値yc 2.209 mV
応答変数の限界値を超えるものはなく,基底(ブランク)状態と同時に調べたサンプルとの間に差異は
見られなかった。
備考 得られた限界値は,試薬だけを使用した全プロセスの限界値(0.815 mV)より高く,さらに,カ
ドミウムイオンの“純粋な”水溶液に対し機器製造業者が示している限界値(約0.027 mV)を
はるかに上回っており,サンプルのマトリックスが限界値にかなりの影響を及ぼす可能性があ
ることを示している。
参考 上記のデータは,英国ハートフォードシャー,ハーペンデン,ロザムステッドのIACR土壌学
部から提供を受けた。
B.2 例2 滴定法による水中の化学的酸素要求量
この水中の化学的酸素要求量を測定する手順では,酸素要求量が増加するにつれ,有効酸素量は減少し,
逆滴定に用いられる硫酸アンモニウム鉄(III)溶液量は減少するため,検量線が単調減少となることに留意
すべきである。
参考 用いられた方法の詳細は不明である。化学的酸素要求量(酸素消費量COD)の測定方法に関す
るJIS規格としては,JIS K 0102“工場排水試験方法”に3通りの方法(17.,19.,20.)がある。
このうち,ここで記述されているのは“20二クロム酸カリウムによる酸素消費量(CODCr)”に
記載されたものと同様の方法と思われる。その場合,“硫酸アンモニウム鉄(III)”は“硫酸アン
モニウム鉄(II)”の誤りである。
30個のブランクを測定し,滴定に用いた0.060 mol/Lの硫酸アンモニウム鉄(III)溶液量,ミリリットル,
として水中化学的酸素要求量を求めた(表B.3参照)。
表 B.3 滴定法による水中の化学的酸素要求量
滴定に使用された溶液の量
mL
19.77 19.71 19.77 19.94 19.92 19.84
19.77 19.71 19.77 19.91 19.95 19.88
19.78 19.71 19.85 19.94 19.94 19.77
19.78 19.80 19.85 19.91 19.94 19.76
19.76 19.83 19.78 19.91 19.83 19.80
分布の非正規性を調べるためのいろいろな検定(ひずみ,とがり及びシャピロ=ウィルク),並びに外れ
値検定(グラブス片側,グラブス両側)を行ったところ,とがりの検定はα= 0.01で(b2 = 1.737に対し,
棄却限界値は1.79及び5.12),シャピロ=ウィルク検定はα= 0.05で(W = 0.904 5に対し,棄却限界値はα=

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Z 8462-3 : 2005 (ISO 11843-3 : 2003)
0.01で0.900,α= 0.05で0.927) 正規分布といえない,すなわち,正規性からの若干の逸脱が見られた。
これらの検定のうち二つだけが弱い非正規性を示していることから,生データの分布は正規分布に近いと
表現できる。ただし,単純な度数分布プロットでさえ,結果が二つの分布に属する可能性があることを示
している。したがって,実際には,データを提出した試験室に戻り,応答変数データの記録に当たり,何
か規則からの逸脱があったかを確認することが望ましい。データの記録が正確であると判断された場合,
実際のサンプルの1回の測定について応答変数の限界値の計算は,次のとおりである。
応答変数の平均値は by= 19.829 mL,標準偏差はsb = 0.077 4 mLと計算される。
自由度29,α= 0.05の場合,標準的な数表から求めたスチューデントt値(片側)は,t1 - α(v) = t0.95 (29) = 1.699
である。
本体の式(5)を用いた場合,この検量線の減少性から分散項を基底状態での応答変数の平均値(に加える
のではなく)から差し引く必要があるため,実際の状態の測定に関する応答変数の限界値は小数点以下2
けたまで求めると,次のようになる。
1
cy=19.829−1.699×0.077 4×
1
30
=19.829−0.133 7 mL
=19.70 mL
結果を,表B.4にまとめた。
表 B.4 滴定法による水中の化学的酸素要求量に関する応答変数の限界値
基底状態における応答変数の測定回数 30
実際の状態における応答変数の測定回数 1
選択したαの値 0.05
基底状態における応答変数の平均値 19.829 mL
基底状態における応答変数の標準偏差 0.077 4 mL
この規格に従って計算された応答変数の限界値yc 19.70 mL
実際の(試験)サンプルでは,0.060 mol/Lの硫酸アンモニウム鉄(III)の滴定量が19.70 mLを下回るこ
とはないため,基底(ブランク)状態と同時に調べたサンプルの間に差異はない。
参考 上記のデータは,ISO/TC 147“水質”の文書から引用した。

JIS Z 8462-3:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11843-3:2003(IDT)

JIS Z 8462-3:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8462-3:2006の関連規格と引用規格一覧