JIS Z 8462-4:2006 測定方法の検出能力―第4部:与えられた値が検出可能か否かの判定方法

JIS Z 8462-4:2006 規格概要

この規格 Z8462-4は、校正関数(検量線)が直線であり,かつ,残差標準偏差の値と正味状態変数の値との間に特定の関係がある,というJIS Z 8462-2の前提条件を仮定しない場合の測定方法の検出能力の評価について規定。

JISZ8462-4 規格全文情報

規格番号
JIS Z8462-4 
規格名称
測定方法の検出能力―第4部 : 与えられた値が検出可能か否かの判定方法
規格名称英語訳
Capability of detection -- Part 4:Methodology for comparing the minimum detectable value with a given value
制定年月日
2006年11月20日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 11843-4:2003(IDT)
国際規格分類

ICS

03.120.30, 17.020
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2006-11-20 制定日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS Z 8462-4:2006 PDF [10]
                                                                Z 8462-4 : 2006 (ISO 11843-4 : 2003)

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準
原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大
臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
制定に当たっては,日本工業規格(日本産業規格)と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格(日本産業規格)の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 11843-4:2003,Capability of detection
−Part 4: Methodology for comparing the minimum detectable value with a given valueを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 8462-4には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定)この規格で用いる記号
附属書B(参考)検出能力が十分か否かの判定の計算例
JIS Z 8462の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 8462-1 第1部 : 用語及び定義
JIS Z 8462-2 第2部 : 検量線が直線である場合の方法
JIS Z 8462-3 第3部 : 検量線がない場合に応答変数の限界値を求める方法
JIS Z 8462-4 第4部 : 与えられた値が検出可能か否かの判定方法

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS Z 8462-4 pdf 1] ―――――

Z 8462-4 : 2006 (ISO 11843-4 : 2003)

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1. 適用範囲・・・・[1]
  •  2. 引用規格・・・・[2]
  •  3. 定義・・・・[2]
  •  4. 実験計画・・・・[2]
  •  4.1 一般的事項・・・・[3]
  •  4.2 参照状態及び標準物質の選択・・・・[3]
  •  4.3 繰返し回数・・・・[3]
  •  5. 検出能力が十分か否かの判定基準・・・・[3]
  •  5.1 基本的仮定・・・・[3]
  •  5.2 応答変数の限界値・・・・[3]
  •  5.3 正味状態変数の与えられた値を検出する確率・・・・[4]
  •  5.4 検出能力が十分か否かの判定基準の確認・・・・[4]
  •  6. 検出能力の評価結果の報告・・・・[5]
  •  7. 結果の報告・・・・[5]
  •  附属書A(規定)この規格で用いる記号・・・・[6]
  •  附属書B(参考)検出能力が十分か否かの判定の計算例・・・・[7]
  •  参考文献・・・・[8]
  •  解 説・・・・[9]

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS Z 8462-4 pdf 2] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8462-4 : 2006
(ISO 11843-4 : 2003)

測定方法の検出能力−第4部 : 与えられた値が検出可能か否かの判定方法

Capability of detection - Part 4: Methodology for comparing the minimum detectable value with a given value

序文

 この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 11843-4,Capability of detection−Part 4:
Methodology for comparing the minimum detectable value with a given valueを翻訳し,技術的内容及び規格票
の様式を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
ある状態変数に関する測定方法の検出能力についての理想的な条件は,観測した各測定対象系の実際の
状態が,基底状態と等しいか又は異なるかということを確実に識別できることである。しかし,実際には,
系統誤差及び偶然誤差のために,次のような理由で,この理想的な条件を満たすことはできない。
a) 基底状態を含むすべての参照状態は,その状態変数については未知であるというのが実情である。し
たがって,すべての状態は,基底状態との差,すなわち,正味状態変数としてだけ正しく特性付けら
れる。
b) 誤った判定をしないために,基底状態との差の数値,すなわち,正味状態変数の値としてデータを報
告することが一般的に推奨されている。
備考 JIS Q 0030及びJIS Z 8461では,状態変数と正味状態変数とを区別していない。その結果,こ
れらの規格では,正当な理由なしに参照状態の状態変数が既知であるとみなしている。
c) さらに,校正の段階並びにサンプリング及び試料調製の過程で,測定結果にランダムな変動が加わる。
この規格では,
− 測定対象系が基底状態にあるとき,これが基底状態にないものと誤って判定する確率をαとする。
− 正味状態変数の値が検出可能な最小値(xd)に等しい測定対象系について,これが基底状態にあるものと
誤って判定する確率をβとする。

1. 適用範囲

 この規格は,校正関数(検量線)が直線であり,かつ,残差標準偏差の値と正味状態変数
の値との間に特定の関係がある,というJIS Z 8462-2の前提条件を仮定しない場合の測定方法の検出能力
の評価について規定する。
備考 これらの仮定は,正味状態変数の値がゼロに近い場合には,疑わしいことが多い。
この規格は,検出可能な最小値を推定する代わりに,次のことについて規定する。
− 検出可能な最小値が正味状態変数の与えられたレベルを下回るか否かの判定基準
− この基準に適合するかどうかを試験するための基礎的な実験計画
測定方法の妥当性確認の一部として検出能力を評価する場合,測定方法の検出可能な最小値が,与えら

――――― [JIS Z 8462-4 pdf 3] ―――――

2
Z 8462-4 : 2006 (ISO 11843-4 : 2003)
れた値より小さいことを確認するだけで十分である場合が多い。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 11843-4:2003,Capability of detection−Part 4: Methodology for comparing the minimum
detectable value with a given value (IDT)

2. 引用規格

 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用
する。
JIS Z 8101-1 統計−用語と記号−第1部 : 確率及び一般統計用語
備考 ISO 3534-1:1993, Statistics−Vocabulary and symbols−Part 1: Probability and general statistical
termsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8101-2 統計−用語と記号−第2部 : 統計的品質管理用語
備考 ISO 3534-2:1993, Statistics−Vocabulary and symbols−Part 2: Statistical quality controlからの
引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8101-3 統計−用語と記号−第3部 : 実験計画法
備考 ISO 3534-3:1999, Statistics−Vocabulary and symbols−Part 3: Design of experimentsが,この
規格と一致している。
JIS Z 8402-2 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部 : 標準測定方法の併行精度及
び再現精度を求めるための基本的方法
備考 ISO 5725-2:1994, Accuracy (trueness and precision) f measurement methods and results−Part 2:
Basic method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement
methodが,この規格と一致している。
JIS Z 8461 標準物質を用いた校正(検量線が直線の場合)
備考 ISO 11095:1996, Linear calibration using reference materialsが,この規格と一致している。
JIS Z 8462-1 測定方法の検出能力−第1部 : 用語及び定義
備考 ISO 11843-1:1997, Capability of detection−Part 1: Terms and definitionsが,この規格と一致
している。
JIS Z 8462-2 測定方法の検出能力−第2部 : 検量線が直線である場合の方法
備考 ISO 11843-2:2000, Capability of detection−Part 2: Methodology in the liner calibration caseが,
この規格と一致している。
JIS Q 0030 標準物質に関連して用いられる用語及び定義
備考 ISO Guide 30:1992, Terms and definitions used in connection with reference materialsが,この
規格と一致している。
ISO 5479:1997, Statistical interpretation of data−Tests for departure from the normal distribution

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8101(すべての部),JIS Q 0030,JIS Z 8402-2,JIS
Z 8461,JIS Z 8462-1及びISO 5479による。

――――― [JIS Z 8462-4 pdf 4] ―――――

                                                                                              3
Z 8462-4 : 2006 (ISO 11843-4 : 2003)

4. 実験計画

4.1 一般的事項

 対象とする測定方法は,標準化されているものと仮定する。参照状態であれ,又は実
際の状態(試験サンプル)であれ,すべての測定には同じ一連の測定手順を用いる。

4.2 参照状態及び標準物質の選択

 参照状態には,次の正味状態変数の二つの値を含める。
− 正味状態変数がゼロの場合(すなわち,分析化学におけるブランク物質のサンプル)
− 検出可能な最小値よりも大きいかどうかを判定するために試験する,与えられた値xg
標準物質及び試験対象物質(試験サンプル)は,測定系において同様の挙動をする必要があるため,参
照状態を表す標準物質の組成は,測定する物質の組成にできる限り近いことが望ましい。

4.3 繰返し回数

 検出能力は,4.2に規定する両方の参照状態について同じ繰返し回数の実験を別々に繰
り返して評価することが前提になっている。この測定方法を用いるときは,標準物質(正味状態変数のゼ
ロ値を表す)及び実際の状態を測定する。この測定方法を用いるときの繰返し回数は,一般に,この測定
方法の検出能力を評価するための繰返し回数よりも少ない。ここでは,次の記号を用いる。
− J : この測定方法を用いるときの,正味状態変数のゼロ値を表す標準物質(ブランクサンプル)の測定
の繰返し回数
− K : この測定方法を用いるときの,実際の状態(試験サンプル)の測定の繰返し回数
− N : 検出能力を評価するときの,各標準物質(4.2参照)の測定の繰返し回数
Nの値は,5以上であることが望ましい。
備考 方法の妥当性確認では,通常,J=K=1で検出能力を求める。

5. 検出能力が十分か否かの判定基準

5.1 基本的仮定

 この規格における基本的な仮定は,次のとおりとする。
− すべての物質の応答変数の測定は,独立であり,かつ,正規分布に従う。
− 標準物質及び試験対象物質(試験サンプル)は,測定系において同様に挙動する。

5.2 応答変数の限界値

 一般に,試験サンプルの正味状態変数がゼロであるという仮説を,試験サンプ
ルの応答と,基底状態にあるサンプル(ゼロに等しい正味状態変数をもつことが分かっているブランクサ
ンプル)の応答とを比較して(ランダム化実験において)検定するとき,試験サンプルの応答(K回の測
定の平均値)の限界値は,次の式で求める。
1 1
yc yb z1 b (1)
J K
この規格で用いる記号の意味を,附属書Aに示す。
正味状態変数が増加するに従って応答変数が減少する場合,応答の限界値は,次の式で求める。
1 1
yc yb z1 b (2)
J K
ここに, yc : 下限値
参考 式(1)及び式(2)から分かるように,(正味状態変数がゼロであると分かっている場合の)応答変
数の限界値は,測定回数によって変化する。すなわち,測定回数が多くなれば正味状態変数の
検出可能な最小値が小さくなることに留意する必要がある。

――――― [JIS Z 8462-4 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS Z 8462-4:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11843-4:2003(IDT)

JIS Z 8462-4:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8462-4:2006の関連規格と引用規格一覧