この規格ページの目次
JIS Z 8462-3:2006 規格概要
この規格 Z8462-3は、合理的に予想されるほとんどの目的に適合し,正味の状態変数の値がゼロになるように選ばれた参照状態に対し,その参照状態で繰り返し測定して得た測定値の平均値及び標準偏差から,応答変数の限界値について推定する方法を規定。
JISZ8462-3 規格全文情報
- 規格番号
- JIS Z8462-3
- 規格名称
- 測定方法の検出能力―第3部 : 検量線がない場合に応答変数の限界値を求める方法
- 規格名称英語訳
- Capability of detection -- Part 3:Methodology for determination of the critical value for the response variable when no calibration data are used
- 制定年月日
- 2006年1月20日
- 最新改正日
- 2015年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 11843-3:2003(IDT)
- 国際規格分類
ICS
- 03.120.30, 17.020
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 2006-01-20 制定日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
- ページ
- JIS Z 8462-3:2006 PDF [12]
Z 8462-3 : 2005 (ISO 11843-3 : 2003)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準
原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大
臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
制定に当たっては,日本工業規格(日本産業規格)と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格(日本産業規格)の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 11843-3:2003,Capability of detection
−Part 3: Methodology for determination of the critical value for the response variable when no calibration data are
usedを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 8462-3には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定)この規格で用いる記号
附属書B(参考)例
JIS Z 8462の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 8462-1 第1部 : 用語及び定義
JIS Z 8462-2 第2部 : 検量線が直線である場合の方法
JIS Z 8462-3 第3部 : 検量線がない場合に応答変数の限界値を求める方法
(pdf 一覧ページ番号 1)
――――― [JIS Z 8462-3 pdf 1] ―――――
Z 8462-3 : 2005 (ISO 11843-3 : 2003)
pdf 目 次
ページ
- 序文・・・・[1]
- 1. 適用範囲・・・・[2]
- 2. 引用規格・・・・[2]
- 3. 定義・・・・[3]
- 4. 実験計画・・・・[3]
- 4.1 一般的事項・・・・[3]
- 4.2 正味状態変数の値がゼロである参照状態の選択・・・・[3]
- 4.3 繰返し・・・・[3]
- 5. 応答変数の限界値yc の算出・・・・[4]
- 5.1 基本的方法・・・・[4]
- 5.2 実際の計算・・・・[5]
- 5.3 限界値の報告及びその利用・・・・[6]
- 附属書A(規定)この規格で用いる記号・・・・[7]
- 附属書B(参考)例・・・・[8]
――――― [JIS Z 8462-3 pdf 2] ―――――
日本工業規格(日本産業規格) JIS
Z 8462-3 : 2005
(ISO 11843-3 : 2003)
測定方法の検出能力−第3部 : 検量線がない場合に応答変数の限界値を求める方法
Capability of detection-Part 3 : Methodology for determination of the critical value for the response variable when no calibration data are used
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 11843-3:2003,Capability of detection−Part 3:
Methodology for determination of the critical value for the response variable when no calibration data are usedを翻
訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
ある状態変数に関する測定方法の検出能力についての理想的な条件は,観測された各測定対象系の実際
の状態が,基底状態と等しいか又は異なるかということを確実に識別できることである。しかし,実際に
は,系統的及び偶然の誤差のために,次のような理由で,この理想的な条件を満足することはできない。
参考 表現を変えると,“ある目的成分の測定方法の検出能力は,理想的には,測定値がブランクと同
じか違うのかを区別できるかどうかで決められる。しかし,実際には系統誤差及びランダムな
ばらつきがあり,次の理由でそう簡単には決められない。”といえる。
− 基底状態を含むすべての参照状態は,その状態変数については未知であるというのが実情である。し
たがって,すべての状態は基底状態との差,すなわち正味状態変数としてだけ正しく特性付けられる。
参考 同様に“事実,ブランクと種々の既知量の成分を含む標準物質とを測定してもその絶対値は分
からない。したがって,すべての定量値は,ブランクとの差,すなわち正味の定量値としてだ
けその特性値が正しく示せる。”と解釈することができる。
備考 JIS Q 0030及びJIS Z 8461においては,状態変数と正味状態変数とが区別されていない。その
結果,これらの文書においては,特に断わらずに参照状態の状態変数が既知であるとみなして
いる。
− 校正の段階とサンプリング及び試料調製過程において,測定結果にランダムな変動が加わる。
参考 すなわち,“検量線の作成と試料採取及び試料調製過程において,測定値のランダムなばらつき
が増加する”ということを述べている。
この規格では,測定対象系が基底状態にあるとき,これが基底状態にないものと(誤って)判定する確
率を
参考 表現を変えると,“測定対象のサンプルがブランクの状態にあるときに,これがブランクの状態
ではないと(誤って)判定してしまう確率を ‰謠 といえる。
また,“応答変数の限界値”は,応答変数がその値を超えると,あらかじめ定めた 下の誤
りの確率で,観測した測定対象系が基底状態(ブランク状態)ではないと判定される正味の(ブ
ランクを差し引いた)値である。
――――― [JIS Z 8462-3 pdf 3] ―――――
2
Z 8462-3 : 2005 (ISO 11843-3 : 2003)
1. 適用範囲
この規格は,合理的に予想されるほとんどの目的に適合し,正味の状態変数の値がゼロに
なるように選ばれた参照状態に対し,その参照状態で繰り返し測定して得た測定値の平均値及び標準偏差
から,応答変数の限界値について推定する方法(5.1を参照)を規定する。これによって,目的とする実際
の状態(又は試験サンプル)の応答変数の値が,限界値を超えているかどうかを判定することができる。
応答変数の限界値及び正味状態変数の限界値並びに検出可能な最小正味状態変数値を求めるための一般
的な手順は,JIS Z 8462-2に規定されている。これらの手順は,検量線が直線であり,応答変数の残差標
準偏差が一定であるか又は正味状態変数の一次関数になる場合に適用することができる。この規格で規定
する手順は,応答変数の限界値を求めるために,検量線を用いることができない場合に限って適用される
ことが望ましい。ここでは,データの分布が,正規分布,又は正規分布に近い分布であることを仮定して
いる。
この規格で規定する手順は,基底状態で数多くの測定値を得ることはできるが,目的とする実際の状態
では数多くの測定値を得ることが難しい場合に適用することが望ましい。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 11843-3:2003,Capability of detection−Part 3: Methodology for determination of the critical value
for the response variable when no calibration data are used (IDT)
2. 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構
成する。これらの引用規格のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこ
の規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Q 0030 標準物質に関連して用いられる用語及び定義
備考 ISO Guide 30,Terms and definitions used in connection with reference materialsが,この規格と
一致している。
JIS Z 8101-1 統計−用語と記号−第1部 : 確率及び一般統計用語
備考 ISO 3534-1,Statistics−Vocabulary and symbols−Part 1 : Probability and general statistical terms
からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8101-2 統計−用語と記号−第2部 : 統計的品質管理用語
備考 ISO 3534-2,Statistics−Vocabulary and symbols−Part 2: Statistical quality controlからの引用事項
は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8101-3 統計−用語と記号−第3部 : 実験計画法
備考 ISO/FDIS 3534-3,Statistics−Vocabulary and symbols−Part 3: Design of experimentsが,この規
格と一致している。
JIS Z 8402-2:1999,測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部 : 標準測定方法の併行
精度及び再現精度を求めるための基本的方法
備考 ISO 5725-2:1994,Accuracy (trueness and precision) f measurement methods and results−Part 2:
Basic method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement
methodが,この規格と一致している。
JIS Z 8461:2001,標準物質を用いた校正(検量線が直線の場合)
――――― [JIS Z 8462-3 pdf 4] ―――――
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Z 8462-3 : 2005 (ISO 11843-3 : 2003)
備考 ISO 11095:1996,Linear calibration using reference materialsが,この規格と一致している。
JIS Z 8462-1:2001,測定方法の検出能力−第1部 : 用語及び定義
備考 ISO 11843-1:1997,Capability of detection−Part 1: Terms and definitionsが,この規格と一致し
ている。
JIS Z 8462-2:2003,測定方法の検出能力−第2部 : 検量線が直線である場合の方法
備考 ISO 11843-2:2000,Capability of detection−Part 2: Methodology in the linear calibration caseが,
この規格と一致している。
ISO 5479:1997,Statistical interpretation of data−Tests for departure from the normal distribution
3. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8101(すべての部),JIS Q 0030,JIS Z 8402-2,JIS
Z 8461,JIS Z 8462-1,及びISO 5479による。
4. 実験計画
4.1 一般的事項
ここでは,対象となっている特定の条件の下で正味状態変数の非常に低いレベルでの
校正が行われていないか,又は不可能である場合を想定しているが,測定方法は標準化され,類似タイプ
の測定に対して校正されていることが分かっているものとする。状態変数の値がゼロである参照状態のす
べての繰返し測定に対しても,応答変数の限界値を求めるために必要な一連の測定での実際の状態(試験
サンプル)に対するのと同じ測定方法全体を用いなければならない。
実際の状態の測定の順序は,基底状態(ブランク状態)の測定の間にランダム化して入れなければなら
ない。
応答変数が負の値となっても,捨てたり変えたりしてはならない。例えば,負の値をゼロに置き換えて
はならない。
4.2 正味状態変数の値がゼロである参照状態の選択
この規格で規定する手順における仮定の一つは,
選択された参照状態における正味状態変数の値がゼロであるということである。このような主張に関して
期待される確実性はJIS Z 8462-2の4.1で次のように規定しているように,実際には,参照状態は,純粋
な状態変数ではなく,(仮定上の)基底状態との差としてだけ知ることができる。この規格では,参照水準
を,使用されている方法によって測定される可能性のある水準よりかなり低くすれば十分である。
基底状態が標準物質の調製によって作成される場合には,その組成は測定される物質の組成にできる限
り近いものでなければならない,すなわち,分析化学では,選択されたブランク物質のマトリックスは,
一連の測定で試験されている目的のサンプルと同じではないとしても,あらゆる面で非常に類似していな
ければならない。他の物質又は成分の存在,若しくはサンプルの物理的状態による影響は,非常に大きい
場合もある。特に溶液を試験する場合,測定方法で一般にみられる溶媒抽出物の代わりに純粋な溶媒を用
いることは認められない。
4.3 繰返し
4.3.1 繰返し回数,J 平均及び標準偏差のよい推定値が得られるように,基底状態で使用される方法に
よる応答変数は,手順全体についての十分な繰返し数(J回)測定されなければならない。応答変数が正
規分布又は正規分布に近い分布に従っているかどうかを知るためには,分布を調べるための十分なデータ
を得ることが重要である。約30個の測定値が得られれば,約95 %の確率で標準偏差の推定値が真の値と
30 %以上違わないことが一般に保証される。
備考 状況によっては,使用できる物質の量の制約又はその他の理由で,上記の測定回数を実施でき
――――― [JIS Z 8462-3 pdf 5] ―――――
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JIS Z 8462-3:2006の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11843-3:2003(IDT)
JIS Z 8462-3:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
JIS Z 8462-3:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ0030:2019
- 標準物質―選択された用語及び定義
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用
- JISZ8101-3:1999
- 統計―用語と記号―第3部:実験計画法