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副目標 : 交通手段を決める。
タスク : 飛行機と電車とを比較する。
副目標 : チケットを入手する。
タスク : クレジットカードを使ってチケットを購入する。
副目標 : 移動する。
一般的に,ユーザビリティを考慮する特定の目標は,利用状況に含まれる様々な目標の中から抽出する。
また,特定した目標以外の目標を導くことは,利用状況を分析する上で重要である。
注記4 ユーザビリティを考慮しない,外部によって課された目標(例えば,規制又は組織文化によ
る)は,システム,製品又はサービスを利用する際のユーザビリティを達成することに制限
を加える場合がある。
7.4 利用状況におけるタスク
タスクは,目標を達成するために行われる一つ以上の活動で構成したものである。
活動の様々な組合せは,同じ目標を達成する異なる方法を提供し,ユーザビリティのレベルに影響する
可能性がある。
例1 銀行口座から現金を引き出すという目標は,人が銀行へ行き,カウンターで引き出す方法及び
コンビニエンスストアでATMを使うなど,様々な方法で達成可能である。
注記1 設計のために利用状況の一部としてタスクを考慮する場合は,現行のタスク,タスクを遂行
する新たな方法,及び具体的な支援タスクを考慮することが重要である。
タスクを構成する活動の特徴,例えば,習慣,既成概念,文化的慣習と同様に頻度,期間,複雑さ,依
存及び相互依存のような関係は利用状況の一部である。さらに,タスクを構成する活動の詳細も重要であ
る(例えば,タスクの活動がどの程度融通が利くか,どのタスクを実行するか,どのようにタスクを実行
するかを特定すること)。
注記2 ユーザがタスクを遂行する方法は,ほかのタスクを遂行する方法及びそのユーザビリティに
影響を与える可能性がある。
例2 新しいタスクを遂行する場合,効率的な方法を調べるよりもユーザはほかのタスクで慣れた方
法を使おうとする。例えば,初めて振り込みをするときに,ATMを使わずに,使い慣れている
銀行窓口を使う。
タスクを遂行するために規定された方法は,ユーザが特定の目標を達成するためにタスクを遂行する実
際の方法とは異なる可能性がある。
注記3 タスクを遂行する既定の方法と実際の方法との不一致が生じた場合,利用状況に関する重要
な情報が得られる可能性がある。利用状況を特定する際に,既定の方法でタスクを遂行する
ことに妥当な理由があるかを確認することが重要である。
例3 ある組織では情報漏えい(洩)を防ぐために上級管理者が全ての情報交換の内容を承認する決
まりがある。しかし,その組織の従業員が,ほかの組織にいる同僚と直接会って情報交換する
方が,より効果的かつ効率的であることに気付いた。
7.5 資源
7.5.1 概要
利用状況は特定の目標を達成するための再利用可能な資源及び利用可能な資源を含む。
7.5.2 再利用可能な資源
再利用可能な資源は,ユーザがタスクを実行している間にシステム,製品又はサービスと共に利用され,
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タスクの完了に不可欠な機器,アプリケーション,情報及びサポートを含む。
a) 機器及びアプリケーションは,ハードウェア,ソフトウェア及びその他の物理的な製品(例えば,事
務机)を含む。
注記 システム,製品又はサービスと共に利用される製品には,家具,個人用保護具又はバッテリー
充電器が含まれる可能性がある(再利用が不可能な場合,これらの製品の幾つかは消耗品とな
る。)。
b) 情報には,(ハードウェア,ソフトウェア又は紙のような物理手段によって提供されるかどうかにかか
わらず)ユーザが利用するデータ(例えば,道路標識又はレシピ)が含まれ,各タスクの達成を助け
る。
c) サポートは支援技術を含むあらゆるサービス(人的又はシステムベース)を含み,特定の目標を達成
するためにユーザが利用する。
7.5.3 利用可能な資源
利用可能な資源は,時間,人間の労力,資金及び資材を含む(6.3参照)。
注記1 利用可能な資源は,システム,製品又はサービスの一部(例えば,プリンタ用紙)を含む。
利用可能な資源に対する制約条件によって消費は制限される。そのため,その制約条件は利用状況にお
ける重要な部分である。
注記2 エネルギー及び通信は,利用可能な資源とみなすことができる。エネルギー(例えば,電気
的,化学的又は機械的)及び通信(例えば,インターネット,携帯電話網)は利用可能な資
源であると同時に再利用可能な資源である。これらの資源の利用手段の提供は,技術的環境
の要素である(7.6.2参照)。
7.6 環境
7.6.1 概要
利用状況は,ユーザビリティに影響を与える技術的,物理的及び社会的,文化的及び組織的環境を含む。
注記 一般に,環境は利用状況の一部とみなすことができる制約条件を創り出す。
7.6.2 技術的環境
技術的環境は,再利用可能な資源(7.5.2参照)及び利用可能な資源(7.5.3参照)を利用できる又は制限
する環境の構成要素から成る。
技術的環境には,一般に,家具,商品,操作機器,エネルギー(例えば,電気的,化学的又は機械的)
及び通信(例えば,インターネット,携帯電話網)のような資源の利用手段を含む。
7.6.3 物理的環境
物理的環境は,次を含む。
− 建築環境
− 空間,温熱,聴覚的及び視覚的な条件,並びに安定性及び振動
− 地理的及び地形的特徴
− 気象条件
− 時間帯及び季節
7.6.4 社会的,文化的及び組織的環境
社会的,文化的及び組織的環境は次を含む。
− その他の人々(ステークホルダを含む。)
− 人間の役割及び関係
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− 組織構成
− 言語
− 法律
− 規範及び価値観並びに働き方
− 単独又はグループの一部としての利用
− プライバシー
8 ユーザビリティの概念の適用
8.1 様々なシステム,製品又はサービスを利用した成果として生じるユーザビリティ
ユーザビリティは,ユーザが関わる全ての状況に関係する。ユーザビリティの概念は,広範なシステム,
製品及びサービスの利用に適用できる。
注記 ユーザビリティの概念の最も一般的な適用場面は,設計,開発及び評価である。
この概念を適用するには,特定の利用状況を利用することを考えず,システム,製品又はサービスを明
確にすることが重要である。
ユーザビリティは,次を含む様々な範囲及び複雑さのレベル(複雑な全体システム,個々のシステム,
製品,サービス又は環境の構成要素に至るまで)の下で検討する。
a) システム
− 典型的なインタラクティブシステムとは,ユーザの入力を受け,出力を伝えるハードウェア,ソフ
トウェア,及び/又はサービスの組合せである。
− システムは製品,サービス及び建築環境(例えば,建築物及び車椅子のための通路)を含み,階層
及び入れ子の構造をもつ。
− 建築環境にユーザがいる場合,建築物の中にいるとき,又は建築物を出入りする際に,案内板など
を利用して環境とインタラクションする可能性がある。
注記 更に複雑なシステムでは,システムとインタラクションする人々との間に,多くのインタフェ
ースがある。
例1 コンビナートには,中央制御室,分散した複数の制御室,特殊なツール及び材料を取り扱うた
めの装置がある。これらは,システム全体を使うために,複数の人々によって使われるもので
ある。
b) 製品
− 製品とは一般に,単独で動作する人工物である。
− 製品には,物体,ソフトウェア製品及びその他の無形製品を含む。
− 典型的な物理的製品は,容易に触れて確認できるインタフェース(例えば,コップのようなインタ
ラクティブではないインタフェースを含む。)を備えている。
− 複雑な製品においては,製品全体又はその一部(例えば,こん包)について,ユーザビリティを評
価する。
c) サービス
− サービスは,複数の個別のサービス(例えば,携帯電話契約のための手続き,工事,保守等の個別
のサービス)から構成され,ユーザに価値ある結果を提供する。
ユーザとサービスとのインタフェースは,情報及びその他の無形物だけでなく,サービスを担う人々の
場合がある。
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注記 ユーザビリティは一般に,人為的に構築されたシステム,製品及びサービスに関して考慮する
が,環境の中で自然に生じるシステムの評価にも適用できる。
例2 目的地に到達するための経路のユーザビリティは,道の勾配及びユーザの能力を考慮して評価
する。
ユーザビリティを向上させるための設計及び評価では,システム,製品又はサービスの一つ以上のイン
タラクションに焦点を当てる。それらのユーザは一つ以上の目標の達成を目指している。
8.2 ユーザビリティのために求められるユーザ,タスク及び環境の特性
ユーザビリティを向上させるための設計及び評価では,意図した目標を達成するために,利用状況の各
構成要素の特性を特定する。
a) ユーザに必要とされる能力及び特性(例えば,技能又は専門知識)
b) 目標達成に必要なタスクの適切な特性(例えば,タスクの複雑さ,又はシステムがタスクを支援する
度合い)
c) 資源に求められる属性(例えば,インターネット接続の速さ,又は入手可能なデータの質)
d) 環境に求められる特性(例えば,温度又はユーザへの支援若しくは訓練が必要かどうか)
8.3 設計・開発において達成すべきユーザビリティ
ISO 9241-210:2019は,ユーザビリティを達成するための一連の人間中心設計の活動を明らかにしている。
a) 利用状況の理解及び明示では,適切な利用状況が何であるかを明らかにし,その情報を,要求の仕様
化,並びに設計解の開発及び評価に利用できるようにする。
b) ユーザ要求事項の明示においては,関連するユーザビリティの要求事項(すなわち,特定の利用状況
における効果,効率及び満足の基準)を明らかにする。
c) 設計解の作成においては,使いやすい設計解を作るために,人間工学的知識及びプロトタイプを利用
するとともに,利用状況及びユーザ要求事項を活用する。
d) 評価結果を提供するために,設計解を評価する(表A.1には,ユーザビリティ評価のための様々なア
プローチをまとめている。)。
ISO 9241-220:2019には,人間中心設計による成果を達成するために,組織的に人間中心設計を支援し,
実行するプロセスが記載されている。
注記 ISO 9241シリーズのほかのパートでは,製品,システム及びサービスの設計に適用してそのユ
ーザビリティを高めるための,より具体的な指針を提供している。例えば,JIS Z 8520:2008及
びISO 9241-112:2017では,ソフトウェアのユーザビリティに関連する原則及び高度な指針を提
供している。ISO/IEC 2506xシリーズのCommon Industry Formats(CIF)の規格では,インタラ
クティブシステムのユーザビリティを明示したり評価したりする際の情報項目を定義している。
8.4 調達におけるユーザビリティ
ユーザビリティを向上させるための設計及び評価は,組織及び個人による調達において,次の利益があ
る。
− 入手,及び利用されるシステム,製品又はサービスについて,要求されるユーザビリティを確認し,
実際のユーザビリティと比較できるようにする(JIS X 25062:2017及びISO/TS 20282-2:2013を参照)。
− 意図した利用状況を特定するための原則並びに効果,効率及び満足の基準を提供する。
− 利用状況を無視した機能及び特徴に基づく比較ではなく,ユーザ要求に焦点を当てた包括的なアプロ
ーチをとる。
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8.5 再検討又は比較の際のユーザビリティ
ユーザビリティを向上させるための設計及び評価は,システム,製品又はサービスの再検討において,
次の利点がある。
− システム,製品又はサービスの再検討又は比較のために用いる利用状況を明確に仕様化できる
(ISO/IEC 25063:2014参照)。
− 公正で適切なユーザ指向の基準を提供する。
− 消費者指向を促進する。
− 新しい技術を比較調査するための原則を提供する。
8.6 マーケティング及び市場調査へのユーザビリティの活用
マーケティング及び市場調査においてのユーザビリティを考慮することの活用例を次に示す。
− 様々な市場セグメントへの様々なユーザ要求が認識できる。
− 製品の特徴又は性質の順位付けができる。
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JIS Z 8521:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-11:2018(MOD)
JIS Z 8521:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学