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b) 比較する色面の大きさと観察距離は,視角で約2度又は約10度になるようにしなければならない。そ
れより大きい場合は,無彩色のマスクを使って,約2度又は約10度視野の観察条件に整える。
c) 表3に代表的な観察距離とマスクの開口の大きさを示す。
表3 観察距離及びマスクの開口の寸法
単位 mm
2度視野の場合 10度視野の場合
観察距離 開口寸法 観察距離 開口寸法
300 11×11 300 54×54
500 18×18 500 87×87
700 25×25 700 123×123
900 32×32 900 158×158
10.2 参考標準 十分に色の耐久性をもつ標準色を参考標準色に用いるものとする。参考標準色は,可能
な限り,試料色と同じ大きさで,同じ光沢,同じ表面のテクスチャーをもっていなければならない。
11. 色比較の手順
11.1 通常の方法
a) 二つの試料色か,試料色と参考標準色などを,北空昼光の下か又は色比較用ブースの常用光源の下で
見比べる。
b) これらの試料色を目から約500mm離して,同じ平面上に隣接させて並べ配置する。
c) 試料色と参考標準色又は標準材料から作った色とを比較する。
d) 比較の精度を向上させるため,ときどき試料色の位置を入れ替えて比較する。
e) メタリック仕上げのような特別な表面の場合の観察方法は受渡当事者間の協定による。
f) 光沢が著しく異なる色を比較するときの観察方法は受渡当事者間の協定による。
g) 試料色は,北空昼光か又は色比較用ブースのどちらで観察しても差し支えない。
11.2 北空昼光の下での観察
a) 光沢の差が最小になるような角度,つまり,鏡面反射光が目に入らないように,例えば,法線に近い
方向から試料色を観察する。
b) 色相,彩度及び明度の各色差成分の目立つ順序を明らかにして,これらの色差成分を観察する。
c) 例えば,試料色が参考標準色より,やや黄みに,わずかに暗い,ごくわずかに彩度が低い,又は附属
書Bの成分差の等級表を用いて,DH : 3ye, DL : −2, DC : −1と記録する。
11.3 色比較用ブースでの観察
a) 0度方向からの照明では45度方向から観察するか,又はその逆の方向で,試料色を観察する。
b) 11.2. b) ) に示したように,総合色差か又は色差成分を観察する。
11.4 判定方法 もし問題があって,代替えの光源を受渡当事者間で合意できないときは,CIE標準の光
D65に適用した常用光源の下で比較を行うものとする。
12. 条件等色度の評価
12.1 条件等色 試料色が,参考標準色と異なる色材で作られているとき,標準光源の下で両方の色が一
致して見えていても,他の光源の下では一致して見えないかもしれない。このような現象を条件等色とい
う。
――――― [JIS Z 8723 pdf 6] ―――――
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12.2 条件等色対の比較 人工平均昼光D65照明の下で判定した一致の程度の等級評価に加えて,白熱電球
照明の下でも色比較を行い,色の一致の程度が保持されているかどうかを評価する。
12.3 条件等色度の評価 条件等色度の数値的記述が必要な場合は,JIS Z 8719による。通常,条件等色
対を比較する場合は次による。
a) 基準となる光の下での等色の度合いを調べるために,通常,常用光源D65を用いる。
b) 照明光を変えたときに等色から外れる程度を調べるためには,通常,JIS Z 8720の4.2(標準光源)に
規定する標準光源Aを用いる。標準光源Aに加えて,JIS Z 8719の付表1に規定する値に近似する相
対分光分布をもつ蛍光ランプを用いてもよい。その場合には,蛍光ランプの種類を明記する。
備考 JIS Z 9112に規定する蛍光ランプのうち,普通形白色はJIS Z 8719の付表1の蛍光ランプのF6
に,高演色形演色AAA昼白色はF8に,また,3波長域発光形昼白色はF10にそれぞれがほぼ
対応する。
13. 試験の報告 試験結果の報告には,少なくとも次の事項を含んでいなければならない。
a) 試験に供される製品を確認するのに必要なすべての細目
1) 照明に用いた光源の種類
2) 使用光源の性能
3) 作業面の照度
4) 照明観察条件など
b) この規格に関連する引用規格
c) 附属書Aに関する追加情報の項目
d) 附属書Aに付随する必要な項目
e) 色比較に用いた照明光源で,北空昼光か常用光源かに関する項目
f) メタメリズム評価を含む比較試験の実施状況の報告など
g) 規定した試験方法との差異
h) 試験の年月日
i) その他必要な事項
――――― [JIS Z 8723 pdf 7] ―――――
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附属書A(規定) 要求される追加情報
この附属書に記載されている追加情報の項目は,本文の方法が実行されることを可能にするのに適切で
あるとして与えられる。
要求される情報は,むしろ受渡利害関係者間で同意されることが望ましく,一部分又は全部,国際規格
若しくは国家規格又は試験方法に従って,製品に関連している他の文書から得てもよい。
a) 色の比較は,参考標準色に対して行うことになっているか。新しく準備した標準色に対して行うこと
になっているか。
b) 比較に用いた光。
c) 条件等色に対する注意が要求され,その条件に応じられることになっているか。
――――― [JIS Z 8723 pdf 8] ―――――
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附属書B(規定) 色差評価等級表
附属書B表1 色差成分の等級表
評価等級 差の大きさの程度
0号 知覚できない程度の差
1号 ごくわずかで,やっと知覚できる最小の差
2号 わずかであるが,明らかに知覚できる差
3号 ほどほどの差だが,はっきりと知覚できる差
4号 かなりの著しい差
5号 極端な差
色差成分 :
色相差
名称 : DH(色相差)
評価 : 0号等級5号等級;より黄み (ye) ,より緑み (gr) ,より赤み (re) ,より青み (bl)
例 : DH : 5ye 試料色は,5号程度色相が黄み
彩度差
名称 : DC(彩度差)
評価 : 0号等級5号等級;より高い (+) 又はより低い (−)
例 : DC : −2 試料色は,2号程度彩度が低い
明度差
名称 : DL(明度差)
評価 : 0号等級5号等級;より明るい (+) 又はより暗い (−)
例 : DL : −2 試料色は,2号程度明度が暗い
関連規格 JIS Z 8716 表面色の比較に用いる常用光源蛍光ランプD65−形式及び性能
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
JIS Z 8902 キセノン標準白色光源
JIS Z 8723:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/DIS 3668:1996(MOD)
JIS Z 8723:2000の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.180 : 光学及び光学的測定 > 17.180.20 : 色及び光の測定
JIS Z 8723:2000の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISL0804:2004
- 変退色用グレースケール
- JISZ8105:2000
- 色に関する用語
- JISZ8113:1998
- 照明用語
- JISZ8719:1996
- 条件等色指数―照明光条件等色度の評価方法
- JISZ8720:2012
- 測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源
- JISZ8726:1990
- 光源の演色性評価方法
- JISZ8729:2004
- 色の表示方法―L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系
- JISZ9112:2019
- 蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分