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注記 1 mLの試料の入った測定セルの温度を3 ℃変えるには,約10分間必要である。
e) 測定試料に気泡がないことを確認する。また,セルの壁面に気泡が付着していないことを確認する。
f) 試料番号及び測定日時,1回当たりの測定時間,測定回数,測定温度,測定中の温度変化,溶媒の屈
折率及び粘度,粒子濃度(既知の場合),希釈率,レーザ光の波長,散乱角を記録する。
g) 試料の平均散乱光強度を確認する。
ホモダイン光学系では,平均散乱光強度は,製造メーカによって指定された範囲内で受光検出器の
感度を調整しながら,可干渉性を維持するために減光フィルタを使った光量調整又は検出開口を最小
化することによって調整することが望ましい。試料からの散乱光強度は,分散媒だけからの強度の10
倍以上であることが望ましい。
ヘテロダイン光学系では,参照光信号は試料の散乱光信号より大きいこと(参照光信号と散乱光信
号との比は10:1程度)が望ましい。参照光を制限することで,散乱光が相対的に強くなるようにする
ことが望ましい。
h) カウントレート又は信号値に大きく急激な変動が見られるときは,試料への異物混入を示すので,測
定を続けないほうがよい。
i) 相関関数が単調減少しない場合又はパワースペクトルがローレンツ型でない場合は,測定を続けない
ほうがよい。
j) キュムラント法を使って,測定ごとの平均粒子径 xDLS 及び多分散指数PIを記録する。
k) 平均粒子径に粒子濃度依存性が見られた場合には,無限希釈濃度へ外挿して得た値(又は最低濃度で
の測定値)を採用する。粒子と溶媒との相互作用を変えないために,希釈は粒子を含まず,同じ濃度
の塩及び界面活性剤並びに同じpHの溶媒を用いて行う。
ここで規定した事項を確認すれば,多重散乱の影響を最小化することができる。しかし,特に粒子
径が100 nm未満で体積分率が0.01より大きい場合,粒子間相互作用が平均粒子径の推定に影響する
ことがある。このため,未知の分散系に対しては,粒子濃度比が2倍以上となる2種類以上の粒子濃
度に対して測定するのがよい。
l) 測定終了時には,試料中に顕著な沈殿物が認められないことを目視によって確認する,又は複数の連
続した測定結果に傾向がないかを調べる。沈殿物が見られた場合には,少量であり測定の正確さへの
影響が許容できるものであるか,又は試料がDLS測定に適さないものであるかを判断する。
9 結果の算出方法
9.1 概要
DLS法は,低分解能手法である。したがって,粒子径分布において狭い間隔のピークを分離することは
できない。低分解能は,質量中位径から離れた粒子径では,より大きな不確かさをもつことも意味する。
DLS法によって得られる本来の信号は,散乱光強度基準である。多くの装置は,散乱光強度基準の結果
から体積又は個数基準に計算できる。多くの手法では,散乱光強度基準の粒子径分布Qintに対して平滑化
がなされており,不確かさをもたらす。全ての手法に影響する二つ目の問題は,粒子径に対する散乱光強
度の大きな非線形依存性である。このため,散乱光強度基準の分布を体積又は個数基準の分布に変換する
ことはあまり推奨できず,個数基準の分布(特に,Qintの平滑化を含む手法)は推奨できない。
DLS法による粒子径分布の決定は,例えば,レーザ回折・散乱法(光の回折)及び顕微鏡法(電子の透
過)とは異なる物理特性に基づくため,得られる粒子径分布は異なることがある。
減衰定数又は特性周波数の分布C(Γ)は,レーザ光波長,偏光状態及び散乱角θに依存するので,試料の
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平均粒子径及び多分散指数は,それらの値に依存する。
粒子径分布を計算するためのアルゴリズムが複数存在する。これらのアルゴリズムは,同一の試料に対
してしばしば異なった分布を与える。そのため,粒子径分布とともに,アルゴリズム及び計算条件を記録
することが重要である。この箇条では,現時点で十分に議論されたアルゴリズムを要約する。理論的背景
についての更なる情報を,附属書Aに記載しており,簡単な概要は参考文献[7]を参照。
9.2 相関関数解析
9.2.1 キュムラント法
キュムラント法では,指数関数的に減衰する多くの関数の集合体を一つの指数関数に近似し,多項式に
展開する。粒子径分布を記述する二つのパラメータ,すなわち,平均粒子径 xDLS 及び多分散指数PIがい
わゆる“キュムラント法”として得られる。
キュムラント法において相関関数から xDLS 及びPIへの計算は,勾配法,ガウス・ニュートン法又はレ
ーベンバーグ・マーカート法を用いた相関関数の非線形最小二乗フィッティングによって行われる。DLS
x
及びPIは,相関関数の対数に線形最小二乗フィッティングによっても得られる。データの対数を取る操作
が,データ点の重み付けに影響するので,各データ点に適切な統計的重み付けをとって対数を取る。統計
誤差は相関計のチャンネル間で等しいかもしれないが,データ点の重みは同じでない。キュムラント法か
ら得られる xDLS 及びPIは散乱光強度基準である。
9.2.2 分布計算アルゴリズム
これらのアルゴリズムでは,多成分指数関数フィッティングを相関関数に適用することで,粒子懸濁液
又は分子溶液の拡散係数の分布を計算する。これらのアルゴリズムの出力は,粒子径分布であり,必要で
あれば平均粒子径を決定することもできる。
9.2.2.1 非負拘束付き最小二乗(NNLS)法
非負拘束付き最小二乗法は,相関関数の指数減衰に代数的なフィッティングを行う。変更可能なパラメ
ータは幾つもあるが,二つの重要なパラメータは,“重み付け手法”,及び“アルファパラメータ”又は“正
則化”である。DLS法におけるデータの重み付けは,ベースラインのノイズに対して,重要な相関関数の
僅かな変化を際立たせるために用いられる。データの重み付けがない場合,ベースラインのノイズが,不
適切なピークの存在又は誤ったデータ解釈につながる。
正則化又はアルファパラメータは,結果として得られる粒子径分布内の“とがり”の許容程度を調整す
る。相関関数のデコンボリューションは,逆ラプラス変換を用いて最終的に固有関数を線形結合に単純化
する。この手法の注意点は,固有値が小さいとき,僅かなノイズが解の数を極端に増加させる。そのため,
不良設定問題といわれている。この問題を解決するために,分布解の一次導関数として安定化項が,一連
の固有関数に加えられる。
アルファパラメータは,この安定化項に適用される乗数(比例定数)で,解の導関数の強調程度として
定義される。大きいアルファ値(0.1)は,解のとがりを制限し,滑らかな粒子径分布が得られる。小さな
アルファ値(0.000 01)は,重み付け及び導関数の重要性を減少させ,結果として,よりとがった分布を生
じる。そのため,アルファパラメータは,測定した相関関数におけるノイズレベルの大きさの推定値とし
て大まかに説明される。理想的又は最適なアルファパラメータはなく,適切な値は解析される試料に依存
する。多分散性が低く,強い散乱光の粒子に関しては,アルファパラメータを小さくすると,散乱光基準
の粒子径分布の分解能が向上することがある。
9.2.2.2 コンティン法
コンティン法は,自由度の数を減少させ,平滑化した解を得るために,固有関数解析と組み合わせた制
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約付き正則化NNLS法を使用している。
コンティン法では,複数解が得られるため,データと矛盾しない最小のすそ広がりの分布を選択する。
減衰率が2倍以上ならば,減衰率の分離が可能である。
得るべき分布についての予想が必要である。例えば,推定分布範囲,データポイント数などの拘束条件
を指定する必要がある。正則化パラメータは,F検定及び信頼水準に基づいて自動的に決定される。
9.2.2.3 ヒストグラム法
ヒストグラム法は,解が得られるまでΓ(Γ=DTq2)の分布が繰返し処理される反復法の1種である。解
析プログラムにおいて,初期のΓの分布値は同じ値をもつヒストグラムである。このアルゴリズムは,測
定データと一致するようにヒストグラム値を繰り返し変更する。
ヒストグラム法は,Γの区分数Mが可変であるという利点がある。これは,観察データが正確でないと
きは,M数を減らすことができる。G(Γj)並びにヒストグラムの始まり及び終わりに対応するΓmin及びΓmax
の初期値は重要ではない。誤差の限度が測定結果の統計誤差内になるとフィッティングは終了する。得ら
れる分布は,幅が広く,かつ,分布が滑らかになる傾向にある。
9.2.2.4 その他のアルゴリズム
NNLS法に基づいて指数和の正規化[14]を行うL-Curve[12][13]の他にも多くのアルゴリズム及びプログラム
[15][16]が存在する。一般に,こうしたアルゴリズムの違いは,与えられた一連の機器及び測定条件に対して
最適化するため,NNLS法での変数(例えば,“正規化”又はアルファパラメータ,及び実行される重み付
け手順)の最適化方法に対する違いである。
9.3 周波数解析法
周波数解析法は,検出器からの信号を規則的な間隔で,解析に必要な最も高い周波数でサンプリングす
る。サンプリングした値は,高速フーリエ変換(FFT)を用いてパワースペクトルに変換する。
演算方法の基本は,最適な粒子径分布が得られるまで,あらかじめ選んでおいた粒子径及び周波数チャ
ンネルから得られたパワースペクトルを反復計算でフィッティングすることにある。例えば,1 nmから
6 500 nmまでの粒子径範囲では,16 000 Hzまでの線形パワースペクトルが必要である。パワースペクトル
は,80の対数間隔のチャンネルに変換される。粒子径チャンネルも対数間隔に変換される。こうして得ら
れた分布から,平均粒子径,PI及び他の数値が計算できる。
− ステップ1 粒子径チャンネル1Nは,対数間隔で定義される。周波数チャンネル1Nは同じ対数
間隔で定義され,測定した線形パワースペクトルは対数チャンネルに変換される。
− ステップ2 式(A.25)を用いてN個の周波数チャンネルの応答を計算し,粒子径分布の第1回目の近
似値を得る。
− ステップ3 計算から求めた値と測定した値とを比較して,近似粒子径分布を補正する。
ステップ2からステップ3までは,計算値と測定値との誤差が最小になるまで繰り返し,最適な粒子径
分布を得る。代表的には,1 nm6 500 nmで80の粒子径チャンネルが使用される。反復デコンボリュー
ション結果から,全てが等しい散乱強度の重みをもつ粒子径チャンネルを横軸とした,JIS Z 8819-1に合
致した粒子径分布が得られる。
10 測定系の適格性確認及び測定結果の評価
10.1 測定系の適格性確認
DLSによる粒子径測定は,第一原理に基づく絶対的測定法のため,校正用粒子を用いた粒子径の校正作
業は,必要ではない。SIトレーサビリティを保証するために,測定結果を得るために必要な数値,すなわ
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ち,測定変数(測定温度,レーザ波長,散乱角など)は,校正されたトレーサブルな手法で測定し,決定
することが望ましい。装置の設置後にCRM粒子の分散液で装置の性能を検証することが望ましい。さら
に,設置後定期的に又は装置性能が疑わしい場合にも検証することが望ましい。
機器の性能は,機器を設置直後及びその後定期的に,CRM粒子の懸濁液を使用して確認することができ
る。
適格性の確認が不合格の場合,使用したCRM粒子懸濁液,試験試料の調製,又は装置に問題がある。
同じ算出アルゴリズムを用いたDLS法で値付けされたCRM粒子を使用することが望ましい。理想的に
は,CRM粒子の化学的特性及び形態は,試験試料と可能な限り一致することが望ましい。
別の方法として,CV値(=標準偏差/平均粒子直径)が5 %のような狭い粒子径分布をもち,DLS又
は電子顕微鏡で値付けされた平均粒子径をもつポリスチレンラテックスのCRMを使用することができる。
潜在的な偏りを評価するために,CRM粒子の平均値の不確かさは,測定の不確かさに対する許容差を合
成し,拡張不確かさを得るために2倍にすることが望ましい。認証値と5回測定の平均値との絶対値差は,
この拡張不確かさよりも小さい値でなければならない。
直径約100 nmの粒子懸濁液の場合では,5回連続測定の標準偏差は2 %未満でなければならない。PI値
は,0.1未満でなければならない。測定の不確かさの許容差は1.5 %とされている。
例 認証平均値が102 nm±3 nmのポリスチレンラテックスCRM(拡張不確かさk=2)を5回測定し
た。5回測定の平均値は105.9 nm,標準偏差は1.4 nmであった。許容可能な偏り及び精度の確認
は,次による[26]。
1) RMの拡張不確かさから標準不確かさへの変換は,認証書に記載された包含係数kで拡張不
確かさを除す : uCRM=3 nm/2=1.5 nm
2) 測定平均値の測定の不確かさの許容差を計算する。測定値が100 nmに近い場合,1.5 %の許
容差を使用する : umeas=1.5 %×105.9 nm=1.6 nm
3) 拡張不確かさUを求めるために,1)と2)との結果の二乗和及び包含係数kの値2を乗じる。
U 2 u2 CRM u2 meas2 1.52 1.62 4.4 nm
4) 測定平均値と認証値との絶対値差は,105.9 nm−102 nm=3.9 nmである。
この差がUよりも小さいので,測定値は偏りに関する試験を満足している。
5) 5回測定の相対標準偏差は1.3 %であり,したがって,要求されている2 %よりも小さい。
10.2 測定結果の評価
10.2.1 妥当な測定結果は,次の条件を満たすことが望ましい。
a) 最小粒子径に対応する減衰時間より小さい時間間隔で測定する限り,粒子径分布は測定時間間隔に依
存しない。
b) 粒子径分布のピーク位置は,選択した粒子径範囲に依存していない。
c) 選択した粒子径範囲の端にピークが存在しない。
d) 粒子の物理的特性及び化学的特性が妥当であり,矛盾していない。
e) 他の粒子径測定法の結果と比較して妥当である。
10.2.2 自己相関法で測定する場合,次の方法で相関関数の切片の最大値を求めることができる。
a) 可能で,かつ,必要な場合,Bmax値が得られる集光開口を選択する。
注記 Bmaxの定義を附属書Aに示す。
b) 7.3のc)及びd)の要求を満たす少なくとも2種類の異なる濃度のポリスチレンラテックスの懸濁液(直
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径約100 nm)によって,切片Bを決定する(附属書A参照)。
B値が系統的に粒子濃度に依存している場合,無限希釈に結果を外挿する。
10.3 測定の精度及び測定結果の不確かさ
達成可能な精度は,試料の特性及び評価アルゴリズムに依存している。一般に,均質で単分散の試料で
得られた結果は,多分散の試料で得られた結果よりも変動は少ない。
− 繰返し性 直径50 nm200 nmの単分散試料では, xDLS の相対標準偏差は2 %未満であることが望ま
しい。
注記 同一の試験所内であっても,測定ごと,測定者ごと,機器ごと,場所ごとなどの更なる変動
要因がある。
− 再現性 直径50 nm200 nmの単分散試料では,5 %の試験所間標準偏差が達成可能である。
− 真度 DLS法で得られた結果は,散乱角及び評価アルゴリズムを含む多くの要因に依存しているた
め,多分散試料の測定結果は,測定装置及び使用した算出方法の設定に固有なものである。粒子が球
形の単分散である場合は,測定の不確かさに対する真度の下限寄与を見積もることができる[17]。
各測定結果の測定値の不確かさは,少なくとも繰返し性及び再現性の寄与を含むことが望ましい。
11 測定結果の報告
測定結果の報告は,少なくとも次の情報を含まなければならない[k) r)については,JIS Q 17025参照。]。
a) 平均粒子径 xDLS ,及びその不確かさ
b) 試料の多分散性指標(例えば,多分散指数PI)
c) 平均値を求めるために測定した測定回数
d) xDLS 及びPIの平均値が濃度依存性を示す場合,それらの値として無限希釈の外挿値又は最低濃度で
得られた値を使用する。
e) 試料を特定するために必要な全ての情報(粒子形状及び均質性の詳細を含む。)。
f) 試験所又は他の機関で使用されているサンプリング計画及び手法の出典。それらは,妥当性評価又は
結果の応用に関連している。
g) 使用した計算アルゴリズム。使用した計算アルゴリズムがこの規格に記載されていれば,その名称を
記載する。また,平均又は代表値の種類(算術,幾何又は調和平均値,中央値及びモード値),スケー
ルの種類(線形又は対数),及び測定粒子径範囲を示す。
h) 懸濁液の条件
− 分散液及びそのろ過手順(該当する場合)
− 粒子の濃度(既知の場合)
− 分散剤及びその濃度
− 超音波処理条件 : 時間,周波数及び印加電力(該当する場合)を含む分散手順
− 懸濁液の粘度及び屈折率
i) 測定条件
− 測定した実際の濃度(既知の場合)
− 測定期間
− 試料の温度
j) この規格で規定していない,又は追加的なものとみなされる全ての詳細な操作,及び結果に影響を及
ぼすと考えられる詳細な事柄。
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JIS Z 8828:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 22412:2017(IDT)
JIS Z 8828:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 19 : 試験 > 19.120 : 粒度分析.ふるい分け
JIS Z 8828:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8819-1:1999
- 粒子径測定結果の表現―第1部:図示方法
- JISZ8819-2:2019
- 粒子径測定結果の表現―第2部:粒子径分布からの平均粒子径及びモーメントの計算