JIS Z 9090:1991 規格概要
この規格 Z9090は、物理量の測定に用いる計測器の校正方式の定め方及び測定にかかわる誤差の大きさの求め方の共通事項を規定。
JISZ9090 規格全文情報
- 規格番号
- JIS Z9090
- 規格名称
- 測定―校正方式通則
- 規格名称英語訳
- Measurement -- General rules for calibration system
- 制定年月日
- 1991年8月1日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 17.020
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1991-08-01 制定日, 1997-08-20 確認日, 2002-06-20 確認日, 2007-05-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS Z 9090:1991 PDF [43]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
Z 9090-1991
測定−校正方式通則
Measurement−General rules for calibration system
1. 適用範囲 この規格は,物理量の測定に用いる計測器の校正方式(1)の定め方及び測定にかかわる誤差
の大きさの求め方について共通事項を規定する。
注(1) 計測器の校正において,必要な事項及び方法を定めたもの。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS Z 8101 品質管理用語
JIS Z 8103 計測用語
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8101及びJIS Z 8103による。
3. 校正方式
3.1 校正
3.1.1 校正の作業 計測器を校正する作業は,次の点検及び(又は)修正の二つから構成する。
(1) 点検 点検では,修正が必要であるか否かを知るために,測定標準(以下,標準という。)を用いて測
定値の誤差を求め,修正限界(3.3.4参照)との比較を行う。
(2) 修正 修正では,計測器の読みと測定量の真の値との関係を表す校正式を求め直すために,標準の測
定を行い,校正式の計算又は計測器の調整を行う。
備考 計測器の読みから測定値を求める式を校正式という。
校正の作業の例
例1. 工程で使われている自動寸法測定器で,1時間に1回,限界ゲージによる点検を行っている。
点検では,測定対象の部品の規格値の上限・下限に相当する限界ゲージの測定を行い,測
定値の誤差が修正限界内ならばそのまま自動寸法測定器を使用して作業を続け,修正限界
を超えたときには,校正式の修正を行う。修正では,上限・下限に相当する限界ゲージの
読みを自動寸法測定器に附属するコンピュータに入力し,校正式の定数を計算し,その結
果に基づいて,計測器の調整を行う。
例2. 電圧計の点検を月1回行っている。点検において,零点の確認をした後,定電圧電源の出力
10Vを測定したところ,測定値は10.04Vとなった。このときの誤差は0.04Vであり,修正
限界D=0.01Vを超えたので,修正を行った。修正では,10Vの測定値が10Vになるよう
に校正式を作り直して,校正表を変更した。
3.1.2 校正の基本 校正方式は,規定される校正の内容によって,次の四つの方式に区分する(表1参照)。
(1) 点検及び修正を行う校正方式 点検の結果によって修正を行う。測定値の誤差が修正限界内の場合は,
修正を行わずそのまま計測器を使用する。測定値の誤差が修正限界を超えた場合は,修正を行い計測
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器を使用する。
(2) 点検だけを行う校正方式 点検の結果によって,測定値の誤差が定められた限界以内の場合は,その
まま計測器を使用する。
例 計測器の修正及び修理を行うには費用がかかりすぎるので,定期的に点検を行って,誤差が定め
られた限界内であれば,そのまま計測器を使用する。
また,定められた限界を超えていれば,計測器を廃棄する。
(3) 修正だけを行う校正方式 点検を行わず,必ず修正を行い,新しい校正式を求め,計測器を使用する。
例 定期的に計測器の零点の修正を必ず行う。すなわち,零点に狂いがあれば,必ず計測器を調整す
る。
(4) 無校正の校正方式 点検及び修正は行わずに,無校正で計測器を使用する。
例 ある計測器の誤差は,その計測器が用いられている工程の製品の公差に対して十分小さいことが
分かっており,校正に費用がかかるので,購入した個々の計測器は無校正でそのまま使い,定期
的に廃棄する。
備考 この規格では,主として(1)の場合について規定し,その他の場合については,必要に応じて規
定する。
表1 校正の内容による校正方式の区分
(1) 点検及び修正を行 (2) 点検だけを (3) 修正だけを (4) 無校正の校
う校正方式 行う校正方式 行う校正方式 正方式
点検作業 点検作業 点検作業なし 点検作業なし
↓ ↓ ↓ ↓
点検の結果 点検の結果 修正作業 修正作業なし
↓ ↓ ↓
結果に応じて修正作業 修正作業なし
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
使用 使用 廃棄 使用 期限まで使用
3.2 校正における測定
3.2.1 校正における測定の準備 校正における測定のために,次のものを準備しなければならない。
(1) 校正対象の計測器
(2) 測定量の真の値となる標準又は標準器(2)。
注(2) 標準器には,測定量の1点を示す標準器及び多くの点を示す標準器がある(3.3.3参照)。
例 基準分銅,ブロックゲージ,校正された電圧発生器,標準マイクロホンで設定された基準音圧レ
ベル。
(3) その他,校正に必要な機器,装置又は設備。
例 測定用ジグ,荷重発生器,恒温室,恒温恒湿室,無響室。
3.2.2 校正における測定方法 校正における測定方法を,次に示す。
(1) 校正前にあらかじめ値付けされた標準器を,校正対象の計測器によって測定する。
例1. 基準分銅を,校正対象のはかりで測定する。
例2. ブロックゲージを,校正対象のマイクロメータで測定する。
例3. 校正された電圧発生器の出力を,校正対象の電圧計で測定する。
(2) 物理量を発生する機器(以下,発生器という。)が示す測定量を,正確さがよりよい計測器(以下,上
位の計測器という。)及び校正対象の計測器によって測定する。
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例1. スピーカの音を,標準マイクロホン及び校正対象の騒音計で測定する。
例2. 荷重発生装置の荷重を,上位の力計及び校正対象の力計で測定する。
(3) 校正対象の計測器によって求めた測定量を,他の計測器によって測定する。
例 校正対象の微量体積計で計り取られた水の量を,校正された天びんで測定する。
3.2.3 校正を行う試験環境の条件 計測器の校正を行う場合の試験環境を,次の二つに区分する。
(1) 計測器を実際に使用する環境のもとで校正を行う。
この場合には,計測器を使用する環境で発生する誤差及び校正の作業の誤差を予測することを必要
とする。
備考 校正に使用する標準について,計測器を使用する環境での標準の表示値の誤差が予測できるこ
とを必要とする。
(2) 特別の環境のもとで校正を行う。
この場合には,計測器を使用する環境で発生する誤差及び校正の作業の誤差のほかに,使用する環
境と校正を行う試験環境との違いによる誤差を予測することを必要とする。
備考1. 特別な試験環境の条件のもとでしか校正できない場合の例
・ 無響室におけるマイクロホンの校正
2. 校正の内容によって,校正を行う試験環境の条件が異なる場合の例
・始業時に行う定点の校正は現場で行うが,1年に1回行う目盛間隔の校正は恒温室で行う。
3.3 校正方式の内容
3.3.1 校正方式で定める事項 校正方式では,次の事項について,4.で示された手順に従って定める。
(1) 校正の種類
(2) 標準及び標準の水準
(3) 校正の間隔及び修正限界
(4) 校正の手順
(5) 校正の作業後の処置
(6) 計測器を使用する条件
(7) 測定の手順
3.3.2 校正の種類 計測器の読みyと標準の値M(真の値とみなされる値)との関係を表す校正のための
関係式の種類により,次によって,校正の種類を定める。
(1) 校正式の基本 yとMとの直線関係を想定した校正のための関係式は,次の二つのことによって成り
立つ。
(a) 定点の校正 : yとMからの平均的なずれを修正する。
(b) 傾斜の校正 : yとMとの直線関係の感度係数 戰 正する。
(2) 校正の種類及びその関係式 校正の種類及びその関係式を,表2に示す。
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表2 校正の種類及びその関係式
校正の種類 関係式
(a) 点検だけの校正 : y=M
修正は行わず,読みをそのまま測定値とする。
(b) 零点校正 : y=y0+M
零点の読みy0で,定点の校正を行う。
(c) 基準点校正 : y=y0+ (M−M0)
基準点M0の読みy0で,定点の校正を行う。
(d) 目盛間隔校正 : y=y0+戀
任意の点(その読みがy0である。)を零点として,
傾斜の校正を行う。
(e) 零点比例式校正 : y= 戀
零点の読みを零と仮定して,傾斜の校正を行う。
(f) 基準点比例式校正 : y=y0+戀 M−M0)
基準点M0の読みy0で定点の校正を行った後,傾
斜の校正を行う。
(g) 1次式校正 : y=y+ 戀 M−M)
読みyの平均値y及び標準の値Mの平均値Mを
用いて,定点の校正及び傾斜の校正を同時に行う。
備考1. 高次式及び非線形式による校正については,この規格では取り扱わ
ない。これらの場合,幾つかの範囲に区切って,直線関係を想定し
た校正を行うことができる。
2. 読みをそのまま測定値とするために,目盛を変更又は機械的に調整
することがある。このような場合には,目盛の変更又は機械的な調
整によって修正が行われており,無校正とは区別する。
例1. マイクロメータの零点調整を,かに目スパナでスリーブを回して
行う。
戰
例2. ディジタルスケールの感度係数 ンタに設定して,表示
値が測定値になるようにする。
(3) 校正の種類の選択 測定範囲,校正の作業の手順,測定の手順など,計測器の使用の実状に即して,
計測器の使用者が,(2)に示した校正の種類の中から必要とするものを選択する。
例 20kg袋詰め工程で,袋詰めの測定に使用しているはかりは,20kg近くのものしか測定しないので,
20kgの分銅を基準点の標準として,基準点比例式の校正を行うこととした。
3.3.3 標準及び標準の水準 校正において値が分かった標準として使用するもの,及びその水準は,次に
よって定める。
(1) 標準の区分 校正に用いる標準を,次の二つに区分する。
(a) 点検のための測定に用いる標準
(b) 修正のための測定に用いる標準
備考1. 点検のための測定に用いる標準のデータを修正に用いるので,改めて修正に用いる標準を用
意する必要がない場合がある。
2. 現場で使う標準で,被測定物と同じような形状・材料で作られた実物を標準として使う場合
がある。
(2) 標準の値付け 標準の値付けは,校正された上位の計測器を用いて行う。標準の値付けには,次の場
合がある。
(a) 標準器に対して,校正前に,上位の計測器によって値付けする。
例1. 基準分銅の値を上位の天びんで決定する。
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例2. ブロックゲージの値を上位の測長器で決定する。
例3. 標準電圧発生器の電圧を設定する目盛を校正する。
(b) 校正時に実現した測定量に,上位の計測器によって値付けする。
例1. 校正時に,基準音圧レベルを標準マイクロホンで設定する。
例2. 校正時に,荷重発生装置の荷重を上位の力計で設定する。
例3. 校正対象の微量体積計で計り取られた水の量を,校正された天びんで測定する。
備考1. 測定量の多くの点を示す発生器の値付けは,発生量を設定する目盛と測定量の真の値との関
係から,設定目盛の校正を行うことによって実現する。
2. 校正時に測定量を実現する方法には,測定量の発生器による場合,及び校正対象の計測器に
よる場合がある。校正時に実現した測定量は,上位の計測器で値付けられることによって標
準となる。ただし,備考1.で述べたように,目盛によって測定量の値を実現させる発生器は,
前もって値付けされた標準器の一つである。
(3) 標準の水準
(3.1) 校正に用いる標準の水準を,実際の測定における測定範囲を考慮して,次のいずれかに決める。
(a) 標準1個の場合は,測定範囲の中心に近い値がよい。
(b) 標準2個の場合は,測定範囲の上限及び下限に近い値がよい。
(c) 標準3個以上の場合は,測定範囲の上限及び下限に近い値とその間の値とで水準を決める。
備考 定点の校正を行う場合は,標準1個以上,傾斜の校正を行う場合は標準2個以上を必要とする。
ただし,零点も標準に含めて考える。
(3.2) 点検のための測定に用いる標準の水準の例
・ 最大目盛値の0.8倍の点。
・ 測定範囲の中心点。
・ 零点と測定範囲の中心点との2点。
(3.3) 校正式を求め直す修正作業に用いる標準の水準の例
・ 零点と最大目盛値の間の等間隔の5点。
・ 使用する目盛の上限,下限及び中心の3点。
・ 使用する目盛の上限と下限との2点。
3.3.4 校正の間隔及び修正限界 校正の間隔,及び点検において修正が必要か否かの判断に必要な修正限
界を定める。
校正の間隔は,次に示す点検の間隔と修正の間隔とに区分する。
(1) 点検の間隔 計測器の修正が必要であるか否かを知るために行われる点検と点検との間の時間。
(2) 修正の間隔 点検の結果,計測器を修正する場合の,修正と修正との間の時間。
備考 時間は,校正の実態に即した単位で表してよいが,この規格では生産個数で表す。
校正の間隔及び修正限界の定め方は,附属書1による。
備考 校正の間隔は,計測器の使用条件,定点の校正,傾斜の校正など,校正の種類によって異なる。
例1. ある計測器は,午前・午後の作業開始時に日常的な作業として,零点の修正を必ず行っている。
この場合は修正だけを行う場合に相当しており,修正の間隔は半日に1回となる。
例2. ある計測器の6か月ごとの定期的な校正において,まず,標準5個を用いて計測器を点検する。
点検において,誤差が小さい場合はそのまま合格とし,誤差が大きい場合は,修正において機
械的な調整をしている。現行の校正方式における実績として,調整したもののうち,約半数は6
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JIS Z 9090:1991の国際規格 ICS 分類一覧
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